◇道行き始めました!
ギルドへGo!
そして主人公の地雷の所持数は着々と増えてゆきます。
「まあ、色々あって日曜学校にもまともに行けてねぇから知識が不足してんのはしゃあねえなぁ…」
訳ありですね、わかります…でもそこは突っ込まないのが大人の嗜み。 ゼンとカリナとフィーリーは幼なじみだそうで…まあ、何となくそんな雰囲気はしてたけどねー。
食後に外に出てびっくり、確かに街だとは言っていたけど…ねぇ?
「うわぁ…人多いー…」
「おっと、そういや人混みは平気だったか?」
「それは、平気。活気あるのは良いことだよね、うん」
いやぁ、もう、見事な街になっちゃって、まあ。あの過疎著しい村がここまで発展したかと思うと、感慨深いことこの上ないわ…。
宿屋の中はほぼ木造だったけど、外は木造漆喰な北欧風の外観でした。道も石畳になっていて、古き良きヨーロッパの街並みと言った風情。
うーん…ゲーム内とどれくらい時間のズレがあるのかと思ってたど、ここまで発展するには10年やそこらって感じじゃないよね…?
「一応、今時間はまだ込んでない方なんですよ。もう少しすると夕飯の買い出しとかで人増えますけど」
街のメインストリートと言えるこの辺りは、商店と雑多な露天が入り混じってけっこう人出は多い。
「あの宿なかなか良いから定宿にしてるんだが、ギルドまではちっとばかし距離があるのが難点っちゃ難点だな」
宿屋があったのはメインストリートからは少しズレた場所なので、どっちかと言うとのんびりした雰囲気だったけど。 そうそう、今はゼンに連れられてギルドへ向かってる真っ最中。何でも例のベヘモットはギルドに解体を依頼して素材は全て換金したとの事。
こちらのギルドって獲物の解体のサービスとかもあるのねー…まあ、倒したら素材だけ残るゲーム内ではそもそも必要無いんだけど。
「まぁ、けっこうな手数料取られるから、頼むかどうかは獲物によるけどなぁ」
魚屋で有料で魚捌いてくれるようなものかな?なかなか良いサービスなんじゃない?
「…そういう訳だが、換金して問題なかったか?」
「ああ、それくらいわざわざ良いのに」
「いやいや、倒したのお前じゃないか」
「いいよ、別にベヘモットの素材くらい。何だったら、立て替えてもらってる宿代とかに充ててもらえばいいし」
ベヘモットの素材自体の使い道が少なかったからあまり狩る事なかったけど、確か売り払っても宿代くらいにしかならなかったような…?
「冒険者10人以上で狩るような獲物の素材がそんな端金なわけねぇだろうがよ」
呆れられたけど、未だに相場も貨幣価値すらもわかんないので何とも…。
今後の事を考えても貨幣価値は知っておかないと拙いんだけど、聞くのは明らかに不審だよねぇ…今更な気はするけど。
とりあえず、聞く前に自力でどうにかならないものかと、まずは周りの露店での買い物客を観察してみる事に。
使われてるのは10円玉っぽい茶色の硬貨と100円玉っぽい銀色の硬貨。対して、思い立って手の中に出してみたゲーム内の硬貨は金色の500円玉サイズ…使えるの、コレ?
仮に使えなかったとして素材が金なら換金すれば良いんだけど、メッキだったら無一文に等しいんですが?
むむむ、差し当たりベヘモットの素材を売却した代金を宿代なりお礼なりでゼン達に渡すとして、早急に金策しなきゃ拙いかも…。手持ちのポーション系を売り払うにしても、値段交渉とかになったら買いたたかれない自信無いしー…。
ここは今更ってのもあるし、素直にゼン達に聞いて置いた方が安全っぽいなあ…。ここぞとばかりに、エルフなら仕方ないなって笑って済まないかなぁ?
「ねえねえ、ゼン」
「何だ?」
「コレって使えるー?」
あ、ゼンが固まった。
「ちょ…おまっ…こっち来ようかー?」
途端にゼンの腕に、がっしりと肩をホールドされた。
「へ?」
「しっかり握っとけ、絶対落とすんじゃねえぞ?」
不自然に張り付いた笑顔で、ごく自然に人気の無い路地へと引っ張り込まれた。
「え?何?」
状況を理解出来て無い私を囲んで周囲を警戒し、本当に人気が無い事を確認してから頷きあった。
「カリナ、鑑定」
「もうしてるわ、本物よ」
ありゃ…もしかしなくてもコレ、ヤバい物体?
「街中でなんつー物を出して来るんだ、全く」
「コレ、持ってるとおかしい物?」
「持ってる事自体はギリギリおかしくない。だがな、基準金貨なんぞそうそう一般人が持てるモンじゃねえんだよ」
基準金貨?コレのこと?
ゲーム内では聞かなかった単語だけど、金貨って事は貨幣として使えるっぽい?それとも換金アイテム的なお宝系?
「基準金貨って?」
「そっから説明が必要かよ…」
ガリガリ頭を掻いたゼンが顔を覆って天を仰いだ。
要約すると、ある国が発行している何処の国でも金貨として使用可能な高品質な金貨…という事、らしいです。
「国によって多少上下しますが、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚と思っていれば良いと思いますよ」
「ふーん」
「ふーん、じゃねえ、ここは驚くとこだ」
そんなに深い溜め息をつかれても…。
「コイツを日常的に使うのは、国家間を行き来するような大商人くらいのモンだ。だが、1枚2枚なら俺らみたいな冒険者は持っててもおかしくはねえ、ギルドの報酬が金貨の場合はコレが出るからな」
「報酬が金貨って割と良くあるの?」
「国、王族、大貴族辺りが依頼者なら多分?」
…つまり、大口の依頼を受ける実力と信用があれば持っててもおかしくないと?…ダメじゃん、ソレ。
「まあ、稼いで国を移動する時に手数料払ってでも基準金貨に変えて…ってのは普通にやるがな」
…主にこっちの理由でなら持っててもおかしくないのね、なるほど。
普通の商店では使えない事、両替には信用の置ける確かな両替商を使う事などを教えてもらって、どちらにしろトラブルの元になるから迂闊に人前では出すな…と釘は刺されました。出さないってば、金銭絡みのトラブルなんて御免ですよー。
しかし、ゲーム内通貨の最小単位がトンでもない事になってますよ、奥さん!
しかもそれを億単位で持ってるという事実…い、言えない、これだけは絶対……。
「ほんと気を付けてよ?シーフギルドで暗殺依頼って銀貨数枚からあったりするんだから。金貨一枚、しかも基準金貨なら尚更持っているのを知られるだけで命を狙われる理由になるのよ?」
ナニソレ、怖い。ってか、人命安っ!
もう一度表通りに戻るのも不自然だと言うことで、そのまま一本入った路地を通ってギルドへ向かう事に。
ベヘモット素材の代金がかなり高額で、表からは目立って自分達もマズいかもって…えぇえー…。
「あ、ねえ、リーン」
「ん?」
「スキルの話なんだけど…」
「ぁあ、【鑑定】の?」 追いついて横に並んだカリナが頷いた。
「良く考えたら、鑑定の段階はあるのかなって思って」
「うん?」
「【鑑定】を覚えた当初ね、お前にはまだ無理だって道具しか鑑定させて貰えなかったのよね」
練習がてら道具自体は色々鑑定させてもらえたけど…と付け加えて、カリナはこちらを見た。
「つまりそれが【鑑定 Lv.1】って事?」
「…多分ね」
ああ、なる程…スキルを判別するスキルがなくても経験から大まかに目安は付くのか。だけど…ソレ、何て職人芸?
スキルのマスター度合いを判別するのが親方の勘とか…しょっぱい、しょっぱすぎる…。
「どうしたの?そんな渋い顔して…」
「ああ…いや、ちょっと世の無情を感じただけだから」
「?」
今更ながら、鑑定系のスキルだけで食べて行けそうな気がしてきたんだけど……。
そもそも職探しとか考え始めてる時点で何か色々終わってない、私?




