あ! 野生の強盗が現れた。 さあ、どうする? 『たたかう』『どうぐ』『にげる』
夏も近づき気温も高くなって来た頃、クラスの皆は半分以上が衣替えをしていました。
そんな中、友人のK君は誰も着ていないブレザーを着て登校して来ました。
私は、彼に「暑くないのか?」と尋ねました。
すると彼はこう言います。
「死亡率を下げる為にな」
あなたのブレザーは防弾チョッキかなにかですか?
いつから日本は物騒になったのでしょうか。
はい、林間学校から帰ってきました。
そして、今家にいます。
けど、まだ昼過ぎ。そして、家には誰も居ない。
暇だな……何しようか。
特にすることもないので、自室に篭りパソコンを立ち上げると、インターネットでサーフィンを楽しむ。
今の女王って、徳川家康の子孫なんだってよ。現王が徳川夢康で、その娘が毬鈴でマリリンだってよ。
ってキラキラネームかよっ!
日本の次期顔がマリリンって……
あ、織田信長が織田信奈になってる!
ラノベかよっ!
じゃあ、あれか? 織田信長○野望とか織田信奈○野望になって、まんまラノベじゃねーかっ!
パソコン画面に向かって、心の中でツッコミをいれていると、下の階のリビングの方でパリンとガラスの割れる音が聞こえる。
「なんだ? 野球ボールでも飛んできたか?」
まったく、元気なのはいいが野球するならもっと周りに気を付けろよな。
俺は面倒だと思いながらも、様子を見に行くためにリビングに降りる。
「「……」」
リビングに降りてみると、そこには、金槌を片手に持った女性が立っていた。
お互いに互いの存在に気付き、動きが固まる。
「……」
「……」
えーっと…………これは…………アレだな。
うん
「泥棒かっ!」
俺はその女性を指差してそう叫ぶ。
だが、残念だったな! 俺に見つかったのが運の尽き……貴様の失敗はガラスにガムテープを貼って、割るときの音を消さなかった事だ!
もう逃げられないぜ……!
このまま捕まえて、警察に尽き出して一躍ヒーローになってやるぜ!
俺が最強の自宅警備員だっ
と思っていた時期が僕にもありました
泥棒は、金槌だけでなくポケットからナイフを取り出してきて、俺に刃先を向ける。
「…………」
え? いや……え……?
待って……アカンよ。
死ぬるよ。それ死ぬるやつやよ。
血の気が引いていくのが自分でもよくわかる。顔が冷たい。冷や汗がドッと吹き出る。
よし、逃げよう!
俺は踵を返して自分の部屋に引き返すと、ドアを閉めて鍵をかける。
ごめん姉ちゃん。俺……我が家の財産は守れなかったよ。
けど大丈夫。顔はバッチリ見たから警察に電話……して……
俺は携帯を片手に固まる。
ん? 顔は……見た……
相手からすると……顔を見られた
イコール
殺す。
「……オーマイガーッ!」
ヤバイって! 俺殺されるじゃん! どーすんだよ!
おおおおおお落ち着け、あ、ちがう、餅つけ。
「ぺったんぺったん……やってる場合かーっ!」
一人漫才してる場合じゃないってば。どーすんだよこの状況!
やべーよ、ミシッミシッって階段の軋む音が聞こえてくる……。
完全に上がってきてるじゃん! 俺、完全に狙われてんじゃん!
どうする? なんか武器ないか?
鞄、リュック、本、パソコン、イス……これだっ!
俺はイスをつかんで泥棒に備える。泥棒っつか強盗だな!
と、突然俺のドアがガタンと音をたてる。
「ダーッ!」
俺はその音に驚いて奇声を挙げ、イスを盾にするように身構える。
今ので強盗にこの部屋にいると気づかれたらしく、ドアは激しくガタガタと音を立てる。
しかし、鍵をかけているので、そう簡単に鍵は開かない。
少しすると音は止まり、強盗も諦めたのかと安堵したその時、強盗は、今度は金槌でドアのぶを強く叩きはじめる。
嘘だろ! 鍵を壊しに来やがった!
警察さん! 早く来てくださいよ! 無敵の権力で何とかしてくださいよー!
ダメだ、イスじゃ勝てねえって! 他になんかねーのかよ!
俺はなにかもっと殺傷能力の高いものはないかと思い、引き出しやらタンスやらをあさる。
「……お?」
すると、タンスの下にある引き出しに、防犯グッズと書かれた棚を見つける。
……これは……行けるぜっ!
俺はその棚を開けて、中身を物色する。
催涙スプレーと書かれたものに、スタンガンらしきもの、あと防犯ブザー。
恐らく、姉ちゃんが勝手に買っていたのだろう。
だが姉ちゃん……ナイスだ!
よし、この催涙スプレーとスタンガンさえあれば勝つる!
俺は、その二つを棚から取り出す。
ただ、ここで問題がある。
…………このスタンガンってさ……どうやって使うの?
…………グーグル先生おしえてっ!
スタンガンの使い方をネットで検索しようとしていたその時、ドアの鍵が破壊されて、強盗が中に入ってくる。
「ちょ……えっ……だっ……くらえーーーーーー!」
俺はとっさに、催涙スプレースプレーを強盗の顔めがけて噴射した。
「ぎゃあああああああ! ああああああああああ!」
不意打ちの催涙スプレーをもろに喰らい、あまりの痛みに両手を目で覆い転げ回る強盗。
「……催涙スプレーすげえ」
俺はその隙に金槌とスタンガンを拾って部屋を出る。
そしてエミの部屋に逃げてくると、扉を閉じて鍵をかける。
少しして、強盗も追いかけて来るが、部屋に鍵が掛かっている為、入ることはできない。
フッフッフ! 金槌がなければドアは破れまい!
更に追い討ちをかけるようにインターホンの音!
そして「空条さん居ますかー?」という女性警官の声ッ!
勝った! 俺は勝ったぞ!
「居ます! 助けてください!」
俺が叫ぶと、急に静かになる。
そして、いくつかの足音が聞こえてきたかと思うと、しばらくしてドアがノックされ
「もう逮捕しましたよ」
という声が聞こえてくる。
「助かったー」
俺は安心して、ドアの鍵を開けて部屋の外に出ると、警察の後についてリビングに降りる。
その途中、玄関の外から不安そうに中を覗いている野次馬の主夫さん達と目が合った。
なんか、皆から大げさにウンウンと頷かれたんだけど……なんで?
それから警察に事情聴取というのか、色々と聞かれた。
保護者の連絡先聞かれて、俺は姉の携帯番号を伝えた。
そして、なぜか女性の警官から名刺をもらった。
「また何かあったら連絡しますので。 あなたも何か気付いた事があったら連絡して下さいね」
と言われた。
なるほど、そのためか。一瞬、逆ナンかと期待したじゃないか。
強盗が入って来てから事情聴取が終わるまで……大体二時間くらいだろうか。
因みに、警察はお隣のお兄さんが呼んでくれていたそうだ。
そういや、俺は警察に電話してなかったわ。
「スッゲー疲れたわ……」
この後、警察から連絡を受けた姉ちゃんが帰ってきて、色々聞かれるやらなんやらで、強盗が入ってきた以上に疲れる事になった。
その後、一時間目授業中、K君は呟きました。
「あっつ……マジ死にそう」
死亡率上がってんじゃねーかよ
レビューありがとう!




