表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[週間ランキングランクイン]時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記  作者: ざつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/42

第18話:スタッフの能力を引き出せ:コーチングと目標設定

広報室には、書きかけのプロモーション企画書が何枚も散乱していた。


リリエルは、ペンを握りしめたまま、資料を前に深くため息をついていた。

その表情には、疲労と、アイデアが煮詰まっている焦りがにじみ出ていた。


「もっと、冒険者の心に響く企画を立てたいのに…。どうすればいいんだろう…。私には、これ以上のものは生み出せないのかな…。」


独り言のように呟く声は、自信のなさを物語っていた。



耕太が部屋に入ってきた。リリエルの様子を見て、すぐに異変に気づいた。


「リリエル、何か困っているのかい?顔色が優れないようだ。」


「耕太様!はい、この企画、どうも煮詰まってしまって…。

 もっと良いアイデアが出せるはずなのに、自分ではどうすればいいか分かりません。

 まるで、目の前に厚い壁が立ちはだかっているようです…。」


リリエルは、救いを求めるように耕太を見上げた。


耕太はリリエルの資料を見ながら言った。


「リリエルは、デッドエンドにとってかけがえのない広報担当だ。

 君は、もっと伸びしろがある。僕が直接答えを教えるのではなく、君自身がその壁を乗り越える力をつけたいんだ。


 メティス、どうすれば、スタッフのポテンシャルを最大限に引き出せますか?彼らが自らの力で成長していくように導くには?」


彼の心には、スタッフ一人ひとりの自律的な成長への強い願いがあった。


光の粒子が、耕太の視界の隅に集まり、メティスが姿を現した。

彼女の声は、耕太の問いに答えるかのように、静かに響き渡った。


「耕太よ、古き世界の賢者は『魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ』と語った。お主が彼らを導くべきは、『コーチング』の技だ 。」


「コーチング?」

耕太は聞き返した。


彼の知る指導方法は、具体的な指示を与えたり、手本を見せたりするものが主だった。


「うむ。一方的に答えを与えるのではなく、質問を通じて彼ら自身に答えを見つけさせるのだ 。


 例えば、『君はどうしたい?』『その目標を達成するために、何が必要だと思う?』『そのアイデアは、冒険者にどんな喜びを与えるだろう?』といった問いかけを用いる。


 そうすれば、彼らは自ら考え、行動し、自律的な成長を遂げるだろう。」


メティスは魔力投影で、釣り竿と魚の群れが、最終的に釣り人が自力で魚を釣り上げるイメージを示した。


「なるほど!自分で目標を立てて、自分で達成する力をつけるようにサポートするんですね!

 僕が答えを与えるのではなく、彼ら自身の『知恵』と『可能性』を引き出す…。」


耕太は、このコーチングというスキルが、スタッフの成長を加速させるだけでなく、デッドエンド・ダンジョン全体の創造性を高めることにも繋がると直感した。


「その通り。


 そして、効果的な目標設定のためには、『SMARTゴール』を意識させるのだ 。これは、目標がSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限付き)であるべきだというフレームワークだ 。


 明確な目標があれば、彼らは自ら道を切り拓けるだろう。曖昧な目標では、努力の方向性を見失う。」



広報室で、耕太はリリエルと向き合っていた。


リリエルの視線は、まだ自信なさげに宙を彷徨っている。


「リリエル、君がこの企画で本当に達成したいことは何かな?一番大切にしたい想いは?」


耕太は、彼女の心の奥底にある「願い」を引き出すように問いかけた。


リリエルは考え込んで答えた。

その声には、微かな熱がこもっていた。


「…冒険者たちが、デッドエンド・ダンジョンに『また来たい!』って心から思ってくれることです!ただの経験値稼ぎの場所ではなく、彼らの心に残る場所にしたい!」


「素晴らしい目標だね。


 では、その目標を達成するために、具体的にどんなプロモーションが必要だと思う?


 例えば、冒険者が『また来たい!』と思うのは、どんな時だろう?彼らが、デッドエンドでしか得られない特別な体験は何だと思う?」


耕太は、リリエルに具体的なイメージを促した。


リリエルは目を輝かせた。

耕太の問いかけが、彼女の思考の扉を開いたようだった。


「うーん…達成感を感じた時!強敵を倒したとか、隠された謎を解いたとか!

 あと、仲間との絆が深まった時!一緒に困難を乗り越えた経験とか!」


「いいね!それが、デッドエンドが提供できる最高の価値だ。


 では、その『達成感』や『絆』をデッドエンド・ダンジョンで感じてもらうために、君が提案できるプロモーションは?

 

 そして、それはいつまでに、どれくらい達成できそうかな?具体的な期間と、達成度を測る指標も考えてみてほしい。」


耕太は、SMARTゴールの要素を盛り込みながら、リリエルに具体的な計画を立てるよう促した。


リリエルは、耕太の質問に導かれるように、具体的なアイデアを次々と出し始めた。


彼女の表情には、これまでにない自信が満ち、その目は輝いていた。


「冒険者行動記録装置のデータを活用して、冒険者一人ひとりに合わせた『パーソナルチャレンジクエスト』を企画します!

 クリアすると、特別な称号と、デッドエンドの歴史に名を刻む権利が与えられるんです!


 これを次の満月の祭りまでには実施して、少なくとも100人の冒険者に達成してもらいたいです!


 そうすれば、異世界SNSでも話題になるはずです!」


「素晴らしい!それなら、君なら最高の企画を立てられるはずだ!」


耕太は笑顔で彼女を励ました。


耕太は、スタッフのポテンシャルを最大限に引き出す「コーチング」と、効果的な「SMARTゴール」設定の力を学んだ。


それは、単なる指示出しではなく、相手の「やる気」と「能力」を最大限に引き出し、自律的な成長を促すための、異世界においても通用する普遍的なリーダーシップスキルだった。


リリエルは、自ら目標を設定し、その達成に向けて主体的に動き出すことで、デッドエンド・ダンジョンの成長を加速させていくのだった。彼女の成長は、耕太自身のリーダーシップの確かな証となった。


ようこそ、新たなビジネスの舞台へ!


デッドエンド・ダンジョン経営者の山田耕太です。 僕が突然転移してきたこの異世界で、戸惑いながらも学んできた「世界の仕組み」や「常識」「ビジネススキル」について、みなさんに共有できれば幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
《重厚ファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン 外伝:断罪の前奏曲 ~処刑寸前の軍師を竜姫が略奪!十二年待った『我の夫となれ』の言葉。亡国の逆境を焼き尽くし覇道を往く~
《王宮裏方奮闘記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン:奉仕の練習曲(プレリュード)~商家の娘は皿洗いの先に王の盾を見る。伝説のメイド長に叩き込まれる覚悟と作法で王宮の誇りを守る~外伝②
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

こちらも超オススメ!!

《SFファンタジー冒険譚》物理と知識で魔法世界を再定義!―拾った助手は2000年前の伝説の管理者(旦那様)でした。追放された天才没落令嬢は、最強の娘たちと共に「世界」を再構築中―



その他の作品もぜひ!

《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ