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月の冒険譚  作者: 和音
第一章 新たなる世界
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犯人探し

「カランカラン」

朝早くから鐘の音が村全体に鳴り響く。私はまだ眠くて仕方がなかったが急いで窓の方を見る。

「なんだろう、こんな時間に鐘がなるなんて。」

「人狼だ、人狼が出たぞ。みんな気をつけろ。やはり人狼はこの村にいるぞ。」

「みんな早く自分の家に戻れ。死んでしまうぞ。」

窓から外を覗くとどうやら人狼が出たらしくとても騒がしかった。まさか本当に人狼が現れるなんて。

「ルナ、私達も早く外に出て確認しに行くぞ。」

「はい、今すぐ向かいましょう。」

キリノとアンナもすでに起きており、私達は急いで村の外へと出た。 

「おい、早く手当を。誰か回復魔法を使える者は。」

そこには一人の女性が倒れており、右腕が千切れておりお腹辺りも抉られていた。よく見るとその女性は昨日私達に絡んできた女性の一人だ。あまりにも酷い死に方にゾッとしてしまう。そりゃあみんな人狼に怯える訳だ。

「はい、私は回復魔法を使うことができます。ですがもう彼女が助かるかは。」

アンナは気まずそうに口にする。正直私の目から見ても彼女は助からないと思う。でも、誰もそんなこと信じたくはないのだろう。

「貴方は確か旅人さん。貴方達なら人狼を倒したりは出来ないでしょうか?」

村の老人の一人は私の目を見て頭を下げる。もちろん私はこの村のために人狼を倒す気満々だ。こんなこと許せるわけない。

しかし、私が返事をしようとした時、一人の女性が怒鳴りあげた。それは昨日私達に絡んできたマリアだった。

「ちょっと待ってよ。そんな信用のできないやつらなんかに頼まないでよ!そもそも貴方達がローズを殺したんじゃないの?そうよ、絶対にそうに違いないわ。だって貴方達が来た次の日に人狼が現れるなんておかしいもの。」

マリアの発言に一部の村人も私達を犯人のような目で見てくる。無理もないか突然人が死んでしまっては。それでも私は誤解を解く。

「私達はそんなことやってないよ。そもそも私達がこの町に来たのは今回が初めてだけど、人狼はずっと前からいたんでしょ?」

少し考えれば分かるはずだがマリアは信じたくないのだろう。それでも私は無実を証明し続ける。

「うるさいわね。そもそも、結界を張ってるから絶対に内部の犯行なのよ。その上で突然現れた貴方が疑われるのは当然だと思うわよ。」

マリアにそう言われて私は行き詰まってしまう。確かに、初めてここに来た人の言葉を誰が信じると言うのか。このままじゃ私達が濡れ衣を着せられてしまう。それでも人狼の思う壺だ。

私達が困っているとフラルが現れ、マリアを睨みつける。

「おい、マリア。昨日も言ったけどルナ達は犯人じゃないってば。ルナは俺の命の恩人なんだ。」

フラルが助けに来てくれて安心する。フラルがいるなら安心だ。

「だから何よ。それすらも仕組まれた罠だとしたらどうするのよ。」

「うっ、それはそうかもだけどこいつらは犯人なんかじゃねえよ。」

アンナの言葉にフラルは何も言い返せなくなる。そこはなんか反論して欲しいな。

「大体ねえ、この村のはみんな複数人で暮らしてるからお互いにアリバイが取れるのよ。誰かが不審な動きをすればすぐに分かるもの。」

「だから私達が犯人だと言うのか?それを言ってしまえば私達だって村長やフラルがいるんだから怪しい動きはできない筈だが。」

キリノの言葉にマリアはたじろぐ。いいぞキリノ。

「そ、それでも貴方達しかいないわ。絶対にそうなのよ。」

マリア自身も根拠のない戯言だと言うのは分かっているんだと思う。それでも仲間を疑いたくはないんだろうな。

「大体私に体を抉る爪も牙もないぞ?」

「人狼なんだら変身してるだけでしょ?早く本当の姿を見せなさいよ。」

「はあ、これ以上争っても無駄だと思うぞ?こうしてる間にも日は暮れて、また被害者が出るかもしれないんだぞ。」

「キリノ言う通りこのままだと埒が明かないよ。だから、私達が人狼を捕まえる。それでもし、今日までに捕まえれなかったら私達を吊ればいいよ。」

私の発言に村人はざわつく。アンナとキリノもマジか見たいな目で私を見てくる。しょうがないじゃん、こうでもしないと疑われたままだし。

「いいんですか?そんなに堂々と宣言して。見つからなかったら私達死んじゃいますよ。」

「そうだよ!お前らがそこまで命をかける必要はない。」

「まあ、私は構わない。犯人を捕まえればいいだけだからな。」

焦りながら私を止めようとするアンナとフラルにいつも通り落ち着いてるキリノ。私達が助かる方法はもう一つしかない。

「ハッ、言ったわね。それなら今日までに見つからなかったら貴方を処刑するから。」

マリアは大声でそう叫ぶとそのまま自分の家へと戻っていった。周りにいた村人もぞろぞろと家に帰って行き私達だけがこの場に残った。何とかこの場で処刑されることはなく安心する。

「おい、このままじゃお前達が処刑されて大変なことになるぞ。もっといい方法はあったんじゃねえか?」

「だってこうするしかなかったじゃん。それより早く真犯人を探しに行こうよ。」

私達が今は置かれてる状況は非常にまずいがもはやこれしか助かる方法がないと思う。

「ああ、こうなったら私達で真犯人を捕まえしかない。」

「分かりました。そういうことなら今から私達で捕まえましょう。」

こうして私達は真犯人を見つけることになったのだ。











「とは言ってもやっぱりキツくねーか。誰も俺らの話を聞いてくれないし。」

私達は今真犯人を探すためにアンナとフラルと一緒に村の人達に話を聞いていたがほとんどの人が怖がって私の話を聞こうとはしなかった。これでは真犯人を見つけることなんてできずに処刑されてしまうではないか。ちなみにキリノは村長とルルを守るために家で見張りをしている。キリノは強いから人狼から守ってくれるはず。

「そうだね、それにしてもなんで今日人狼が現れたんだろう?」

「おそらく私達に今までの罪を擦りつけるためでしょうね。ローズさんを殺したのもおそらくローズさんを殺せばマリアさんが私達を真っ先に疑うと思ったからでしょうし、人狼は相当頭がいい人でしょう。本当にこの状況はまずいですね。」

つまり私達はまんまと罠に嵌められたということか。

「このままではまずいよ。もう一度マリアの所に行って聞いてみるしかなくない?」

「ええ、すぐに向かいましょう。」

私達はすぐにマリアの所へと向かった。

「だから、貴方達が犯人。それで解決でしょ?」

案の定マリアは私達の話を聞いてくれる様子ではなかった。

「だから違うってば。それより貴方達は昨日何してたの?」

「はあ?もしかして私を疑ってんの?」

「違います、ただ一つ気になることがあったんです。ローズさんが襲われたのは外でしたけどなぜあそこにいたんですか?」

アンナの質問にマリアも疑問に持つ。

「それは私も不思議に思ったわよ。私達は眠ってたから分からないけどローズが一人で外に出るとは思わないのよね。」

「やっぱりそうですよね!人狼が出るという町で夜中に外に出ようとする人なんていないですよね。」

それはその通りだ。そんなのただの自殺行為でしかない。確かにローズはなぜ外に出たのだろうか?

「それともう一つ気になることがあるんですがマリアはさんはいつからこの村には人狼がいるということを聞かされてきましたか?」

「はあ?小さい頃からずっと聞いてきたけどどうしたのよ?」

マリアの言葉にアンナはしばらく考えごとをしていた。もしかしたらアンナはもう犯人が分かったのかもしれない。

「まあ、そうだろうなとは思いましたよ。あまり考えたくはないですが。」

「もしかしてアンナ答え分かったの?」

「ええ、正直この人しか考えられないというか。」

さすがアンナ頭がいい。アンナはいつも冷静だしこういう時に頼りになる。

「はあ?アンタ適当なこと言わないでよ。」

「とりあえず犯人わかったんだろ?早くいこーぜ。」

「ちょっと、待ちなさい。犯人が分かったってそんなわけないじゃない。ないはずなのよ。」

私は少し心苦しかったがマリアを無視して、犯人を捕まえに向かう。これ以上被害を出さないためにも。










「それで犯人は誰なの?」

私は村の中心のローズ殺された場所に戻りアンナの推理を静かに聞くことにした。

周りには人がおらず静寂が響く。

「そうですね。では一つずつ整理していきましょう。まずこの町には結界や柵があり内部の犯行であることは間違いないですよね?」

「ああ、結界は村長が厳重に張っているんだ。絶対に内部の犯行だよ。」

「そうですね。そして村の人達はみんな複数人で暮らしており変な行動はバレてしまうんですよね。」

「ああ、俺も姉ちゃんが家にいなかったら不審に思うしな。」

それはそうだ。だからマリアは私達を疑った訳で。

「そして、マリアさんが小さい頃から人狼が出ていたということはかなり昔からいるんですよね。」

私よりもかなり年上のマリアが小さい頃ということはかなり縛られる気がする。この村でもかなりのベテランだ。

「そして極めつけは事件が起きる場所です。」

「場所がそんな関係あるのかよ?」

「はい、普通人狼が出る町で夜に外に出る人はいませんよね?」

普通あの状況で自分から外に出ることはない。となれば外に出る理由なんて一つしかない。

「もしかして誰かに外に呼び出されたとか?」

「さすがルナさん。そう考えるのがベストだと思います。」

「でも一体誰がそんなことを。」

「では今までのことをまとめて犯人を導きましょうか。」

「えっとこの町にいて一人で行動ができる人だよね?」

「それで昔からいて、呼び出してもついていくほどの信頼がある人か。」

「それって。」

私とフラルは目を合わせる。そんな人この村にたぶん一人しかいないじゃないか。

「ええ、おそらくですがこの事件の犯人は。」

正直こんなことを考えたくなかった。しかし、分かってしまったのだ。最悪の犯人が。

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