◇質疑応答始めました!
楽しいレベルとスキルのお話…多分。
あと、下ネタ?ガールズトーク?…な内容も少々。
「…とりあえず、飯食って考えようぜ?」
何だかんだとやっているうちにけっこうな時間が経ってしまったらしく、ゼンの一言で昼食を挟んで仕切り直す事に。
装備一式を返してもらって、着替えの為に4人には先に食堂に行ってもらった。
「そういえば、服はあっても下着無いわ。下着と普段着と…調達しないとねー」
うーん、一分丈のトランクスタイプか…買えるものかなぁ?まあ、この程度なら自分でも作れるかも。
弟のおかげで成人男性の下着もパンイチ姿も見慣れて、もはや何の感慨も無く…弟よ、お姉ちゃんはその事実が非常に切ないです。あ、でも、良く見たら元の体よりだんぜん美しいくびれと脚だわ…うわぁ、ますます切ない……。
おかげというかなんと言うか、性別に関してはもう諦められそうな気がする…何たって、欠片も違和感無いからね…トホホ。
行儀悪くフォークを回しつつ、呆れ顔のゼンがそれはそれは深ーい溜め息を一つ。
「…ヲイヲイ、よくそれで今までやって来れたな…。いっそ感動モンなんだが?」
「いやぁ、ははは……」
もう笑うしかないって、こういう事なのねー…。常識が無いって言われるのは覚悟の上だったけど、予想以上にダメダメ過ぎて正直泣けた。
遅い昼食を取りながら言われた事には、今の中堅と言われる冒険者の平均レベルは50なんだとか。…で、手練れと言われる人間でも100を超えるのはごくごく稀だと言われた。
そんなご時世に、装備Lv.300の装備持ち出して平然と身に付けていれば凍り付くよね!あはー……はぁ、…本当に?
「まぁ、長命なエルフだと事情は違ってくるのかもしれねえが…俺らは、一応中堅の部類だぜ?」
そう言われて、あまり気にしていなかった4人のステータスを改めて見てみると、ゼンが56、カリナが54、フィーリーが47、ロズが49…と、確かに50前後のレベル。
私的には驚愕の事実なんですが…だって、ゲーム内だと中級者と呼ばれるのって大体Lv.300以上だったし、カンストすれば3000だよ?そもそもチュートリアル完遂するだけでLv.25程度は余裕で突破するから、Lv.50なんて「オンライン来て何日目?」とか聞かれるようなレベルよ?
「Lv.50で中堅となると、ベヘモットは…」
「ありゃあ本来、冒険者十数人がかりで狩るモンだ。そもそもが、こんな所で遭遇するようなヤツじゃねえがな」
まあ、そのレベル帯の冒険者が倒そうとするならそうするしか無いだろうけど。
と言うか、この辺りベヘモット出ないのね…ゲーム中では中級者向けフィールドと言うこともあって平地では普通にうろついてたんだけどね。
「ねえねえ、私から質問いい?」
食事が一段落ついて、ゼンとの話の切りも良くなった所でカリナから質問が来た。
あ、因みに食事は味付けが絶妙に物足りない…旨味足らないよ、旨味。
「何で鑑定できないの?」
「多分…【鑑定】のレベル足りないからじゃないかな?」
おそらくカリナの【鑑定】は【鑑定 Lv.2】じゃないかと思うんだけど、コレばっかりは判別してみないと何とも…。
「…鑑定のレベルって、何?」
そこからかいっ!
ホント、私は今のところ何も制限無く使えてるって言うのに、この世界のスキル事情どうなってるのー…。
「鑑定にはね、三段階あるんだよ」
「えっ…初めて聞いた」
「【鑑定 Lv.1】で道具類全般が鑑定可能、【鑑定 Lv.2】で自分のレベルまでの武器や防具も鑑定可能、【鑑定 Lv.3】で無制限になる」
生産系のスキルに多いんだけど、マスターするとそれで終わりじゃなく何段階かレベルアップするのがあるんだよね。
今回の【鑑定】はモロにこのタイプ。
「カリナは武器や防具の鑑定出来ないわけじゃないよね?」
「ええ」
「だったら、多分、【鑑定 Lv.2】じゃないかと思うんだけど…見てみようか?」
そう言ったら、また揃って微妙な顔を…ええ、勿論スルーで。
「見れるものなの…?」
「見れるよー」
発動中のスキルを表示するスキルがあるんだよ、まあ、例のごとくカリナ達には見えないんだろうけど。
便利じゃないかって?いや、便利だよ確かに、常時発動状態にも出来るし。便利ではあるんだけど、ちょっと問題がねー…。
「じゃあ、一応見てもらって良い?」
「ん、勿論。んじゃ、何でもいいから【鑑定】使ってみてよ」
「へ?何でもいいって…」
「何でもいいよ、そこら辺ので」
目を丸くするカリナを横目に【スキルサーチ】を起動すると、左手寄りにウィンドウが表示されまずは自分が常時起動しているスキルがバラバラと表示されてゆく。
コレ、一定範囲内で使われてるスキル全部拾っちゃうんだよね…慣れるとウィンドウが更新されまくってウザイ事ったら。初心者だと、このウィンドウに気を取られて攻撃タイミング逃した上に逆に手痛い一撃喰らったりとかね…良くある事故ですよ、ぷぷぷ。
「そこら辺って、机の上には食器くらいしか…」
「別にそれで良いってば。お皿でもフォークでも、机でも椅子でも」
「え…えぇえー!?」
おや?ひょっとして知らない?
【鑑定】って別にアイテムやら武器防具専用って訳じゃないのに。使えばそこら辺にあるもの何でも鑑定できて、説明が出てくるというけっこう楽しいスキルなのにねー。
覚えたての頃は身の回りのありったけ鑑定して遊んだなぁ…うん、懐かしい。逐一そこら辺の小石に至るまで説明用意してくれた運営乙です。
「うぅぅ……」
「何でそんなに葛藤を?」
そしてカリナはスプーンと睨み合い中…さっさとスキル使えば良いのに。スキルを使ってくれさえすればログに収集されるから、別に鑑定の可否自体は関係無いんだけど…。
「だ、だって…今までスキルってもう少し高尚なものだと……」
「高尚って…いや、スキルはスキルだし、便利に使わないと」
便利にどころか、知らない事は無いってぐらいにとことん使い倒してあげないと、ねぇ?バグすら戦術に組み込んで運営を慌てさせるのが上級者プレイヤーの嗜みですよ?ふっふっふ…。
「そ…そう?」
「そうそう。ほら、さくっと鑑定する!」
渋りながらも一応鑑定スキルは使ってみてくれたようで、ウィンドウが更新されて表示されたのは…やっぱり【鑑定 Lv.2】。
「ヤダ…本当に鑑定できたわ……」
「ほらね。うん、【鑑定 Lv.2】」
「ああ、そう……」
そうなんですよー。
「でもでもっ、Lv.2って事はLv.3になれる可能性はあるのよね!?」
「んー…多分?」
「なんだ、確実じゃないようなモンなのか?」 だから、スキル事情がわかんないんですよってば。
ゲーム内では能力が規定値を満たし、かつ使って経験を積めばマスターだったけど、こっちでも同じなのかは保証出来ないし。
「そんなのじゃなくて、方法として合ってるかどうかの確証が無いんだよ」
「良いわよ、そんなのとりあえず試しにやってみれば良い事じゃないの」
「うーん…それでもいいなら…。スキルのレベルアップに必要なのは、そのスキルを実際に使い込んで経験を積む事と、レベルアップしたスキルを使うに足る能力を備えている事…のはず」
あーうー…ゲーム内の用語使わずに説明するのって難しいっ!
つまり能力値が規定値に達してればスキルを使いまくれば良いだけだし、能力値が足りてない場合はレベルを上げるなりして能力の底上げをすればいい。
カリナの場合はスキルを使って経験を積む事に関しては十分足りてそうだから、おそらく問題は能力値の方。
【鑑定】に必要な能力値は……。
「…ちょっと、何でそこで目を逸らすのよ」
「え、いや……」
「鑑定の経験の方はかなり積んでそうですが、カリナさん」
「おう、そっちは年単位で積んでるぜ。つーと、足りねえのは能力のほうかぁ?」
こっち見て暗に促されても…どっちかと言うと、言いたくないんですが……。
だって、ねぇ…【鑑定】に必要な能力値って、知力なんだよ?ゲーム内では知力だろうと魔力だろうと能力値不足でスキル使えないとか笑い事で済んだけど、現実で知力が足りないとかって…残酷過ぎない?
「で、何の能力?」
ぐふっ…言わせるおつもりですか、この私に!お望みとあらば、言うけどね!?
「うー…えぇーと……知力、かなぁ…と」
ゴンッと、とても良い音をさせてカリナの頭がテーブルに撃沈。
わぁ、痛そー…。
「あー…じゃあ、仕方ねえや」
…え、それは納得するところなの、ゼン?
べ、別にカリナの頭が悪いとか、そんな意味で言ったつもりじゃないからね!?