閑話休題1
フェルナンド王子は、物心つく前に亡くなった実の父フェリペと育ての父になった祖父フェルナンドが犬猿の仲だったという事を知った。
しかしまだ生きているはずの母の事が気になった。
「シスネロス、私の母上はどうしてるんだ?」
「少なくとも此処Alcalá(アルカラ) de Henaresにいらっしゃらない事は確かです。王子の母君であらせられる女王陛下はバリャドリッドのTordesillasに居られます。」
「私にはボルゴーニャにいる兄上以外に何人兄弟がいるんだ?」
「ボルゴーニャには王子の兄君が1人と姉君が2人とそれから妹君が1人居られると聞いています。あと、トルデシリャスに妹君が1人居られます。」
「妹?」
「王子の母君は王子をお産みになってから一度ボルゴーニャへ帰国され、そこでマリアという王女をお産みになりました。それからカスティーリャに戻られてからカタリナ様をお産みになりました。」
「ああ、そう言えば。マリアは知っている。私の婚約者の弟と婚約した方の妹の事だろう。カタリナの事は名前だけしか聞いていないな。」
「で、なんで私は母上ではなくおじい様の元で養育されたんだ?なんでカスティーリャを出られた筈のおじい様また戻って来られたのだ?」
「まあ、そう慌てられますな王子。順序立てて説明しますからな。」