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フェルナンド〜カトリックの覇王〜  作者: ところがどっこい
8/9

カスティーリャ摂政

Francisco(フランシスコ) Jiménez(ヒメネス) de() Cisneros(シスネロス)

→イスパニアの摂政・枢機卿。今回は語り手で、フェルナンド王子(若かりし頃の神聖ローマ皇帝フェルディナント1世)にイサベル1世の死後に何が起こったのかを教える。元の名はゴンサーロだったが、フランシスコ会に入るのに伴って改名した。ストイックさを買われて、カトリック女王イサベル1世の聴罪司祭を務めた。イサベル1世の死後はカトリック王フェルナンド2世と共にカスティーリャの政治を動かした。フェルナンド2世の死後はスペイン国王カルロス1世の後見役を務め、世俗の世界では最後まで政治に関わり続けた。


Juana(フアナ) la() Loca(ロカ)

→初代スペイン女王フアナ1世。Reyes Católicos (カトリック両王)の第3子次女で、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の子ブルゴーニュ公フィリップの妃。結婚後、夫の女好きと度重なる妊娠が元で精神不安定になる。兄姉が早逝した為、母カスティーリャ女王イサベル1世の死後にレオン=カスティーリャ女王に即位し、父アラゴン国王フェルナンド2世の死後にアラゴン・ナバラ・ナポリ・シチリア・バレンシア・マヨルカ女王に即位した。しかし精神不安定な上に遺伝性と思われる躁鬱状態が加わり、元々政治に対する関心が薄いのも相まって次第に政務を執れなくなった。女王としての威厳・カトリック両王の子である事への誇りと躁鬱状態の間で苦しんでいる。夫とは政治的に対立しているが、深く愛している。


Felipe(フェリペ) el(エル) Hermoso(エルモーソ)

→ブルゴーニュ公フィリップ4世。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世とブルゴーニュ女公マリーの長子。

カトリック両王の次女フアナと結婚し、2男4女の6子を儲ける。妻の母カスティーリャ女王イサベル1世の死で、妻に伴ってカスティーリャへ渡る。美男だが女好きで知らぬ間に真面目な妻を精神不安定に追い込んでしまう。


Fernando(フェルナンド) el(エル) Católico(カトーリコ)

→Reyes Católicos (カトリック両王)の片割れ。今回の主人公。アラゴン・バレンシア・ナバラ・ナポリ・シチリアの国王、バルセロナ伯爵の他様々な称号を有するカトリック界の覇者。

レオン=カスティーリャ女王イサベル1世と結婚した事により両国は2人の子孫による同君連合つまり連合王国イスパニアとなったが、実際にはそれぞれ別の国として機能していた。

レコンキスタ完了の功績を讃えられ、ローマ教皇から妻と共にReyes Católicos (カトリック両王)の尊号を賜った。

妻イサベル1世の死後、一旦はカスティーリャを去ったが再び戻ってきた。


Germana(ヘルマーナ) de() Foix(フォイス)

→フェルナンドの後妻で異母姉ナバラ女王レオノール1世の孫。夫フェルナンドとの間に1子フアン王子を産むが、フアン王子は幼くして亡くなってしまう。


名前だけ登場した人物

Isabel(イサベル) la() Católica(カトーリカ)

→カトリック両王(Reyes Católicos)のもう片割れ。レオン=カスティーリャ女王。アラゴン・シチリア国王フェルナンド2世と結婚した事により両国は外面は連合王国イスパニアとして始動する事に。しかし実際にはそれぞれ別の国として機能している。クリストバル・コロン(コロンブス)へ資金援助した事で知られる。

レコンキスタ完了の功績を讃えられ、ローマ教皇から夫と共にReyes(両王) Católicosカトリックの尊号を賜った。

1504年11月に子宮癌と思しき病で亡くなった。


・Maximiliano(マクシミリアノ) I(1世) del(デル) Sacro(サクロ) Imperio(インペリオ) Romano(ロマノ) Germánico(ゲルマニコ)

→神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世。ドイツ国王。

ブルゴーニュ女公マリーと結婚し、ブルゴーニュを共同で統治していたが、妻の死後フランスやフランス寄りの貴族の所為で娘共々散々な目に遭った。

神聖ローマ皇帝に即位してからはイタリアでの支持を得る為にミラノ公ジャン・ガレアッツォの妹ビアンカ・マーリア・スフォルッツァと再婚して皇后にする。

フランスとは家ぐるみで因縁の対決を繰り広げている為に、カトリック両王と同盟を結んだ。息子のブルゴーニュ公フィリップと両王の娘フアナが結婚。更に娘マルガレーテと両王の息子フアンが結婚。前者の婚姻が功を奏して、イスパニアを支配下に置く事になる。

これを受けて名言「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」を残す。


Margarita(マルガリータ) de() Austria(アウストリア)

→ネーデルラント総督マルガレーテ・フォン・エスターライヒ。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世とブルゴーニュ女公マリーの第3子長女。

母女公の死後、半ば拉致される様な形でフランス国王シャルル8世と結婚して名目上のフランス王妃マルグリット・ドートリッシュとなるが、フランス側の政治的な動きによって婚姻を無効にされる。

続いてイスパニアのアストゥリアス公フアンと結婚した。夫婦仲は円満で懐妊もしたが、フアンはサラマンカで急死し、更に男児を死産する。

イスパニアで磨いた政治手腕は再嫁先のサヴォイア公国を窮地から救った。しかしまた未亡人になり、故国ブルゴーニュに戻って兄の代わりに治めている。更にカスティーリャへ向かった兄夫婦に代わって兄の子ども4人の養育もしている。

ある秋の夕方、フェリペ様が熱に浮かされてお倒れになりました。

昼間、Juego(フエゴ) de() palma(パルマ)という世間ではポームという名で親しまれているスポーツを楽しまれたフェリペ様は、休憩中に飲んだ水にあたって激しい腹痛に襲われたそう。


下痢が止まらず、治療やフアナ様の介護の甲斐もなくただただ衰弱していくフェリペ様。

秋とは言っても夏の暑さが残っており其処らじゅうにハエがたかっていました。立派な体躯のフェリペ様は体ぢゅうから膿が出ていました。

急速に痩せ衰え、美男と称された顔も見る影なく痩せこけていました。


そして体調が回復する事なく1506年9月25日、フェリペ様はご自身の国から遠く離れたBurgos(ブルゴス)で28歳の若さで亡くなられました。

フアナ1世即位から2年しか経っていませんでした。


フェリペ様の急な体調不良からの死も周囲の者たちを驚かせましたが、当時最も我々を驚かせたのはフアナ様の異常なまでの献身ぶりでした。

執務の合間を縫うどころか、執務自体を投げ出し、公務をドタキャンしてフェリペ様の元を訪れて看病されておられました。

それだけではありません。フェリペ様のお身体から出てくる膿を吸い取っては吐き、拭いておられるフアナ様の御様子は異様でありました。


そして葬儀に際してフェリペ様の父君で神聖ローマ皇帝マクシミリアノ様の使節とアストゥリアス公フアン様の未亡人で今はネーデルラント総督になっておられるマルガリータ・デ・アウストリア様の使節が来られているのも憚らず、棺の中のフェリペ様の御遺体に接吻を繰り返し、その異常なまでの執着心に私を含めて周囲は驚きの連続でした。

我らの女王陛下は完全に狂ってしまわれたのです。

最早、安定した統治を展開できるのはフェルナンド様お1人しか居られませんでした。


この瞬間、我々カスティーリャ人とフェルナンド様の利害は完全に一致しました。

葬儀が終わってグラナダに埋葬し終わると、フェルナンド様は私のツテを使ってフアナ様を無理矢理Tordesillas(トルデシリャス)のサンタ・クララ修道院に幽閉されました。私は枢機卿の地位を斡旋して戴き、フェルナンド様と共に摂政としてカスティーリャを治めました。


そうです。私は女王陛下を陥れた共犯者です。

しかしそうするしか無かったのです。


そして政変から10年余、


1516年6月23日

フェルナンド様は後継者にカルロス様を指名し、カルロス様の後見と未亡人になるヘルマーナ様の身辺の世話を私に託し、最後は先妻イサベル様の名前を呟いて崩御されました。




53歳で亡くなったイサベル様を見送って11年、イサベル様より10年長生きし、63歳で亡くなったフェルナンド様はその分多く苦労されました。

フェルナンド様ほど野心深く猛々しくしぶとく賢い国王は後にも先にも居られないでしょう。

どうも、


ところがどっこい


です。


フェルナンド王のその後、どうだったでしょうか。


丁寧な描写を求めるユニーク読者の方々も居られたかとは思いますが、如何せん元ネタが短編映画だったのでかなり早足で進んでしまいました。


次回、最終回になります。


此処まで読み進めて下さったユニーク読者の皆様、是非とも最後までお付き合い下さいますよう、お願い致します。

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