……なんか……スゲーキャラ出てきたんだけど、扱える気がしねえわ
友人のK君と帰っていた時の事
通りかかった公園で子供がシャボン玉して遊んでいました。
そのシャボン玉が一つ、K君の所に飛んできました。
K君は、シャボン玉が顔に当たる直前で素早いフットワークでそのシャボン玉を避けると、額の汗を脱ぐってこう言いました。
「(シャボン玉)なかなかやるな!」
私は、そっと……彼から距離を置きました。
「本当にすみませんでした」
いや……うん……なにこれどういう状況?
なんで美少女に土下座されてんの俺?
落ち着け、どうしてこうなったのか……少し記憶を辿ってみよう。
あれは風呂から上がり、そろそろキャンプファイアーが始まろうという時だった。
「あの……少し、よろしいだろうか?」
俺は龍之介と一緒に居ると、肩を軽く叩かれ、振り向くと上品そうな何処かのお嬢様っぽい雰囲気の女子が、恐る恐るといった感じに声をかけてくる。
「えっと、俺に用事かな?」
俺の記憶にない顔なので多分クラスが違う子だ。龍之介のクラスでもないと思うが、俺になんの接点も無いような子がなんの用事だろうと思い、そう聞き返す。
「はい……出来れば二人きりになりたいのですが……」
……ここで俺は大体の事情は把握した。
学校のイベント、二人きり……これはもうあれだよ。告白だよ。
いやぁー、やっぱ俺ってモテるなー。
けど、名前も知らない子といきなり付き合うのは流石に難しいわ。
よし、いきなりは流石に難しいから、まずは友達から始めよう。返事はこれで完璧だな。
「わかった、じゃあちょっと人気のないところにでも行こうか」
別に人気のないところだからといって、襲ったりはしないから安心しなさい。
俺は、脳内でシュミレーションしながらそのお嬢様っ子と一緒に、人気のないところへ行く。
「ここなら誰にも見られる心配はないし、聞かれる心配もないよ」
俺は、周りに誰だれも居ないのを確認して、お嬢様っ子にそう言う。
さあ、カモン!
「本当にすみませんでした」
と、綺麗な土下座で俺に謝るお嬢様っ子
…………と、ここで冒頭に戻るわけだが。
ダメだ。記憶を辿ってもさっぱりわからん。
告白されると思っていたら、何故か土下座されているこの状況……。
まったく、わけがわからないよ。
「あの……なんで土下座してるんですか?」
これはもう本人に聞くしかないだろ。
「お風呂で、有利様を大変傷付けてしまったと思い、このように誠心誠意の謝罪をと思いまして」
「風呂場……いや、待て待て、君女の子だよな? そもそも風呂では会わないよね。会ってもまいのに傷つけるってのは……どゆこと?」
ダメだ、聞いてもさっぱりわからん。
これは、俺がバカなのか?
「それは……その、そんなつもりはなかったのですが……の……の……」
「の?」
「の……」
「の?」
「覗いて……しまいまして……男湯を……」
言いたくないのか、かなり言いにくそうなお嬢様っ子。
「あっ! あの時覗いてたの君だったんだね」
その言葉で俺はようやく理解できた。
なるほど、男湯覗いて、それで俺の裸をみて俺がショック受けてるかと思って、それで土下座をね。
なるほどなるほど。
…………
…………
…………ごめんなさい。俺も覗こうとしてました。
「こちらこそすいませんでした」
俺は土下座をして謝る。
「い、いえ、有利様は悪くありません。全ては私の責任です。どうか顔をおあげください」
俺も悪いんだ! 自業自得なんだよ!
「お願いです、顔をあげてください」
「……はい」
俺はおとなしく顔を上げる。
「こちらのほうこそ……それで、有利様恥をかかせてしまいました。お詫びの証にできることならばなんでも……」
「いいよ。そんな、別に俺は裸見られたくらいじゃ何とも思わないから」
それに、俺も覗こうとしてたから……人のこと言えない。
「ですが……私には落ち込んでいるように見えました」
うん、それは裸を見られたからじゃなくて、裸を見れなかったから落ち込んでたんだ。
「別に落ち込んでなんてないから、気のせいじゃないかな」
オッパイが拝めなかったから落ち込んでました……とは言えないのでそう言って誤魔化す。
「それに、わざわざ謝りに来るってことは、わざとじゃ無いんだろ?」
「……穴が空いているのが気になり、なんとなく覗いただけなんです。ですが、ついつい見入ってしまい……」
「うんうん、わかるよその気持ち」
わかるわかる。俺も風呂場のあんなところに穴が空いてたら覗いちゃうから。
そして美人の裸なんて見ようものなら、もう食い入るように見ちゃうから。
「しかし、有利様の裸を見てしまったのは変わりません」
「それはもういいよ。だから気にしないでね」
俺はそう言って立ち上がり、その場を後にする。
「有利様、お待ちを!」
慌てて立ち上がり、俺を引き留めようとするお嬢様っ子だったが、立ち上がる際に足がもつれてしまい、俺の方へと突っ込んでくる。
俺はとっさの事で支えきれず、お嬢様っ子と共に倒れる。
「あいたたた……大丈夫だった?」
まあ、俺がクッションになって怪我はしてないと思うが、念の為に尋ねる。
「……なっ……も、申し訳ございません! 一度ならず二度までも……ましてや押し倒し、服を剥ぐなど」
状況を理解したお嬢様っ子は、赤面すると俺の上から飛び退き、再び土下座をする。
服を剥ぐ?
そう言われ、自分のかっこうを見てみる。
転倒する際服を引っ張ったのか、ファスナーが下まで降りきっていた。
俺は素肌にジャージを直接着るのでファスナーが降りたことでほぼ半裸の状態になっていた。
「いや、気にしなくて良いよ。こんな格好の俺が悪かったんだよ」
まぁ、まさかこうなるとは思わなかったけどな。
しかし、トラブルみたいな転びかただったな。
俺は上体を起こすと、服を着直す。
「いえ、私に責任を取らせてください」
「……責任?」
「私は母より、男子に恥をかかせたら、その責任を一生かけて取れと教えられました」
……厳しそうなお母さんだな。
「ですので、有利様……私に責任を取らせてください」
「いや、大丈夫です」
「有利様……私に責任を取らせてください」
ループしたっ! え? ドラクエ?
え? 選択肢は『YES』の一択ですか?
「……責任というと?」
正直面倒なので、もう適当に済ませてしまおうと思い、そう聞く。
「私と、結婚してください」
……けっこん? けっこー こけっこっこー?
……ん? 結婚!?
「なんで?」
「一生かけて責任を取るには結婚しかないと思いまして」
うん、そうだな。
って、なに納得してんだよ俺!
告白かと思ったら謝罪されて、なんでその後プロポーズされる羽目になってんのさ。
なにこの急展開。
「あのな……まずな、俺ら学生だろ?」
結婚は早いと思うわけよ。俺はな。
「はい、ですので婚約だけで、結婚は卒業してからにしましょう」
うん、言ってる事は正しいけど、根本的な所がおかしいからな?
「まず、なんでいきなり結婚につながるんだ?」
「責任を取るにはこの形しかないと思いまして」
うん、それはさっきも聞いたな。
「責任は別にとらなくてもいいからな。そんな大層なことじゃないし」
「いえ、私自身のケジメとして、責任を取らせてください……それに、有利様の器量の良さに私自身が惚れ込んだというのもあります」
そうか、惚れたのなら仕方ないな。
「あの……俺は、まだ結婚とか婚約とかそういうのに捕らわれずに、もっと自由に学園生活を送りたいと思ってるんだよね。だから、もうこの件は水に流そう?」
だが、結婚はやめてくれ……流石に受け止めきれん。
あと、覗きから結婚って明後日の方向に話が飛びすぎだよ。
「……わかりました、有利様がそう望むのであればそう致します。ですが、私自身、有利様に惚れてしまいました。ですので、いずれ必ずこの西條 麗奈、有利様を迎えに参ります。では、失礼します王子」
そう言って立ち去る西條麗奈。
やべーな。
俺より濃いキャラ出てきちゃたよ……どうしよう。
……ん? 待て最後なにか言ってなかったか?
あのシャボン玉に、どれ程の殺傷能力があったかは知りませんが、いっそそのままシャボン玉に当たって死ねばいいのに……と思ったのは内緒ですよ?
それよりもさ……なんか、書いてるうちにキャラが崩壊したんだけどさ
面白いからこのままでもいいよな。




