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第13話:新たな仲間と失われた命


 扉を開けると、そこにはまた新たな迷宮が広がっていた。これまでの部屋よりも一段と不気味で、どこか深い闇が感じられる。アレン、リリア、ケインの三人は、肩を並べてその先へと進んだ。


 「こんな空気、また変わったな」ケインが声を低くして言った。彼の表情には、以前とは違った警戒心が浮かんでいた。


 「本当に、毎回違う雰囲気だな…」アレンも少し疲れた様子で言った。「これが試練の一部なんだろうけど、ちょっと不安だ」


 リリアが前を歩きながら、何度も後ろを振り返った。「私たちが進んだ先に何が待っているのか、分からないけれど、気をつけなきゃね」


 その言葉の通り、進んでいくうちに空間の歪みがますます強くなり、三人は自然と慎重になった。何度も道を選ぶ瞬間が訪れ、その度に迷宮の不安定さを感じさせるような音が響いた。


 突如、ケインが立ち止まり、真剣な表情で言った。「待て、何かが…何かがいる」


 その言葉に反応するように、空気が重くなり、光が揺らめき始めた。アレンとリリアも身構えた。何か異常が起きる予感がした。


 そして、突如として、ケインの足元に亀裂が入った。彼は悲鳴を上げる暇もなく、そのまま真っ暗な深淵に吸い込まれていった。


 「ケイン!」アレンが叫んだが、もう遅かった。ケインの姿は、すぐに見えなくなった。


 リリアが震えながら言った。「あの…あれは、どういうこと?」


 アレンは愕然としながらも、すぐに冷静を取り戻そうと努めた。「ケインが…ケインが落ちたんだ。もう助けられない」


 リリアはしばらく黙っていたが、やがて震える声で言った。「まさか…この迷宮は、本当に命を奪うんだね…」


 アレンは深く息をつき、リリアを見つめた。「けど、俺たちは進まなきゃならない。ケインのためにも、この先に進むんだ」


 二人は無言で歩みを進め、再び先へと進んだ。その心の中には、ケインの死が深く刻まれていた。何かが進んでいく先には、きっともっと恐ろしいものが待っているに違いない。それでも、彼らは足を止めることなく進み続けるしかなかった。


 しばらく歩いていると、また一つ扉が現れた。今回の扉は、これまで見たどんな扉とも違っていた。それは、光でできた扉であり、まるで水面のように反射しながら、異なる色に変化していた。


 「これも…試練の一部なのかな?」アレンが呟いた。


 リリアが頷く。「おそらくそうだわ。でも、次に待っているのは誰かしら?」


 その言葉が終わるか終わらないかのうちに、扉がひとりでに開かれ、まばゆい光が三人を包み込んだ。


 光が収まると、そこには新たな人物が立っていた。彼は若干20代後半といったところだろう。身長はアレンと同じくらい、黒髪で、真面目な顔立ちをしている。その表情からは、何か落ち着いた雰囲気が感じられた。


 「あなたは…?」アレンはその人物を警戒しながら問いかけた。


 その人物は静かに答えた。「俺の名前はレオ。君たちと同じように、この迷宮に迷い込んでしまった者だ」


 リリアが驚いたように言った。「レオ…新しい仲間が加わったってこと?」


 レオは少し黙ってから言った。「そうだが、君たちには言っておくべきことがある。俺がここに来た理由は、決して偶然ではない。君たちの試練も、俺の試練も、すべて繋がっている」


 その言葉に、アレンは一瞬驚き、そして不安を感じた。「繋がっている? どういう意味だ?」


 レオは静かに答えた。「迷宮は試練だけではない。心の中の闇を試す場所だ。君たちも、この迷宮を抜けるためには、自分の過去と向き合わなければならない」


 「過去と向き合う…」アレンはしばらくその言葉を噛みしめると、再び歩みを進めた。「それなら、俺たちは進むしかない」


 リリアは少し不安げにレオを見た後、アレンの後を追った。新たな仲間、レオの登場によって、何か新しい流れが生まれる予感がした。しかし、ケインの死という現実がまだ胸に重くのしかかっている。


 その時、遠くから何かが近づいてくる気配がした。アレンは足を止め、レオとリリアに目で合図を送る。その瞬間、目の前に現れたのは巨大な影だった。それは、何もかもを呑み込んでいくような、恐ろしい存在だった。


 「来たか…」レオが呟く。


 その影は、巨大な怪物のように形を成し、二人の前に立ちはだかった。


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