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『ザ・ファンタジーフィールズ』 第七章 WITHERED-FIELD  作者: メル・ホワイト・プリンス・ヴェリール
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「虹の島、楽園のアイオス」

女神イリスの住む虹の島。


その中央に連なる山々の峰。


そのいちばん小さな谷のふもとに沢山の鳥たちが住む楽園がありました。




上る陽に囀り、暮れる一日に眠る鳥の楽園。


そこには、


日々の食べ物に気を使い美しさを競う者


生き絶え絶えの獲物を狙う者


世界中を渡り旅する者


喋る事が得意な者


昼の間、他の連中とは顔を合わせない者


幸せを願い呟く者をはじめ、数え切れない程多彩な種類の鳥たちが平和に共存していました。




ただ、その鳥たちの中に一羽だけ‘アイオス’という、皆にバカにされながら暮らす鳥がいました。


そのニワトリに似た飛べない鳥であるアイオス。


この楽園に飛べない古い種族の鳥は沢山いましたが、彼がバカにされていたのには個人的なひとつの問題があったからでした。


それは、非常に彼が‘もの忘れがひどい’という事でした。しかも肝心なことばかり・・・。




三歩あるいてはものを忘れるアイオス。




子供の頃には


家を出てすぐに冬眠から目を覚ましたカエルに気を取られ、鳥の飛行免許試験に行くのを忘れ



自分の誕生日会に行く途中でも


アリの行進に気を取られ



大人になっても


勤め先の森で帰り道を忘れ、一晩中森の中を彷徨ったりする事もしばしばでした。



あげくには


バカにされてることも


だまされた事も 


悲しいことも

 

辛い事も


うれしかった事ですら忘れてしまうありさまでした。




それでも、そんな自分をアイオスは気に入っていて、とても幸せでした。


なぜなら、彼は忘れることによって、今目の前にある事をアレコレ悩む事無く、他の者達よりも楽しむ事が出来ると思っていたからです。


そして、必要なことは必要であれば後で思い出すだろうとも思っていました。




彼は忘れます。


三歩あるいては、幸せに感じたことも、悲しく感じたことも。


でも、またすぐに彼は見つけるのでした。


目の前にある沢山の悲しいことや、幸せなことを・・・。

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