中身は天才だった。
「それにしても、なんで体育館倉庫に逃げ込んだのに何も起きてない?」
「「……は?」」
突然そんなことを言われるとびっくりする。
二人とも茫然とするがルシュファーはかまわず続ける。
「いやいや、男女が体育館倉庫にいるってなったら
普通な? 色々あるだろう?」
「無いわ! エロ天使が!!」
少し赤くなりながらルシュファーを非難する界
「まぁまぁ、エロゲーなら二人になった瞬間にはもうそう言うことになるんだからさ、もしかして
俺、邪魔だった?」
ニタニタしながらそんなことを言い界の肩を叩く。
「……最低だな、この堕天使」
「さて、鬼ごっこのルールはそれだけで良いのか? 我は寛大だからなどんなルールでも受けて立つ」
この自身はどこから来るのか、それじゃあ遠慮
なく、と真がルールを追加する。
「相手を魔法で攻撃とかは無し、そうだな、飛ぶのとか瞬間移動とかも駄目、私は普通の一般人だから」
「以上か?」
そこでフッと真の表情が暗くなり、言いづらそうに顔を背ける。
「後、あなたに友達が居るのかが心配で……」
「居るよ?」
「ちなみに部下は友達に入れないでね」
「……い、いるもん」
初登場から凄い勢いで威厳とか風格が失われて行き弄られキャラが目立って来た。
何かを数え始めるルシュファーに気づかれ無い様に界が真に耳打ちする。
「なぁ、そのルールだと僕まで魔法使えなくなる
ぞ? 良いのか」
「バレないように自分でも強化しとけ」
と、なんともない様に言う
「その手があったか!」
「……」
「よし、じゃあ僕たちが勝ったら大人しく箱に入ってもらうからなルシュ」
自信満々でルシュファーに向かって言うと、ルシュファーは、数えるのを止めてこちらを見る。
「では、貴様らが負ければ当然、死んでもらう、開始は四時に公園現地集合、最終確認するので十分前には集合するように、来なかったら泣く」
「……え、何て?」
しかし当然のごとく聞く耳持たないルシュファー。
「残された余生をせいぜい楽しむが良い、
ふははははっ!!、あ、準備あるから、じゃ」
言うだけ言って片手を上げたと思った瞬間にはもう
ルシュファーの姿はなかった。
「……嵐のような奴だな」
「それは同感、そういえば、学校はどうするの? このまま作戦会議でもいいけど?」
そこで真がハッとなる
「うわっ、昼休み終わる!」
「よし、セーフ」
教室の扉を開けて掛けてある時計を確認するとまだ十分ぐらい余裕があった。
時間にして、約三十分くらいの出来事だったのだ
が、そんな短時間で自分の人生が危なくなってしまったのかと思うと、どっと疲れてしまう真、一番後ろの自分の席に戻るや否や机に突っ伏す
「真さん、どこ行ってたんですか?」
すると、前方から女性が話しかけて来た。
「あぁ、千夜」
前の席に座りこちらに体を向けて話しかけて来た女性、長い髪を一つに編み込んでいて、眼鏡越しに見えるその瞳はやさしげに垂れて居る。
なるべくこの子、千夜には嘘をつきたくない真はどうしたものか、と考えて
「ちょっと変な男に絡まれててさ」
……まぁ大体あっているが
「……え!? だ、大丈夫だったんですか?」
勿論、そう言う反応になる。
大丈夫か大丈夫で無いかと聞かれれば大丈夫で無いのだ
が、どうぼやかすかと考えて
「まぁ、体育館倉庫に拉致られたぐらい?」
「体育館倉庫!? 拉致!? 」
ズガーンと効果音が出そうなくらい顔を赤くして
ショックを受けてしまった千夜
「うーん、これじゃ駄目かな?
はは、冗談だって半分……って、千夜?」
「たい……、らち……」
真の声は届いていないらしくうつむいてぶつぶつと何か言っている。
「千夜ちゃーん、おーい、千夜さーん?」
真が千夜の顔の前で手を振るが反応がない。
すると、うつむいたままちょっと低い声で
「……その男子の特徴を教えてください、生徒会長の権限を使い、この聖十海 千夜、必ずや探し出して、制裁を」
職権乱用である。
「待った! 千夜! 待った!! ジョーク、イッツジョーク!!」
ちょこっとヤンデレ風味で、これ以上は危険だと判断してストップをかける真
「……じょーく? ……あぁ、なんだ、ジョークですか」
一瞬きょとんとした千夜だったが、すぐに冗談だと理解してほっと溜め池をつく。
半分だけ、だけど。
すかさず場を和ませようとする真。
「そうそう、サメサメって、それはジョーズだ
……っがは!!」
ツッコミが飛んで来た、頬にビンタが
「い、言って良い事と悪い事があります!! ま、真さんの馬鹿ぁ!!」
千夜は泣きそうな顔をして、教室から飛び出した。
「あっ、千夜! 授業始まるって! ……あぁ、行っちゃた」
教室の扉から廊下を見るが千夜は凄い速さで走って行ってしまった。
生徒会長が廊下走って良いのか?
「ふぅ」
素直に諦めて自分の席に座るが、教室のみんなの視線が冷たい。
「何やってんだよ」
するとどこからともなく界の声が聞こえて、びっくりして席から立ち上がる。
「え!? 魔法使い!? どこ!?」
キョロキョロと見回すが、界の姿は見当たらず、自分をあたかもUMAでも見るかの様なみんなの視線だけがあった。
ぎこちない笑みを浮かべて席に座り直すとまたしても声が聞こえる。
「隣、透明になってるんだよ、後声出さなくても良いよ」
今更だけど、何て非常識なんだろうと思う真
テレパシーまでできるらしい
「はぁ、何やってるの?」
半信半疑でそう頭の中で問いかけて見ると
「まぁ、念のための護衛?」
すると本当に界の声が答える、しかし回りには界の声が聞こえて無い様だった。
「それで、本音は?」
「暇」
「あっそ」
「ところで、さっきの子、追わなくて良いの?」
始業のチャイムが鳴ったが帰って来ない千夜に界が心配になり真に聞いて見ると。
「大丈夫、すぐ戻って来るよ」
と、答える真に、千夜との結構な信頼関係をうかがわさせる。
「ふーん、あんた、友達居たんだ、ぼっちだと思ってたんだけど」
かなり失礼なことを言っている界だが、それに対し真はとくに気にする様子はなかった。
「ん? あの子だけだよ、私にかまってくれるのは」
そう答える真に引っ掛かるものがない分けではないが、界は何も言えなかった。
知り合ってまだ一時間ぐらいしかたっていないただの魔法使いが、気軽に聞けることでもない。
「まぁ、戻って来るといつも元どうりになってる
し、可愛いでしょ?」
真もそれ以上は話す気はないらしい
「……百合なの?」
「まったく、本当に可愛いな」
……否定はしなかった。
「三帝、三帝 真! 聞いているのか!?」
授業が始まってまもなく、携帯をいじり始めた真
に、数学の筋肉質な先生が、我慢の限界言わんばかりに声を荒げる
「おい、先生が呼んでるっての」
しかし当の本人はまったく気づく様子が無く、界が呼び掛けて見ると、ようやく顔を上げて先生を見
る。
「ん? あぁ、はいはい? 聞いてます聞いてますよ」
「テンプレだな」
その真の反応に先生の怒りが限界に達してしまった様で、額に血管が浮き上がる。
並みの迫力じゃない。
「おぉ? 言ったな貴様ぁ!! じゃあこの貴様のために用意した京大の過去問、解いて見せろや、あぁん!!」
と言って、何やら難しそうな問題を黒板に書き込み始めた。
「どんなテンプレ教師だよ? ってかわざわざ用意したんだ……」
まだ書いている途中だが真は席を立ちすたすたと前に出て黒板にチョークで軽快な音を立てる
「ほい」
「ほいで解くなぁ!! 頭良ければ携帯いじって良いなんてのは、アニメと小説だけだ!!」
「じゃあ、OKですね」
メタ発言やめい
席に戻るとまた携帯をいじり始める真
「のぁあああ!!」
しかして、教室には教師の絶叫が響き渡ったのだった。
……哀れ、教師
「真さん、携帯は駄目だよ」
「はーい」
そうして真は千夜にたしなめられ携帯をしまうのであった。
「……え? このくだり必要?」




