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ワンダーボックス   作者: 良七
10/10

中身は再会だった。


「……ふぁ、寝てた?」

真が目を覚ますとケータイで時間を確認する、眠っていたのは数分だけだったが、外はすっかり薄暗くなっている。


「帰るか」

そろそろ帰ろうと立ち上がり、かばんを掴む。

そう言えば何で本部で寝ていたのかを思い出そうとするが、もやがかかった様に思い出せない真。

しかしそれほど気にすること無く、本部を出ようとして、足元に違和感を感じた。


「……この靴は?」

すると自分が外靴を履いている事に気がつく。

近くには自分の中靴が置いてあった。

今は誰の物だったのか、思い出す事が出来ない靴。

確か貰い物、誰から貰った靴だったかも思い出せない。


「何か、おかしいな?」

思い出せない一日、誰から貰った靴。

真は帰るのを中断して椅子に座り直した。

まず、真は何処からの記憶が曖昧かと、思い出す。

「先週の朝ごはんはご飯に味噌汁、目玉焼きで、昼は……」

呟きながら先週からの朝昼晩の食事をいい並べる。

朝は米派だった。

「今日の昼は、千夜に朝貰ったお弁当……あ、返して無い」

ちなみに先週からずっと昼は千夜の弁当、餌付けされていた。

すらすらと言い終わり、今日までの記憶ははっきりしている、そして記憶が途切れて始めた場所は。

「学校の屋上か……」

しかし、今からそこに行くのもきが引け、明日行って見ることにした。

そして次の疑問、誰かから貰った靴、自分の物かと思い出して見るが記憶に無い。

自分にピッタリなため、足のサイズはしっている人。

「千夜?」

……まぁ、知っているだろうけども。

「でも、千夜から貰ったなら忘れる分けないし」

またしても、根拠の無い自信。

となると、怪しいのは今日、屋上に行った後の記憶。

屋上で、誰かと出会った。

「……何処のシンデレラ?」

そう、いくら考えた所で、魔法でも使わなければ説明がつかない疑問が多い。

靴の出所、記憶の消失、

その屋上で会った誰かが魔法使い、だと仮定した方が、まだつじつまが合う。

「……魔法使いか」

何故かいいなれた様なその言葉に不思議と納得してしまう真。

「よし、帰ろ」

これ以上考えても分からなそうだった、明日屋上に行こうと考えて、真は今度こそ本部を出て行った。



翌日、真の記憶に変化は無く、昨日の昼からの記憶は無かった。

いつもより速く学校に登校して、真っ先に屋上に向かう。


そこに行けば何かある気がして。


学校の屋上、背が高いフェンスが張っているだけのひどく殺風景なその場所は、校則では立ち入り禁止になっている。

理由は危ないから、実に単純。

しかし、立ち入り禁止されているならば、逆に行って見たくなり、その好奇心溢れた先人によって、屋上への扉にかかっている鍵、南京錠はすでにハリボテへと変わって居る。

階段の下から見ても南京錠が壊れているのは一目瞭然、それとも立ち入り禁止と言う校則がすでにハリボテへと変わって居るのだろうか。


そしてそこに、またしても訪問者が現れる。

ひどく殺風景ななにも無い現実を目にするために。


「何にも無い、か……」

扉を開き、全体を見渡すが言葉どうり、何も無かった、数歩前へ進んで見るが、何も落ちていない。

何か思い出すかとも思ったが、そんなことも無い。

やはりただの記憶喪失で、何か病にでもかかったのかと考え直しす。

(病院にでも行った方が良いかな)

そして、真は教室に戻ろうと扉に向き直りドアノブを回す。


そのまま扉は開き真は屋上を後にした。


教室に着くがまだ誰もいなかった、HLまで自分の席で寝に入る真。

少しすると何人かクラスメイトが登校して来て、千夜も登校して来る。

千夜と挨拶を交わして、千夜を怒らせて朝のHLが始まる。


いつもと変わらない日常がただ過ぎていく。


(病院いつ行こうかな)

いつの間にかHLは始まっていたが、真は心ここにあらずと言った所で、まったく聞いていなかった

(何か騒がしいな、保険証どこやったっけ?)

「おい、小娘」

と、声が聞こえるが、真に声をかけて来る人物は千夜しか心当たりが無く、しかも男性の声だった。

小娘と言うが、学校なのだから小娘は沢山いる、他の小娘の事だろう。

(それに小娘って、中二病全開だなw)


「おい、貴様だ、三帝 真」

しかし、中二は、真の名前を口にする。

それに、反応してしまい顔を上げて中二を見る。

「……誰? 外人さん?」

そこに居たのは学校の制服こそ着ているが、黄金色の髪に整った顔立ちで、その瞳は碧色、どう見ても日本人では無い。

どうやら、この人物は真の事を知っている様だったが、真の方は記憶に無かった。

たが、真の身体は訴えていた。


こいつには関わるなと!


真は聞いていなかったが、今、HLで転校生の紹介をしていた。その途中に行きなり転校生が真の前までスタスタと歩いて行き声をかける。

そんな奇怪な出来事にクラスメイト、担任は絶句するしか無かった。


「まてまて、俺、俺!!」

まさか忘れられたとは思っていなかった中二外人は、あわてて俺、俺と連呼する。

「……詐欺の方ですか?」

そう思われても仕方ない挙動です。

「っち、記憶の封印か? 奴めこざかしい、嫌がらせか?」

舌打ちをしてぶつぶつ言うと中二外人詐欺野郎は、真に手をかざす。

「……何? 手から何かで、るの?」


そして、なんと不恰好ながらも、真は昨日の出来事を全て思い出した。

勿論、目の前の人物の事も。


「あ、変態堕天使」

「違う!! ルシュファーだ!!」


確かにあった。

あの屋上に落ちていた、不思議な箱、それを開けて始まった、不思議な出来事。


「何で、あんた、封印されて」

「貴様、我がそんな簡単に捕まると思ったのか?」

「うん」

「うんって!!」


何も無かった事は無い。

たった、数時間だけだったが、退屈の無い、充実した時間


「ああああああ貴方!! 真さんとどう言う関係ですか!!」

「千夜!?」

「どうもこうもこやつが我のナニを見たからな消さねば気がすまん!」

「な、な、な、な、ハレンチです!! 最低です!! 浮気です!! 真さんの馬鹿ぁ!!」

「ちょっ!! この変態、千夜になんてことを!!」


騒がしいだけだったかも知れない。


「ルシュ!! ここか!!」

「もう、界!! 何とかして!!」


そんな時間がまだ少し続きそうだ。



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