すずめ戦争
小学生の頃、冬休みの自由研究で「すずめの研究」をやった。
ホームセンターから鳥小屋を買ってきて組み立て、家の桜の木の枝に設置した。鳥の餌も買ってきて、鳥小屋の中に毎日、撒いておいた。
すずめたちはすぐに興味を示した。始めの数日間は離れたところから様子を伺っている風だったが、すぐ鳥小屋にも慣れ、我が家にはすずめがわんさか寄ってくるようになった。その様子を写真に撮ってアルバムにし、すずめの生態なんかを調べて写真の横に書き込んだ。人の気配がするとあっという間に逃げてしまうすずめたちだったが、なんだかペットのように愛着も沸き、小さくて可愛いすずめが大好きになった。
それから2、3年後だろうか。鳥小屋はすでに撤去され、すずめに餌をやることもなくなっていたある日、我が家に「グミの木」が植えられた。当時お菓子のグミしか知らなかった私は興味津々、初めて見た赤いグミの実は綺麗で甘酸っぱくて、翌年は大量に収穫できることを夢見ていた。
ところが、である。
春になって息吹いたグミの若芽は、すずめの大好物だった。かつての鳥小屋よりもすずめたちを寄せ付け、若芽はあっという間に食い尽くされてしまった。
その日から、私はすずめが憎らしくて仕方なくなった。もともとむきになると引っ込みがつかなくなる性格である。すずめを撃退することで日夜、頭がいっぱいになった。
100円均一で買った大きな鈴を木にぶら下げたり、いらなくなったCDをぶら下げたり、木をビニールで覆ったりと様々な作戦を考えたが効果は発揮されず。2階の窓から水鉄砲ですずめを狙い撃つという最終手段も成功することなく、そのうち季節は移り変わり、私はついに戦いを諦めてしまった。
それでもグミの木は、毎年何個かは実をつけていた。年も重ね、グミにもすずめにもそれほど執着しなくなっていたある日、ふと気付くと、すずめを見かけることがなくなっていた。世の中からすずめが消えかけているなんていうニュースが流れたりもしたが、真相はよくわからない。
あれから10年以上たった今では、木陰にすずめが何羽もかたまって隠れているのを、微笑ましく見ることが出来る。……とは言え、消えかけた(という噂の)すずめが元気そうにしていてよかったと思う反面、グミの木に飛びついているのを見ると、反射的に追い払いたくなってしまうのであった。