思い出話
最期のほうに
軽くですが死ネタあります
お気お付け下さい
ん?ああ?
おいおい、お前かよ
久しぶりじゃねーか!
生きてたのか?
だったらなんで今まで会いにこねーんだよ
てっきりおっちんじまったと...
チッ体が思うように動いてたらテメーを殴れたのに...
運がよかったな!それとも俺がこの状態だから来たのか?
相変わらずいけすかねーヤツ!
...まあ、いいさ、こうやって今会いに来たんだからな
其処に座れや
ガキの頃みたいに一緒に酒でも飲むか
さっき俺の娘が置いてきた家のワインだ
今回はあいつが一人で作ったんだぜ?スッゲーだろ
あ~やっぱうめ~!
おら、お前も飲め!
病人だから飲んじゃ駄目?
...キニスンナ!
ン?嗚呼、そうさ、お前と取り合ったヤツとの間の子さ!
お前に最後にあったときはまだガキだったからな~
これが年々母親に似て綺麗になっていくからおりゃー気が気じゃねえよ
写真見るか?其処の写真立てに移ってんのが俺の娘だ
あ?俺に似なくてよかったって?
ハハハ!言われなくても俺も常々そう思ってる!
娘は父親に似るって言うがありゃ嘘だな!
あ?性格?
俺の親父に似てマイペースに育っちまったよ
あれだな、あいつが小さかったときに側にいなかったのが駄目だったかもな
ッたく、一番大事な時期に海外への運搬を任せやがって...
報酬がよくなかったらマジあの会社辞めてた
分かるか?久しぶりに娘に会ったときに「おじさんだあれ?」って言われるあの切なさが!!
ってお前もそうだったっけ同じ船だったしな
俺が船長でお前が副船長
...懐かしいな確かあの後二人で社長室に乗り込んだっけ
で一ヶ月の休暇をもぎ取ったんだよな~
その後二人で日本に仕事で行った時最新式のカメラとビデオを買ったよな
それで子供達の成長を妻達に記録させるために送ったんだよな~
...あれ?俺らってもしかして親バカか?
今頃気づいたのかって...お前自覚あったのかよ!!
あ?息子に「キモイ」って言われたときに自覚した?
は?さすがに交友関係に口出しするべきじゃ無かったって...
オマッそこまでやってたのかよ?!
お、おおおお俺は其処まで口は出してねねねねーぞ?
こっそり探偵雇って周りの奴等調べただけだからな!
本人にばれるようなへまはしてねー
...かみさんにはムチャクチャ怒られたが...
まさか上段蹴りを食らうとは思わなかった
ああ、実家にいるとき空手を習っていたらしい
そう、あの体系でだ
ちいせえのに何処からあのパワーが出て来るんだか...
根性はあるよな
何せ遠い異国に単身で来たんだから
しかもまだ外国人が受け入れられない時代に、だ
「あなたの母国で家族になりたいです」って力強く言ったあいつの顔は綺麗だったな~
惚気るな?ハン!いいだろ~
俺の嫁は世界一!!
因みに娘は世界遺産並みの宝だが何か?
イテッ!加減しろよこちとら重病人だぞ!
はは~お前羨ましいんだろ~
自分のガキがああもクソ生意気だからってイテッ!!だからイテーって!!
図星だからってなぐんな!
...
ップククク
懐かしいな~このやり取り
ホント何年ぶりだ?
ナァ、相棒、
俺は幸せだったぜ?
辛い時期もあったけど、それと同じくらい優しい時間もあった
家族がいた、 尊敬する恩師もいた
そして何より お前もいた
どんな時でも 俺の背中を支えるお前の存在が あったから
俺は無茶が 出来たんだぜ?
お? なんだ? 照れてるのか?
知ってるか?..お前みたいなのを..「ツンデレ」って..言うんだぜ?
ククク!
嗚呼、なんだか眠くなって来たなあ...
悪いな...せっかく...お前が...来て..くれ..たの..に..
もう...目が...開かない...
お前に..また..あ..えて..
よか..った...
じゃあ.また..な...
白い部屋の中央に横たわるのは私の父
安らかなその寝顔はここ数年見なかったもの
彼の友人が亡くなってから見なくなったもの
嗚呼、嗚呼、私のワインが二つのグラスに注がれている
片方は父のもの
もう片方は彼の友人の為のもの
二つとも一口づつ減っている
どうやら、父の迎え役は...彼だったみたい...
...もう一度会えたようで、よかった...
もっと明るい話しにするつもりが何故かダーク臭漂うものに...
何故?!
感想お待ちしております(ペコリ)




