みんなでおべんきょうかい……って定番だよな
さっき、ローソン行ったんだけどさ
間違えてファミチキくださいって言った
「今日からテスト期間だから部活休みなんだよな……」
休日に自室でだらだらとしながら、今月の部活の予定表を眺めてそう呟く。総体が近いということで、平日は普通に部活をしていたのだが、休日は勉強に専念しろということだろう。
部活いつも楽しみにしてるんだけどな……まぁ、テスト期間なら仕方ないか。真面目に勉強しよう。といっても、授業ちゃんと聞いてたからそんなに勉強しなくても八割り位は余裕で取れるけどさ。え? 俺が真面目? いや、単に授業中に話したりする人居なかっただけですけど。来栖さんはいつも寝てるし。
「あ、来栖さんいつも寝てるけど……テスト大丈夫なのか?」
赤点取ったら放課後に追試あるからな。帰宅部だから放課後は暇だろうけど、だからといって赤点取りすぎると今度は留年の危機が迫ってくるしな。来年一緒の学年になれないのは寂しい。
「とりあえず……ラインしてみよう」
俺は机の上にある携帯を手に取り、LIMEを開いてグループの方に『来栖さん、来週テストだけど大丈夫?』とメッセージを送る。すると、すぐに既読が1つ着き、奏ちゃんから返信が返ってくる。
奏『テスト範囲どこだっけ?』
奏ちゃん!? え? そこから!? いや……そこからですか?
『大丈夫なの?』
奏『……ヤバイ。勉強教えて』
『えっと……家来る?』
異性を来やすく家に招くのはなんというかアレだが……まぁ、この際仕方ない。その方が教えるのに効率がいいし。
奏『行く! 行きます! かぶり付きで行くよ』
まず、かぶりつきの使い方から違うよ……国語危ういなぁ。と、奏ちゃんの学力を心配していると、来栖さんからも返信が返ってくる。
恵『アタシも行っていいか? 今、龍之介と一緒に居るんだが、こいつもつれていった方がいいか?』
来栖さんと龍之介が休日に一緒に居るだって? まさか……お前ら……いつから付き合ってたんだ!? いや、お似合いだと思うけどさ。超人カップルで。
『いいよー。俺の家は龍之介が知ってるから、道案内は龍之介に頼んでね。奏ちゃんは今から迎えに行くよ』
俺はそうメッセージを送ると、家を出て奏ちゃんの家まで自転車で向かう。
「奏ちゃーん居るー?」
奏ちゃんの家に着いた俺は、インターホンを鳴らしてそう言う。少しすると、はいはーいという声がして、大人の男性が出てくる。奏ちゃんの父親かな? 雰囲気が少し似ている気がする。
「空条有利です。奏ちゃんの友人です」
俺は、誰かと尋ねられる前に自分から自己紹介をする。
「ああ、君が……よく娘から話を聞いているよ……ちょっと待ってね。娘をすぐに読んでくるから」
そう言って玄関を男性は閉める。扉越しに男性が奏ちゃんの名前を呼ぶ声が聞こえて来ると、すぐに奏ちゃんが玄関を開けて出てくる。
「ゴメンね! 待たせちゃって!」
慌てて来たのか、少し息を切らせながらそう言う奏ちゃん。
「うん、いいよ……勉強道具は大丈夫?」
勉強道具がなければ何も出来ないからな。何をしに来た……って話になる。
「うん、バッチリ持ってきたよ。数学と化学は割りと大丈夫なんだけどさ、文系科目がさっぱりで……特に古典と英語」
話をしながら自転車で俺の家まで向かう。
「覚えるの苦手なの?」
「うん。人の名前覚えるのも苦手なんだよね」
「龍之介と同じだな」
「そういえば、私も何度か間違えられたな……」
そうだったね……全く、失礼な奴だよ。
「着いたよ。上がって上がって」
「お、おじゃましまーす(ヤバイ、緊張する……男の子の家に上がるのって小学校の時以来だよ)」
俺は、そう言って奏ちゃんを家に上げる。俺の部屋に四人は……行けるかな? いや、無理だな。そもそも俺一人用の机しかないから、リビングにあるテーブルなら四人で囲んでも平気だから、リビングで勉強するとしよう。
「俺の部屋は狭いから、リビングでやろうか」
俺はそう言いながらリビングに向かい、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出すと、グラスに注いで持っていく。
「あ、ありがとう」
テーブルの上に置くと、そう礼を言う奏ちゃん
「いいよ……それより、テスト範囲がわからないんだっけ?」
「うん」
「ちょっと待っててね。取ってくるから」
俺はそう言うと、部屋に戻りテスト範囲の記された用紙を持って降りる。
「はい、これテスト範囲だよ」
俺はそう言って奏ちゃんにその用紙を渡す。
「あ、ありがとう有利君」
奏ちゃんがそれを受け取った時、ちょうどインターホンが鳴り、龍之介の声が聞こえてくる。
「有利ー、上がるぞー」
「おーう」
俺が返事を返すと、玄関を開けて龍之介と来栖さんが家に上がって、リビングに入ってくる。
「図書館で勉強してたら、たまたま会ってな……さっぱり解らないというから教えてたんだ」
そう言いながらテーブルの側に腰を下ろす龍之介。そりゃそうだろうな、授業中ずっと寝てるんだもの……それで出来たら天才だぜ。
「ああ、とりあえず国語以外はさっぱりだ」
来栖さんも、龍之介の隣に腰を下ろしながらそう言う。
「じゃあ、まぁ……揃ったし、はじめるか」
俺はキッチンに向かい、龍之介と来栖さんの飲み物を用意し、ついでにお菓子も持ってリビングに戻ると、そう言って勉強会を始める。
~一時間後~
「なぁ、恵。A rolling stone gathers no moss……転がる石に苔生えずって意味なんだが、なんで訳が、流れ星が流れなかった……になるんだ? 流れ星はどこから出てきたんだ?」
「……ローリングストーン」
「なぜそれを直訳しなかったんだ……」
「あはは、珍回答だね」
「奏ちゃん、人の事言えないよ? Never give upが、Uver give upになってるからね? バンド混ざってるからね? というか、来栖さんよりもヒドイからね?」
「…………」
「目を反らさないでよ。奏ちゃん……英語の単語全然覚えてないよね?」
「だって……私日本人だもん」
「日本人だから勉強するんだよ」
「恵、英語は大喜利じゃないんだ……○○を強調する文に書きかえなさいって問題は、物理的に強調しろってことじゃない。だから○○だけ大文字で太く書けばいいってことじゃない」
「「ゴメン」」
「「……(もうダメだこれ)」」




