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月の冒険譚  作者: 和音
第一章 新たなる世界
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逆転の兆し

視界が狭ばって意識が朦朧とする。体はボロボロで魔力もほとんどない。これが魔人の力だとでもいうのか。知の魔人と戦い、力の差というものをひしひしと理解する。

「アハっ、もう限界なんじゃないの?そろそろ諦めたら?」

ソフィアの言う通りすでに私は限界に近くまともに戦える状況ではなかった。しかしここで私が倒れればルナとアンナが危ない。二人を守るためなら私はなんだってする。

記憶がなくて困っていた私に居場所をくれた二人を私は命に換えてでも守りたい。倒さずとも二人が逃げれる隙だけでも作る。

「いや、ここからが本番だ。まだ私は諦めない。」

私は銃弾に魔力を込めてソフィアに打ち込む。しかし全ての銃弾が魔法によって相殺されてしまう。それにさっきからソフィアの氷魔法のせいで肌が悴んで仕方がない。

「だからもう諦めなさいよ。魔人には勝てないんだから。」

「はあはあ、私はまだ諦めるつもりなんてない。魔人如きに私達は屈するつもりはない。」

たとえ攻撃が効かなくても私は何度でも撃ち抜く。二人は絶対に私が守る。

「はあ、なんで人間ってこうも愚かなのかしら。アタシに勝てる道理なんてないのに。それに見てみなさい。貴方の仲間はすでにボロボロよ。」

私が後ろを振り返るとそこにはボロボロになって倒れているルナと必死にルナを回復しようとしているアンナがいた。一気に気分が悪くなる。今にも吐き出してしまいそうな肌に私は怒りを感じる。自分の傷よりも二人の傷の方が見てて辛い。

「ふざけるな。よくも大事な仲間を。」

私はその怒り全てを玉に込めてソフィアに撃ち込んだ。これ以上無理をすれば私の命が危ないが私にとってそんなこと些細なものでしかない。私は無数の爆弾を投げ、それと同時に今出せる最大出力を打ち込む。ここで私がこいつを倒さないと二人が危ないから。

「だーかーらー、無駄だって言ってるでしょ。」

しかしそんな抵抗も効かず私は壁に吹き飛ばされてしまう。体は痛いし冷気で凍死しそうだ。

あれ?この感覚どこかで見覚えがある。一体どこだ?そもそも私ってなんなんだろうな。というかこの魔人と出会った時からずっと変な感覚だった。

私が目を覚ました時はよく分からない森にいて何故そこにいたのかは誰にも分からなかった。何故か目が覚めた時に私の記憶はなかった。必死に昔のことを思い出そうとしても何も思い出せない。自分の名前も家族のことも何をしていたのかも。だから私は終わったと思った。あの時ルナと会わなければ私はどうなっていたことか。優しく手を差し伸べてくれたことも私に名前をつけてくれたことも感謝してる。だからこそ守りたい。だからこそずっと一緒にいたい思う。記憶がなくても優しくしてくれる二人に私も優しくしたい。

「まだ私は倒れない。お前を倒すまでは。」

辛く苦しくても私は立ち上がれる。立ち上がって私はこの後もルナと旅をするんだ。

「鬱陶しいわね。さっさと死になさい!」

再びソフィアの魔法が私を襲うがさっきとは違い体が軽く私は軽々と攻撃を交わした。痛みも寒さも感じない。今はとても気分がいい。何故だか気分が高揚して魔力もみなぎってくる。

「なっ、目が光って。貴方もしかして。」

ソフィアは何やら険しい表情で私を見つめる。早く私はこいつを倒さないといけない。

いつも自由で明るいルナと賢くて優しいアンナ。二人に出会えて私は変わった。だからもう、私は負けない。

「とっととくたばれ。私はもう負けない。」

私はただひたすらに弾を打ち込み続ける。相手に隙なんて与えない。

「アハハ、それなら少し遊んじゃおっかな。貴方の全てを見てあげる。」

ソフィアは突然自分の右目をナイフで切り私を見つめる。するとソフィアの右目が光始める。一体何が起きてるのか。何か嫌な予感がするが気づいた時には遅く、ソフィアは私を見て笑っていた。

「へえ、なるほどね。貴方記憶がないんだ。可哀想に。」

「なぜ、お前がそれを知っているんだ?」

私は困惑を隠せない。もしや私の情報が見えてるのか?突然光だした右目の能力なのだろうか。しかしその程度で動揺はしない。

「アタシの目は全てを見れるの。貴方相当辛い人生を送ってきたみたいね。教えてあげよっか?」

「過去のことなどどうでもいい。今の私には必要ない。」

これがハッタリかどうか分からないが聞く耳を持つ必要はない。私は全てを無視して弾丸を撃ち続ける。

「貴方は私にとって人形でしかない。愛なんて最初からないのよ。この言葉は覚えてる?」

その言葉を聞いた途端私は背筋が凍るような感覚に襲われる。なんだその言葉は。確かにどこかで聞いたようなことがあるけど思い出せない。いや思い出さなくていい。過去のことなんてどうでもいい。

「結局貴方は私のこと下に見てたんでしょ。気持ち悪い。とかは?貴方の過去って心底酷いね。記憶がなくなって良かったんじゃない?」

ソフィアは無邪気に笑う。人の過去を覗くなんて気持ち悪い。初めて聞くはずの言葉が全て私の脳裏で何度も再生される。よく分からないがこれ以上奴の言葉を聞くと頭がおかしくなる。

「どうでもいい。お前の言葉に聞く耳なんて持たない。」

「ふーん、真実を知りたくはないんだ。今の貴方は偽物だよ?」

「偽物?笑わせるな。私にとっては今が全てだ。」

過去が重かろうが辛かろうが関係ない。私はただこの先の道を進むだけだ。

「はーん、それなら今から私が貴方に真実を教えてあげよっか?」

「ふん、そんなもの願い下げだな。」

何があろうと私はもう負けない。二人を守るために私は戦うから。













「ルナさん大丈夫ですか?目を覚ましてください。」

ルナさんの体を揺するが全くといって起きる気配はなかった。さっきまでずっと魔人と戦っていたのだから当たり前だ。ずっと息切れしているしまるで悪夢を見ているようだった。ルナさんもキリノさんもボロボロで今の状況は最悪だ。とりあえずルナさんを早く回復しなければいけない。

「これで終わりだ。貴様らはここで死ぬ。」

力の魔人は私を上から睨みつける。まずいこのままでは力の魔人に殺されて死んでしまう。せめてルナさんだけでも回復したい。

「ルナさんには指一本も触れさせはしません。」

本当は怖くて今にも泣き出したいが私がルナさんを守らないといけない。絶対に私が守るんだ。

「はあ、人間とは愚かだな。それなら終わりだ。」

ああ、本当に二人と会えて楽しかった。これからも二人と仲良くしたかった。でももう叶いそうにはない。

ヴィースの拳が私に降りかかり私は恐怖のあまりに目を瞑る。しかしいつまで経っても私に拳は届かなかった。

「よお、みんな無事で安心したぜ。まさかまた魔人がいるとはな。」

何故かそこにはロイドさんの姿があった。まさかわざわざ助けに来てくれるなんて。

「ロイドさんが何故ここに?ロイドさんは塔に用事があるんじゃ。」

「まあ、そんなとこより嬢ちゃん達のことが気になってな。本当に心配したんだぜ。」

ロイドさんが来なければ私達は間違いなく死んでいた。まさか私達のことを優先して助けに来てくれるなんて。

「ありがとうございます。もう終わったと思いましたよ。」

私は恐怖と嬉しさのあまり涙を流してしまう。だってここでロイドさんがくるとは思っていなかった。

「おいおい、そんなすぐに泣くなって。それに状況は変わらず最悪だ。なんか魔人が二人になってるしな。」

「ふん、今更一人増えたところで変わりはしない。」

「まあとりあえずここは俺達に任せろ。とりあえずアンナはルナを回復することに専念しろ。」

「分かりました。本当にありがとうございます。」

私はロイドさんの言う通りに回復に集中する。ルナさんを回復すればまだ何とかなるかもしれない。本人ははまだ気づいてないがルナさんには圧倒的な力がある。ここまで来たらルナさんには全てを賭けるしかないのだ。

「させるか。ここで死ね。」

「おっと、お前の相手は俺だ。お前の攻撃は一度受けてるからもうやられねえぜ。」

力の魔人は私を狙って攻撃するがロイドさんは何度も防御魔法を唱え私達を守る。今のうちに私は魔法を唱え続ける。

「守ってるばかりでは無駄だ。」

「そりゃあどうかな。今だぜアンドレ!」

ロイドさんが叫んだ瞬間、大量の魔法陣が現れ力の魔人めがけて発射される。

「まさかこんなところに魔人がいるとはな。救世主様に手出しはさせん。」

そこにいたのは迷いの森で出会ったアンドレさんだった。何故アンドレさんまでこんなところにいるのだろうか?

「どうしてアンドレさんがここに?」

「俺が助けを呼んだんだ。俺の昔からのダチだからな。」

「ああ、突然呼ばれた時は何事かと思ったがまさか魔人がいるとは。ここは私とロイドで時間を稼ぐので貴方は救世主様の回復を。」

これは本当に逆転の兆しが見えた。

「はい、二人とも本当にありがとうございます。」

ここに来て二人の助けが入るのは本当にありがたい。キリノさんも何とか知の魔人と戦っているしこれでルナさんの回復ができる。

「小賢しい。それならここで全員やるだけだ。」

「ああ、来いよ。俺が全部防ぎきってやる。」

二人が力の魔人と戦っている中、私はルナさんの服を脱がして魔法を唱える。 

「ヒール、ルナさんの体を癒してください。」

魔法を唱えると傷はほとんど消えたが目を覚ます様子はなかった。というのも回復魔法をなにも完全に体を治すものではない。ただ回復能力を著しく上げているにすぎない。そのうえ、ルナさんは一度に魔力を使いすぎた。人は魔力を使いすぎると体を壊すが明らかにルナさんは無理をしていた。私の魔力をルナさんに渡すこともできるが多分私の魔力量じゃ足りないだろう。

せっかく二人が時間を稼いでくれたというのにこれでは意味がない。これ以上人が死ぬとこを見たくないと思って必死に回復魔法を覚えたのにこれでは変わらない。何かいい方法はないのか。私は頭を回らせてルナさんを助ける方法を考えた。

いや一つだけ回復できる方法はある。薬草を使えばもしかしたら回復できるかもしれない。神秘の遺跡の薬草はどんな傷も癒やし万病に効くと言われている。しかしこの薬草はナミの為に手に入れたもの。ここでその薬草を使えばこの旅は無駄だったと言える。しかしそれでも私はルナさんをここで死なせるつもりはない。それにルナさんがいればまだこの状況をひっくり返せるかもしれない。

もしルナさんの為に薬草を使ったと言ったら怒るだろうか?それでも私にはもう迷いはなかった。

「ルナさん、絶対に元気になってください。絶対に死なせはしません。」

私は覚悟と共にルナさんには薬草を使うのだった。

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