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第17話:解けぬ謎と真実の扉


迷宮の奥深く、アレン、リリア、そしてジョージの三人は、再び試練の前に立っていた。足元の石が不規則に敷き詰められ、周りは依然として薄暗く、静寂だけが支配している。全てがどこか異次元にいるような錯覚を与える不気味な空間だ。三人が前に進むと、突如として目の前に現れたのは、異常に大きな石板だった。


石板には、暗号のような模様とともに一つの大きな問いが書かれていた。


「あなたの前に立つ門を開けるためには、次の問いに答えなさい。」


「この部屋には真実を知る者はいるか?」


その問いの周囲には、暗号のような文字列と数字が、まるで壁を取り囲むかのように彫られている。アレンは眉をひそめ、リリアはどこかに引っかかりを感じながらもその謎に目を凝らした。


「さて、どう解く?」アレンが思案しながらつぶやいた。


ジョージはゆっくりと石板を見つめ、黙ったまま考えていたが、やがて顔を上げた。「面白いな。さあ、考えてみろ。正解は実は一つじゃないんだ。試すだけの価値はある」


リリアが視線をそらさずに言った。「でも…この問い、どう考えてもおかしくない?『真実を知る者』がいるかって、普通の答えじゃ答えられない気がする」


ジョージがにやりと笑った。「それが試練ってやつだろう。真実を知る者なんていない…ってことが、最も真実かもしれない」


アレンはその言葉に少し考え込みながらも、答えを導き出す手がかりを探した。石板に彫られた文字を見つめながら、アレンはふと不安を覚える。「でも、この暗号…どうしても解けない」


「それにしても、なんか変だよな」リリアがつぶやいた。「巻貝は巻いてるのに、二枚貝は三枚だよな。まったく不思議なことばかり」


アレンとジョージはリリアのその言葉に、一瞬だけ視線を交わす。「確かに…」アレンが苦笑いをしながら言った。


ジョージは腕を組みながら考え込み、しばらく沈黙が続いた。やがて、ジョージが不敵に微笑みながらつぶやいた。「何かしら、君たちは思い込みすぎだな。この部屋の問いは、実はそのままの答えが必要なんだ」


リリアは眉をひそめた。「そのままの答え?」


ジョージがうなずいた。「答えは、『本物はいない』だよ」


アレンはその言葉を聞いて、しばらく呆然とした。「本物…いない?」


ジョージがニヤリと笑う。「うん、つまりここで言う『真実を知る者』というのは、存在しない。『本物』がいないからこそ、真実を知る者なんているはずがないんだ」


アレンとリリアはその答えを噛みしめながら、再度壁に刻まれた数字と文字列を見つめた。どこか納得できるような、できないような…。


「でも、それじゃあ答えになってるのか?」アレンが苦しむように言った。


ジョージは肩をすくめ、「正直、答えなんて言葉の遊びだよ。重要なのはその問いをどう解釈するかだ」と言った。


その瞬間、何も起きなかったように見えたが、アレンが一歩踏み出すと、石板がゆっくりと動き出した。まるでそれを待っていたかのように、石板は音を立てて開き、前方に新たな扉が現れた。


「ほら、そういうことだ」ジョージは少し誇らしげに言った。


リリアはそのまま口をつぐみ、アレンもまだ呆然としたまま扉を見つめた。「本物がいない…」


その言葉が何となく心に残り、しかしその意味を完全に理解することなく、三人は次の試練へと足を踏み入れることになった。

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