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◇荒療治、うっかり派生している事も

 

 

リアルタイムでお読みの皆様方、遅くなりまして。

今回含めてあと二話くらいで一段落です。

 

子供達が健気で可愛いと感想頂きましたが…それ、誤解ですよ?

 

 

 


 

 翌日は昼間までたっぷり睡眠を取って、午後は街観光と言う名のマッピングの続き…有意義な一日でした。

 よくあるような拒食症系の反応は全く無し、宿のご飯は普通に美味しくいただけました。…意外と私の精神って鉄壁?ま、鉄壁なら鉄壁でありがたい話、今は特にね。

 

 さらに次の日、ゼンの「フォグキャップ行ってみるか?」の一言で、フォグキャップでの比較的簡単なお仕事を探してギルドへ行く事に。

 ひょっとして…密に私の言ったこと気にしてた?

「あ、じゃあ、お仕事終わったらリーンさんのパーティー加入のお祝いしましょう!」

「いいわね!じゃあ気合い入れて仕事探さないと」

「おいおい、程々にしろよ。うっかり手に負えん仕事掴むんじゃねぇぞ」

 非常に和気あいあいと、五人パーティーで初のお仕事ですよー。

 

「「お兄さん!」」

「うわぁ!?」

 …で、何で私はギルドに入った途端に子供二人にタックル受けてるの?

 泣いてる子供二人を腹にしがみつかせてるとか…周りの大人の方々の視線が痛すぎなんですが……。

「お母さんの病気が治らないの…!」

 …どうやらイベントは続行中のようですよ?

 

 

「落ち着いた?」

 二人を引き剥がし、宥めてすみっこのテーブルを確保して…ようやく話を聞ける状態に。

 ゼン達が周囲の視線を遮るようこっそりバリケードっぽく子供達の後ろに…感謝。

「一応言っておくけど、アレが偽物って事は無いからね?」

「はい、薬師さんにもそう言われました」

 ああ、お母さんの病気が治らなかったから、渡した薬を見せたのかな?

「お母さんには『万能薬』飲ませたんだよね?」

「でも、全然ダメで…」 単に万能薬じゃ対応出来ないからだと思うんだけどね…だって、ゲーム中の設定でも万能薬って言う割に治せるの物理系の状態異常だけだったし。

「お医者さんには診せたの?」

「診せてないです」

 …なんでそれを平然と言えるのかなー?

「あのね…じゃあ、どうしてお母さんの病気が万能薬で治るって判断できるの?」

「薬師さんにお母さんの病気のこと言ったら、万能薬って…」

「それ、駄目」

 子供二人がびくっと身を竦ませたけど…ここは、譲らないからね?

「世の中には大まかな状態じゃ見分けのつかない病気なんていくらでもあるのに、最低限どんな病気なのか正しくわからないと対処出来なくて当たり前。判断間違った時点で手遅れなんて、普通にあるんだからね?」

 ゲーム中の状態異常も然り、毎分5%ダメージの『毒』と毎分15%ダメージの『猛毒』を一緒に考えてると上級者プレイヤーと言えども簡単に死ねるよ?

 これだけそっくりな世界だからこそ、ここら辺違うとは思えないんだけど?

 

「リーン、それくらいにしといてやれ。普通はそんなモンだぜ?」

 お説教が一段落ついた所で、ゼンが子供達のフォローがてらに医者事情を教えてくれた。

「医者を呼ぶとなると、まずお伺い立てて何日のいつと決める。決まったら決まったで、往復の足代、診察費、薬が出れば薬代…往診受けるにゃ最低限それだけかかる。所によっちゃ暗黙の了解で謝礼も出さなきゃならねぇ…大事だろ?」

 さらに、街にはそれぞれ医者の縄張りがあって、それを無視して別の医者に頼ると次から診てもらえなくなると…何その悪習。

「そもそも、普通に怪我したとかなら神殿の方が速い上に安上がりだ。正式な神官は間違い無く治癒魔法使えるしなぁ」

 …なるほど、そう言う住み分けなのね、神官は怪我、医者は病気…と。

 

「まぁ…事情はわかったよ。だからって、話聞いて薬渡すだけじゃ多分また同じ事の繰り返しだと思うんだけど?」

 一応、万能薬を渡す事になった経緯をゼン達に話したら、四人とも大きな溜め息…だよねぇ?

 これだけ関わった今となっては、見捨てるって選択肢も無いんだけど…。

「私は医者じゃないから、病気の場合は判別付かないんだよね」

 そう言うと、ロズが何か思い当たったようで聞いてきた。

「…今の言いようだと、判別がつく場合もあるように聞こえましたが?」

 おや、鋭い。

「状態異常に分類されるものなら、あるいは?」

「んじゃ最低限、状態異常か何かしらの難病か位は見分けが付くって事か?」

「そうだね」

 状態異常ならステータスにマーカー出るからそれで判別可能…かつ、状態異常なら基本的に治せない物は無いし。

 

「勿論、治せるなら治すのは吝かじゃないけど…コレって、『治して!』『良いよ!』でやっていい事?」

「あー…良かぁねえな、後で間違い無くギルドから注意受けると思うぜ。通常は高額依頼の最たるモノだからな」

 違約金が発生する類いの依頼かと確認すれば、ゼンはあっさり頷いてくれた。

 ですよねー…人命のかかった、期限付きの依頼になるものね?

「まあ、非正規でも依頼を出させる事だな、そうすれば一応契約挟んで仕事を受けたって事で体裁は整う。報酬はこの子らがどうにか出来る現物か金銭かにすればいいだろう、内容的に張り出せんって事は無いはずだ」

 なるほど、非正規って怪しい響きだと思ってたけど、こんな場合も非正規になるんだー。

 どうせ受けるんだろうからとゼンがアドバイスをくれたので、急いで子供達に依頼を出してもらった。治療の方は確約できないから一応「可能なら」って感じではあるけどね…。

 

「お兄さん、こっちだよ!」

 ゼンの言った通り依頼自体は非正規扱いで張り出す事に問題は無かったんだけど、私が受けるって言った途端に受付嬢にはかなーり渋い顔されたけどねー。

 今は子供達に家まで案内してもらってる所、ゼン達も気になるからって同行してくれてる。

「本当に花篭いっぱいの白いお花でいいの…?」「うん、自分で摘むのはちょっとねぇ」

 花屋で売ってるのを見て聞いてみたら、森で普通に手に入るという事でそれを報酬にさせてもらいましたよ。何というか、ゼンは気付いていたみたいなんだけど…どうも自力での植物系素材の採取厳しいっぽい?

 昨日街歩いてた時に何かチクチクするなと思ったら、毟られてる庭の雑草の悲鳴だったって言う…ブルーな現実。悲鳴上げるのわかってて薬草の葉っぱ毟るなんて…できるか!

 という事で、白いお花ことアイテム名『シリカ草』を報酬にお願いしてみました…コレを材料に作れるある物が欲しいのよ、切実に。

「お兄さん、ここ!」

 街の外壁に程近い、込み入った所にある一軒家が子供達のお家でしたよー。

 

「お邪魔しまーす」

 見知らぬ大人が五人もぞろぞろ入って行くってどうなんだろ?…まあ、気にしたら負けか。

 中は薄暗く石組みの壁がそのまんま…確か外壁に近いほど貧しいんだったっけ?内装が木製じゃないのは貧しさ故ってやつかな…。

「お母さんは?」

「こっち」

 奥は半分がカーテンで区切られていて、すぐ側のベッドに女の人…何か気配が明らかにヤバそう。

「……げ」

「どうした、リーン?」

 ほとんど条件反射で見たステータスが…赤点滅、いわゆる瀕死状態。そして、ステータス欄に表示されてるのは紺のマーカー…精神系状態異常『呪い』。

 

「なんで普通の奥さんぽい人が『呪い』なんて受けてるの?」

「『呪い』だと!?」

「だから万能薬じゃ効かなかったんですね」

 フィーリーは納得したように手を叩き、他三人は青ざめ…お子様二人はどうも『呪い』がわからないようで首を傾げていた。簡単に言えば、体力と魔力がジワジワ減っていく状態異常で減少量が微々たる物な為、多少放置したくらいでは大して痛くも無いはず…なんだけどね?

 どれだけ放置されてたか知らないけど…お子様達、君達のお母さん本気でピンチよ……。

「お前…『呪い』なんてどうにか出来るモンか?」

「出来るよ『呪い』ならね。そう言えば、フィーリーは?」

「あぅ、私は呪いの解呪はまだ…」

 まあ、別に自分が受けた依頼だから頼るつもりは無かったし問題ないけどね。

「解呪なら『聖水』でもできるけど、アレは神殿だっけ?」

「はい、神殿で手に入りますけど…それなりにお布施が……」

 となると、『呪い』だと判断できても金銭的理由で治せないのは同じだったかもしれない…か。世知辛い事ね。

 

「それじゃ、さくっと治しちゃいましょうか。【スピリチュアル・キュア】!」

 指先に灯った光球が弾けて白い光の雨が降り注ぎ…解呪完了。

 状態異常のマーカーも消えてるし…と思ったけど、相変わらずの瀕死状態だし体力も回復しておいた方が無難かな。

「オマケで…【ヒール】」

 光の球が吸い込まれると赤くなっていた体力ゲージが…え、これで全回復!?よ、予想外の体力の少なさにちょっと驚いたけど…レベル差百倍以上ならこんなもの、だよね?

「ん…あら、苦しくない……?」

「「お母さん!」」

 すぐに目を開けて体を起こした母親に子供二人が飛び付き、それを戸惑ったように撫でて視線は此方に。

「あの…どちら様ですか?」

 ふっ…テンプレ頂きましたー。

 

「この子達がご迷惑を……」

 一部端折って事情を説明したら、非常に申し訳なさそうに奥さんに頭を下げられた。

「何故呪いなんて受けたのか理由を聞いても?」

「えぇ……」

 …はい?夕方に帰って来ない子供二人を探しに出たら、レイスに出くわした?墓守り不在を良いことに、墓守り小屋の裏に街の子供が秘密基地作ってるって?

「…早々にその秘密基地は取り壊した方が良いかと。今回被害者が出ていますし、反対は無いでしょう」

 超反省しなさい子供達、今回本気で君達の自業自得ってやつなんだから。

「えぇ、他の子達の親に言って皆で取り壊そうと思います。それで依頼の報酬の方は……」

「ご心配無く、この子達の払える範囲で現物支給にさせて頂いていますので」

 そう言うと、やはり心配そうに子供達を見て…手伝うつもりなんだろうなぁ、この奥さん。

「あのね、森に咲いてる白いお花を籠にいっぱいって!」

「…本当にそんなものでいいのですか?確かに正規の依頼料を払うのは無理ですけれど……」

 ふむ、奥さんはギルドの依頼事情知ってるのね…これが本来は高額な依頼だって事も。

「一身上の都合で植物を摘んだりする事に少々問題がありまして、此方的には意味がありますので大丈夫です」

 依頼事情とかの知識があるなら大丈夫かなと思って、耳が見えるように髪をかき揚げてみせる。

 …あれ、奥さんが青ざめた?

「も…申し訳ありません!まさか、エルフの方の手を煩わせるなんて……!」

 はい?いや、そんな土下座しそうな勢いで頭下げられてもっ…だから、仕事ってば…!

 

 

 ミッションコンプリート…でいいの、コレ?

 

 

 


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