『尾行と盗聴』(3)
〇友顕のアパート・居間(次の日・午後・13時前)
友顕、物が多い中ベッドで寝ている。
カーテンは閉まっているが日の光が漏れている。
昼と夜が逆になっている生活。
○夏芭のアパート・外観(午後)
○同・二階の通路(午後)
夏芭、出勤のため部屋から出る。
しっかり戸締まりをする。
○同・前の道(午後)
夏芭「(歩きながら)…?」
夏芭、通り過ぎる時に田岐先生をジーと見てみる。
田岐先生「(それに気付いて)!」
田岐先生、思わず電柱と壁の間に体をシュッ! と納める。
夏芭「!」
× × ×
磐田「(よく見えなくて)? 誰かいるの?」
夏芭「…!」
○和雑貨houseノ倉・店内(午後)
倉戸「見ちゃった…っていう…。その部屋で自殺した人…。幽霊…(と面白がって脅
す)」
夏芭「(真に受けて)…」
○道(夕方・18時過ぎ)
暗いがまだ人気のある道。
夏芭「…(と不安そうに歩いている)」
○工事現場・前の歩道(夕方)
道路整備の鍋山と吉澤が仕事中。
夏芭、そこを通り過ぎる。
○道(夕方)
夏芭、人気のない道に入る。
夏芭が通り過ぎた角から友顕が出て来る。
友顕「(夏芭の後を付ける)…」
夏芭、早歩き。視線を感じ始める…。
友顕「(夏芭の後を付けていて)…」
夏芭、急に全速力で走り出す!
友顕「!」
× × ×
夏芭、一旦止まって息を整えながら後ろを気にする。
前を向くと、前方に田岐先生がいる。
夏芭「!! (と心臓が飛び出る。驚く)」
× × ×
友顕、夏芭にまかれたので、大人しく自分のアパートに帰っていると、
誰かが全速力で走って来る!
友顕「? (と夏芭だと気付いて)!」
友顕、慌ててキョロキョロ。物陰に隠れる。
全速力の夏芭が通り過ぎる!
友顕「…」
○工事現場・前の歩道(夕方)
田岐先生、後ずさり。
鍋山に容易く取り押さえられる。
田岐先生「!」
鍋山「(吉澤に)さつだ、さつ! さつさ呼べぇっ」
じつは密かに見ていた友顕。
友顕「…(と鍋山にビビる)」
○友顕のアパート・居間(夜)
友顕、ヘッドホンを付けて夏芭の部屋を盗聴中。
BGMのように聴きながら夕食を食べる。
田岐先生の声「いつもこんな感じなんですか?」
夏芭の声「…来たばっかりなのでいつもかどうかは…。でも先週もこんな感じでし
た。二回ぐらいうるさかったです」
田岐先生の声「…注意とかは」
夏芭の声「…慣れました」
田岐先生の声「…」
夏芭の声「多分…他の人は迷惑だと思います。けど慣れてしまえば。ホームシック
になると思ったんですけど、隣がこんなんじゃーあまりならないです。まだ、来
て一週間ぐらいしか経ってないんでこれからかもしれないです」
田岐先生の声「…」
友顕「(モグモグしながらも)…」
夏芭の声「逆に賑やか過ぎて孤独を感じれないです(と飲む)」
夏芭、既に酔いは回っているようだ。
友顕「…(とスープを飲む)」
麻美子、台所から来る。座る。
麻美子の声「ストーカーじゃなくて良かったね」
友顕「(ドキッ)!」
友顕、ビクッと動揺で動いた時スープを零す。
友顕「! (と慌てる)」
夏芭の声「ええ?」
友顕、近くにあったティッシュで拭く。
麻美子の声「忙しい時に良いタイミングで電話掛けてくるんですよ。最近付けられ
てる気がする」
友顕「(え)! (と拭く手が止まる)」
麻美子の声「電柱男見た」
友顕「(えっ)?」
麻美子の声「幽霊かもしれない。って」
友顕「(んん)?」
麻美子の声「一人暮らし初めてなんで。東京も慣れてなくて、不安なんだとは思い
ます…。(ニヤニヤして)…けど駆け付けるの遅かったみたいで。(夏芭に)ストー
カーで幽霊?」
友顕「…」
麻美子の声「(ニヤリとして)元気で何より」
夏芭の声「バカにしてる」
麻美子の声「さすがにストーカーはねー…」
実際にやっている友顕。
友顕「…」
× × ×
田岐先生の声「前からこういうリメイクはやってたの?」
夏芭の声「…」
友顕「(耳を澄ます)」
麻美子の声「お祖父ちゃん家が呉服屋なんですよ。遊びに行った時、端切れ貰って
お手玉とか巾着作ってたらしいですよ。作り方教えて貰って。(夏芭に)ねっ」
友顕「(ふ~ん)…」
× × ×
友顕、主にハンダ付け作業に集中しながらも盗聴している。
友顕「(作業中で)…」
夏芭の声「初めて恐竜と組み合わせてみたんです」
○夏芭のアパート・夏芭の部屋・居間(夜)
田岐先生「(ふ~ん)」
田岐先生、キーケースを見ている。
もう酒で酔っている夏芭は今度は制作中のキーケースを見せている。
夏芭「パッと見はレザーでエレガント。開くと(和柄名)と恐竜が小さくコラボレー
ション」
田岐先生「(うん)」
夏芭「もっと主張しても良いかなっては思うんですけど、(和柄名)と恐竜。どっち
かを大きく。両方はうるさくなっちゃう気がするので。私は(和柄名)が好きなの
で(和柄名)の方を多めにしたいんですけど、恐竜が好きな人は恐竜を多めにした
方が嬉しいですよね?」
夏芭、恐竜と(和柄名)をどう組み合わせたら一番良いか少し悩んでいた。
田岐先生、夏芭の意見を聞いて何か考えてみる…。
麻美子、おつまみを食べながら缶ビール四本目をプシュッと開ける。
グラスに注ぐ…。
田岐先生「恐竜を和柄みたいに(配置)するのはどう?」
夏芭「!」
田岐先生「そういう和柄のデザインってあるよね? 恐竜自体を和柄にして。恐竜模
様の和柄を作ってしまうのはどうかな? (とアイディアを出す)」
夏芭「(おおっ)…! めちゃくちゃコラボしてるじゃないですか! (良い! すごく良
い!)恐竜自体を和柄模様にしちゃうだなんて! 面白いじゃないですかー! とて
も参考になります! 先生に聞いて良かったです!」
その考えはなかった! と大げさに興奮する夏芭はとても酔っている。
探せばそういう和柄風の似たようなデザインはあると思うし、
夏芭のパート先で探せばあるかもしれない。
あとは個人で生地のデザインをして注文出来るサイトがある。
夏芭が自分で(恐竜の和柄風デザインの)生地をデザインして作っちゃう。
○友顕のアパート・居間(夜)
友顕、作業中だったハンダゴテを一旦置いて一息つく。
友顕「(ふうー)…」
田岐先生の声「(そうだ)! あとはフリマやってみれば?」
友顕「(んっ)!」
と耳を傾ける。
田岐先生の声「実際に体感した方が早い。直接フリマで反応見てみたら?」
夏芭の声「…」
麻美子の声「良いね。(私も)やりたい!」
夏芭の声「…(やってみようかな)」
友顕「…(とフリマやるのかなと思う)」
友顕、無線の周波数を切り替える。
別の所を盗聴し始める。
音声1「(自宅でスポーツ観戦をして野次を飛ばしている)」
友顕「…(と少し聴いて替える)」
音声2「(留守中で静かな部屋)」
友顕「…(まだ帰って来てない。替える)」
音声3「(爆音で音楽を聴いている部屋)」
友顕「!! (と慌てて替える)」
音声4「(大家族の家庭の会話で)…」
友顕「(聴いて)……(クスッと笑う)」
友顕、面白かったみたいで音声4を聞きながら作業する。




