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#18 ココって俺の家だよね?

本日仕事納めの社畜の皆様、1年間本当にお疲れ様でした。

今年は休みが長いですが、筆者は既に休み明けのことで頭がパンパンです。

ゆっくり休んで、年明けに備えましょうね☆

今週は後1話更新し、年越し予定です。

更新&展開遅くてイライラされるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

にこやかに挨拶してきた山城さんであったが、急に頬を膨らませる。

表情の起伏激しすぎないか?


「ってかさ!お前って何っ!そんな呼び方冷たすぎじゃないかな?」


「あ...ごめん、山城さん。勢いでつい...」


「"ちさたそ"って呼ぶって約束だったじゃんッ!鋼くん、嘘つきは泥棒の始まりなんだよ?」


「げッ!...マジで"ちさたそ"だけは勘弁してください。羞恥心で悶え死ぬ」


「むぅ。じゃあなにが...」


「ま、まぁこんなとこで長居するもんじゃないし、とりあえず中入りなよ」


「あ、それは確かに〜。改めまして、おっ邪魔しまーす!

おっと。その前に、こちらつまらないものですが」


「...ご丁寧にどうも」


そういって近所の和菓子屋の菓子折りを差し出す千紗。

この子はノリは軽いが意外と礼儀はきちっとしてるんだよな。紙袋からちゃんと出してるし。

油断ならんな。

しかし、自然な流れで名前のことは先延ばしにすることが出来た。

このまま"山城さん"呼びで何とか定着を狙うことが第一ミッションだ。


そんな事を考えながらリビングに向かって移動していると、母親がひょっこり顔を出す。

『玄関での話が長かったので、我慢できず出てきちゃいました』と顔に書いてある。


「まぁまぁ山城さんところの娘さんよね?よく来たわね、待っていたわ〜」


「えー!鋼くんのお母さんですか!?めっちゃ若くて綺麗!!!

山城千紗と言います!暫くの間お世話になります!」


コイツっ!恥ずかしげもなく堂々と世辞なんて披露しやがって。


「あらやだ。そんなに褒めても美味しいご飯しか出せないわよぉ〜」


「お爺ちゃんから、凪さんの料理は絶品だって聞いてるので、チョー楽しみにしてきちゃいました。えへへ」


「まぁまぁまぁ!奏士郎さんもそんなこと言ってくれてるなんて...毎日張り切っちゃうわぁ!」


母親への世辞によってこの家における確固たる地位を築いたか...油断ならんやつだ。


「...いつまで立ち話してんだよ。ほい、これお菓子いただいた」


「あら、ご丁寧にありがとう〜。なんにも気なんて遣わなくてもいいのに。明日にでもみんなで食べましょうかしらね。

鋼ちゃん、先に千紗ちゃんが過ごすお部屋の案内してあげてね」


「へいへい。ん」


そういって山城さんに手を伸ばす俺。

意味が分からず停止する山城さん。


「?手を繋いで部屋まで案内してくれるってこと?」


「んなわけあるか。荷物だよ、荷物。階段もあるし、オモテナシの精神だ」


「そ、そうだよね!鋼くんウチにはそういう決まりがあるのかと思っちゃったよ〜。じゃ、甘えちゃうね。ありがと」


タハハ、と恥ずかしそうに笑いながら荷物を差し出す山城さん。

...っと、何キロあんだよこのカバン。何を入れたらこんな重さになるんだよ。修学旅行じゃねぇんだぞ。

そして、それらのやり取りを見て『あらあら〜』とニヤけながら退散する母親。マジで勘弁してくれ...。


案内をするべく階段を登り、客間まで行って荷物を置く。


「あと、ココの突き当りがトイレで、洗面所もその手前にある。俺は先に下戻ってるから準備できたら1階に降りてきてよ。リビングで適当に待ってるから」


「はーい!鋼くん、色々ありがと。気が利くし優しいね!」


「そりゃどうも。じゃまた後...」


「鋼くんっ!」


「ん?」


1階に戻ろうと背中を向けていたが、呼ばれたので振り返るとイタズラっぽい笑みを浮かべた山城さんと目が合う。

とても嫌な予感。


「呼び方の件、改めてちゃんと考えておいてね!」


「...また、後で」


クソっ、忘れたわけじゃなかったのか。

やっぱりコイツは油断ならん。



▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼ ▽▼



鍛鉄と鋼太の父を待ちながら、飲み物を嗜みつつ談笑する。


「えー!鍛鉄さんから何も聞いてないのー?」


「マジで何も聞いてないけど」


「私も昨日の夜に初めて聞いたから、お部屋が散らかっててごめんねぇ〜」


「急な話でご迷惑おかけしてすみません...。送迎などの関係でバイトの日数が減りそうだという話をしたところ、鍛鉄さんから住み込みの提案いただいたので私が飛びついちゃいました。てへっ」


そう言って千紗が話し始めたのは、千紗のバイトの予定について。

なんと、向こうの高校の夏休みの間中住み込み?でこのバイトをするらしい。住み込みするほど仕事ねぇぞ。

それに、ほぼ1ヶ月ぐらい家泊まるっていうのに、何で家族に事前相談なく決めちゃうんだよ。

...母さんがどっちにしても許可してそうだから、時間の問題かもしれないが。


マジかよぉ。客間とはいえ1ヶ月も余所者とひとつ屋根の下はプライバシー侵害されすぎだろ。

...本人を前にして声に出しては言えないけど。もう来ちゃってるし。


「いいのよいいのよ〜。この家に女の子なんて来たことないから、私は結構楽しみだったのよ。夜の女子会用に美味しいお菓子も用意してあるのよ〜」


「母さんは女子って年じゃねぇだろ」


「あー!鋼くん、ひどい!女心分かってないんだから」


「そうよ〜、心は永遠の18歳なのにね。うふふ」


「...本気で1ヶ月もこの家で過ごすの?このボロ家に?」


「ちょっと鋼くん〜。ボロ家はひどいんじゃない?お母さん、毎日掃除頑張ってるんだけど...ぴえん」


「あ〜あ。鋼くん、凪さん泣かせた!ひどい!親不孝者!」


「千紗ちゃん...ほんとにいい子ねぇ〜!どう、1ヶ月と言わず、ずっとウチにいてくれないかしら!」


キャピキャピ、うふふと仲良く会話を続ける凪と千紗。

今日初対面なのにこの雰囲気とかコミュ力おばけすぎ。本当に精神年齢が近いのかもしれない。


「マジで味方いなさすぎて肩身狭すぎるって...俺の夏休み終わったかもしれん」


ちなみに、向こうの爺様は『ウチの可愛い孫が言うなら...クハッ』と血を吐きながら許可したらしい。何で折れたんだよ、山城爺さん。死ぬ気で止めろよ。

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