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◇好奇心は友を救うか

 

 

ぼちぼち主人公が本領発揮し始めますが…。

本人の性格故に裏方仕事がメインという地味仕様。

 

 

 


 

 

 二人を助けて翌々日、街にいるCランク以上の冒険者に招集が…まあ、招集かけるよって言われてたし?

 依頼内容は墓地のレイス討伐、決行は招集から7日後…依頼の備考欄に要対不死モンスター装備の記載があるとはいえ、ランクに達していればよほどの理由が無い限り拒否は不可なワケで。

「一週間か…あまり時間無いなぁ……」

 さて…一週間でどれだけ現状のパーティーを強化出来るやら?

 

 

 依頼の出された翌日、パーティー強化計画の一環であるものを調達しに鍛冶屋へ。

「こんにちはー」

「いらっしゃい、銀の武器は売り切れだがな」

「あ、やっぱり?」

 だとは思ったけど、店に入った途端に言われるとは思って無かったわ、流石に。

 でも、まあ、銀の武器が売り切れてる事自体は予想の範囲内。他の鍛冶屋でも売り切れてたし。

「アンタもアレだろう?一週間後のレイス討伐に参加するんだろ?」

「ああ、うん。今から注文しても間に合わない感じ?」

「無理だな。ウチは俺一人でやってるんでね、既に入ってる注文も手一杯だ。大きい所に頼んだ方がまだ幾らか望みもあるんじゃないか?」

「いや、別に銀の武器が欲しいわけじゃないから。用事は別だよ」

「なんだ、剣の研ぎでも頼みに来たのか?」

「それも違うかな」

 そう言うと鍛冶屋のオジサンは不思議そうな顔。

 

「インゴットとまでは言わないから、銀鉱石の在庫があれば分けて貰えないかな?」

「あ?アンタが自分で打つのか?まぁ、それくらいならあるがよ……」

 手招きされて奥に続く扉をくぐると、部屋の壁面の棚に頑丈そうな木箱がずらり。床にも木箱が積み上げられて、埃っぽいと言うよりは土っぽい臭い。

「奥の棚のが銀鉱石だ。インゴットじゃねぇから、一山いくらでいいぞ」

 そう言って指された棚には、箱と隣に積み上げられた鉱石の山。

「おじさん、自分で精錬もしてるんだ?」

「ああ、インゴットを使ってたら今の値段じゃ無理だ。代々鉱石の精錬から何から自前でやってるってんで、俺も先代から一通り叩き込まれた」

 ウチは街で一番古いんだぜ…と、胸を張るおじさん。

 …大体の位置でここかなと当たりをつけて来たけど、どうやら前身はゲーム内でもあったあの鍛冶屋で正解みたいねー。

 まぁ、ドワーフNPCのやってた鍛冶屋なら今も鉱石くらいあるんじゃないかなという超適当な予想で来たけど、これも大当たり。

 

「でも、自分で精錬するの大変でしょう?」

「ああ、まあ、最初からインゴットを仕入れてる所に比べたら、時間はかかるな。そう言うアンタも鉱石で良いって言うぐらいだから、自分で精錬するんだろうが」

「まあね。んー……」

 私の場合はスキル使ったインチキ仕様だから、手間は比較にならないけどねっ!

 でも、おじさんは真っ当に精錬している訳で当然かなりの手間が掛かかってるはず。おそらく銀製武器の予約注文も入ってる状態で、値段の関係で厳しいとはいえすぐに使えるインゴット状態の銀があれば嬉しい…よね?

 交渉できるかな?

 

「ねぇ、二山分けて貰うとして…銀のインゴット何個分の手間賃?」

「あ?」

「いや、二山分けてもらうのに、銀のインゴット何個くらい精錬したら見合うかなって」

 そう言うと、おじさんは暫く悩んでやっぱり首を傾げた。

「あんまりそう言うのは考えた事ぁないが…そうだな、五本もあれば当面は大助かりだ。あんたが精錬してくれるのかい?」

 ニヤリと笑ったおじさんに、にっこりと笑顔を返し…交渉成立って事でいいよね?

 銀鉱石格安でゲットですよっと。

 

 精錬してくれるなら炉を貸そうかと言ってくれたけど…むしろ、真っ当な精錬方法は私には無理なので丁重にお断り。

「じゃあ、ぱぱっと作るから」

「はぁ?」

「【鍛冶:シルバーインゴット】…五個」

 ゲーム内では一個か最大数かで個数指定は出来なかったけど、さて…?

「うお!?」

「あぶなっ!」

 棚に積んであった銀鉱石が光ってゴソッと削れ、何となく差し出していた手の中にインゴットが五つ…そして、落下。

 …咄嗟に避けなかったら足の上に落ちる所だったわ、あっぶなー…。

「アンタ…魔法鍛冶師だったのか」

「魔法鍛冶師?」

「…おい、まさか知らなくてやってるのか?」

 知りませんよー、ゲーム内では聞かなかった職業だもの。

 

「何でエルフのアンタが使えるかとかは聞かねぇが、常識だぞ?」

 おじさん曰わく、鍛冶スキルを使える人はそう呼ばれているそうで、基本的にドワーフにしか出来ないんだとか。

 …まあ、ドワーフはゲーム内でも種族スキルとして初めから鍛冶も含めた生産系スキルのLv.1を持ってたから、ドワーフは生まれながらに持ってるんだろうね、多分。

「通りで、綺麗な手してらぁな」

「いやぁ、あはは…」

 確かに自分でも生活感の薄い綺麗な手だなと思うけど、一応今の所は不都合ないので大丈夫。

「まあ、約束だ二山持って行くと良い」

 銀鉱石を二山貰ってアイテムボックスに放り込む…おや、この数ならインゴット三個は出来るわ、ラッキー。

「…おい、今、鉱石消え……」

 そこは是非とも突っ込まない方向で。

 

 

「あ、ゼン、ちょうど良い所に」

「おう、お帰り。何か俺に用事か?」

「うん、後でカリナと一緒に部屋に来てねー」

 宿に戻って、ちょうど出くわしたゼンに用事だけ伝えて早々に部屋へ。

 隅っこにある小さな机に椅子を引き寄せて、アイテムボックスから幾つかの物を引っ張り出して置いていく。

「ええと…銀が1、鉄が2、皮が1…と光石3つ、と」

 銀は先ほどの鉱石をインゴットに精錬したもの、皮は例の灰ウルフの毛皮を嘗めしたもの、鉄と光石はアイテムボックスに元々あった在庫…ま、初心者向け装備だと材料もこんなものよね。

 作る予定の片手剣とツインダガーは材料の量が同じ、しかも少な目だから比較的お手軽。

 それを二セット用意出来た所で、ちょうどゼンとカリナがやって来た。

「カリナ連れてきたぜ」

「リーン、呼んだー?」

「丁度良かった、こっちに来てくれる?」

 二人を手招くと…何故か机の少し手前でピタリと足を止めた。

「何か…高そうな物がいっぱい……」

「たかだか銀のインゴットだってば、どれも大した物じゃないよ」

 いや、本当に大した物じゃないのよ。

 ミスリルとか金以上の素材があるせいか、銀なんて鉄よりちょっと高いくらいのお値段だもの。

 

「ゼンは片手剣で良いとして、カリナはツインダガーとか使う?」

「つ…使う、けど……」

 何で、カリナは目を逸らすのかなー?

「カリナなぁ、使い方が荒くてすぐダメにしちまうんだ。んで、二本だと修理代やら研ぎやらが馬鹿にならなくてなぁ……」

「ああ、そう言う理由なら大丈夫かな」

 まあ、どんなに荒い使い方でもレイス斬って刃こぼれするとは思えないし?今回は問題ないでしょ。

「それじゃあ、まあ…【鍛冶:シルバーソード】」

 材料がピカッと光って、キュルルっと纏まって、もややんと大体の形になって、鞘に収まった状態の片手剣がポンと完成。

 ゼンとカリナどん引き…ゲーム内まんまのエフェクトとは言え、流石に私でもちょっと引くわ。

 鍛冶屋のオジサンに見せなくて本気で良かった…。お手軽すぎてマトモな鍛冶屋さんが見たら卒倒するね!

「はい、ゼンにあげる」

「はぁ?!」

 気を取り直して、出来上がったシルバーソードをゼンに押し付ける。

 ただのシルバーソードではないのよ?

 材料に光石という属性素材を追加してあるから正しくは『シルバーソード 光属性+3%』という代物ですよー。

 単純素材で材料を追加する余地があるものに限るけど、属性素材や染料を追加する事で特定の属性を付加したり通常とは違ったカラーの物が作れたりするの。ただ、レベル制限の無い物でも材料を追加すると最低Lv.50の制限が付くのよね。

 まあ、ゼンとカリナなら制限が付いても問題無いんだけど。

 

「【鍛冶:シルバーツインダガー】……はい、こっちはカリナね」

「わ、私っ?!」

 同じように光属性付加のツインダガーを作って、カリナに押し付ける。

 これで出来そうな対策一つ目が一応完了。

「両方ともほんの少しだけど光属性が付加されてるから、レイスでも普通に斬れるよ」

「なにっ?!」

「ホントに?!」

 それはもう、武器の威力に3%の属性分の威力が上乗せされ、さらにレイス相手なら弱点属性のボーナスも入るはずだから今回は効果覿面ですよー?

「……はぁ。お前、魔法鍛冶の技能も持ってたんだなぁ……」

「まあね。とは言っても、コレ通常の銀武器に最低限の属性材料加えただけだから大したことないよ」

「でも、すごいわよ…。属性材料って言ったけど、魔法で属性付加したのとは違うの?」

「作る時に属性を帯びた材料を加えるの、後付けは私じゃ無理」

 後付けは別途スキルが必要で、そもそもドワーフの高位職でしか覚えられないし?

「属性を帯びた材料ってのは…」

「ああ、今回使ったのはこの光石」

 手のひらに三つほど白い石を出して見せたら…え、ちょっと、何で退くの?!何なの、その信じられないもの見たような目はー!!

 

「リーン、お前ソレ何処で手に入れた?」

「え?アイテムボックスのストックだけど?」

「いや、ストックになる前の話だ」

 両肩をがっしりと…ん?何かデシャブ?

「自分で作ったやつだけど?」

 え?え?何で二人とも顔真っ青?

 属性石の材料ってそこらへんにある“魔力を帯びやすい小石”だし、生産Lv.1で作れるような物だから、ゲームでは初期に大量生産され大量売却される資金稼ぎの定番だったのに…。

「…作れるのか?」

「作れるよ?」

「光石だけか?」

「いや、普通に全属性」

「信じられない……」

「作ってみせようか?」

「止めてっ!!」

 そんなに必死で却下するような物なの?

 

「まぁ、聴け。光石はなぁ…光属性の強い限られた場所でごく少量のみ採れる超貴重品だ。流通、産地共に国が押さえてるから、まず一般人じゃ手に入らねぇブツだ」

 …ゼン、顔コワいよ?

「あと、闇石に雷石もね。風石は国によるけど…一つ言える事は属性石全般があまり安い物じゃ無いって事。作れるなんて言ったら、確実に国単位で狙われるわ」

 あら嫌だ、たかが消耗品の属性石のクセに作れると国に狙われるって…ナニソレ怖い。

 …使い捨てのトラップ系作るのに一つ上のランクの属性結晶使うって言ったら、ひょっとして二人とも気絶する?

「わかった、一応自重する。作る時もこっそりやる事にする」

「こっそりってなぁ…いや、まあ、それでいいか。あー…一応、裏技的にだが、火石、水石、氷石あたりなら俺の実家経由で手に入れてると言えばどうにかならなくもない」

「ゼンの実家って?」

「そこそこの規模の雑貨問屋だからな」

「そうね、ギルドのSランクの相手になら便宜はかっても不思議じゃないもの」

 ギルドのSランクならいいって…何だか薄暗い臭いがしてヤな感じ。

「ああ、心配すんな。便宜っても確実に適正価格で手に入れられるツテってだけだ、Sランクなら持ってておかしくない人脈だぞ」

「それなら、まあ…」

 ツテコネって一般庶民な日本人にとってかなり抵抗感じるんですが…今は仕方ないかー……。

「つーか、属性石作れるって事が驚きだ」

「…案外ドワーフなら作れそうな気がするんだけど」

「それはありそうな気はするわね…でも、表には出さない技術なんじゃない?理由はさっきも言ったけど」

 国が引っ張りだこ、ね…それならいっそ公開して広めた方がリスク減るんじゃ……?

 

「…あぁ、でも、仮に作れたとしてやっぱり得意じゃないって事にはなるかも。最低限、対応した属性の魔法を何かしら覚えてないと駄目だし」

「…つまり、どういうこった?」

「んー…必要なのは、まず当然生産スキルがLv.1以上、それと属性石のレシピ、後は作りたい属性石に対応した属性の魔法何でも…こんな感じ?」「魔法とか言ってる時点でドワーフにも無理だろ」

 まあ、ドワーフも魔法は得意じゃない種族だからねー、種族特徴は余りゲームと変わらないみたいだし?

 うーん、しかし本気で属性石がコレだと結晶とかオーブだとどうなるんだろ?

私的に属性結晶までは材料としてバンバン消費しまくってたから、認識改めろと言われても実感が……。

 一応、今のうちに聞いてみようかな?

「あ、ねえ、属性石の希少性はわかったけど、結晶とかオーブって……」

「うぉい!今、何かヤベェもん聞いたんだが!」

「だから、結晶とオーブ…」

「止めてよ!もう私のキャパ越えてるものっ!」「いや、その……」

 拒否反応まで…そこまで拒否されると、流石に切ないんだけど……。

「そもそも、そんなもの作って何に使うのよ?!」

 さっきから言ってるけどトラップ系、もちろんそこそこの武器防具の作成にも使うし、オーブで言えば……。

「『フィロソフィアス』の材料とか…?」

 ボソッと言ったら、見事に二人揃って床にOTZな感じに…。

「もうイヤ…聞きたくない……」

 …とりあえず、今後はこっそり作って出所は笑顔で誤魔化した方がいいかな?

 

 

 というか、この後パーティー強化計画のその二が控えてるんだけど大丈夫?

 

 

 

 


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