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月の冒険譚  作者: 和音
第一章 新たなる世界
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いざ旅へ

「早く起きてください。出発しますよー。」

アンナに布団を剥がされて私は無理やり起こされる。私が時計を確認して見るとまだ朝早く日も昇っていなかった。 

「うーん、まだ朝早いじゃん。もう少し寝させてよ。」

「ダメですよ。今日から旅に出るんですから朝早くから出発しないと。」

「それはそうだけど後ちょっとだけだでいいから眠させて。」

「そう言う人はだいたいこのまま二度寝するんですよ。」

私は再び布団の中に入るがアンナは何度も剥がそうとする。まるでお母さんのようだ。

アンナが余りにもしつこいから私は仕方なく起きることにした。

「ご飯はもうすでにできてるので早く来てくださいね。」

それだけ言ってアンナは階段を降りて行った。それにしてもついに初めての旅が始まるのか。これからいく先は危険な場所だけど私は旅が始まることに胸が高まる。私はわくわくするがそれ以上にアンナの妹の命がかかっているから、気を抜かないようにしないといけない。

まだ少し眠かったが私は顔を洗ってすぐにアンナの元に向かった。

私が食卓へ着くとすでに朝ごはんが用意されていた。

「やっと来ましたね。早く食べて出発しますよ。」

「うん。いただきます。」

私は早速ご飯を食べることにした。うん、やっぱりアンナの料理は美味しい。

「そういえば神秘の遺跡ってここからどのくらいかかるの?」

そういえば詳しいルートとかはまだ何も知らなかった。

「そうですね。調べてみた感じだと片道でも三日はかかると思いますよ。」

「えっ、そんなかかるの?」

遠いとは聞いていたがまさかそんなにかかるとは思っていなくて驚く。

「はい。なので食料は多めに持って行くにしても途中からは現地調達になると思いますよ。」

「なるほど。なんか乗り物とかはないの?」

「一応馬車があるのですが誰も最果ての森付近に近づきたくないらしくて。」

まあ確かに、命に関わるなら誰も行きたいはないか。私もアンナも馬車は運転できないし覚悟するしかないらしい。

「そういえば一つ気になったんだけど、私達が旅に出てる間妹さんの世話は誰がするの?」

「ああ、それは薬屋のお姉さんがお世話してくれるそうです。しかも神秘の遺跡までの地図を書いてくださった上に旅で使うポーションまでくれたので感謝しきれません。」

アンナはそう言うと遺跡までの地図を私に見せてくれる。確かに最短ルートで行ってもだいぶかかりそうだ。

「そっか。それならちょっと急ごっか。」

「そうですね。私は先に準備しておくのでルナさんはゆっくり食べてください。」

アンナはそう言って荷物を整理する。私も早くご飯私を食べて準備しようかな。

アンナは食料やポーションなど旅に必要なものを鞄に詰め込んでいた。

私も最低限必要そうなものだけバックに詰め込んだ。

私とアンナは準備を終え、ついに出発することにした。緊張もするが、それ以上に好奇心が湧き上がり楽しみで仕方なかった。初めての私の旅が始まるのだ。

私はドアを開け、外に出た。外はまだ真っ暗でとても寒い。

「荷物も全部持ちましたし、それでは出発しましょうか。」

「そうだね。それじゃあ行こっか。」

こうして私とアンナは村の外を出た。これから二人の冒険が始まるのだった。












私達は村を出て神秘の遺跡の方面に向かう。とりあえず私達は地図に従い南の方面に歩き続けた。

歩けば歩くほどモンスターの鳴き声が聞こえ始め、不気味な感じになっていく。

途中にこの地に入るべからずという看板がいくつもあったが私達は忠告を無視し奥へと向かった。

「なんだか、この辺りは怖いですね。まだ暗いですし。」

外は暗く、私達は離れ離れにならないよう手を繋ぎながら奥へと向かった。

「そうだね。まあ、モンスターが来た時は任せてよ。」

幸いまだモンスターには遭遇してないし私達は警戒しつつも奥へ奥へと歩いて行く。

私とアンナは草原のような場所に出て歩き続ける。それにしてもこの世界はとても綺麗で神秘的だった。私は深呼吸して、大自然の空気を吸った。

前世は親の指示に従うばかりで自由というものがほとんどなかった。友達と遊ぶことを禁じられ、ゲームや漫画等の娯楽も触れさせてもらえずただ親の期待に答えるのみ。まるで牢獄のようなものだった。だからこそこの世界はとても清々しい。

「キュアアアア。」

何か音がすると思い空を見て見ると推定3mはある巨大な鳥が飛んでいた。

草むらを見るとうさぎでもハムスターでもないような謎の動物が走っていた。

「ねえ、あれなんて生物なの?この世界ってどんな生物がいるの?」

私の知らない生物ばかりで私はアンナに質問責めしてた。

「ルナさんは楽しそうでいいですね。私はこの先に行くのが怖いですよ。」

「確かに怖いかもしれないけど、冒険ってワクワクしない?それにどんなことがあってもアンナを守るから。」

私はアンナに手を差し伸べる。一人なら不安な旅でも二人ならきっと楽しい。

「でも私、ルナさんに助けてもらってばかりで。もし、これでルナさんに何かあったら私。」

アンナはそう言って俯くが私はもっと頼って欲しかった。多分アンナはずっと妹を支えて二人で暮らしていて、多分甘えたことがないだろうから。それに私だってアンナにお世話になったしね。

「何度も言うけどこれは私がしたくてやってることなの。アンナはもっと私を頼っていいし、甘えていいんだよ。そんなことより今はこの大自然を楽しもうよ。空気を吸って周りの景色をもっと見ようよ。」

「確かにルナさんの言う通りですね。私少し考えすぎていました。」

「でしょ?今はもっと楽しもうよ。」

私はもう一度アンナに手を差し伸べてアンナは私の手を取る。私はアンナの手を握ったまま、草原を走り出した。

「ふえっ。急に走ってどうしたんですか?」

私とアンナは草原を駆けていく。風がなびいて心地よく嫌なこと全てが吹き飛んでしまう。

「ほら、走ったらとっても気持ちいいでしょ?」

アンナは戸惑った顔をしていたがその表情は少しずつ楽しそうな表情へと変わってゆく。

「ふふっ、本当ですね。さっきまで悩んでいたことが全て吹っ飛んじゃいますよ。」

私とアンナは草原をかけ終わると一旦休憩をすることにした。私としたことがはしゃぎすぎた。

「はあ、すごい疲れたなあ。」

「本当ですよ、ルナさんが急に走り出すからもうクタクタです。旅は始まったばかりですのに。」

「まあまあ、その分気持ちよかったでしょ?」

「はあ、それはそうですけど。それでもルナさんは能天気というか」

「まあ、今はまだいいじゃん。それで次はどこに行くの?」

「とりあえず今日の内にここの森を出たいですね。」

アンナは地図に指をさす。その森はそんなに大きい訳でもなくすぐに抜けられそうだった。

「今日の内って、これくらいの森ならすぐにでも抜けられそうだけど?」

「いえ、この森は迷いの森と言われてて、一度入るとなかなか抜け出せないとか。この森に入って行方不明になる人も多いそうです。」

「なるほど。それなら早くこの森に入って抜け出しちゃおうよ。それと迷わないように手を握って。」

私は再びアンナに手を差し出す。

「そうですね。まだ少し怖いですが先に進みましょう。」

「私とアンナはお互いに手を強く握り迷いの森へと向かった。













私達はとりあえず森に入って進む。思った以上に霧が濃くて何も見えない。

「どうアンナ?場所分かる。」

アンナはコンパスを取り出しじっと見つめてため息をつく。

「それがコンパスの磁場が狂ってしまって方角が分からないんです。霧のせいで何も見えないですし。」

「まじか、まあ適当に進んでいけば着くでしょ。手だけは絶対離さないでよ。」

手を離して迷子になることだけは避けたい。私はアンナの手を強く握りしめて前へと進んだ。

それよりこの森に入ってからずっと誰かに見られてる気がして仕方なかった。何やらいやらしい目線だ。

私達はとりあえず障害物を避けつつ、進むことにした。一応この森自体はそんなに大きくないからずっと歩いていけばいずれは辿り着けるはず。私達は一度行ったところに目印をつけて、次の場所に進んだ。

「あれ?ここって一度来た場所じゃ。」

私はかなり歩いたはずだがたどり着いたのは一度目印をつけた場所だった。

「ルナさん、これってもしかして。」

「うん、ここは確かに一度来た場所だよ。目印だって付けたし。」

「でも私達確かに別の道に行きましたよね?」

「もしかしたら、人を迷わせる魔法があるとかかな?」

魔法に詳しくない私にはよく分からないがそういった魔法があるのだろうか。しかしコンパスも当てにならないし、何度も歩いても同じ場所についてしまう。このままじゃ今日の内にこの森を出ることはできない。なんならこのままこの森に一生閉じ込められる可能性すらある。

「えっともしかしたら誰かが私達を外に出さないために森全体に魔法をかけてるのかもしれません。」

「そんなことできるの?」

「はい。しかしかなり魔力が必要となるはずです。もしかしたらこの森にはエルフがいるのかもしれません。」

なるほど、この森には相当の実力者がいる可能性があると。しかしそうだとして私達をこの森に閉じ込めてどうするつもりだろう。

「もしこの森に魔法がかけられてるとした場合、どうすればいい?」

「多分魔法をかけた本人にしかどうにかできないと思われます。」

そうだとしたらとてもまずい。私の魔法でなんとか出来ないだろうか?試しに何か魔法を使ってみてもいいかもしれない。私が魔法を使おうとしていると、突然どこからか男の声がした。

「お前達、この森に勝手に入ったからには容赦はせんぞ。」

「貴方は誰?私達はただこの森を抜けたいだけだよ。」

「私はこの森に住む者。どうせお前たちもこの森を荒らしに来たんだろう。」

私達はとりあえず今の状況を説明したが男は一才聞く耳を持たない。

「違うよこの先に用事があるんだって。」

私は必死に誤解を解こうとするが男は私の言葉を全て無視する。

「うるさい!人間の言うことなど信じられるか。お前ら人間はいつもそうだ。俺たちにとって害でしかないのだ!」

男が大声を上げた瞬間大きな風が巻き起こり、アンナを握っついた手がほどけてしまう。

「ルナさん!」

「アンナ!」

私は再びアンナの手を握ろうとしたが間に合わず私とアンナは風で吹き飛ばされてしまった。

「お前らはこの森で朽ち果てるがいい。」

それだけ言って男の声は聞こえなくなってしまった。

気がつくととても不気味な場所に飛ばされていた。変な鳴き声がするし、雰囲気も悪い。

一人なってしまったが、とりあえずアンナを見つけて早くこの森を抜け出さないと行けない。

「待っててアンナ。今見つけに行くから。」

私はこの森を出るために一歩踏み出した。

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