狂愛 ~白薔薇は紅薔薇へ~
白薔薇のように純潔であり、美しい少女は、次第に紅色へ染まっていく。
その紅は純愛か、狂愛か。
あの子と恋人になってから、少しばかりの時が経ちました。
変わったことは……正直、あまりありません。
でも、ふとした時にあの子のことを思い出します。
あの子は無理しがちだから、生活は大丈夫か、体調は大丈夫か、心は大丈夫か。よく笑えているか……。
あの子は滅多に笑いません。みんなが笑っている時も、あの子は顔一つ変えません。
あの日は、本当に嬉しそうでした。顔も少し赤くなっていました。きっと私も赤くなっていたと思います。
私も、あの告白の言葉を聞けて、ものすごく嬉しかった。
漏れ出ている好意を、どんな形で『もう気づいているよ』と伝えられるのか。無駄に悩んでいました。
あの瞬間で悩みはすっかり消え去った。
あの子と抱擁し、キスをした瞬間は、今でも鮮明に覚えている。この世のものとは思えないほど素晴らしい瞬間でした。
私よりも豊満な体つきをしているあの子は…………凄く柔らかくて、いい匂いもして、少し低い声で優しくて甘い言葉を囁いていた。
「ずっと一緒にいようね」
……思い出しただけでにやけてしまいそうです。
はぁ、いい夢を見ていたのに、目覚めてしまいました。
「おはよう」
耳障りのいい低い声が聞こえてくる。
「……おはよう」
――――。
そうだ。もう一緒に住んでたんだ。
「今日は早いね。いつもは私のほうが早いのに」
「寝顔が見たくて」
口元が変に緩みそうでした。
「寝顔も可愛かったよ」
そう言って、何回目か分からないキスをしてきました。寝起きだからか、あまり私は照れませんでした。
「久しぶりにいい夢を見たの」
「いい夢はあまり人に話さないほうがいいらしいよ。」
最初に添い寝をした時はひどく緊張していたのに、もう豆知識を言う暇もできたのね。
「そうなんだ……」
「まだ眠い?」
私は少しうなずきました。
「今日は休日だし、二度寝しちゃおう」
あの子は布団を再度かぶせ、私の体を寄せ付けました。急なことだったから変な声が出てしまった……。
「甘えん坊だね」
「自分が一番分かってるよ」
あの子は、宝物を守るように私を抱きしめていました。あの子の柔らかさ、匂い、優しい声……微かに興奮している。
……正夢になってしまった。
もう当たり前にやっていることだというのに、初心な気持ちに逆戻りしていました。
「本当に、こうしていると落ち着くよ。嫌なことが吹っ飛ぶ」
「いつもおつかれさま」
あの子の体に埋もれているので、声がこもってしまいました。私の声に反応したのか、あの子は更に抱き寄せてきました。
「ずっと一緒にいようね」
あぁ、私の大好きな言葉――。
もうこの幸せをずっと感じていたい。
たとえ私の家族、友達から嫌われても、この子がいればなんでもいい。
全てを失っても、この子がいればなんともない。
私はこの子の愛に吞まれるように、長いキスをしました。
静かな寝室で幸せすぎる二度寝をしました。
いつの間にか、私とこの子の指は絡み合っていました。
狂愛の後日談です。告白した女の子ではなく、されたほうの女の子目線で書いてみました。
今回もかなり筆が進みました。こういう短編ジャンルのほうが向いているのかな?
是非、狂愛もご覧になってください。
連載しているシリーズも頑張っていきます。




