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父と娘の『三日間』  作者: 大橋和代


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13/16

第十一話「父と仲間といにしえの塔(下)」


 《古王国の塔》を巡る戦いも、そろそろ序盤戦から中盤戦に差し掛かりつつあった。

 数で勝る我ら王国側は押しているが、帝国軍も相応の力を見せつけている。


「伝令! 敵の精鋭部隊、発見!

 位置はGの13!」

「こちらも敵の精鋭部隊です!

 位置はFの16!」


 伝令の報告を受けて、兵士が少し太い赤棒を戦況盤に差し込んだ。

 いまはまだ義勇軍側が優勢だが、さて……。


 司令部の横にある野戦病院も、HPがレッドゾーンに達したらしいプレイヤーが列を作り始めている。

 徐々に敵が『強く』なりはじめているのだと見て取れた。


「行くわよ」

「ういっす」

「はーい!」

「はいよ」


 レモンの一声に、私も剣を抜き放った。

 既に攻略組は前線に出ている。

 戦況盤前に残っていたのは、私たちが最後だ。


 前にレモンとコーリング君、後ろにアキ。

 私は戦場を見回しつつ、前の二人に続いた。


「G13の方が近いかな。あっちの方……ああ、あれね」

「ここから判別出来るぐらい派手な魔法出てるな」

「うわっ、カミナリ!?」

「多分、《サンダー・ヴォルテックス》っすね」


 このゲームに『戻って』からは、魔法使いどころか飛び道具持ちとさえやり合っていないことを思いだし、私は気を引き締めた。


「急ぎましょ。

 ちょっと押されてるわ」

「イベントの死に戻りは、見る方も辛いっすからね!」

「アキ!」

「うん!」


 確認も取らずに走り出した前衛二人に、私は少々困惑しつつもアキを守りながら追随した。

 走り込んだ先には『気絶』状態───現在の仕様は確認していないが、《サンダー・ヴォルテックス》には状態異常の効果があったような気もする───で倒れているプレイヤーどころか、光の粒子となって死に戻る誰かの姿もあった。……NPCではない。


「下がって!

 時間稼ぎするわ!」

「助かる!」

「彼を頼む!

 あなたも回復を!」

「わかった!」


 名前も知らない《人間族》の戦士に倒れている《エルフ族》の魔法使いのことを頼み、私も彼らとアキを背後に庇う位置まで前進する。


「《帝国軍魔術師》に《帝国軍正規兵》、ね」

「さて、お手並み拝見っすよ!」


「《フレイム》!!」


 私のすぐ脇をアキの作り出した炎が走り、数名の敵集団、その中央で炸裂した。

 《帝国軍魔術師》の詠唱が中断され、抜刀していた《帝国軍正規兵》の隊列が乱れる。


「えい!」

「そりゃ!」


 前衛二人は勢いのまま突っ込んで行った。

 レモンが手数で攻める軽戦士なら、コーリング君は一撃必殺のヘビー・アタッカーである。


「アキ、左!」

「《プチ・ファイア》!

 ……お父さん!」

「よし!」


 横手から回り込んできた別の敵兵士に、アキと二人で対応する。

 私はアキの《プチ・ファイア》を受けて仰け反った相手に《突き》を乗せた一撃を見舞い、更に追い打ちを掛けた。




「お疲れさま。

 ライカくん、怪我は大丈夫?」


 私がもう三回ほど攻撃を加えて敵を光の粒子に変えた頃には、魔術師を含む最初の敵グループは殲滅されていた。

 息を吹き返した《エルフ族》と半死半生だった《人間族》の戦士には、司令部隣の野戦病院へ走れと怒鳴ったので、今はもういない。


「なんとか一発だけで済んだよ」


 ポーチから取り出したHPポーションをくいっと飲み干し、完調に戻しておく。

 ……《帝国軍正規兵》の一撃で、三割もHPを持って行かれたのは予想外であった。


 戦士レベルの差が、ここにきて如実に現れているのだろう。


 レモンがLV7でコーリング君はLV6、対して私はLV3だが、数字以上に戦闘力の開きが出るのは、この『戦士レベル』というものが攻撃力、命中率、クリティカル率、防御力、回避、抵抗といった全ての戦闘判定要素に絡んでくるからだ。

 だからこそ高レベルになればなるほど差は開くし、一つレベルを上げるのに必要なスキルポイントも大きくなるように設定されている。


「さ、次の『お助け』に行くわよ!

 目標はあのグループ!」


 これは考えていた以上に、追随するのが苦しいかも知れない。……《狼人族》のタフなボディで押し切れるか、すこしばかり微妙だ。

 ともかく騙し騙しでも行けるところまで行くかと、私はHPポーションの残数を思い出しながらレモンに続いた。




「引くならまっすぐ司令部に!」

「ありがとう!」


 局所的には一進一退、いや、プレイヤー側が負けている戦闘も数多い。


 通常フィールドならばトレインと呼ばれるMPK───敵モンスターを引っかけてわざと他のプレイヤーに押しつける行為───になりそうな際どい場面も、これだけの数のプレイヤーがひしめき合っていては一々気にしてはいられなかった。


 そして私たちは、目に付いたそばからそれらを引き受けていく。


「50メートルも離れれば矢と魔法以外は飛んできませんから、ともかくそこまで下がって!」


 前衛二人が頼りになりすぎる私たちパーティーだからこそ、逃がし屋のような立場になれた。


 集団戦慣れしている上に戦闘力の高いレモンとコーリング君、そして『自律盾』を得て安全度が増したアキにとっては、低レベル戦士の私や周囲の平均的プレイヤーが苦労して倒す《帝国軍正規兵》は、雑魚に等しかった。時折混じっている隊長格の《帝国軍魔術師》や《帝国軍騎士》には多少HPを削られていたが、そう苦労している様子はない。


 では最初から前線に出ればいいではないか、とはならなかった。


 高レベルのプレイヤーが最初から出しゃばっては初心者の成長機会を奪い、更にはゲームの楽しみを奪う結果にも繋がってしまい兼ねない。それに最初から飛ばしては、如何にゲーム慣れした彼らと言えども補給や休息が続かず息切れをしてしまうのである。


 ちなみに昨日レモンらが出掛けた前哨戦や、今日の戦闘のような大規模集団戦では敵のドロップは現場に表示されず、システム側で自動分配される。『死に戻り』のペナルティによるプレイヤー・ドロップも、消滅という型式だ。……でなければ、戦闘そっちのけで死体漁りや落ち穂拾いに走るプレイヤーだらけになってしまうことは明白だった。




「レモン、敵軍引いてないか?」


 三戦四戦どころか、呆れたことに十数戦ほど似たような戦闘を繰り返していると、敵が徐々に引き始めた……ように思えた。合間に二、三度レベルアップを挟んだ気もするが、喜んでいる暇はない。


「そうね、ちょっと動いたかな」

「随分端まで来ましたね」

「塔、あっちだね……」


 戦っているのは、無論私たちだけではなかった。

 戦線は司令部に戻って戦況盤を見に行くまでもなく、義勇軍側が押している。

 先ほどまでは私たちも一戦ごとに幾分下がっては押していたが、今は戦場が前進していた。


「じゃあ……中央に戻りがてら、てきとーに狩っていきましょ。

 丁度いい頃合い……かな?」

「頃合い?」

「うん。

 初戦の山場でしょ、これ。

 そろそろイベントボス絡みの強敵が出てくると思うのよ」

「おー、ボス戦だ!」


 なるほどと頷き、シナリオライターとの読み合いかと小さくため息をつく。

 裏をかいてシナリオを崩すような真似はともかく、イベントでボスの現れそうな時間と場所を素早く予想してそちらに向かうことは、目くじらを立てるような要素ではなかった。しかもこのイベントの場合、敵の本陣は最初から戦況盤に表示されているほど目立つ位置───古王国の塔の直下にあったから、私でさえ迷うことはない。


 その証拠に、敵兵を蹴散らしながら戦場の中央寄りを目指して位置取りを変えれば、自然と顔見知りが集まってきた。ゲームに慣れたプレイヤー同士、皆考えることは同じなのだ。


「ライカさん!」

「よう、はらぺにょ君!」

「お互い無事みたいですね」

「ははは、俺はおんぶに抱っこでいいとこなしだよ」


 敵が引くと、当然戦線は収束する。

 代わりに敵の精兵が出てくるが、戦線が縮小しているお陰で味方も戦力が集中するので総じてバランスは取れていた。


「《フレイム》!」

「《アース・ニードル》!」

「スイッチ!」

「よっしゃあっ!」

「回復頼む!」


 これではますますお荷物だと内心で嘆息しつつ、私はアキの自律稼働盾としての役割を自らに任じ、レモンとコーリング君に追従する。


 やはりはらぺにょ君や彼らの仲間は、実に勢いがあった。

 単純な数値としての強さを、慣れた動きで倍増させている。


「お父さん!」

「よし!」


 棒立ちというわけではないが、連携の取れている彼ら攻略組に割って入るのも邪魔になるだけで、これは飛び道具か魔法を視野に入れる必要も出てきたなと渋面を作る。

 現行作では付与枠の付いた武器を作るなら鍛冶仕事にも魔術師レベルが要求されるが、それを戦闘にまで活かそうとすればまた余計にスキルポイントを使ってしまいそうで微妙だった。戦闘面は戦士一本で行きたかったのだが……。


 だがそれは後でいいかと私はアキに頷いて、イベントの発端となった古王国の塔、その足下に作られた敵本営らしい陣幕に目を向けた。




 ▽▽▽




 走って数分。

 塔の真下、敵の本陣付近は実に混み合っていた。


 プレイヤーは集まってくるし、耐久力に優れた中ボス格の《帝国軍精鋭騎士》が、本陣を守る両脇の天幕から数名ずつ湧いてきては、逆撃を企図して突破を狙おうとしている。


 だが、一見乱戦に見えて、そうでもない。


 周囲を確保しようと言うのか、《帝国軍精鋭騎士》は扇に散って我々義勇軍を押し返そうと無謀な突撃を繰り返していた。しかし幸い、湧き出す速度も大して早くない。

 つまりは前から決まった敵が湧いてくるだけの話で、レモン達はすぐにルーチンワークよろしく戦術を組み立てて、最前線の一角を占めてしまった。


「団長、そろそろ……?」

「だね。

 くるーげさんはどっちやる?」

「うーん、うちはちょっと補給が心許ないかな」

「了解。

 じゃ、こっちが突入で。

 《らいおん》さんは?」

「《帝国騎士団》さんにつきあうよ」

「ういー」

「姐さんはどうされます?」

「んー、私たちはくるーげくん達と押さえの方がいいかな」

「了解っ!

 ……団員に通達! 目標、右の天幕!

 帝国騎士団、突撃準備!」

「こっちも行くぞー!」

「おー!」


 レモンたちはさっさと話をまとめ、持ち場が割り振られた。

 周囲には他のプレイヤーも大勢いるが、連携が取れていないのか押され気味で、天幕に突っ込もうとする姿はない。


「ほいじゃ、いっきまーす!」

「突撃ー!」


 私たちを含め半分ほどが湧き出す《帝国軍精鋭騎士》の押さえにまわり、《帝国騎士団『戦乱』支部》───敵と同じく帝国を名乗っているのでややこしい───と《らいおんさんチーム》を主体にした残り半分が敵本陣を守る天幕を潰しに向かう。


「姐さん、どっちっすか?」

「右!

 くるーげくん、残り任せるわよ!」

「任されました!

 カー!」

「はーい!」


 いま湧いてきた騎士は三体、私たち四人はそのうちの一体を引き受けた。

 とは言っても、このクラスになると私には厳しいわけで……。


 正面から騎士を受け止めたレモンとコーリング君に、アキの《マジック・ウェポン》が届く。


 がつんがつんと幾度も繰り返される剣戟。

 私は周囲の警戒をしつつ見守った。

 流石はボス手前を固める精鋭、HPは極端に高い。


「やばっ!?」

「下がって!」


「《ヴォルテックス・スラッシュ》!」


 《帝国軍精鋭騎士》は乱戦向きのスキルらしい、エフェクトを伴った薙ぎ払いを披露した。


「ライカくん、前埋めて!」


 回復に入るレモンが下がる。


「《エナジー・アロー》!」


 その背中を守るように、アキが一発魔法をお見舞いした。


「はいよ!」


 愚痴は後にして、私は走り込んだ勢いのまま《突き》を乗せた一撃を喰わせる。


「だりゃあ!!」


 騎士が仰け反ったところを、コーリング君が大上段からの振り下ろし───後から聞いた話では《振りかぶりⅢ》で威力を上乗せしたところに《斬撃》を発動させた大威力攻撃───で一刀両断した。


 これでまた、1レベルのレベルアップ。


 私の一撃は、威力としては低い。

 攻撃による硬直が引き出せればコーリング君の攻撃が当てやすくなるので、それを狙ってはいたのだが……こう上手く決まるとやはり気分がいい。


 横を見れば、《へなちょこ参謀本部》も無事に二体を葬っていた。


「おっしゃああ!!」

「敵将、討ち取ったりいいい!!」


 天幕からも勝ち鬨が上がっている。

 こちらの騎士もなかなかどうして、やるときはやるらしい。


 ちなみにもう一つの天幕は、倒せるのだと見て取った中堅のプレイヤー達が力押しで潰してしまった。


「すごかったね、アレ……」

「ああ。

 援護に回れないほど混んでたなあ……」


 犠牲も幾分出たようだが、NPCの王国兵士達が庇うように前に出ていたと言うから、運営側も大変だなと私はそっとため息をついた。




 ▽▽▽




 残るは古王国の塔直下、敵本陣のみだ。


「フェルキャストの騎士ダニエル、いざ参る!」

「帝国騎士ライムント、受けて立つ!」


 今は水入りなのか、本陣をしっかりガードした敵の帝国騎士と味方の王国騎士達が対峙し、時折大音声の名乗りが聞こえてくる。


「ほう、一騎打ちだな」

「……なんでそんなのんびりしてるのかな?」

「ぶっちゃけると、プレイヤーを休憩させようってところっす」

「見せ場の前にタメを作ってる……ってわけじゃないと思うけど、雰囲気作りもあるわね」

「ああ、敵はこれだけ強いんだぞって見せておけば、攻略後の思い出話にもなるか……」

「あ、なんか出てきた」




「ええい、まどろっこしいわ!!

 我は《将軍ヨーケル》、我自ら蹴散らしてくれる!!」


「将軍、お供いたします!」


「おお、《魔導師マテウス》!

 頼もしく思うぞ!!」




 敵は将軍と魔導師を中心に生き残りの騎士達が隊列を整え、味方もそれを囲いつつ距離を詰めた。

 いよいよこのシナリオの大一番が、開始される。


「総員抜剣、突撃ぃぃぃぃ!!」


「うおおおおおおお!」

「どりゃあああああ!」


 こちらもNPC将軍が受けて立った。

 騎士が剣を抜き、兵士が槍を構える。


 先手はこちら、しかも最後の詰めとあって数の差は歴然としていた。


 だが、これは観戦タイプのシナリオかと思いかけたところで、敵の奥の手が発動する。


「《ポイズン・トルネード》!!」

「いかん、下がれ!」


 紫色の霞みを伴った禍々しい風が、王国騎士達を巻き込んだ。

 一人また一人と膝を着き、くずおれたところに敵騎士が剣を突き立てる。


「あらら……」

「割と範囲が広いな」


 騎士たちが治療のために下がり、入れ替わって兵士、あるいはプレイヤーが隙間を埋めて行く。だがその彼らにも、紫の毒風が襲いかかった。

 総崩れとまではならないが、包囲に綻びが出来つつある。

 毒によるHP減少は数字以上に心が焦るペナルティな上、治癒には解毒系のポーションか神聖魔法が必要と、手間は倍増しだ。


 私たちも警戒を続けながら機会を窺う。

 単に突っ込んでも悪手、遊んでいては無意味と、頭を使うところだった。……しかし、その点こそが面白くもあるので文句はない。


「《ファイア・ボール》!」

「《アイス・ランス》!」


 足りない部分は知恵で補う。

 近付けないなら遠距離攻撃は常套だ。うん、実に正しい。


 しかし味方の魔法使いらが放った魔法は……残念なことに、敵の眼前で霧散した。


「げ、魔法無効化フィールド!?」

「いや、エフェクトからするとシールドだろう」

「どっちにしても厄介だな……」

「《魔導師マテウス》の後ろに魔法使いっぽいのが2人いる。

 あれが交互にかけてやがるな」


 こっちの幹部連中が揃ってため息をついている。たしかに面倒だ。


 魔法無効化フィールドなら物理攻撃は通るが、媒体なり術者なりを破壊もしくは倒すまでフィールドが維持される。


 シールドなら一定の許容量を超えると壊れるし再詠唱までは時間が掛かるが、物理・魔法を問わず全ての攻撃を受け止める。


 今の場合なら2人の魔術師と見込まれるから、連続して2枚のシールドを完全破壊しなくては目的を達せられない。


「初戦から毒霧かあ……」

「くるーげさんのところ、毒対策はどんなもん?」

「こっちはカーの神聖魔法ぐらいだよ。

 そっちは?」

「《聖騎士》の一歩手前が2人。

 ちょっと間に合わない」

「せめて障壁の詠唱止められたらなあ」

「まいったな……」

「うん。

 あの巻き込み方だと、ポーションの手持ちじゃ追いつかないな」


 遠くから飛んできた数本の矢が、シールドに弾かれる。

 攻撃はひっきりなしに行われているが、壊れかけると再詠唱で新しいシールドが作り出されていた。


 一斉に攻撃が行えればなんとかなりそうだが、この人数の足並みを個人が音頭をとって揃えさせるなど、無茶だった。


「ああ、やっぱシールドだ」

「強度がわかれば、手持ちの魔法で足りるか計算もできそうだね……」

「近づけば毒食らうし、魔法をぶつけるにしても効率が悪すぎるな」

「余所のプレイヤーさんに数押しを強要するわけにも行かないし……むう」

「取り付いてシールドを壊す間に毒を2掛け3掛けされちゃ、たぶん治癒も回復も追いつかない」

「全滅上等にしてもなあ。

 俺達だけでやる……には、数がちょっと少ないね」

「将軍のあれも、スペシャルスキルの《大喝》っぽいか?」

「だな。

 騎士にオーラ出てる」

「しゃーない。

 声掛けまくって、飛び道具持ちかき集めるか?」


 難しい顔の彼らを余所に、アキが私の袖を引っ張った。


「お父さんお父さん」

「ん?」

「……『奥の手』?」

「……正解」

「ライカくん?」


 にへっと笑うアキと頷きあい、ハイタッチする。

 不思議そうなレモンに、私は親指を立てた。


「シールドなら、手はある。

 アキ、全部出すぞ」

「はーい!」


 私とアキは少し離れ、ウインドウからとあるアイテムを呼び出した。

 どさどさと周囲に山の如く盛られたそれに、意味の分からない者は首を傾げ、光明を見出した者は笑顔を向ける。


「ライカくん、出掛ける前になんかやってると思ったら……」

「あの、それ、全部……斧っすか?」

「《ハンド・アックス》……あ!」

「うん、正しくは《ハンド・アックス[-3]》だ。……時々[-2]も混じってるけど。

 アキのと合わせて全部で300ちょいはある」


 《投擲具》のカテゴリーですらないが、投げられる道具や武器は結構種類がある。中でも《ハンド・アックス》は投げやすい上に、一部の採取作業にも使えるので、一つ持っていると便利だ。……もちろん、普通は200も300も持ち歩くものではない。


 もっともこの《ハンド・アックス[-3]》、耐久値を最低まで下げて量産性を極端に上げている。でなくては、幾ら私でも短期間でこの数は用意できなかっただろう。


「ライカさん!」

「いける! いけますよ!」

「マジっすか!?」

「本職の鍛冶屋すげー……」

「耐久値は最低しかないから、一回投げたら壊れると思ってくれ。

 くるーげ君、分配は頼んだ!」

「了解です!

 団長! こっちでシールド消すから、うちの前衛連れて行って貰えます?」

「引き受けた!

 カワシマ! お前確か、《投擲》持ってたな?」

「ウッス! 騎士カワシマ、支援に回ります!」


 シールドは、物理・魔法を問わず『全ての攻撃』を『受け止める』。


 つまりは、元になるハンドアックスの命中率が低くとも、あるいは《戦士》系の技能を持たずとも、狙う限りは命中を期待できた。となれば、あとは一時にどれだけ過負荷を与えられるかが分かれ目だ。その点、こちらは統制が取れているわけで……。


 レモンは呆れ顔で数本のハンド・アックスを抱え、私に胡乱な視線を向けている。


「……まさか、これ見越してたなんて言わないでしょうね?」

「それこそまさかだ。

 アキが一人でイベントの戦場をうろつくはずがないって前提だが……。

 命中は期待できなくても、投げつけられた敵が硬直か回避するなら、レモンとコーリング君が何とかしてくれるだろ?」


 私も両手に斧を数本づつ持って、くるーげ君の指示に合わせて位置取りを変更した。


 敵の将軍や魔導師の位置を基準としてシールドまでが5m、《ポイズン・トルネード》の範囲までが15m。対してこちらのハンド・アックスの射程は《投擲》の補正無しで10m前後。《ポイズン・トルネード》の詠唱を確認して、ぎりぎり退避が出来る距離だろうか。


 姿勢を低くして地面にハンド・アックスを並べ、投げやすいように準備をする。


「でもライカさん、その数はおかしいっすよ」

「一応『投げ物』だから、簡単な罠の確認にも使えると思ってね。

 今日使わなくても、ダンジョンに潜ってればそのうち使い切る数だろう?」

「はあ、そう言うことなら、そりゃまあ……」


 コーリング君は首を捻っていたが、投げれば落ちたときに音が鳴るからモンスターの注意を引くことも出来るし、いわゆる『捨てアイテム』としては便利なのだが……。

 最近は、そう言った小技は伝わっていないのか、もしくは私の知らない別の小技が広く知られているのかもしれない。


「こっちは準備完了した!」

「了解!

 じゃあ皆さん!

 次の再詠唱の直前、タイミング計っての飽和攻撃をカウント3で2回行きます! いいですか、2回ですよ! 半分づつですからね!

 ……3、2、1、ファーストアタッーク!」


 私たちはくるーげ君の号令に合わせ、手にした斧を思いっきり投げつけた。




 ▽▽▽




 シールドを消し切ったところで、我らの《帝国騎士団『戦乱』支部》を中心とする突入部隊は勢いよく突撃を開始、先ずは毒が面倒な《魔導師マテウス》……と見せかけて、再びシールドを作り出そうとしていた敵魔術師を瞬時に圧殺。

 しかしながら、返す刃で魔導師と将軍をと思った頃には、状況を見て取った他のプレイヤーが敵本陣に殺到していた。


「くっ、ヨーケルさま……」


 これ以上はない数の暴力に、まずは我々を毒で苦しめていた魔導師が倒れた。

 システム側の処理が心配になるほどの集中攻撃だ。


「おのれ……。

 雑兵如きにやられるとは……!」


 続いてお決まりの台詞と共に光となって消えた敵のボスに、大歓声が上がる。

 ……これで本戦は一応終了だろう。


 肝心のボスをかっさらわれたことに若干釈然としないわけではないが、大規模イベントともなればこんなものである。直接参加プレイヤー3000人の乱戦、むしろ一場面とは言え、活躍の場を作り出せた事を誇るべきだった。


「ラストアタックは後ろで弓を放ってたLV12のエルフちゃんだって」

「ま、そういうこともあるな」

「ボスドロップはちょっと惜しかったな……」

「見せ場あっただけマシじゃね?」

「いつものこと思えば、なあ」


 リアルなラックに勝るステータスはない……などと笑い話にすることは良くあったし、この人数ではこの結末の方がある意味納得もできそうだ。


 私も剣を収納して、肩の力を抜いた。


「アキもお疲れさまだったな」

「んー、そうでもなかったよ。

 面白かったし、お父さんの『奥の手』も活躍したし!」

「ライカくんらしいというかなんと言うか……」

「すごかったっす」

「……たまにはそう言うこともある」


 一段落した頃になると同盟軍───ディアタン皇国軍も国境まで帝国軍を押し返したと一報が入り、我らがフェルキャスト王国軍の部隊も再編成をはじめた。


「義勇兵諸君も疲れただろう。

 こちらは我らに任せ、宿営地まで引き上げてくれ。

 あちらでは論功行賞の発表と共に、ささやかながら祝宴の準備もされているはずだ」


 古王国の塔周辺では王国軍が新しく陣を作りはじめているが、私たち冒険者は引き上げていいらしい。


「あ、まりあんちゃんからだ。

 宿営地に戻ったって」

「あっちはあっちで大変だっただろうなあ……」


 ……主に、やんちゃ共をまとめるフーゲツ氏が。


「さあ、ともかく帰ろうか」

「うん!」

「はあい」

「ういっす」


 帰り際、古王国の塔をもう一度見上げる。


 残念ながら中に入ることは出来なかったが、再びクエストなりイベントなりで注目されることになるだろう。


 なにせイベントの発端にはなったが、その意味も位置づけも、今のところ一切説明されていないのだからして。




 ▽▽▽




「義勇軍並びに兵士の諸君、真にご苦労であった。

 我らは無事、勝利を手にすることが出来た。国王陛下もお喜びのことと思う」


 宿営地に帰り着くと、私たちは揃って中央の広場に集められた。


 出掛けに較べ、明らかに数が少ない。……後の発表では、昨日と今日で1000人近いプレイヤーが死に戻っていた。

 最前線で戦闘に参加したプレーヤーの大体4人に1人が死に戻った計算だが、レモンやはらぺにょ君の話では、これでも十分初心者向きに調整されているらしい。『ラストで1割でも残ってたらマシな方よ』『そうですよね』と、経験者組は遠い目をしていた。


 壇上の将軍が、大仰な挨拶とともに長い巻物を広げる。


「続いて、我が軍を勝利に導いた勇士達を紹介しよう。

 名を呼ばれた者はこちらに!」


「ね、お父さん。

 わたしたちの誰かも呼ばれるかな?」

「どうだろうなあ。

 総合的に見て上位に食い込んでるとは思うけど、この人数で一番になるほどの活躍って、そうそうは出来ないぞ?」

「うーん……」

「アキちゃん」

「はい?」

「……案外、一人ぐらいはいけるかもよ?」

「え!?

 ほんとですか?」

「おいおい……」


 確かにうちのパーティーはあちこち駆けずり回った方だとは思うが、武闘派揃いの《帝国騎士団『戦乱』支部》や、くるーげ君やはらぺにょ君ら《へなちょこ参謀本部》、野戦特化の《らいおんさんチーム》など、完全に統制の取れた現役プレーヤーたちのパーティーに勝っていたとは考えにくい。


「勇士ラーク・キャスター、前へ!」


「お! 《大いなる怠惰》のラーク・キャスターさんか!」

「流石だな」

「たしかこっちじゃ、《ロイヤル・さぼりん》のアレイオンさんと組んでたっけ?」

「うん。マリアレグで見たぞ」


 いま呼ばれた戦士は、現行サーバーでも活躍しているプレーヤーらしい。はらぺにょ君たちが盛り上がっている。


 次々と呼ばれるプレーヤーは戦士、魔術師、司祭とバラエティに富んでいた。


 ……しかしだ。


「勇士ライカ、前へ!」


「……は!?」


「おおおおー!? やった!

 お父さんすっごーい!!!」

「おめでとうございます! やりましたねえ!」

「ほら、言ったとおりでしょ。

 ライカくん、行って行って!」

「お、おう……?」


 何故私が……と思う間もなく、大歓声で見送られて壇上に登らされる。


「鍛冶師の功労者、勇士ライカよ、貴殿を王国勲爵士に叙する」


<おめでとうございます。

 あなたはイベントクエスト『義勇兵出撃』鍛冶職部門の総合MVPを獲得しました。

 MVPボーナス《ヴェルンドの鉄槌》、《ミーメの金床》、10000アグを入手しました。

 称号クラス《貴族》を入手しました。

 王都キャステリア《王城》への入城が許可されました>


 呆然とする間に将軍から表彰状のような任命書を手渡され、インフォーメーションはアイテムと所持金が増えたことを私に教えた。

 槌と金床は本当にありがたいが、《貴族》は……どうなんだろうか。使いようによっては面白いらしいが、今の私にとっては実に微妙である。


「彼ら勇士達に、今一度盛大な拍手を!」


 壇上を降りながら、やれやれとため息をつく。

 嬉しいには嬉しいのだが……。


 しかし、一つ分かったこともある。

 なるほど、各職業ごとにランキングを設定しているなら、私が鍛冶師部門でトップを取れる確率は……確かに高かった。レモンはそれを見越していたのだろう。


 案外、無償提供したハンド・アックスと、サービスした武器の手入れが決め手になったのかもしれないなあと、あれこれ考えつつアキ達の元に戻る。


 それにしても、私が選んだクエストは『義勇兵出撃S』、鍛冶屋とは何の関係もないはずなのだが……。


「あ、終わった!」

「おっしゃあ!」

「お疲れっす!」


<おめでとうございます。

 あなたはクエスト『義勇兵出撃S』をクリアしました。

 クリアボーナスとして種族レベルに3が加算、1000アグを入手しました。

 あなたのクエストレコードは2492ポイント、ランキングは5位です。

 ランキングボーナスとして種族レベルに1が加算、1500アグを入手しました>


<イベントクエスト『義勇兵出撃』は現時点をもって終了いたしました。

 あなたのトータルレコードは6116ポイント、総合ランキングは76位です。

 ランキングボーナスとして種族レベルに2が加算、3000アグを入手しました>


「ね、アキちゃん。

 言ったとおり、うちから表彰台に上る人、出たでしょ?」

「はい!」


 他にもラストアタックの数、各クエストごとのトップ賞、消費HPや消費MP、イベント中の移動距離など細かな表彰が行われ、論功行賞は幕を閉じた。




 ▽▽▽




 さて、これでようやくイベントから開放されたわけだが、せっかく祝宴の用意もされているわけで、先を急がずそのまま酒盛りになだれ込むのがいいプレイヤーであるらしい。


「さー、アキちゃん、行ってみよーかー!」

「え、えええー!?」


 約束通りアキが乾杯の音頭をとることになり、皆で即席の壇上に押し上げた。

 ずいぶん恥ずかしがっているが、《帝国騎士団》などは大盛り上がりとなっている。これもいい思い出になるだろう。


「じゃ、じゃあ……えー、お父さ……じゃなかった、ライカさんの鍛冶師MVPと、サンマおじさんの料理人3位入賞と、みかんさんのトータルランキング3位入賞と、《ムーンライト・キャラバン》さんのギルド部門4位入賞と、しししさんのトータルダメージ8位と、それからそれから、全部まとめて皆さんお疲れさまでした!

 か、かんぱーい!」


「「「「「乾杯!」」」」」


 用意されていたワインやジュースを満たした銅のゴブレットを掲げ、皆で笑顔を交わす。


「あー、緊張したー!」

「うん、お疲れさまだ」

「勢いがあってよかったわよ」

「あ、おやっさん」

「おう。

 ……見てたぞ、『お貴族さま』」

「……言うな、恥ずかしい」


 わいのわいのと肴を腹に入れ、互いの酒杯にワインをつぎ足しながら、私たちはイベントを振り返った。


「サンマもトップまで後一歩だったろ?

 惜しかったじゃないか」

「フン。

 まあ、振り回されてこそのイベントだが、刺激にはなったか」

「自分のペースじゃないってところを除けば、たまにはいいかもな」

「どうしても店が気になるわな」

「まったくだ」


 がちんとサンマの酒杯に自分の酒杯を合わせ、一気に呷る。

 アキたちも、こちらで知り合った女性プレーヤーらと車座を組んで盛り上がっている様子だ。


「いつもよりレベル上がるのは楽だったかなあ……」

「普段は探して回らなきゃ狩れない中ボスクラスの連続だったものね。

 アキちゃんにはちょっと刺激が足りなかったかしら?」

「そんなことないですけど……。

 あ、でもこれで《魔術師》をもういっこ上げられるから、新しい呪文もいけるかな?」


 そう言えば、私も予定以上にレベルが上がったもので、《鍛冶匠》をもう一つ上げた上で《魔術師》を取得すべきか、迷いどころである。


「こんばんはー」

「ライカさん、マスター・サンマ、お邪魔していいですか?」


 ほろ酔い気味の声が掛かって後ろを振り向けば、知った顔だった。


「はいよー。

 くるーげ君もししし君もお疲れさま。

 あれ? そちらの方はお客さん?」

「おお、すだこふつさんもこちらに来ていらしたんですか!

 本鯖ではいつもご贔屓していただきまして、ありがとうございます」


 くるーげ君たちは私の知らない男女4人組のパーティーを連れてきていたが、どうやらサンマの知り合いらしい。

 まあまあ一献、どうぞぞうぞと、敷物をずらして場所を作る。


「こんばんは、はじめまして。

 私はすだこふつ、マスター・サンマがいらっしゃると聞いて、ご挨拶をと思いまして……。

 向こうでも良くお世話になっているししし君が誘ってくれましたんで、折角だからとお邪魔しました」

「大歓迎ですとも。

 私は王都隣のトルフェル村で鍛冶屋を開く予定のライカです」

「ははは、先ほど壇上でお見かけしましたよ。

 MVP、おめでとうございます」

「いや、お恥ずかしい限りで……」


 妻です、息子です、娘ですと挨拶されて、ああ、前に何かの時に聞いた家族で攻略パーティーを組んでいるプレイヤーだったかなと思い出す。


「レモン! アキ!

 ちょっと来てくれるか?」

「お父さん、なーに?」

「はーい!

 って、あ、すだこふつさんこんばんは!」

「お、レモンティーヌさん!

 マリアレグ以来ですな」

「こんばんはー!」


 この様な調子で紹介されつこちらも挨拶を返しつして、賑やかな夜は更けていった。


「師匠!

 俺たちも強くなったからさ、今度ラネ村のダンジョン行ってもいいかな?」

「先に北の海岸の洞窟でダンジョンに慣れてからな。

 すぐそうやって突っ走ろうとするから、見てて危なっかしいんだよ……」

「ああ、あのダンジョン!

 俺達でも2層目はまだ安定しきれないからなあ」

「うぇっ!?」

「マジですか!?」

「マジマジ、大マジだよ」


 気が付けば、どんどんと人の輪が広がっていく。

 サンマではないが、確かにたまにはこのような騒ぎもいいものだ。


「ふわぁ。お腹いっぱい!」

「アキはよく食べてたな。

 干し杏のパンケーキ、気に入ったのか?」

「うん!

 こんなおまけがあるなら、次のイベントが楽しみ!」

「そうね。稼ぎもまあまあだったし、面白いものも見られたし、このイベントは当たりだったかな。

 ライカくんは?

 やっぱりMVPボーナスの装備?」

「あれは予想外だったけどな。

 一足飛び……いや、下手すりゃ3ヶ月4ヶ月分外回りするぐらいの価値はあったかもしれない」


 次のイベントもまた大騒動になるんだろうなと大笑いしつつ、私たちは適度な頃合いで幕舎に引き上げることにした。


「さ、明日からはまた冒険よ」

「はいっ!」

「俺は鍛冶屋だな」

「期待してるからね?」

「がんばって、お父さん!」

「ああ」


 さて、次は……いや、今度こそ鍛冶屋の営業を軌道に乗せねばならないか。

 なにせ、名前を売るという意味ではこれ以上ないほどの成果を残したのだからして。






 ▽▽▽


 おまけ お父さん(だけじゃなくてみんな)には見せられないわたしの日記帳(76日目)


 ▽▽▽



お父さん(ライカ)

 

 種族:《狼人族》LV56


 職業

  《戦士》LV3/《片手剣Ⅱ》《突き》

  《鍛冶匠》LV4/

   鍛冶技能《手入れⅡ》《修理》《精錬Ⅱ》《採鉱》《分解》

   作成技能《片手剣》《小刀》《生活用品Ⅱ》《農工具》《金属鎧Ⅱ》《投擲具》

  《料理人》LV2/《菓子》《飲料》

  《商人》LV1/-

  《貴族》LV1/-


 装備

  《ロング・ソード[+1]》攻撃力[9]

  《イゼンア鉄のヘルメット》防御力[4]

  《サンジ鉄の胸当て[+1]》防御力[9]、敏捷[-1]

  《イゼンア鉄の中盾[+1]》防御力[8]

  《青熊のブーツ》防御力[6]、耐性[+1]


レモンさん(レモンティーヌ)


 種族:《人間族》LV65


 職業

  《戦士》LV7/《片手剣Ⅲ》《盾Ⅱ》《突きⅡ》《払いⅡ》《返し刃》

  《裁縫師》LV1/《補修》《普段着》


 装備

  《レギュラスの剣》攻撃力[14]、命中[+2]、[麻痺攻撃Ⅰ]

  《小青玉のサークレット》防御力[2]、耐性[+1]

  《黒鉄のチェイン・メイル》防御力[12]、敏捷[-2]

  《タンコ鉄の中盾》防御力[9]

  《黒虎のブーツ》防御力[6]、敏捷[+3]


コーリングさん(コーリング)


 種族:《人間族》LV64


 職業

  《戦士》LV6/《片手剣Ⅲ》《盾Ⅱ》《斬りⅢ》《振りかぶりⅢ》《斬撃》

  《料理人》LV2/-

  《商人》LV1/-


 装備

  《ロング・ソード[+2]》攻撃力[10]、クリティカル[+2]

  《タンコ鉄のヘルメット[+1]》防御力[7]、敏捷[-1]

  《赤鉄のチェイン・メイル[+1]》防御力[13]、敏捷[-3]、筋力[+1]

  《イゼンア鉄の中盾[+1]》防御力[8]、耐性[+1]

  《銀狐のブーツ[+1]》防御力[5]、魔法防御力[+2]、回避[+1]


わたし(AKI)


 種族:《エルフ族》LV55


 職業

  《魔術師》LV6/

    《プチ・ファイアⅡ》魔法攻撃力(火)[12]、《プチ・アイス》魔法攻撃力(氷)[10]

    《エナジー・アローⅡ》魔法攻撃力(無)[24]、《マジック・ウェポン》魔法攻撃力(無)[+10]付与

    《フレイム》魔法攻撃力(火)[18]範囲攻撃

    《スリーピング》攻撃強度[15]、難易度[0]

    《アンロック》、《トラップ・サーチ》、《ガード・チャイム》

    

  《薬草師》LV2/《薬草学》、《ポーション作成Ⅱ》、《調香》


 装備

  《バルザック樹のワンド》成功値[+2](エナジー・アローⅡ、スリーピング、フレイムⅡ)

  《マジック・リングⅢ》(プチ・ファイアⅡ、プチ・アイス、マジック・ウェポン)

   /《マジック・リングⅢ》(アンロック、トラップ・サーチ、ガード・チャイム)

  《流れ星の魔法帽》防御力[2]、魔法防御力[+2]

  《白の魔法衣》防御力[3]、魔法防御力[+4]

  《大角鹿のブーツ》防御力[5]、回避[+2]




 ひゃっほーい!

 初のイベント、無事しゅーりょー!

 なんかもう、わけわかんないぐらいテンション上がってる!!!


 レベルも一緒に上がったけどね!




 やー、ほんと今日は一日中戦闘続きで、MPポーション何本飲んだのか覚えてないぐらい。

 1戦1本ってことはなかった。……これ、次のイベントの時は本気で作り置きしとかないとまずいかも?




 それにしてもわたしたちのパーティーは強かった!


 ログ見返したら、トータルで100体以上の帝国軍をやっつけてたよ。そりゃあレベルも上がるって……。


 パーティー戦だとお父さんはほぼ見張り専門だけど、わたしは魔法に集中できるし、レモンさんとコーリングさんもわたしを守る位置取りを意識しなくてよくなるから、全体で見るとものすごく効率が上がった……らしい。もちろんこれ、レモンさんの分析。


 でも、やりやすかったのは確かで、やっぱりお父さんは居るだけで頼りになるんだと思ったよー。


 『奥の手』も役に立っちゃったし。

 ……口では偶然って言ってたけど、ほんとは狙ってたんじゃないかなあって気もしたりする。わたしも100本まとめて渡されたときはこんなにいらないって言ったけど、やっぱり罠探しに投げ捨てて使うって言っても作りすぎだよ……。


 でもきっちり鍛冶屋さんのトップ賞持って行っちゃったところは、やっぱりすごい。王都で一番の鍛冶屋さんは伊達じゃなかった。




 当然、レモンさんとコーリングさんもすごかったよ。

 二人ともトータルランキングとクエストランキングの両方でトップ100に入ってた。


 わたしはどっちも150位ぐらいで、ちょっと残念。

 今後の課題は、やっぱり一撃必殺の大魔法かなあ。ボス戦だと、ちょっと威力に問題あり。ふつーの敵なら範囲攻撃がよく効くから、最近そっちばっかり伸ばしてたせいかも?

 レモンさんと組む時でも、ピンチに大きな攻撃出せないとこれから困りそうな予感がする。レベルに合わせて、どんどん強い敵の居る場所に行くことになるからねー。


 《ムーンライト・キャラバン》もギルド4位で、全員が2レベルアップの特典と1000アグ貰ったんだって。今日の別働隊は罠だらけでちょっと大変だったみたいだけど、全員無事。よかったー。


 あと、攻略組の人達も面白い人が多かった!

 お父さんのゲーム友達の息子さんとか、レモンさんの本鯖のお友達とか。

 また次のイベントで一緒になれたら嬉しいな。




 ……おっとっと、追記!


 いまルナさんからメールがきた。

 《ムーンライト・キャラバン》の本部だけじゃなくて、王都も街中でお祭りなんだって。大通りに無料の屋台とか出て、すっごく賑やかみたい。

 こっちももちろん賑やかだったけど……賑やかすぎて、宴会になってからの方が疲れたかも?

 レモンさんもあっと言う間に寝ちゃったみたいだし、わたしも寝ようっと。

 おやすみなさーい。



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