異世界へ
真っ暗な世界から一筋の光が差して、私はいつものように目を覚ます。
今日もいつも通り決められたことをこなすだけのつまらない日々が始まるのかと心底飽き飽きしていた。
「あれ?ここはどこだろう。私の部屋は?」
しかし、私が目を開くとそこはいつも目にする私の部屋ではなく、私のよく知らないとても大きな空間だった。
周りを見渡しても私が乗っているベット以外は周りに何もなく、とても透き通った空間が広がっていた。
状況をよく理解できてない私はベットから降りて、とりあえず周りを探索することにした。
床には水が浸っており私はパシャパシャと音を立てながら周りを見る。
そこは本当に幻想的でまだ夢の中なのではないかと疑ってしまう。空を見上げると雲ひとつない快晴で心が自然と晴れやかになる。
他にも色々と見てみたが特に何もなくて、ここから出られる様子もなかった。
「うーん。ここはいったいどこなんだろう?」
私はとりあえず思い出せる範囲で記憶を辿ることにした。
私、星崎月は女子高生だった。年は十五歳でこの前の春に高校生になったばかりだ。
私はとても難関の高校に主席で入るほどの天才で周りからの人望もとても厚かった。しかし親は毒親で私を道具のようにしか思っていなかった。そんな親と過ごすのにずっと飽き飽きしていた。
私は少しずつ自分のことを思い出していく。
それで確か私はお母さんと喧嘩して外に出て行ったはずだ。
その後に子供がトラックに轢かれそうになっていて、私はそれを助けようとして。
そうだ、完全に思い出した。私は子供を助けるために庇ってトラックに轢かれたんだっけ。それじゃあここは死後の世界?
完全に思い出した私は改めて周りを見渡した。すると神秘的な空間の真ん中から謎の光が差し込んだ。
あまりの眩しさに私は目を瞑る。その光はあまりにも輝いていて肌が焼けそうなほどだった。
改めて私が目を開けるとそこにはさっきまでいなかった女性がいた。その女性はとても美してくライオンの立て髪の様なきれいな髪色をしていた。金髪の女性はこちらに気づくと優しく微笑む。
もう訳がわからない私もとりあえず笑って返すことにした。
「あら、もう起きられていたのですね。それでは自己紹介をしましょう。私は女神です。」
「女神様?ということはやはり私は死んだってこと?」
「ええ、そうなりますね。貴方は残念ながら不慮の事故で死んでしまいました。」
「そっか。やっぱりそうなんだ。」
それは衝撃の発言だったが私はあまり驚きはしなかった。別にあの世界で生きる意味なんてなかったし。
「あら、自分が死んだことに悲しまないのですか?」
「うん。別に生きていてもいいことなかったから。それより私が助けた女の子はちゃんと無事?」
「ええ、あなたのおかげであの子供は救われました。自分よりも助けた子供を心配するなんて貴方は優しい人ですね。」
それを聞くと私はちょっとほっこりした。最後に人の命を救えたならそれでいい。私の代わりに笑って生きてくれる人がいるなら助けた甲斐があったというものだ。
「あの子が助かったなら良かった。それで私はどうなるの?」
「そうですね。あなたはまだ若く、他人を庇って死んでしまった。そんなあなたには別の世界で生活してもらおうと思います。」
「別の世界?」
突然の話に何もピンとこない。
「ええ。今から貴方には今までと全く別の世界で生活してもらいます。いわゆる異世界転移というやつですね。」
優しく微笑む女神様に対して私は頭を傾げることしかできない。まだ、いまいち状況が理解できない。
異世界って本当にあったんだ。物語でしかみたことがなかった。
「それで異世界ってどんな所なの?やっぱり魔法とかあったりするの?」
「それは私も分かりません。ついてからのお楽しみですね。」
私の知ってる物語だと異世界といえばファンタジーでドラゴンや魔法とかがあるイメージだ。昔からファンタジーには憧れていたから楽しみだ。
「そっか。少し怖いけど楽しみだよ。」
突然別の世界に行くと言われてもちょっと怖い気もするがそれでもやはりわくわくの方が強かった。
「突然こんなことを言われて不安なのも分かります。なので貴方には特別に色々な役に立つスキルをあげましょう。それとステータスも高めに設定してあげますよ。」
「それでその世界では何をしてもいいの?」
私は既に女神様の言う異世界というものに興味深々だった。もしかしたら、これから初めて私らしいことができるのではないかとても期待してしまう。
「ええ、何をされてもあなたの自由です。これからは貴方のやりたいように生活することができますよ。」
私はそう聞いて楽しみで仕方なかった。ついに自由に生活することができるのだ。今までの不自由な生活から解放される。
「ふふ。喜んでいただけたなら良かったです。それではあらかた説明は終えたので早速転移しましょうか。」
女神様はそう言って何かの呪文を唱えた。すると突然さっきまで何も無かった場所から魔法陣らしきものが現れた。
「よし、できましたね。それではこの魔法陣の中に入ってください。」
「分かった。これでいいんだよね?」
私はすぐに魔法陣の中に入った。魔法陣の中に入ると体が少しずつ薄くなっていく。まだ分からないことばかりだがなんだか楽しみで仕方がなかった。
「それではご健闘をお祈りします。どうか異世界では楽しんでくださいね。」
女神様はそう言って笑顔で手を振る。私もそれに返すように大きく手を振った。
「ありがとう。それじゃあ異世界を楽しんでくるね。」
私はそれだけ言って光の中に消えていく。次の世界では絶対に自由に生きてみせる。




