(9)『夏芭のやりたい事』
○和雑貨houseノ倉・外観(数日後・午後)
○同・店内(午後)
夏芭、レジにいる。
倉戸「(来て)鈴木さん」
夏芭「?」
倉戸「(書類を見せて)これどう思う?」
夏芭、書類を覗く。受け取って見ると、書類は入荷検討中商品(和柄の文房具)
の写真がずらりとある。
倉戸「試しに出してみようかと思って」
夏芭「(見ていて)……欲しいです」
倉戸「(お)!」
夏芭「使わないで飾っておくだけでも可愛いと思います(と夏芭は好印象)」
倉戸「(ほぉー)」
夏芭、倉戸に書類を返す。
客が来る。
倉戸「(客に)いらっしゃいませー」
夏芭「! いらっしゃいませ(と会計を始める)」
倉戸、検討中商品の事を考えながら事務所に戻る。
その途中で内職作業中の沙苗に声を掛けられる。
二人の会話を立ち聞きしていた。
沙苗「オーナー」
倉戸「?」
沙苗「何で鈴木さん雇ったんですか?」
倉戸「…(ん)?」
沙苗「…(と会計中の夏芭を見る)」
夏芭「(商品を袋に入れて)ありがとうございました」
客、袋を受取る。お釣りを待つ。
夏芭「……(と帰らない客に、ん)?」
客「お釣り…」
夏芭「(やっと気が付いて)!」
夏芭、慌ててお釣りを渡す。
それを見ている倉戸と沙苗。
沙苗「(夏芭の様子を見ながら)何でなのかなーって思って」
倉戸「…」
倉戸、持っていた書類の検討中商品の写真を見て思い出す。
○(回想) 和雑貨houseノ倉・事務所(3週間前・1月上旬・午後)
倉戸「ここ来た事あるの?」
夏芭「…あります」
倉戸「(ふ~ん)」
倉戸が夏芭の面接をしている。
T『3週間前』
倉戸「何でここで働きたいの?」
夏芭「…一目惚れです」
倉戸「…(ん)!」
夏芭「和柄ものが好きでよく小物とか雑貨を集めてまして」
倉戸、和柄コーデの夏芭の身なりを見て、
倉戸「(だろうなぁー)…」
その間夏芭は喋り続けている。
夏芭「そういったお店によく行くんですけど、こちらのお店は私の好みにドンピシ
ャで。ときめいてしまいました。どれも欲しいものばっかりで」
倉戸「…」
夏芭「…まだ、ぼやけてはいるんですけど、私も自分で作った小物雑貨を売りたい
と思っていまして、和柄をメインにした自分のブランドを…。でも、何分経験と
か知識がないのでこのお店で働きながらセンスを磨きたいと思っています」
倉戸「…(ふ~ん)。コンセプトは?」
夏芭「(へ)?」
倉戸「ブランドのコンセプト」
夏芭「…(と考えて)和柄をメインにはしますが、その人の好みに合わせて作りたい
です。(その人の)好きなものと和柄を組み合わせて。デザインから考えるので時
間は掛かると思いますが」
倉戸「(ふ~ん)、オーダーメイドかぁー。恐竜とか車でも良いの?」
夏芭「! (うーん)、イメージでは和柄とボヘミアンみたいな…。でも…そういう事
ですよねー…(と考え込む)」
倉戸「…」
(回想終了)
○和雑貨houseノ倉・店内(午後)
倉戸「…」
沙苗「(倉戸を見て)…好みなんですかー(と内職作業に戻る)」
倉戸「! ! 違うよっ。和柄が好きって言ってたから鈴木さん。店の商品を愛して
くれそうな子だと思ったし。このお店センス良いって褒めてくれたからっ」
沙苗、はいはいと聞きながら作業する。
夏芭「(さっきの客に)ありがとうございましたー」




