桃太郎と筍姫
小さな村に住む、おじいさんA・Bと、おばあさんA・Bの子供が繰り広げます。
昔々、ある所に、おじいさんAとおばあさんAが住んでいました。
おじいさんAは、山へ山菜採りに、おばあさんAは川へ洗濯に行きました。
おじいさんAが山菜を探していると、おじいさんBが竹を取りに来ました。
おじいさんB「やあやあ、お主も来ておったか。」
おじいさんA「わしは、山菜を採りに来たんじゃ。」
おじいさんB「沢山あったかのぉ?」
おじいさんA「ぼちぼちかのぉ。」
おじいさんB「わしは、竹を取りに来たんじゃ。」
おじいさんA「お主の作る炭は、とても良いからのぉ。」
おじいさんB「後で、少し分けてやろうかのぉ。」
おじいさんA「じゃあ、この山菜を少し持って行ってくれ。」
おじいさんB「では、帰りに貰うぞ。」
2人は、お互いに山菜と竹を取っていく。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
暫くすると、2人は光る筍を見つけた。
おじいさんB「筍が光っておるぞ。」
おじいさんA「ほんに、不思議じゃのぉ。」
おじいさんB「切ってみるかのぉ。」
おじいさんA「ここで切ったら、汚れるぞ?」
おじいさんB「じゃあ、取り敢えず掘るかのぉ。」
おじいさんA「わしも手伝うぞ。」
2人は、筍を掘り上げた。
おじいさんB「まあまあの大きさじゃな。」
おじいさんA「わしの家に寄って行くかのぉ?」
おじいさんB「そうするかのぉ。」
2人は、山を降りて行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
おばあさんAが、川へ来ると、おばあさんBが先に洗濯をしていた。
おばあせんA「おぉ、先に来ておったのか。」
おばあさんB「先に使っておるぞ。」
おばあさんA「おじいさんは、山かのぉ?」
おばあさんB「竹を取りに行っておるぞ。」
おばあさんA「わしの所は、山菜を採りに行っておるぞ。」
おばあさんB「じゃあ、2人で帰って来るのぉ。」
おばあさんA「そうじゃな。」
おばあさんB「こっちは、終わったぞ。」
おばあさんA「使わしてもらおうかのぉ。」
おばあさんB「先に帰るが、炭は要るかのぉ?」
おばあさんA「頂いて良いのか?」
おばあさんB「ええよええよ、余っとるし。」
おばあさんA「なら、ありがたく貰おうかのぉ。」
おばあさんB「じゃあ、取りに行くかの。」
おばあさんBは、洗濯物を持ち、炭を取りに帰った。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
数分後、おばあさんAが洗濯を終えた時だった。
おばあさんA「おやまあ、桃が流れとるわい。」
川上から、大きな桃が3つ流れてきた。
おばあさんA「大きな桃だね。」
おばあさんAは、近くを流れてきた桃を1つ、掴み上げた。
おばあさんA「これだけ大きかったら、おじいさんも喜ぶじゃろう。」
おばあさんAは、洗濯物に桃を乗せ、家へ帰った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
おばあさんAが、家に帰ってくると。
おばあさんB「おかえり、待っとったえ。」
炭を持って、おばあさんBが待っていた。
おばあさんA「もう持ってきてくれたんかえ。」
おばあさんB「じいさんが、帰るなら、ここを通るから、ついでじゃよ。」
おばあさんA「ありがとう、助かるよ。」
おばあさんB「ところで、その桃はどうしたんじや?」
おばあさんA「洗濯しとったら、流れてきたんじゃ。」
おばあさんB「不思議な事もあるもんじゃのぉ。」
おばあさんA「折角だし、皆で食べんか?」
おばあさんB「では、お言葉に甘えようかのぉ。」
2人は、家に入って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
1時間後、2人のおじいさんが山から帰ってきた。
おじいさんA「今、戻ったぞ。」
おばあさんA「じいさんや、おかえりなさい。」
おじいさんA「山菜は沢山採れたぞ。」
おばあさんA「そうかそうか、腕が鳴るのぉ。」
おじいさんA「後、お隣のじいさんを連れてきたぞ。」
おばあさんA「お隣のばあさんも来とるぞ。」
おばあさんB「お邪魔しとるえ。」
おじいさんB「ばあさんも来とったのか。」
おばあさんB「ああ、これから桃を戴くところじゃよ。」
おばあさんA「川上から流れて来たんじゃよ。」
おばあさんAは桃を見せる。
おじいさんA「ほんの、大きい桃じゃな。」
おじいさんB「儂等も、不思議な筍を見つけたんじゃよ。」
おばあさんB「不思議な筍?」
おじいさんB「光る筍じゃ。」
おばあさんB「何と不思議な筍じゃ!?」
おばあさんA「茹でて食べてみるかのぉ。」
おばあさんB「包丁は借りれるか?」
おばあさんA「あるぞ、筍を切っとくれ。」
おばあさんB「あいよ。」
2人は、桃と筍に刃を入れた時だった!
パカッ!(桃)パカッ!(筍)
桃も筍も割れる!
オギャ〜!オギャ〜!
其々の中から、男の赤子と女の赤子が出てきた。
おばあさんA・B「おんやまぁ〜!」
2人は驚いて尻餅をつく。
おばあさんA「赤子が出てきたよ!」
おばあさんB「こっちもだよ!」
おじいさんA「こんな事があるんだのぉ。」
おじいさんB「儂等には子供がおらんから神様が授けてくれたのかもなぁ。」
おばあさんA「私等で育てるのか?」
おじいさんA「2人おるから、1人1人育てれば。」
おばあさんB「私は女の子赤子がええかのぉ。」
おばあさんA「じゃあ、私は男の赤子を育てるかのぉ。」
おじいさんA「お互い助け合うかのぉ。」
おじいさんB「そうじゃな。」
おばあさんA「この子は桃から生まれたから『桃太郎』じゃな。」
おばあさんB「じゃあ、この子は『筍姫』じゃな。」
4人は、其々赤子を育てる事にした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
あれから12年が経った。
桃太郎はカッコ良い青年に、筍姫は美しい娘に成長した。
桃太郎「父上、母上、筍姫と街へ行ってきます。」
おじいさんA「気を付けてな。」
おばあさんA「ついでにこれを買ってきておくれ。」
桃太郎はおばあさんAから、財布とメモを受け取る。
桃太郎「わかりました。」
おじいさんA「刀は差したか?」
桃太郎「はい!」
コンコン!
筍姫「桃、準備出来てる〜?」
桃太郎「出来てるよ。」
桃太郎は、玄関先で。
桃太郎「行ってまいります。」
筍姫「行ってきます。」
ガラガラガラ!
2人は手を振り街へ向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ガヤガヤガヤ!
2人は、大きな街へとやってきた。
筍姫「さあ、炭を売りに行くわよ!」
桃太郎「前みたいに、店主を怒らせないでよ。」
以前、街に来た時に、炭屋と言い争ったのだった…。
筍姫「あれは、あっちが悪いのよ!」
桃太郎「だとしてもだよ。」
筍姫「だって、父の炭を不良品って言ったのよ!」
桃太郎「宥めるのに苦労した、こっちの身にもなってよ…。」
筍姫「だって…。」
ガラガラガラ!
桃太郎「着いたぞ?」
筍姫「ごめんください。」
店主「いらっしゃいって、またあんたか…。」
筍姫「また、炭を売りに来たわ。」
店主「前回は、買いましたが、今回不良品だと買いませんよ。」
筍姫の眉間にシワが寄る。
筍姫「前回よりも、絶対良い物よ!」
店主「でわ、一応拝見しますかね…。」
………。
店主は、荷車の炭を置く。
店主「前回よりは、マシな炭はあるが、ダメだな…。」
筍姫「この炭の何がダメなのよ!?」
店主は、懐から炭を2個出すと、叩いてみる。
キ〜ン!
金属のような音が鳴る。
店主「上等な炭は、キレイな音がなるんだよ。」
次に店主は、荷車の炭を叩く。
ギ〜ン!
鈍い音が鳴る。
店主「わかったか。」
筍姫は、悔しい顔をする。
店主「まあ、出来の良い物だけは買ってやる。」
桃太郎「ありがとうございます。」
筍姫「ありがとうございます…。」
店主は、荷車から、炭を選び出す。
店主「これくらいか…。」
店主はお金を出す。
店主「では、またな。」
店主は店に戻って行った。
桃太郎「少しだが売れたな。」
筍姫「少し不満だけどね。」
桃太郎「帰る前に寄り道するな。」
筍姫「買い物?」
桃太郎「そうだよ。」
筍姫「私、待ってるね。」
桃太郎「急いで買ってくる。」
桃太郎は走って行った。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
10分後、桃太郎が戻ってきた。
筍姫「おかえり、買えた?」
桃太郎「買えたよ。」
筍姫「じゃあ、帰ろう。」
桃太郎「うん、帰ろう…。」
筍姫「桃、何かあった?」
少しこわばった顔をする桃太郎。
桃太郎「何か、港町で鬼が出たらしいよ。」
筍姫「物騒な話ね。」
桃太郎「人が攫われたらしいよ。」
筍姫「助けられなかったの?」
桃太郎「太刀打ち出来なかったみたいだよ。」
筍姫「攫われた人はどうなるのかしら。」
桃太郎「さあ…。」
筍姫「助けに行きましょうよ!」
桃太郎「えっ!?」
筍姫「私も行くわよ!」
桃太郎「いやいや、相手ほ鬼だよ?」
筍姫「何よ、意気地なしね。」
桃太郎「意気地なしって…。」
筍姫「桃が、行かなくても、私は行くわよ!」
桃太郎「姫だけなんてダメだよ!」
筍姫「なら、一緒に行くわよね。」
桃太郎「わ、わかった…。」
2人は、家に帰った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
1週間かけて、おじいさん・おばあさんを説得した、桃太郎と筍姫。
桃太郎「父上、母上、鬼退治に行ってきます。」
おじいさんA「ああ、行っておいで。」
おばあさんA「これを持っておゆき。」
おばあさんAから『きび団子』を受け取る。
桃太郎「ありがとうございます!」
桃太郎が、玄関を開けると、筍姫が待っていた。
筍姫「桃、行くわよ!」
桃太郎「ああ。」
2人は、おじいさんA・B、おばあさんA・Bに見送られ旅立った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
2人が、森の中を歩いていると。
ワンワン!
イヌが現れた。
イヌ「良い匂いがするワン!」
桃太郎「これの匂いかな。」
桃太郎は、きび団子を見せる。
イヌ「この匂いだワン!」
桃太郎「食べる?」
イヌ「欲しいワン!」
桃太郎「鬼退治に来てくれるならあげるよ。」
イヌ「行くワン!」
桃太郎は、イヌにきび団子を1個あげる。
ムシャムシャ!
イヌ「ありがとうワン!」
2人は、イヌを仲間にして歩き出した。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
街を過ぎ、再び街道を歩いていると、カンガルーに出会った。
カンガルー「ヘイヘイ、食い物をよこせ!」
筍姫「何だか、口の悪いカンガルーね。」
カンガルー「食べ物よこさないと、蹴っちゃうぞ!」
シュッ!ジュッ!
カンガルーは蹴りを入れるふりをする。
筍姫「食べ物が欲しいなら、くださいでしょ!」
カンガルー「お腹空いたんだよ、食べ物よこせよ!」
カンガルーは、筍姫に飛びかかる。
しかし、筍姫は尻尾を掴み、振り投げる。
カンガルー「!?」
ガンッ!
カンガルーは、木に頭をぶつける。
筍姫「大人しくしなさい!」
カンガルー「キュウ〜…。」
カンガルーは頭を抑える。
筍姫「さぁ、お願いしなさい!」
カンガルー「たっ、食べ物をください…。」
筍姫「それで良いのよ。」
筍姫は、よもぎ餅をカンガルーに渡す。
ムシャムシャ!
筍姫「鬼退治に来てくれるなら、まだあげるわ。」
カンガルー「姉さんの為なら、鬼退治でも何でもするっす!」
2人に、カンガルーが新たに仲間に加わった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
森の街道を進んでいると。
ケーン、ケーン!
甲高い鳴き声が空から聞こえてきた。
桃太郎「これは、キジだな。」
筍姫「キジ鍋美味しそうね。」
イヌ「僕が狩ってきましょうかワン?」
桃太郎「空にいるから無理だよ。」
筍姫「気持ちだけで良いわ。」
ガサガサ!ガサガサ!
茂みが揺れ、ニワトリが現れた。
桃太郎「ニワトリだ!」
ニワトリ「な、何ですか!?」
イヌ「狩って良いかワン?」
筍姫「ニワトリなら、飛ばないからね。」
イヌは、ニワトリに飛びかかる。
ニワトリ「いっ、いきなり飛びかからないでくださいよ!」
ニワトリは、イヌを交わす。
ワンワン!ワン・ワン!
イヌは、ニワトリを追いかけ回す。
ニワトリ「来ないで、来ないで!」
ニワトリは、逃げ回る。
イヌ「逃げるなワン!」
イヌは更に追いかける。
プチーン!
ニワトリが切れた。
ニワトリ「来ないでって言ってるでしょ!」
ガシガシ!
ニワトリは飛び跳ね、爪でイヌの顔を引っ掻いた。
イヌ「痛った〜!?」
筍姫「まあ!?」
桃太郎「このニワトリは…。」
ガシガシ!
ニワトリは更に引っ掻く。
桃太郎「戻ってこい!」
イヌは、桃太郎の元へ戻って来る。
イヌ「やられましたワン…。」
桃太郎はイヌを撫でる。
桃太郎「ニワトリさん、もしかして闘鶏ですか?」
ニワトリ「そうですよ、いきなりなんて、失礼ですよ。」
桃太郎「ごめんなさい…。」
ニワトリ「わかってもらえれば良いです…。」
桃太郎「お詫びに、きび団子をどうぞ。」
ニワトリは、きび団子を食べる。
桃太郎「お願いがあるのですが…。」
ニワトリ「お願いですか?」
桃太郎「一緒に鬼退治に来てもらえませんか?」
ニワトリ「食べないのであれば、良いですよ。」
桃太郎「食べません、だからお願いします。」
ニワトリ「わかりました、一緒に行きましょう。」
2人にニワトリが仲間になった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
森を抜け、野原にやって来ると。
???「止めて〜!」
遠くから、突っ込んでくるサイが現れた。
ドドドド!
桃太郎「止めてって言われても!?」
桃太郎はサイを交わす。
ト〜ン!
サイは、木にぶつかると、木が根元から折れた。
桃太郎「マジか…。」
サイはよろめく?
サイ「お〜さ〜わ〜が〜せ〜し〜ま〜した〜。」
筍姫「だっ、大丈夫!?」
筍姫はサイに駆け寄る。
ブルブル!
サイは、顔を振り、正気に戻る。
サイ「お怪我はありませんか?」
桃太郎「ギリギリ交わしたから。」
筍姫「私は離れてたから、あなたこそ怪我は?」
サイ「私は丈夫なので…。」
筍姫「どうして慌ててたの?」
サイ「実は、ハチに追いかけられてて…。」
桃太郎「ハチなんて居ないよ。」
サイ「本当ですか!?」
2人は頷く。
サイ「良かった…。」
筍姫「どうぞ。」
筍姫はよもぎ餅を差し出す。
ムシャムシャ!
筍姫「良ければ、鬼退治についてきてくれない?」
サイ「鬼退治ですか?」
筍姫「ダメかな?」
サイ「私、ビビリですよ?」
桃太郎「無理にとは言わないよ。」
筍姫「突撃するだけでも良いから。」
サイ「それなら…。」
筍姫「良かった、よろしくね。」
サイ「はい!」
2人に、新たにサイが加わった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ようやく港町に着いた、桃太郎一行。
筍姫「これからどうするの?」
桃太郎「僕が鬼の情報を集めるから、動物も泊まれる宿を探して。」
筍姫「わかったわ!」
筍姫は、町中へ消えて行った。
桃太郎「さあ、情報を集めるか。」
桃太郎は、港へ行く事にした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
港へやって来ると、漁師がせっせと仕事をしています。
桃太郎「すみません。」
漁師A「どいたどいた!」
漁師Aは、忙しいようだ…。
桃太郎「鬼の事を…。」
漁師B「あん、俺は知らねぇ、他のやつに聞きな。」
漁師Bも忙しそうだ…。
桃太郎「あっ、あの!」
漁師C「何だ?」
桃太郎「この町に、鬼が出たと聞いて…。」
漁師C「ああ、俺等見てないんだが、海から現れたみたいだぞ。」
桃太郎「詳しくは知っている方はおられますか?」
漁師C「それなら、おーい!」
漁師H「ん、何すか?」
漁師C「お前、鬼を見たって言ってたよな?」
漁師H「はい、船の上からですが…。」
漁師C「詳しく聞きたいんだってよ。」
漁師H「はあ、わかるところでよければ良いですが…。」
桃太郎「お願いします。」
漁師C「じゃあ、任せた!」
漁師Cは仕事に戻って行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
漁師H「それで、聞きたい事とは?」
桃太郎「鬼は、この港から出たのですか?」
漁師H「船からですが…、ここからだと思います。」
桃太郎「港はどうだったのですか?」
漁師H「私が、漁から戻った時は、商品が散らかっていて、怪我人が沢山でしたね。」
桃太郎「他の街で、人が攫われたと聞きましたが…。」
漁師H「それはデマですね、金品を盗られたみたいですが…。」
桃太郎「そうなのですか!?」
漁師H「はい、ただ家はかなり破壊されました。」
桃太郎「町を見ましたが、そのようには、…。」
漁師H「町の皆で助け合いましたから。」
桃太郎「最後に、鬼って何処に居るのでしょうか?」
漁師H「それは、わかりませんね…。」
桃太郎「ありがとうございました。」
漁師H「いえ、それでは。」
漁師Hは仕事に戻って行った。
桃太郎「人が攫われてなくて良かったけど、鬼は何処から来たんだろう…。」
桃太郎は町中へ戻って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
町中へ戻った時だった!
スタスタスタ!
背後から財布をすられる。
桃太郎「あっ、財布!?」
背後から現れたのはサルだった。
サル「盗ったぞ〜!」
サルは飛び跳ねて喜ぶ。
桃太郎「財布を返せ!」
サル「返して欲しかったら、追いかけておいで!」
サルは、屋根をつたっていく。
桃太郎「こら待て!」
桃太郎も追いかけていく。
筍姫「桃!」
しかし、筍姫の声は聞こえていなかった…。
筍姫「私達も追いかけるわよ!」
筍姫も桃太郎を追いかけた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
サルと桃太郎は、浜辺まで走っていた。
スタスタスタ!
桃太郎「財布、返せ〜!」
サル「しつこいって!」
ドピュッ!ビシャッ!
突然、黒い何かがサルの顔に当たる。
サル「まっ、前が見えないっ!?」
ドサッ!
桃太郎はサルを取り押さえる。
バタバタバタッ!
サル「放せ、放せ!」
桃太郎「大人しくしろ!」
バタバタバタ!
筍姫「桃っ!」
桃太郎「姫!?」
筍姫「何してるの?」
桃太郎「このサルに、財布を盗まれてさ。」
サル「もう逃げないから放して。」
桃太郎「本当か?」
サル「サル嘘つかない!」
???「それなら、私が手伝おう。」
海からタコが現れた。
桃太郎「この墨は、タコさんだったのか。」
タコ「ああ、このサルは、悪戯ザルで有名だからな。」
桃太郎「それなら、放す訳にはいかないな。」
サル「う〜、放せ放せ〜!」
バタバタバタ!
サルは、まだ暴れる。
タコ「母ザルを呼んだから、放しても大丈夫です。」
母ザル「あんた、また悪さをしたのね!」
サル「か、母ちゃん!?」
母ザル「いつもいつも、悪さばかりして!」
サル「ゆ、許してよ!」
母ザル「今回ばかりは許さないよ!」
母ザルは、サルのお尻を叩く。
ペシッ!ペシッ!
サル「いっ、痛いよ!」
ペシッ!ペシッ!
母ザル「この子は、この子は!」
ペシッ!ペシッ!
サル「もうしないから!」
筍姫が、母ザルの腕を掴む。
筍姫「もういいですよ…。」
母ザル「本当かお?」
桃太郎も頷く。
サルのお尻は真っ赤だ…。
母ザル「ごめんなさいね、うちが貧乏たから、やってしまったのはわかってるんだけどね…。」
桃太郎「そうなのですか?」
母ザル「ええ、お詫びのしようもありませんが、この子を扱き使ってやってください。」
サル「かっ、母ちゃん!?」
母ザル「お黙り!」
サル「…。」
桃太郎「じゃあ、きび団子やるから、鬼退治に来てもらおうかな。」
サル「なっ、何でオイラが!?」
母ザル「鬼退治してくるまで、家の敷居はまたがせないからね!」
サル「そっ、そんな〜!」
桃太郎は、サルにきび団子を渡す。
筍姫「タコさんも、鬼退治手伝ってくれないかな?」
タコ「私は、海を離れられないぞ?」
筍姫「そうなの?」
タコ「少しなら、陸地も歩けるけど、遅いから…。」
桃太郎「タルの中ではダメなのか?」
タコ「それなら少しは…。」
筍姫「なら決まりね!」
2人に、サルとタコが仲間に加わった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
翌朝、店でタルを買うと、浜辺に向かった。
筍姫「タコさ〜ん!」
ザバッ!
タコ「おはようございます!」
桃太郎「タルを用意したよ。」
タコ「おぉ!」
タルにタコが入る。
筍姫「どうかな?」
タコは、タルの中を泳ぎ回る。
タコ「動きやすいです!」
桃太郎「それは良かった!」
筍姫「後は、鬼の住処ね。」
桃太郎「泳いて来たから、何処かの島には居るんだろうけど。」
タコ「それなら、カメに聞けば知ってるかもしれませんよ。」
桃太郎「そうなの?」
タコ「呼びましょうか?」
桃太郎「お願いできる?」
タコ「お任せください。」
桃太郎「明日の朝に来るよ。」
タコ「わかりました。」
チャポン!
タコは海へ泳いで行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
筍姫「あなたの家に行きましょう。」
サル「えっ!?」
筍姫「泊まる所がないのよ。」
桃太郎「宿屋は!?」
筍姫「サルさんの為よ。(小声)」
桃太郎「なるほど。(小声)」
サル「??」
筍姫「家に案内してくれる?」
サル「う、うん…。」
サルは、林の家に案内する。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
林の中に、ワラで造られた家がある。
母ザル「あんた、もう鬼退治してきたのかい?」
サルは首を振る。
母ザル「なら、何で帰ってきてるのさ!?」
サル「…。」
筍姫「実は、宿を取り忘れてしまって…。」
母ザル「まぁ、そうなの!?」
筍姫「泊めてもらえると、ありがたいのですが…。」
筍姫は、頭を下げる。
母ザル「まあまあ、野宿は危険よ、どうぞどうぞ!」
母ザルに招き入れられる。
桃太郎「すみません、大勢で押し掛けてしまって…。」
母ザル「いえいえ、ロクなおもてなしもも出来ませんが…。」
こうして、母ザルのもてなしを受け、一夜を過ごした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
翌朝、再び浜辺に来ると、8頭のカメがタコと共に待っていた。
カメ「タコさんから、話は聞いてるよ。」
桃太郎「でわ、鬼が住む島を知っているんですね?」
カメ「ああ、知ってるよ。」
筍姫「連れて行ってくれるの?」
カメ「はい、懲らしめてやってくれ!」
タコ「カメさんも鬼に困ってるから。」
カメ「私達が、育てた昆布を荒らされて困ってて…。」
筍姫「懲らしめるから、任せて!」
カメ「島の正面から行きますか?」
桃太郎「正面は、見張りが居るだろう…。」
カメ「はい、以前は2体居ました。」
桃太郎「それなら、島の裏から上陸しよう。」
カメ「わかりました。」
筍姫「船で行くの?」
桃太郎「確かに、船は目立つな…。」
カメ「私達の背中にお乗りください。」
桃太郎「えっ!?」
カメ「海なら、重さは感じないので。」
筍姫「そうなの?」
カメ「はい、サイさんでも大丈夫です。」
桃太郎「それなら、お願いするよ。」
カメ「はい、お任せください。」
7頭のカメに、桃太郎・筍姫・イヌ・ニワトリ・サル・カンガルー・サイとタコが乗る。
カメ「それでわ出発しましょう。」
全員が頷いた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
半日程が過ぎ、島が見えてきた。
カメ「あれが、鬼の居る島です。」
桃太郎「ここは、正面なのか?」
カメ「はい、鬼は目が悪いので、ここ位なら見えません。」
桃太郎「僕も見えないけど…。」
筍姫「3体居るわよ。」
桃太郎「姫、見えるの!?」
筍姫「うん、なんとなくだけど見えるわよ。」
桃太郎「そうか…、なら裏に周ろう。」
カメ「はい…。」
カメは、島との距離を保ちつつ、裏に向かう。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
島の裏は、ゴツゴツした岩が、点在する岩場だった。
カメ「ここからどうぞ。」
桃太郎「姫。」
桃太郎は、筍姫の手を取り引き上げる。
筍姫「ありがとう。」
皆が上陸をすると。
カメ「頑張ってくださいね。」
筍姫「ええ、任せて!」
カメは離れて行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
桃太郎「サルさん、偵察に行ってくれない?」
サル「何でオイラが…。」
筍姫「お母さんが見直すかもしれないわよ?」
サル「わ、わかったよ…!」
サルは鬼の住処へ、走って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
鬼の住処には、鬼が10体、見張りに2体居た。
サッサッサッ!
サルは、鬼の住処である洞穴を静かに覗き込む。
サル「宴会してるのか…。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鬼A「ガハハハ、酒だ酒だ!」
鬼B「お頭、良い飲みっぷりですね!」
鬼A「そりゃ、かっぱらった戦利品だからな!」
鬼D「次は、何処を襲いやすか?」
鬼A「今回は、たっぷりあるんだ、暫くは休憩だ!」
鬼D「俺は、うずうずしてきてやすぜ。」
鬼A「まあ待て、考えてない事はないんだ。」
鬼D「そうなんでやんすか?」
鬼A「ああ、次は遠いから準備がいるんだ。」
鬼F「鬼D、見張りの時間だぞ。」
鬼D「おお、そうか行ってくる。」
鬼A「しっかり見張れよ、ガハハハ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
サル「また悪巧みしてる…。」
サッサッサッ!
サルは、桃太郎の元へ急いだ。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
桃太郎達は、サルの帰りを待っていた。
サル「大変、大変!」
桃太郎「何があった!?」
サル「また、悪巧みしてたよ!」
桃太郎「何だって!?」
サルは、手足を使い必死に伝える。
サル「鬼は、宴会してたけど、次に襲う目星はついてるみたいだよ!」
筍姫「早く懲らしめないと、また襲われるわね。」
桃太郎「鬼は何体居た?」
サル「オイラが見たのは、10体だよ。」
桃太郎「多いな…。」
筍姫「でも、ためらってると被害が増えるわよ。」
桃太郎「見張りが少ない時に攻められたら…。」
サル「見張りの交代の時はどう?」
桃太郎「それしかないか…。」
筍姫「サイさんは、見張りの1体を海に突き落としてくれる?」
サイ「はい、頑張ってみます。」
カンガルー「オイラはどうする?」
筍姫「そうね、見張りの、もう1体を動けなくして。」
カンガルー「わかった。」
桃太郎「タコさんは、鬼の顔に墨をかけて、驚かせて。」
タコ「わかった。」
サル「オイラは、他の鬼を攻めるよ。」
桃太郎「わかった。」
ニワトリ「僕もサルと一緒に行動するよ。」
イヌ「僕は、住処をかき回すよ。」
桃太郎「わかった。」
筍姫「桃も頑張って。」
桃太郎「ああ。」
桃太郎は、刀を抜く。
筍姫「さあ、懲らしめるわよ!」
全員「お〜!」
全員が住処へ向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
鬼D・鬼Jは、海を見張っている。
ドドドド!ド〜ン!
背後から、鬼Jをめがけて突撃する。
鬼J「うわっ!?」
バシャ〜ン!
鬼D「!?」
カンガルーが背を低くして鬼Dへ近付く。
シュッ!ジュッ!
カンガルーは鬼Dのスネを蹴る。
鬼D「痛た!?」
バシッ!
更に、尻尾で足を掬う。
鬼D「おっとっと!」
バシャ〜ン!
鬼D・鬼Jは海へ落ちる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ザワザワ!
鬼A「何事だ!?」
鬼E「お頭、襲撃です!」
鬼A「なんだと!?」
ズバッ!
扉が斬られる。
桃太郎「大人しくしろ!」
鬼A「何だお前達は!?」
桃太郎「桃太郎だ、お前達を懲らしめにきた!」
鬼A「何だと!」
桃太郎「抵抗せずに、奪った物を返せ!」
鬼A「ガハハハ、人間が鬼に勝てると思っているのか?」
桃太郎「やってやるさ!」
鬼A「面白い、お前達相手してやれ!」
鬼達「アイアイサー!」
鬼達は立ち上がるが、数体は酔いが回り、ふらついている。
桃太郎「イヌさん、かき回して!」
イヌ「わかったワン!」
イヌは、鬼Fに向かい、周りをグルグル回る。
鬼F「な、何だ、イヌっころが、沢山見える…。」
イヌ「こっちだワン!」
イヌは、鬼Fの右に回る。
鬼F「こっちか…。」
鬼Fは右に向く。
イヌ「どこ見てるワン!」
イヌは、鬼Fの後ろに回る。
鬼F「今度はこっち…。」
鬼Fは後ろに向く。
イヌ「ほらほら、こっちワン!」
イヌは、次に左に回る。
鬼F「次は左か…。」
鬼Fの足がもつれ、後ろに倒れる。
鬼F「もうわからん…。」
イヌ「倒したワン!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鬼A「お前達、何やってるんだ!」
鬼H「なら、オイラが行こう。」
サル「今度は、オイラが!」
サッサッサッ!
サルは、素早く鬼Hの足元へ潜り込む。
鬼H「オイラの間合いに入るな!」
ブン!ブン!ブン!
鬼Hが拳を振り回す。
ピョンピョン!
サルは、跳ねて交わす。
ガンガンガン!
鬼Hは、拳を振り下ろす。
サル「おっと…!」
鬼A「やれやれ!」
ブン!ブン!ブン!
更に勢いをつけてブン回す。
鬼H「ガハハハ!」
サル「危ないなぁ…。」
サルは難なく交わす。
スタタタ!
サルは鬼Hの背中を登り。
サル「次はこっちの番だ!」
ガリガリガリ!
鬼Hの頭を引っ掻く。
鬼H「うぉ〜…、いて〜!」
鬼Hは、頭を押さえて屈み込む。
サル「どんなもんだい!」
鬼H「許さないぞ〜!」
ブン!ブン!ブン!ブン!ブン!ブン!
鬼Hは、腕を振り回し、所構わず攻撃する。
鬼G「わおっ!?」
鬼A「おっ、おい、落ち着け!」
ブン!ブン!ブン!
鬼H「えい、えい、えい!」
鬼Hは、がむしゃらに暴れる。
鬼A「おお、取り押さえろ!」
鬼B・鬼Cが、慌てて鬼Hに飛びかかる。
鬼B「こ、こら、大人しくしろ!」
鬼C「動くなよ!」
バタバタ!
桃太郎「あらら…。」
その時…!
筍姫「大人しくしなさい!」
鬼達「!?」
桃太郎「姫!?」
鬼A「誰だ!?」
筍姫「私は『筍姫』よ、桃と一緒に懲らしめに来たのよ!」
鬼A「女に何ができる!?」
筍姫は、鬼Dを見せる。
鬼D「お頭、やられちゃいました…。」
鬼A「何だと…、鬼Jはどうした!?」
鬼D「遠くに連れて行かれました…。」
鬼A「………。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
少し前…。
鬼D・鬼Jが、海に落ちた頃に遡る。
筍姫「伸びてるわね…。」
サイ「はい…。」
鬼Jは完全に伸びていた…。
カメ「やあやあ、もう始めてるんだね。」
筍姫「ええ、次を起こす前にね。」
カメ「この鬼、伸びてるね。」
筍姫「良かったら、沖に流しといて。」
カメ「良いのかい?」
筍姫「島が見える程度なら大丈夫でしょ。」
カメ「それくらいで良いのかい?」
筍姫「懲らしめたいだけだから。」
カメ「わかったよ。」
カメは、鬼Jを沖に引っ張っていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
バシャバシャ!
鬼D「た、助けてくれ!」
筍姫が覗き込む。
鬼D「お、俺は、泳げないんだ…!」
バシャバシャ!
筍姫「ふ〜ん、これから悪さをしないなら、助けてあげても良いわよ?」
鬼D「そ、それは無理…。」
筍姫「それなら、こちらも無理ね。」
バシャバシャ!
鬼D「お願いだ、助けてくれよ…!」
ピョンピョン!
カンガルーが鬼Dの上で跳ねる。
グボボボ!グボボボ!
鬼D「お…、おねが…、お願いだ…、助けて…、溺れる…。」
ピョンピョン!
カンガルー「悪さをしないなら、助けるって言ってるじゃん!」
鬼D「俺…、達の…、生き甲斐だ…。」
ピョンピョン!
カンガルー「それなら、諦めるしかないな!」
グボボボ!グボボボ!
鬼D「た…、助けてくれ…!」
筍姫「そんな生き甲斐なんて捨てなさい!」
グボボボ!グボボボ!
鬼D「わ…、わかったから…、助けて…!」
ピョンピョン!
筍姫「カンガルーさん、跳ねるの止めて。」
カンガルー「姉さんが言うなら。」
カンガルーは、跳ねるのを止め、陸に着地する。
筍姫「本当に、悪さしないわね?」
バシャバシャ!
鬼D「ああ、しない、しないから早く助けて!」
ザバッ!
筍姫は、鬼Dを引き上げる。
筍姫「縄はある?」
鬼Dは、ポケットから縄を出す。
筍姫「一応縛るわね。」
筍姫は、鬼Dを縛る。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
筍姫「奪った物を返しなさい!」
鬼E「女のくせに!」
鬼Eが襲いかかる。
筍姫「甘いわね。」
筍姫は、腕を掴むと、そのまま背負い投げる。
鬼E「うお!?」
ド〜ン!
鬼Eは、背中を強打し、気絶する。
桃太郎「………。」
筍姫「かかって来なさい!」
筍姫が鬼Gを見て身構える。
鬼I「うぉ〜!」
不意に鬼Iが横から突進してくる。
桃太郎「危ない!」
桃太郎は鬼Iの前に立ち塞がる。
鬼I「おっとっとっと…。」
桃太郎「とりゃ〜!」
桃太郎は、刀を振り下ろす。
ガシッ!
鬼Iは、片手で刀を掴む。
鬼I「なまくら刀なんて効かないぜ!」
ブン!
鬼Iが桃太郎ごと
放り投げる。
桃太郎「うわっ!」
桃太郎は、外に飛ばされる。
筍姫「桃っ!?」
鬼A「良くやった!」
桃太郎は、刀を使い立ち上がる。
桃太郎「ぐぐぐっ!」
桃太郎は、暫く動けそうにない。
鬼I「女よ相手してもらうぞ!」
鬼G「我も加勢するぞ!」
筍姫「わかったわ。」
鬼Gと鬼Iが、突進してくる。
カンガルー「姉さん!」
スタタタ!
カンガルーが、鬼Iに頭突きをする。
ド〜ン!
鬼I「うぉっ!」
鬼Iは尻餅をつく。
ビチャッ!
鬼Iの顔が真っ黒になる。
鬼I「なっ、何だ…、前が見えないぞ!?」
タコの墨が顔にかかる。
タコ「姉さん、鬼を。」
筍姫「タコさん、ありがとう。」
筍姫は、鬼Gの背後に回ると、角を掴む。
鬼G「ぐぉっ、何をする!」
鬼Gは、腕を後ろへ回し、筍姫を探す。
鬼G「角を掴むな!」
グイッ!
筍姫は、鬼Gの腕を取ると、後ろに回し押さえつける。
鬼G「いててて!」
筍姫「女だからでて、なめないでよね!」
グググッ!
鬼G「いてててて、離せ!」
筍姫「サイさん、飛び乗って!」
サイ「はい!」
ド〜ン!
鬼G「グハッ!」
なんとか見えるようになった鬼I。
鬼I「よくも!」
ガシッ!
鬼I「女がどうなってもいいのか!!」
桃太郎「姫!?」
筍姫「桃!」
鬼A「良くやでた、このまま抑えとけ!」
鬼I「あいよ!」
鬼A「よくも暴れてくれたな!」
桃太郎「姫を離せ!」
鬼A「離せだと、今の状況で言っていいのか?」
鬼Aは、筍姫に近付き、爪が筍姫の顎を上げる。
桃太郎「やめろ!」
鬼A「まずは、刀を捨てるんだ!」
………。
鬼A「どうした…、この女を助けたいんじゃないのか!?」
筍姫「桃、刀を捨てちゃダメ!」
桃太郎「えいっ!」
突然、桃太郎は鬼Iに刀を投げた。
鬼A「!?」
ブスッ!
鬼I「ぎゃあ〜!」
鬼Iに、刀が肩に刺さりうずくまる。
桃太郎「よし!」
筍姫は、隙を見て刀を取り逃げ出す。
筍姫「桃、助かったわ。」
筍姫は、刀を桃太郎に返す。
鬼A「よくも、よくも!」
鬼Aの顔が、真っ赤になる。
桃太郎「もうお前だけだ!」
桃太郎は、斬り込む。
ガシッ!
鬼Aは刀を受け止める。
鬼A「そんな刀なんて効かないわ!」
タタタ!
筍姫は鬼Aの後ろへ回り込み角を掴む。
ポキッ!
筍姫「あっ…!」
桃太郎「あっ…。」
鬼A「今のは、何の音だ!?」
筍姫が、鬼Aの前に来て。
筍姫「折れちゃった…、ごめんなさい…。」
鬼Aに折れた角を見せる。
ワシャワシャ!
鬼Aは、慌てて頭の角を触る。
鬼A「Oh No!」
鬼Aは、ショックで崩れ落ちる。
鬼A「わ、ワレの角が…、ピエ〜ン、ピエ〜ン!」
鬼Aは泣き始めた。
オドオド!
筍姫「桃、ど、どうしよう!?」
桃太郎「えっ…、えっと…。」
タコ「くっつければ良いのでわ?」
筍姫は、周りの鬼を見て。
筍姫「あんた、何かくっつく物は無いの?」
筍姫は鬼Bに尋ねる。
鬼B「そんな物は、無いさ。」
筍姫「あんた達の親分でしょ?」
鬼B「そんな事を言われても、角が折れるなんて聞いた事がない。」
筍姫「糊は無いの?」
鬼C「米ならあるぞ。」
筍姫「じゃあ、持って来て。」
鬼Cは、おひつを持って来た。
鬼C「これで良いか?」
筍姫「ええ、桃、そこの茶碗取って。」
桃太郎「あで、ああ…。」
桃太郎は、転がっていた茶碗を筍姫に渡す。
筍姫「ありがとう。」
桃太郎「それ、どうするの?」
筍姫「ご飯を潰して糊にするのよ。」
筍姫は、茶碗に少量のご飯をよそる。
筍姫「水を頂戴。」
鬼G「これで良いか?」
筍姫は、水を入れご飯を潰す。
ヌチャヌチャ!
徐々に、ご飯が潰れてまとまり始める。
筍姫「桃、代わって。」
桃太郎「僕もやるの?」
筍姫「角を折ったのは、私達なんだから。」
桃太郎「折ったの、姫なのに…。(小声)」
筍姫「何か言った?」
桃太郎「い、いや、何も…。」
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
ネチャネチャ!
音が変わり、糊が完成した。
筍姫「出来たわね。」
筍姫は、鬼Aの所へ行き?
筍姫「取り敢えず、くっつけるわ。」
鬼Aは、ショボンとしながら頷く。
筍姫は、折れた角に糊を塗る。
ペタペタ!
筍姫「応急処置だからね。」
筍姫は、鬼Aの頭の折れた角をくっつけた。
筍姫「固まるまで待ちましょう。」
鬼達は頷いた。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
2時間程が経ち。
筍姫「一応、付いたみたいね。」
筍姫は、角を触り確かめた。
筍姫「港町で奪った物を出して。」
鬼B「どうして?」
筍姫「返すからよ。」
鬼B「嫌だと言ったら?」
筍姫「また暴れるしかないわね。」
鬼A「それは止めておこう…。」
鬼B「お頭、何で!?」
鬼A「コイツ等には勝てないとわかでた。」
鬼B「お頭、意気地が無くなったんすか?」
バンッ!
鬼A「いいから、返すんだ!」
鬼C・鬼Dは、奪った物を取りに行った。
筍姫「他にもあるの?」
鬼A「あるが、それはダメだぞ。」
………。
筍姫「まあ、仕方ないわね。」
桃太郎「お、おい、それで良いのか!?」
筍姫「私達は、港町のを取り返しに来たんだもの。」
桃太郎「だけど、他のも奪われた物だよ。」
筍姫「桃、考えてみてよ。」
桃太郎「?」
筍姫「港町から奪われた物は、元の持ち主に返せるけど、他のは返せるの?」
桃太郎「持ち主を探せば…。」
筍姫「見つからなかったら?」
桃太郎「そ、それは…。」
筍姫「持ち主のわからない物を取ったら、私達も鬼と同じよ。」
桃太郎「………。」
ガラガラガラ!
鬼Cと鬼Dが、荷車に乗せて戻って来た。
筍姫「これで全部?」
鬼A「食べてしまった物は返せんが、これで全部だ。」
筍姫は、荷車の物を確かめる。
筍姫「本当に、沢山奪ったのね…。」
鬼A「港町の人達に、謝っておいてくれ。」
筍姫「しょうがないわね…。」
桃太郎「姫、カメさんを呼んでくるよ。」
筍姫「ええ。」
桃太郎は外に出た。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
外は、朝日が昇り始めていた。
桃太郎「カメさ〜ん!」
………。
しかし、返事がなかった…。
桃太郎「おかしいな…。」
筍姫「あれ、カメさんは?」
桃太郎「近くに居ないみたき。」
すると、サイが来て。
タコ「呼んで来ましょうか?」
筍姫「そうね、荷物運ばないといけないし。」
タコ「わかりました、少し待っててください。」
ポチャン!
タコは海へ潜った。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
数分後…。
ザバッ!
タコ「呼んできたぞ。」
ザバッ!ザバッ!ザバッ!
カメが15頭現れた。
カメ「お待たせしまひた。」
筍姫「帰りも宜しくね。」
桃太郎「増えてない?」
カメ「お宝を運ぶのに必要だと思いました。」
筍姫「気が利くわね。」
カメ「さあ、どうぞ。」
ピョン!ピョン!
サルやカンガルーが先に乗る。
サル「一番!」
カンガルー「あっ、ズルいぞ!」
カメ「慌てないでください…。」
筍姫「そうよ、静かに乗りなさい。」
サル・カンガルー「はい…。」
トットットッ!トコトコトコ!
ニワトリとイヌが乗り込む。
イヌ「何番でも良いのに…。」
ニワトリ「目立ちたがりなのさ。」
ドスドスドス!
サイ・タコが乗る。
サイ「疲れましたね。」
タコ「まあ、一件落着だな。」
ガラガラガラ!
荷車を、4頭のカメに乗せる
桃太郎「重たくないかい?」
カメ達は首を振る。
カメ「交代しながら、運ぶので大丈夫ですよ。」
桃太郎「それなら良いんだけど…。」
筍姫「無理はしないでね。」
カメ「お気遣いありがとうございます。」
そして、桃太郎が乗り、筍姫が乗ろうとした時だった。
鬼A「なあ、お嬢さんや。」
筍姫「な、何、いきなりお嬢さんって!?」
鬼A「なあ、お嫁に来ないか?」
桃太郎・イヌ・ニワトリ・サル・カンガルー・サイ・タコ・カメ「えっ!?」
筍姫「お、お嫁に〜!?」
鬼A「ああ、良い鬼嫁になれると思うんだ。」
………。
筍姫「お、お、鬼嫁なんてならないわよ!」
バチ〜ン!
筍姫は、鬼Aの頬を思いっきり叩く。
ピヨピヨピヨ!
鬼Aは、伸びてしまう…。
タコ「人間に鬼嫁は…。」
イヌ「そうそう。」
桃太郎「あははは…。(怒らせないようにしよう…。)」
桃太郎は、苦笑いしながら、心に誓った。
筍姫「さあ、港町に帰ろう。」
筍姫が、乗り込むと、カメ達は港町へ出発した。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
日が傾き始めた頃、遠くに港町が見えて来た。
筍姫「戻って来たわね港町。」
桃太郎「ああ、早く取り返した物を返さないとな。」
カメ「何処に上陸しますか?」
桃太郎「港に着けてくれるかい?」
カメ「船揚場に行きますね。」
桃太郎「よろしく。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
港に近付くと、漁師Hが桃太郎に気付いた。
漁師H「ん、あれはなんだ…。」
漁師Hは、望遠鏡で確かめる。
漁師H「あの人は…!?」
漁師Hは、船揚場に走った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
漁師H「お〜い、あんた達〜!」
筍姫「誰か手を振ってるわよ。」
桃太郎は、目を細めて見る。
桃太郎「鬼の話を聞いた漁師さんだよ。」
筍姫「そうなのね。」
カメは、船揚場に上陸した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
桃太郎「漁師さん、どうしてここに?」
漁師H「遠くに、あなたが見えたので。」
桃太郎「そうでしたか。」
漁師H「この沢山の荷物は何ですか?」
桃太郎「これは、鬼から取り返した物です。」
筍姫が、布を取る。
桃太郎「港町の方達に返してください。」
漁師H「鬼を倒したのですか!?」
桃太郎「懲らしめただけで、倒してはないですよ…。」
漁師H「そ、それでも…。」
筍姫「食べ物だけは、取り返せませんでした。」
漁師H「それは、まあ、漁師の皆に運ばせますよ!」
桃太郎「はい、お願いします!」
漁師Hは、港に走って行った。
カメ「僕達は海に帰るよ。」
筍姫「えっ、帰っちゃうの!?」
カメ「はい、もう鬼を懲らしめたので。」
桃太郎「お礼をしたいけど…。」
カメ「気持ちだけで良いよ。」
筍姫「そうなの?」
カメ「まあ、たまに港町に来て、顔を見せてくれたら…。」
桃太郎「わかったよ、2人でまた行くよ。」
筍姫「ええ、きっと。」
タコ「えっと、僕もカメと行くよ。」
桃太郎「タコさんも!?」
タコ「カメとは、ご近所だから、また会えるよ。」
筍姫「鬼退治、手伝ってくれてありがとうね。」
カメ・タコ「いえいえ!」
桃太郎「お元気で!」
カメ・タコ「ええ、でわまた!」
ポチャン!
カメ達とタコは、海へ帰って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
漁師達の手伝いで、奪われた物を全て返し終えた、桃太郎達は、港屋に来ていた。
店主「鬼達から、取り返してくれてありがとうごさいます。」
桃太郎「いえ、お酒等は、飲まれてたので、全員に返せなかったのは悔しいですね。」
店主「食料は仕方ないですよ、捨てられるよりは良いかと…。」
桃太郎「そう言ってもらえると、助かりますが。」
店主「お礼をしたいのですが、欲しい物はありますか?」
桃太郎「ん〜、思いつかないですね…。」
筍姫「お礼が欲しくて取り返したのではないので。」
店主「でわ、取り返して頂いた物から、一つずつ貰ってください。」
桃太郎「良いのですか!?」
店主「ええ、お好きな物をどうぞ。」
2人は店主に連れられ、店の倉へ向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
店の倉へ来た桃太郎と筍姫。
店主「お選びください。」
港屋に返した物には、武器や装飾品等があるようだ。
ガチャ!ガチャ!
桃太郎は、中から兜を持ち上げた。
桃太郎「これ、良いですか?」
店主「これは、西国の武士から、借金の代わりに貰った物ですね。」
桃太郎「そんなの、貰って良いのですか!?」
店主「ええ、構いませんよ。」
桃太郎「ありがとうございます。」
桃太郎は兜を被る。
ガチャ!ガチャ!
筍姫「私は、これが欲しいわ!」
筍姫は、大きな扇子を持つ。
店主「これは、海の向こうの国から来た商人から買った物ですね。」
桃太郎「大き過ぎないか?」
筍姫「良いのよ、綺麗だから。」
店主「重たいはずですが…。」
筍姫「大丈夫ですよ。」
筍姫は、扇子を振り回す。
ブン!ブン!ブン!(
桃太郎「危ないって!(危険物だ…。)」
店主「すごいですね!?」
筍姫「貰って大丈夫ですか?」
店主「どうぞどうぞ!」
2人は頭を下げる。
店主「また、来てくださいね、いつでも歓迎します。」
2人「はい!」
桃太郎と筍姫は、港町を後にした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
サルの家にやって来た桃太郎達。
サル「ただいま。」
母ザル「おかえり、鬼退治できたようだね。」
サル「懲らしめて来たよ。」
筍姫「とても頑張ってましたよ。」
母ザル「そうかいそうかい。」
母ザルは、サルの頭を撫でる。
サル「や、止めろよ!」
サルの顔が赤くなる。
桃太郎「もう悪さをするなよ。」
サルは頷く。
母ザル「もう行かれるのですね。」
桃太郎「はい、父や母にも早く会いたいので。」
母ザル「お気を付けて。」
母ザルとサルは頭を下げ、2人は手を振り出発した。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
港町を出て、野原に来ると、カンガルーが。
カンガルー「オイラは、ここで行くよ。」
筍姫「そう、お別れなのね。」
カンガルー「強くなって、今度こそ姉さんに勝つからね!」
筍姫「わかったわ、受けて立つわ!」
桃太郎「あはは…。(戦う約束って…。)」
カンガルー「じゃあ!」
ピョンピョン!ピョンピョン!
カンガルーは、野原に消えて行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
野原を過ぎ、森に入ると、ニワトリが立ち止まる。
ニワトリ「私は、ここで行くよ。」
桃太郎「そうか、寂しくなるな…。」
ニワトリ「それなら。」
ン〜、コロンコロン!
ニワトリは、金の卵を2個産んだ。
ニワトリ「この卵を孵化させたら、良い事があるよ。」
桃太郎「本当に?」
ニワトリ「それは、暖め方次第かな。」
筍姫「わかったわ、大切にするわ。」
ニワトリ「でわ!」
ニワトリは、森の奥へ消えて行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
隣町を過ぎ、桃太郎の家に戻ってきた。
桃太郎「父上、母上、ただいま戻りました!」
おばあさんA「おお、帰って来たのか!」
おじいさんA「無事に終わったのか?」
桃太郎「はい、鬼を懲らしめて来ました。」
おじいさんA「そうかそうか、良かった良かった!」
おばあさんA「筍姫よ、家に帰って顔を見せておやり。」
筍姫「はい!」
筍姫は、サイを連れ、家に帰って行った。
桃太郎「父上、母上、イヌを飼いたいのですが。」
おじいさんA「旅で出会ったのか?」
桃太郎「はい、一緒に鬼を懲らしめに行きました。」
イヌ「よろしくワン!」
おばあさんA「ご丁寧にどうも。」
おじいさんA「しっかり、面倒をみるのだぞ。」
桃太郎「はい!」
筍姫も、サイの飼育をする事になるのだった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
半月後、桃太郎と筍姫が大事に暖めていた、金の卵が…。
ピキピキ!ピキピキ!
それぞれの卵にヒビが入る。
筍姫「どんな子が生まれるのかしら。」
桃太郎「金のヒヨコかな、金の卵だし。」
筍姫「ヒヨコは、元から黄色よ。」
ピキピキ!パカ〜ン!
金の卵から、金のトサカのヒヨコと、金の羽のヒヨコが生まれた。
桃太郎「僕のはオスみたいだ。」
筍姫「トサカが付いてるからね。」
桃太郎「姫のはメスかな。」
筍姫「トサカないからそうかも。」
こうして、ヒヨコ達も加わった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
半年後、ヒヨコは立派なニワトリになった。
コケコッコ〜!
桃太郎「強そうな雄鶏になった。」
筍姫「うちの子は、全身が金色になったわよ。」
コッコッコッ!
桃太郎「僕の方は、顔と尾と爪だな。」
そして、2羽は番となり、金の卵を産み、桃太郎と筍姫は、幸せに暮らしましたとさ。
◇おしまい◇
無事に帰ってきた、桃太郎と筍姫、平和な日常が戻った。