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第10話:甘い罠と闇の扉


 アレン、リリア、ケインの三人は、前回目の前に現れた謎の「チョコモンスター」なるものに圧倒されていた。巨大なチョコレートの像が、迷宮の深層に突如現れ、彼らの行く手を阻んでいる。しかし、どう見てもその存在は、単なる飾り物でしかなかった。


 「これは一体どういうことだ?」ケインが眉をひそめながら言った。


 リリアもじっとその像を見つめた。「まさか、本当にチョコモンスターがこんな形で現れるなんて…でも、これはただの罠かもしれない」


 アレンは頷いた。「何か不気味だな。こんなものが迷宮の深層にあるはずがない」


 その瞬間、突然、像の目からチョコレートが滴り落ち、床にべちゃりと音を立てた。そして、像の体がじわじわと崩れ始め、そこから暗い影が忍び寄る。


 「なんだ!? こいつは…」ケインが飛び退く。


 「気をつけろ!」アレンが叫んだ。


 その影が一気に広がり、床に亀裂が走ると、目の前に黒い扉が現れた。扉の上には、微かに光る文字が浮かんでいる。それは、リリアが知っている文字だった。


 「これは…迷宮の真実に関するもの。『選ばれし者のみが開ける』…という意味が書かれている」


 ケインが不安そうに言った。「それって、つまり誰かが選ばれなければいけないってことか?」


 アレンは一瞬考えた後、決心したようにその扉を押した。扉がわずかに開き、内部から冷気が流れ出す。その先に何が待ち受けているのか、三人はまだ知る由もなかった。


 扉の先に広がっていたのは、長い廊下と無数の扉が並ぶ部屋だった。そのすべてが、先に進むための試練であり、試練をクリアすることで「選ばれし者」への道が開かれるらしい。だが、扉の一つに書かれた文字が目に入った。


 「ここを開けることで、過去に戻ることができる…?」


 リリアがその文字を読み上げた瞬間、三人は息を呑んだ。過去に戻れるだなんて、何を意味しているのか、まったく分からない。


 「やはり、迷宮の真実に関する重要なことが隠されているんだろうか…」アレンはつぶやいた。


 ケインは冷静に言った。「この迷宮、もう何が本当で何が嘘なのか分からなくなってきたな。過去に戻れるなんて、まるで映画みたいだ」


 リリアは黙ってその扉を見つめた。「私たちの試練が何を意味するのか、すぐにでもわかるはず」


 その時、またもや一つの扉が開く音が鳴り響いた。それは、何の前触れもなく、無理にこじ開けられたわけでもない。ただ、静かに、その扉だけが開いた。


 「こっちだ、進もう!」アレンが急かすように言い、みんなでその扉をくぐり抜けた。


 扉の先に待っていたのは、また一つの奇妙な場所だった。暗闇の中に、広大な城が立ち並んでおり、その中央に座っているのは巨大な人影だった。


 その影がゆっくりと立ち上がり、暗闇から浮かび上がるようにその姿を現した。それは、迷宮の支配者――「チョコモンスター」ではなかった。


 「お前たちが迷宮を進んで来た理由を知っている」と、影が低い声で言った。その声は、どこか懐かしく、また威圧的でもあった。


 「まさか、お前がこの迷宮の主か?」アレンが一歩前に進み、質問した。


 影はゆっくりと歩み寄り、その顔を明かした。その顔は、思わずアレンを驚かせるものだった。アレンが見たことがある顔――それは、アレンの亡き父親だった。

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