フェルナンドからフェルナンドへ
話が終わった後、フェルナンド王子は雷に撃たれたように衝撃を受けていました。
「シスネロス、まさか」
「はい。女王陛下を陥れたのがフェルナンド様と私である事はまごう事なき事実であります。」
フェルナンド王子は祖父とシスネロス枢機卿の仕打ちに腹を立てた刹那、急に冷静になった。
「もう良い。兄上の補佐を頼むぞ。イスパニアは兄上と其方の手にかかっているのだからな」
「勿論。私としては早く俗世を離れて庵に戻りたい所ですが、女王陛下を陥れた贖罪の意味も兼ねてカルロス様を立派な国王にしますよ。」
その後、フェルナンド王子改めフェルディナントは祖父マクシミリアン1世がハンガリー=ボヘミア国王ウラースロー2世との同盟によって成立した縁談に従ってハンガリー=ボヘミア王女アンナを妃に迎えた。
夫婦仲は円満で間に沢山の子どもを儲けた。
一方フェルディナントの妹マリアと妻アンナの弟でハンガリー=ボヘミア王太子ラヨシュ改めハンガリー=ボヘミア国王ラヨシュ2世の結婚では、ラヨシュ2世がオスマン帝国との戦争で戦死し、王妃マリアも懐妊していなかった。
ハプスブルク家は二重結婚によってハンガリー=ボヘミア王国を吸収した。未亡人になったマリアは故国ブルゴーニュに戻り、叔母マルガレーテの後を引き継いでネーデルラント総督マリア・フォン・エスターライヒとなった。フェルディナントはこの妹マリアを通じて兄カール5世と連携し、ハプスブルク家を繁栄に導く事に成功した。
そしてこの神聖ローマ皇帝カール5世こそ、シスネロス枢機卿が手塩にかけて帝王教育(スペイン版)を施したあのスペイン国王カルロス1世であった。
どうも、
ところがどっこい
です。
最終回、どうでしたか?
完結の仕方が甘かったでしょうかね?
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拙い文章にお付き合い戴きありがとうございました。