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◇冒険者始めました!

 

爆弾の大盤振る舞いですね、わかります!

一応「〇〇始めました!」がひと段落…かな?

 

どこかにギルドのシステムやらの解説を載せた方がいいのかね?

 


 

「まあ…パーティー云々の前に、まずはギルドに登録しなきゃいけないんだけどね」

「問題無えよ。パーティーのランクはパーティーメンバーの過半数のランクで決まるからな、俺らの場合は1人2人なら変動は無いぜ」

 …と言うことで、再度ギルドの受け付けカウンターへ。

 結局、ベヘモットの報酬は全員分で銀貨10枚しか受け取って貰えなかったんだよね。パーティーとして受けた仕事の報酬はパーティー共有の物、個人で受けた仕事の報酬は個人の物っていうのがこのパーティー内の少ない決まり事なんだって。

「でも、多少入れてくれると嬉しいわね、一割くらいでいいから」

 とは、このパーティーの財布を預かるカリナの台詞。シーフの誇りに賭けてきっちり管理してるからと言っていたけど…何か違わない、ソレ?  因みに何気なく銀貨と銅貨をアイテムボックスに取り込んでみたら、今まで全て金貨だった所持金表示の後ろに“:”で区切られて銀貨と銅貨の欄が増えた…これ、化けてるの?仕様なの?

 

「いらっしゃいま…お渡しした代金に何か不備がありましたでしょうか?」

「いや、俺じゃねえ」

「ギルド登録したいんだけど、大丈夫?」

 にっこり笑顔で前に出たら、受付嬢が目を見開き、次にほんのり頬を染めて「少々お待ちを」と言って奥に下がった。

「……オイ」

「笑顔一つで全て円滑に行くなら万事オッケー」

 わざとですよ?ゲーム内でもプレイヤーの女の子達に散々同じ反応されれば、いい加減自覚するってば。

 正統派なエルフの外見でにっこり笑うとけっこうクるとか…確かにキレイ系の外見だけど、そこまで?一身上の理由でカンストしてる魅力値の影響かとも考えたけど、そんな阿呆な仕様に誰がするかと弟に突っ込まれたし。

 

「お待たせしました」

 何時も通りの表情で戻って来た受付嬢が、カウンターの上にあるオーブの台座の切り込みにカードを差し込んだ。

「ギルド登録にあたり、ギルドの説明は必要でしょうか?」

「お願い」

 受付嬢曰わく、ギルドのランクはFからSまでで、冒険者として扱われるのはE以上との事。仕事をする気があるとみなされればすぐにEに上がるから、Fは駆け出し又は戦力外扱いの目印なんだって。

 後は依頼の受注の仕組み…ランクに見合わない依頼は受けれない事は勿論、期限のある物や一定以上の報酬額がある物はキャンセルしたり失敗したりすると違約金が発生するという事、討伐系の依頼はギルドで指定した部位を討伐証明として提出する事…などなど。

「他にも細々したことはありますが、必要な事は依頼をお受けになる際に説明致しますので、ひとまず以上を覚えておかれれば良いかと思います。以上、宜しいでしょうか?」

「うん、大丈夫」

 大半が何処かで聞いたことあるような内容だし、この程度なら問題無いですよー。

 

「では、念のため重複登録の照会を致しますので、オーブに手を当てて下さい。問題無ければギルド証の発行に移りますので、暫くそのままでお願いします」

 言われた通りに薄く光るオーブに手を置くと、少し光が強くなった。

 光っているけど温かい訳でも無く、透明感のある乳白色は光っているとますますオパールみたいですごく綺麗。…多分、色的に光属性のオーブをベースに何か手を加えてるんだろうけどね。

「…あら?ひょっとして…以前ギルドをご利用された事がありますか?」

 はい?

 

 ここ、異世界だよね?ね?

「確認させて頂きますが…お名前は、リーンさん?」

「ああ、うん」

「種族はエルフ、職業は…精霊騎士?…間違いないですか?」

「そう、だけど…」

「かなり古い物ですが、確かに記録が残っていますね……」

 な、何で異世界に私の活動してる記録があるの…?

 まさか、誰かの身体に憑依してる…?でも、それならどうしてアイテムボックス他ゲーム内のシステムが使えるの?

 名前も職業もレベルやステータスに至るまで同じで、アイテムボックスの中身に果ては発動中だったスキルも着ていた装備もそのままって…どう見ても憑依なんて有り得ないのに。

 なんか…嫌な予感が……。

「最後のご利用は…グラディアル歴2953年!?い…今から数えて、ご、500年前、ですね……」

「……マジか?」

 引きつる受付嬢の笑顔…あは、カウンター周辺が凍ったね…どうしよっか……?

 

「ギルド登録…重複になるの?この場合は?」

 おそるおそる受付嬢に聞いてみれば、一瞬笑顔が崩壊したもののすぐさま取り繕って答えてくれた。…素晴らしきかな、プロ根性。

「い、いいえ…このギルド証のシステム自体が300年ほど前に確立したものですから、それ以前にご利用なさっていた方には功績に応じたランクを付与した上でギルド証自体は新規発行させて頂きます。代金は勿論不要です」

「代金?」

 入会金とか取るの?

「そういえば、説明がまだでしたね…紛失や破損した場合は重複登録が出来ませんので再発行という事になりますが、その場合は代金として金貨1枚頂く事になっています」

「けっこう高いね」

「ええ、カード自体がドワーフの方に作って頂いている特別製ですので」

 しかも、素材がオリハルコンの合金らしいとか…それ自体が十分高級品じゃない、ギルド証って。

 

「確認するけど、登録に問題は無いんだよね?」

「はい、今回は過去の功績相当のギルドランクを付与した上で、カード自体は新規に発行させて頂きます」

 発行して貰えるならとりあえず良しとしないと…発行してもらえないのが一番困るし。

「職業は任意に登録可能ですが、どうなさいますか?」

「えっ…任意で良いの?」

 そんな適当で良いの?何か一瞬、経歴詐称とか頭をよぎったんだけど…。

「はい、職業が公になる事を良しとしない方は比較的多いですから、職業は自己申告とさせて頂いております。最低限、魔法主体か物理攻撃主体かが判れば依頼の受諾には問題ありません」

 …ああ、そっか、暗殺者がまさか職業アサシンで登録なんかするわけないよね。国家の要人もしかり。

「じゃあ、魔法剣士って大丈夫?」

「では、そのように。『草の環』のパーティーリーダーの方同伴という事は、パーティー登録も同時になさいますか?」

「おう、頼む」

「では、カードを翳して下さい」

 ゼンがカードを横に翳すと、オーブの光が少し強くなって暫くして収まった。

 

「はい、こちらがギルド証になります」

 オーブの台座から抜いたカードを手渡されたので確認してみると、カードの上半分に文字が少しだけ…こんなもの?

「通常は名前と登録した職業、パーティーに所属していらっしゃる場合はパーティー名の三つのみが刻まれた状態ですが…オーブにカードを翳して頂けますか?」

 言われた通りに翳すと、空いていた部分に光で文字が浮かび上がる。

「種族、レベル等はギルドにあるオーブに翳していただくと確認できます。一番下の欄はギルドに預金なさっている金額となります」

 銀行と似たようなサービスもあるそうで、銀行のように金利が付かない代わりに手数料も無料、ギルドが空いてさえいれば何時でも利用可能との事…報酬をこちらに直接入れるのも可能って?

 何かやたらと近未来なサービスやってるね、冒険者ギルド…。

「一応、確認させていただきますと、リーンさんの現在ランクは…え、S?レ、レベルは…1982!?」

 あ、バレた。

 レベルが50平均の世界じゃどうみても地雷ですね!勿論、どうしょうもないけどね!

 

「ちょっと来い、こっち来い、さー来い」

 登録自体は終わったからいいんだけど、固まってる受付嬢放置してゼンにギルドの隅っこまで引っ張ってかれたのは何故?

 何だか、一部のお嬢さんが喜びそうな構図になってますよー…。

「良いんだな?本当に俺らのパーティーで良いんだな?」

「いいよ?」

「自慢じゃないが、俺らのパーティーランクはCだからな?報酬も仕事内容も地味だぞ?」

「むしろ、地味歓迎?そもそもランクで決めた訳じゃないから、関係無いよ」

 そこまで言って、ゼンが少し肩の力を抜いてうなだれた…まあ、諦めて?

「良いんだな?」

「二言は無いよ、むしろそれはこっちのセリフ」 今から爆弾発言を投下しようとしてるのに、それじゃあまりに頼り無いよ、ゼン?

「こっちも二言なんてねえよ」

 ほら、明らかに様子がおかしいから、カリナ達も心配して見に来てるし?そんな申し訳なさそうな顔しなくて良いのに…今からさっそく迷惑かける気満々だから、私。

「良かった。じゃあ、さっそく一つ迷惑かけていい?」

「は?」

「あのね…500年分の記憶、キレイサッパリ無いみたいなんだよね、私」

 定番ですが、私この先これで通そうと思います!

 

 ん?今、チーン…とか効果音みたいなの聞こえなかった?

 

 

 

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