テニスの御姫様……になるのかな? この世界だと。まあ、略せばテニプリであることに変わりはないか
ある授業の時間、K君が一番前の席で熟睡していました。
私も授業は真面目に聞いていませんが、一番前で寝るのはどうかと思い授業後にK君にこう言いました。
「さっきの時間寝てただろ」
すると、K君はこう返事します
「うん、間違えて寝た」
えっと……何を間違えたのですか?
ゴールデンウィークが明けた初日。
正直もっと休んでいたいと思うが、そういうわけにもいかないので、休みボケした体に鞭うって学校に向かう。
「さて……GWが明けてすぐだけど、来週は球技大会があるので、出場種目を決めましょうか」
朝、SHRの時間にそう言う斉藤先生
球技大会か……何にでようかな
「種目は、男子はバスケで、女子はサッカー、あと男女混合のテニスがあるんだけど……とりあえず、やりたい種目を呼んでいくから手を上げてね」
黒板にバスケ、テニス、サッカーと書きながらそう言う斉藤先生
……この中でやるならテニス一択だな。
だって、一番楽そうだし、本気出さなくて良さそうだし。
「それじゃあ、まずテニスやりたい人? 男女混合のダブルスだけど」
斉藤先生がそう聞いた瞬間に手を上げる。
しかし、テニスは以外と人気で、男子も女子も多くの人が手を上げる。
くっ……多いな、これはじゃんけんコースか……
しかやない。本気を出すぜ!
いくぜ! 俺の右手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶ!
ばあああああああくぬぇつ! ゴッドフィン
「あー、アタシもテニスがいいな」
来栖さんがそう言って手を上げた瞬間、それまで手をあげていた人達は、俺以外全員手が下ろす。
来栖さんの影響力ェ……。
「じゃあ、テニスは恵さんと有利君で決まりね……じゃあ、次はサッカーとバスケだけど……まあ、もう時間ないし、適当にチーム組んで、後で教えてね」
と、そう言って教室を出ていく斉藤先生。
「来栖さん、テニスしてたの?」
一時間目が始まる前に、俺は来栖さんにこっそりとそう聞く。
「いや、ルールも知らない」
すでに寝る体勢の来栖さんがそう答える。
「え?」
なら、なんでテニス選んだのさ……。
というか一時間目から寝るなよ。
「楽そうだからな」
あ、そういうね……俺と同じ理由かよ。
◇◆◇◆
「あ、奏ちゃんおはよう」
「ん、おはよう有利君」
「奏ちゃんは球技大会はサッカー?」
休み時間、廊下でばったりと会った奏ちゃんにそう聞く。
「そうだよー」
「王子! 私もサッカーなのだ。見ていてくれ、私の勇姿を」
唐突に現れてそう言う麗奈さん。
「あー、うん、時間があったら見に行くよ」
「有利君が来るなら私がんばるよ」
と、笑顔でそう言う奏ちゃん。
「まぁ、勝つのは私の方だが」
自信満々といった様子でそう言う麗奈さん。
「言ってな帰宅部。運動部の実力を見せて上げるから」
鼻で笑い、そう言う奏ちゃん。
「おもしろい、かかって来るがいいさ」
不敵な笑みを浮かべてそう言う麗奈さん。
二人とも仲がいいな。ライバルって感じがする。
「あ、じゃあ勝った方になにかご褒美でもあげるよ」
「「なん……だと……!(ご褒美って……キスとかハグとかですか!?)」」
まあ、ご褒美っていってもジュースとかお菓子とかだけどさ。
「悪いけど……勝ちは私がもらうから」
「それはこちらの台詞だ」
両者、笑顔でにらみ合いながらそう言う。
いいねいいね。なんか燃える展開だな。
「お、龍之介、球技大会はやっぱバスケか?」
コイツはバスケだろうな……と思いながらも、近くを通りかかった龍之介に話しかける。
「いや、優勝が決まるから他に行ってくれと教師にお願いされた」
あぁ……コイツ一人対全男子生徒がやっても、勝てないだろうしな。
「えーと、てことは……」
残りの競技って…………あ……
「テニスだ」
「…………」
俺、死んだ。
待って……テニスはダメだよ。
エアホッケーでさえ、プレイヤーにダイレクトアタックをかます奴が……テニスだよ?
アカンやん。テニヌやん。死人が出てしまう……ってか、俺死ぬる。
「ラケットも用意した」
そう言って、縦横に一本ずつのガットが張られたラケットを見せる龍之介。
「ちょっ……おま……それ……」
ガチのやつやん……腕の健が切れるやつやん。
「楽しみだな……テニス」
しかもやる気満々……いや、殺る気満々でいらっしゃる……。
……生命保険……入っとこ。
来栖さんってこんな感じかな……。
あれから数年……何をどう間違えたのか、未だにわかりません。
わかる人がいたら教えてくださいませんか?




