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ワンダーボックス   作者: 良七
7/10

中身は快進撃だった。


「はぁ……んぁ……待って、もう駄目……」

「はぁ……私も……はぁ……限界……」


十分以上、全力で逃げ回っていたレヴィ、それを追いかけていた真もすでによろよろになって、今にも倒れそう。

それを見ていたサタン達、マモンは録音機をオフにしてサタンの方を向く。

「定番ですねサタンさん!」

その録音機をどうするのか、ポケットにしまう

マモン。

「……え? あ、あぁ、そ、そうだな!」

「サタンさん、顔赤いですよ? 何、興奮してるんですか?」

「はぁ!? 誰が興奮なんかするか!!」

指摘されてさらに赤くなり激昂するサタン。

マモンは、ププ、と笑いながら続けてからかう。

「またまた、やっぱり、レヴィさんですか?」

「殺すぞ!!」

叫び、水平にチョップを繰り出すサタン。

すれすれにしゃがんで避けたマモン髪が少し切れた。

「あぶなっ!? ほ、本気で怒んないでくださいよー!?」

そう言って距離を取り、逃げ出したマモンをサタンが追いかける。

「待でやぁ、ゴラァ!!」


「あっちでも追いかけっこ始まった」

「……馬鹿どもが」

真とレヴィは互いに疲れはて、仰向けで倒れて休んでいた。

「ねぇ、そう言えばレヴィちゃんって本名?」

と真が不意に質問する。

「レヴィちゃんって言うな、馴れ馴れしい」

そう突き放す様に言うレヴィ。

真は手を顎にもって来て、ふーむと唸ると

「レヴィ……ぽっ」

熱っぽくレヴィの名前を呟き手を頬にあてる真。

「レヴィちゃんで良いです……」


その後特に真から話しかけて来ないので、レヴィもなんだか気まずくなり、何か話さないと駄目かな? と話題を考える

「……本名じゃないよ」

「おしえ」

「駄目」

早速がっついて来た真に、言うんじゃなかったと後悔するレヴィ

「何でよー教えてよー」

しつこくお願いして来る真に、レヴィが、わかったわかった、と折れる。

レヴィが地面から起きて真に向き直ると、真の方も同じようにする。

「……絶対、馬鹿にするでしょ」

「否定しない」

真顔で宣言する。

「……分かって聞いてない? 」


顔を赤く、もじもじして、恥ずかしりながら、自分の名前を言う。

「……れ、レヴィアタン」


「も、もう一回!」

「嫌だよ、馬鹿!!」

両手を合わせて懇願する真だが、顔を赤くして拒否するレヴィ、その仕草でお腹一杯になる真だった。

「教えてくれありがと、レヴィたん」

「あ、が抜けてる!!」


後二十分なのん、とアナウンスが響く



「後二十分だってよ、そんなにのんびりしてて良いの?」

先程からおそっ……タッチして来る様子がない真、後十分でルシュファーの魔力を十分に供給した赤い箱が爆発してしまう。

「まぁ、全員捕まえなくても良いんだし、あいつがあっちで頑張ってるでしょ」

と真が、界の方を指差すと、

息も途切れ途切れに界達の声が聞こえて来た。


「お、おい、少しは手加減しろよ、もろに、入った」

「貴様、この程度で音をあげるとは、まだまだだな」

「そっちこそ息上がってるぞ」


いや、普通にお突きあい……もとい、どつきあいをしているだけだったが。

すると、レヴィの顔が真っ青になって行く。

「……ルシュファー様……そんな」

おそらく、勘違いをしているレヴィ、直接見ているのに、何故? と思うが、仕方ない、絵が無いのだから……

(これは、不味い、千夜が暴走する時と同じオーラを出している!)

「よし、よく見ようね? パンチが入っただけだよ?」

危険な女性になれている真は、なだめようと声をかけて見るが。


「……宝松 界、よくも、よくも……!!」


「駄目だ、聞いちゃいねー」


しかし、千夜を一度としてなだめることができなかった真は、今回も駄目だった。


「ルシュファー様の童貞は私の物だったのに!!」


叫び手を空に振りかざすレヴィ、手のひらの上に淡く黒い光りがまわりから集まっていく。

光りは拳ぶんぐらいの大きさになって、どんどんとどす黒く染まっていく。

「レヴィちゃん!? 魔法は駄目だって!?」

そう訴える真だったが、レヴィはふっと鼻で笑って見せる。

「大丈夫、大丈夫、これ魔法って言うより特技だから」

「嘘つけ!?」

真のツッコミもむなしく、どんどんとテンションが上がって行くレヴィ、瞳からは光は無くなっていき、うふふと、笑い始める。

もう恐い。

そして、ついに投げる構えを取り始めた。

「さぁ、バラバラにしてあげるよ!!」

黒い光りはすでに黒い球体にしか見えなくなっていて、黒い電気がビリビリと取り巻いている。

(これ、当たるとバラバラになるんだ……)

これほど騒いでいるのに、界とルシュファーは気づく気配はなく激しい攻防が続いている。

「あぁ、もう、聞きやしない……仕方ないな」

そう呟いて、レヴィの肩をぽんっと叩く真

「はい、タッチ、またねレヴィちゃん」

「あ!! ちょっと!?」

そして黒い箱が開くとレヴィは黒い球体をもったまま吸い込まれて行った。



「ん? あっちでなんかあったか?」

「さぁ? あ!? レヴィ、捕まってる!?」

今頃気づく界達でだった。




「さてと、そろそろ、あっちの援護に行こうかな」

さすがに界ばかりに働かせて、遊んでいるのもそろそろ悪い気がして、手伝いに行こうと考え準備運動する真、

「そうはさせません! 次は僕が相手です」

しかし、そこに無謀にも立ちはだかったのはマモンだった。

勇敢と無謀は違うのです。

「やっほー、マー君」

マー君と呼ばれることに敏感になっていたことを思い出し、試しに呼んで見る真、駄目と言われるとやって見たくなるのが真。

「だ、誰が野球選手ですか!!」

「いや、そうは言ってないよ……」

怒り、地団駄を踏んでいるマモン。

仕草が可愛く、いじりたい衝動にかられる。


「……嘘? そんなはずは」


突然と何か、信じられないことが起こったかの様な反応をして、マモンをジーと見つめ始めた。

「……マー君に聞きたいことがあるんだけど」

と、唐突にそう言う真。

その顔は真剣そのものだった。

「……なんです?」

先程までと様子が違う真に、何か嫌な予感がしてならないマモンは、一歩下がる。


「もしかして、女の子?」


その質問にマモンはビクッと肩を揺らす。

一見、ボーイッシュな服装で、一人称が僕なマモン、なので男の子だとばかり思っていた真だった。

「……な、なんの根拠があって」

真はふっと笑い自分のひらめきにさすが私だ、と言う様な表情をとる


「私が、男性をいじりたいなんて思うはずが無いじゃない!!」


「根拠が曖昧過ぎる!?」


今まで真はマモンが男の子だと認識していたため、特に襲いかかることはなかった。

しかし、マモンが女の子だとしたら、今までのアデ、レヴィの様な末路が待っているにちがいない。

「……さて、どうなの?」

その真の目は冗談は効かなそうである。

迂闊な発言は即、命取りな状況下にあるマモン、息を飲み込み口を開く。



「……ちぎゃいます」

噛んだ。


真は確信したかの様にフフフと笑い、ゆっくりとマモンに近づき始める。

「またまた、焦ってないですか? あ、もしかしてマー君って呼ばれるの、男の子っぽいあだ名だから嫌だとか?」

目をギラギラして、腕を前に出して指先をうねうねと動かしながらマモンに迫る真、まるでどちらが悪魔なのか分からない。正体はヒロイン

マモンは真の目が放せず、真が一歩進むと共に一歩下がるを繰り返す。

「こ、来ないでください!! お金取りますよ!?」

涙目になりながら叫ぶが、真の歩みは止まら無い。

犯罪の臭いしかしないが、真は女性なのでたぶん大丈夫、おそらく大丈夫、メイビー……

すると真はゆっくりと手をポケットに入れる。


「おっと、こんな所にユキチさんが……」

「わーい、ユキチさんだー」

「ほい、捕まえた」


自分から飛び込んだマモンは真の腕の中に収まった。

真はマモンに手のひらが当たらない様に抱きしめている。

マモンは、両手にユキチさんをもって、ユキチさん、ユキチさんとニコニコしていたが、すぐに元に戻った。

「はっ!! こ、これは犯罪ですよ!! 離してください!! 損害賠償を要求します!!」

しかし真は軽くスルーする。やっぱり犯罪なんですかね?

「むふふ、可愛い可愛い……」

マモンの行く末はアデ達と同じだった、これは決定時効だった……

「ぎゃー! キャー!!」

「あっ、そんな暴れたら……」

マモンが腕の中で、ちまちまともがいていると真の手のひらにマモンの腕が当たった。

そして黒い箱が開くとマモンは吸い込まれて行った。

「た、助かった……」

心の底からそう感じたマモンだった。


後十分、犯人は貴方ですね、とアナウンスが響く


「そろそろ大詰めって感じ……」

アナウンスを聞き真はそう呟くと界達の方を見る。

界達は、目で追えないぐらいの攻防を続けている、界の手のひらを少しでも当てれば終わりなのだが、ルシュファーは掠りもしない、界は魔法を使い自身を強化しているのだろうが、それでも追い付けない様だった。

(……どうやって箱に入れたんだろう?)

しかし、ルシュファーにも余裕がある様には見えず、ギリギリで避けている所もある。

「まだ掴まんないのー?」

適当に聞いて見る真だったが、界はそれどころではなく、まれに来る蹴りや拳を避けるのに必死の様で返事はなかった。

「人の心配してる場合じゃないだろ?」

すると真は後ろから声をかけられる。

振り向かずとも誰だか分かる真はそのまま返事をする。


「……ナンパ? 困ります」


「違うわ!!」


改めて真が振り向くとそこにはサタンが立っていた。

「最後は俺だ、五人とも捕まったが、俺は今までの……」

「まぁ、構ってる暇無いんで、じゃ」

「……え?」

そう言い残してすたすたと界達の方に向かって歩き出した。

「待でぇい!!」

「もー、なに?」

かなりめんどくさそうな雰囲気をバリバリにはっしながら振り向く真。

そこまで邪険にしなくてもいいんじゃない? と言ってくれる人はもういないので、言って置く。

「なに? じゃねー!! お前、ここまで来たら全員捕まえよう、とか思わんのか!!」

大声でそう怒鳴るサタンに耳を抑える真

「あぁ、怒んないでよ、そんなピリピリしてるとレヴィちゃんに嫌われるよ?」

「な!? 何でそこでレヴィが出てくんだ!!」


「え? だって君、レヴィちゃんのことす……」

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


容赦無く相手の痛い所を攻撃する真、キョトンと首をかしげているが、勿論分かってやっている。

どっちが悪魔か分からない。

叫びながらサタンががむしゃらに手刀をくり出すが真は難なくよけて距離を取った。


(なんなんだこいつは、あってからまだ数十分しかたって無いのに、まさか、相手の思考でも読めるのか!?)

違います。


(いや、そうに違い無い、じゃなきゃ俺があいつを……じゃあかあしいわ!! 分かる分けがない)

違います。


しかし単細胞のサタンが分かる分けが無く、じゃ今考えていることがばれているんじゃね? とか考えてフリーズして動かなくなった。

「……いや、べつに思考が読める分けじゃないよ?」

いつまでも、動こうとしないサタンに声をかけて見る真

「はぁ!? じゃ何で俺があいつを……って、

ああああぁ違うっつの!!」

そして難なく自爆するサタン。

「まぁまぁ、わかってる、わかってる」

「何がだ! 肩を叩くな!!」

言ってサタンが真の手を振り払う。

「……ん?」

「じゃ、バイバイ」


「のぁあああああ!!」

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