主人公がヒロインしてるかもしれない回
友人とおおかみこども視聴中
「これって……あれだよな」
「獣○だね」
「いや、うん、話振ったのは俺だけどさ、ストレートに言うかな」
「思ったことはなんでも言うべきだよ!」
「女の子なんだから、少しオブラートに包みなさい」
「昼飯も食ったし、他のアトラクションも見て周ろうぜ」
レストランを出た俺は、他の皆にそう言う。
「見るだけなのか?」
「間違えた。他のアトラクションも乗ろうぜ」
ウィンドウショッピングじゃないんだから。見るだけはつまらんわな。
言葉のあやってやつだぜ。
「他に面白そうなのって何があるんだ?」
麗奈さんにそう尋ねる来栖さん。
「うむ……お化け屋敷なんて良いのではないだろうか。なんせ、元は廃病院があったのを取り壊して、そこにお化け屋敷を建てたそうだ」
麗奈さんはメモ帳を開き、事前に調べた情報を公開する。
もはや完全にガイド扱いだ。
「他にはなにかないですかね?」
俺は麗奈さんにそう聞く。
お化け屋敷はちょっと遠慮させていただきたい。ガチでサダコが出てきそうで……
「恐怖を売りにしているので、例のジェットコースターとお化け屋敷以外は特に目立ったものはないな……」
メモ帳を見ながらそう言う麗奈さん
「そうか、じゃあお化け屋敷で決定だな」
来栖さんはそう言うと、お化け屋敷のある場所に歩いていく。
「あ、じゃあ俺はちょっとその辺で待ってようかな……」
俺はそう言って、近くのおみやげ売り場に向かおうとする。
「よーし、お前も行くぞ」
しかし、龍之介に担がれ、無理矢理お化け屋敷に連れていかれる。
「え、ちょっ!」
テメエ、俺が幽霊嫌いなの知ってんだろ!
俺はじたばたと暴れて逃れようとするが、俺の力では龍之介はびくともしなかった。
ドナドナでも聞こえてきそうだ……。
……降ろしてください。本当に降ろしてください。
「降ろせ龍之介、俺はお化け屋敷は嫌だ。しかもガチじゃねーか」
廃病院の跡地とかガチジャネーカヨ! 絶対にサダコさん出るって!
「大丈夫だよ有利君、私が付いててあげるから(よし、ここで好感度アップ)」
「…………ごめん、無理」
奏ちゃんには悪いが、誰が付いていようと無理なもんは無理だ。
「がはっ……」
俺の言葉を聞き、膝から崩れ落ちる奏ちゃん。
「ふっ、貴様では王子を守るには力不足ということだな……王子、ここは私が付いているので安心してください」
膝をついている奏ちゃんを鼻で笑い、俺に向かってそう言う麗奈さん
「いや、だから無理だって」
嫌いなものは嫌いだから。鼻をつまんだところで、苦手な食べ物が美味しく感じたりしないように、誰かと一緒だからといって、幽霊が克服できる訳ないじゃん。
「くっ殺せ……」
と、悔しそうに方膝をついてそう言う麗奈さん。すまん麗奈さん……けど、サダコのトラウマは俺が三つの時に心の奥底に刻まれてるんだよ。そうそう克服なんてできるわけがないじゃない。
「というわけでお願いします。降ろしてください龍之介さん。じゃあ出口の辺りで待ってるから」
「ナンパされたらすぐに付いていくだろ。探すの面倒だ」
「…………いや、そんなことはないぞ」
「今の間はなんだ」
ちょっと付いて行くかもしれないと思っただけだ。
「付いて行かない。絶対に付いて行かない」
「それにな有利……お化け屋敷はな、ガチで怖がる奴が居ないと面白くないだろ」
と、悪い笑みを浮かべながらそう言う龍之介
…………あ、これ……何いってもダメなやつや……。
俺は全てを諦めた。
◇◆◇◆
お化け屋敷に着くと、 大人数は面白くないと来栖さんが言うので、龍之介と来栖さんは先に入り、後から残りの俺達が入る事になった。
「本当に無理でしたら、ギブアップと行って下さい。係員が出口まで案内します」
とお化け屋敷の入り口でそう言われ、中に入る。
中は洞窟の中のようにひんやりと冷たく、不気味な雰囲気を漂わせていた。
……ギブアップしようかな。
「今さらだけど、本当に大丈夫?」
本当に今更だが、心配してそう尋ねてくる奏ちゃん。
「だいじょうびだ、もんだいない。だいじょうび」
「全然大丈夫に見えないが……」
「べべべ、別に、怖いからってパニックになってる訳じゃないからね。勘違いしないでよね」
「いや、もうキャラ崩壊してるよ。ツンデレみたいになってるよ」
大丈夫……俺は乗りきれる。
天才であるこの俺に怖いものなどないのだ。
怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない。
「何もおきないね」
中に入ってしばらく進むが、何も起こらないのでそう呟く奏ちゃん。
「そうだな」
そしてそれに頷く麗奈さん。
「このまま何もな」
『グギャアアアアアアアアアアア』
「ければよかったのにーーーーーー!」
なにもないと油断した途端に、魚に手と足が生えたような半魚人が目の前に現れる。
油断した瞬間を狙い打つのは卑怯だぞっ! せ、正々堂々戦え馬鹿者!
ぺたっと背中にひんやりとした感触が走る。
「キーーーーーヤーーーーーー!」
「お、おちつけ王子、ただのこんにゃくだ(おおお、王子がこんなに近くに……ハァハァ……いかん、落ち着くのだ私…………く、鼻から赤き忠誠心が)」
『ああ………あああ……ああ』
「いやあああああああ、手が、ぐすっ……手が地面からはえてきた……ひっく」
「大丈夫、作り物だよ(落ち着こう、落ち着こう私……有利君に抱きつかれたこの状況……くっ、ダメだ鼻血が)」
ガシャン!!
「もういやだーーーー! ……ううっ……グスン」
『ジュアアアアアアアアアア』
「ギブアーーーーーーーップ!」
◇◆◇◆
「うぐっ……」
お化け屋敷をリタイアした俺たちは、外に出て龍之介達を待つ。
「……泣くほど怖かったのか?」
お化け屋敷から出てきた龍之介が、そう聞いてくる。
「半魚人が……」
誰だよあの半魚人考えた奴……
「なら、無理してまで入らなくても良かったじゃねーか」
お前が言うかっ! お前が!
「あんたら……なんで二人揃って鼻をつまんで、空を見上げてんの?」
と、麗奈さんと奏ちゃんの二人に尋ねる来栖さん。
「「いや、ちょっと……欲望が体の端から滲み出そうになって」」
「……?」
「え? コンドームに包もう?(笑)」
「ダメだコイツ……早く何とかしないと……」
※彼女はK君ではありません。
K君は次元が違うんです。
肝だめしとお化け屋敷で被ってるから……ステイスを変えてみたよ。
あざとい位がいいって言うから
前回の肝だめしとは、違って、少しあざとさをだしたけど
どっちが好みかな?
え? そもそも男はどうでもいい?
………………せやな。




