#20 一緒に寝よ?
皆様、あけましておめでとうございます。
昨年は本作品に目を通してくださり、またブックマークや評価、コメントも頂きありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。
「ん?どうぞ」
「お邪魔しまーすっ。わぁ!部屋めっちゃキレイ…っていうか質素?全然余計なものとかないじゃん!」
そう言って入ってきた千紗は髪がしっとりと濡れたTHE風呂上がりスタイル。首にタオルを巻き、頬が少し上気している姿は、普段の生活では絶対に見ることができないため、ファンであれば写真を撮っているところだ。
「まぁあんま興味あるもんもないし。お気に入りの漫画と筋トレグッズぐらいしか置いてないからな」
『ワシもおる。忘れるな』
いつの間にか起き、余計なことを言う白面をジロリと睨む。
普段無口なくせに余計なこと言うな。
「へー。男の子の部屋ってこんなもんなんだね。初めて入ったけど、思ったより感動が少なくてざんねーん。
あ、そうそう。凪さんがね、お風呂入っていいよーって言ってた!」
「ん。了解」
それで出ていくと思いきや、千紗は何やら部屋の中を観察し始める。
人に見られると思ってないから掃除とかちゃんとしてないんだよ。そんなジロジロ見ないでよ。
ていうか、確かアメニティセット忘れたから俺の家のシャンプーとか使うって母さんに言ってなかったか。…それなのに、なんでこんなに良い匂いが部屋に香ってるんだ?お客さん来るから良いシャンプーでも出したんかな。
「あ!鋼くん…もう課題やり始めてるじゃん。これは裏切りおにぎりだ」
裏切りおにぎりって初めて聞いたけど。最近のJKの流行りなのか…確かに語呂は良いかもしれん、知らんけど。
「…ん、まぁあんまり後に残しておきたくない派なんだよ」
「そうなんだ、意外だね。宿題とか後回しにするタイプかと思ってた。あ!私も持ってきてるからさ、勉強会しよっ」
「今さらっとバカにされたような…。まぁ課題早く片付けるっていうのは賛成だから、明日とか暇な時間するか」
「おっけー!楽しみ〜。分かんないとこあったら教えてあげるね。こう見えても結構成績いいんだよ?」
まぁ正直今のところあんまり頭良さそうには見えてない。声には絶対出せないけど。
だって制服着崩してる金髪のギャルだよ?これで頭良かったら反則っていうか詐欺じゃん。声には絶対出せないけどね。
「…ありがと。頼らせてもらうわ」
「任せて!特に国語と化学が得意だから、その2教科は大船になったつもりでいてよ!」
そう言って千紗は胸をドーンと叩いた。まぁ俺は頭良くないから何もギブはできないけど少しでもテイクさせてもらうか。
「…でねっ、話は変わるんだけど。相談というか何というか…。えーっと、えーっと」
珍しく悩んだ様子で何かを言い淀む千紗。この子って脊髄反射で思ったことズバッと言っちゃうタイプかと思ったけど、こういうふうに悩んだりするんだ。
まぁ折角悩んでるみたいだし、ゆっくり待つか。
...中々言い出さないな。なんかちょっと顔を赤くしてモジモジしてるし。
それから2分ぐらいモジモジして、いい加減急かそうかなと思った頃に衝撃な言葉を発した。
「この部屋で......ダメか...な...?」
「ん?なに?」
「いや、だから...ね?この部屋で寝ちゃダメかな?って」
自分の体を抱きしめ、絞り出すように言った。は?
「いやいやいや。俺ら高校生だよ?そんなに親しい仲でもないし...。
それに、お互い自分の時間少ないのは気まずいでしょ」
「えっとね、ほら!その漫画とか、結構前から気になってたし!それに勉強とかも同じ部屋のほうが結構捗ると...ぅう。違うくて...ほんとに笑わないで聞いてほしいんだけど...怖いの」
「へ?」
「怖いの!昔ね、ちょっと心霊体験みたいなのしてから...夜一人いるのが結構苦手になっちゃって。
自分の家だと平気になってきたから頑張れるかと思ったんだけど、鋼くんウチの客間が結構和室チックだったから落ち着かなくて...」
「いや、それでもまずいって」
「一応、凪さんには一応確認取って...」
「鋼ちゃ〜ん、千紗ちゃんのお布団持ってきたわよ〜」
そういって場違いに明るい声が部屋に響く。
「...母さん、俺の部屋で二人ってマジでいってんの?」
「あら?千紗ちゃんが恥ずかしい思いをしながら告白したことを助けてあげられないわけ〜?母さん、悲しい!そんな薄情な子に育てた覚えはないわぁ」
「...やっぱりダメだよね。無理言ってごめんね」
わざとらしくハンカチを噛む仕草をする母さんと、これでもかというほどしおらしくなる千紗。
えぇ...俺が悪いみたいな雰囲気にするじゃん。俺が悪いの?
「さすがに俺も一人の時間欲しいんだけど、母さんと寝れば良くない?」
「お母さんはお父さんと寝ないと熟睡できないもの。朝も早いし」
「じゃあ私はなるべくリビングで...」「鋼ちゃんは一人になりたい時は客間に...」
そんな感じで俺が蚊帳の外にいる状態で進んだ交渉の結果、千紗はなにもない時はリビングで過ごし、勉強するときや寝る前は鋼太の部屋に集合する。
俺が1人になりたい時は、客間で作業したりする。ということで話がまとまってしまった。
「まぁまぁ。鋼ちゃんは早めにお風呂行っちゃってて。お布団敷いておくから」
「ごめんね、鋼くん。お風呂いってらっしゃーい!」
ココって俺の家だよね?ヒエラルキー低すぎない?
ただ...先程までと一転して上機嫌になった千紗を見て、もうどうにでもなれ、っと心のな中でため息をつく。
自分には関係ないといった様子で伸びをする白面に対して恨めしい気持ちになる。
1章もある程度で区切りをつけ、怒涛の2章へ移行予定です。
備忘も兼ねて今後の展望を少し記載します。
※あくまで現時点の妄想ですが、わずかにネタバレも含むため苦手な方は飛ばしてください。
1章:ある程度の登場人物、交友関係を記載しつつ、今まで明かされることのなかった(放置されてた)鍛冶の書に触れていく。
2章:鍛冶の書を元に修行を進めていくのだが、そのために訪れた神社である事件が...
3章:白面の依代である元刀を修繕のための修行編。しかし、実は必要な素材があり更に鋼太自身にも...
4章以降:玉城家が持つ力と枷(役割)...鋼太が成すべき運命...鍛冶の書の8章以降には何が...日本の崩壊とは何を指すのか




