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第99話 白石ハーレム

「そんな噂、どこから出てきたんですか?」


「あらやだ、本当なの?てっきり妹さんあたりといるとこを間違えられたのかと思った。」


 自分で振っといてその態度はなあ、と思いつつ、あれ、日向さんに妹の話したことあったか?と考えていた。


「いや、その場に確かに妹もいたんだけど…。俺、日向さんに妹の話したことあったっけ?」


 ん?って感じです須藤を見ている日向さん。その視線につられて須藤を見る。

 その瞬間に、キョドり始めた。


「あ、いや、そのさ、白石…。」


 まあ、その態度見るとその情報の出どころはわかるんだけど、隠してたわけではないし、普通に学校で静海とは会っているから、いいんだけど。


「私が昨日の昼休みに、クラスで聞こえてきたのを偶然聞いただけ。白石君の妹さんがお弁当を作ってくれたけど、ちょっと失敗しちゃった、みたいなこと話してなかった?」


「ああ、そういえば。日向さんもいたんだね、クラスに。気づかなかった。」


「白石君のとこ賑やかそうだったからね。だからその時に須藤君も一緒に食べてたでしょう?放課後に聞いてみたんだよ。」


「ごめん、なんか個人情報流したみたいになって…。」


「別に、それは全然かまわないんだけど…。噂ってどんな風に伝わってるんだ?」


 俺はキョドり気味の須藤に聞いてみた。

 その件についてはあまり俺の耳に入ってきてなかった。


「あーと、山村さんだったけな。綺麗だけど人の噂大好きって感じの女子。白石の「女泣かせのクズ野郎」って話のときに大喜びしてた感じがあった。その時に来栖さんと話してたんだけど、わざわざ話に割ってきてね。」


「須藤、お前もあの噂に加担してたのか?」


「見ちゃったからな、あの場面。実際、白石が美少女を泣かしてたようには見えたし。まさか、その美少女と思った人が、あんなに怖い人とは思ってなかったけど…」


「お前、どんだけあやねるを怖がってんだよ。」


 本当に須藤はあやねるが怖いらしい。

 聞いた話だと分からなくもないけど。

 確かにほかの女子が俺に絡んできたときの態度に、思うことはあるけど。


「いや、本当にかわいいとは思うよ、宍倉さん。だけど、本当に白石、お前が絡むと怖いんだよ、あの子。」


 弁明する須藤。

 知り合った当初、その来栖さんと話せたことに感動していた、あの初心な須藤君はもうどこにもいないんだね…。


(その考えはかなりおっさん臭いぞ、光人)


(いや、でもさ、親父も知ってるだろう、須藤。最初にあいさつした陰キャの須藤君、雰囲気かわっちゃたよ)


(たぶんにお前のせいだと思うぞ。変にお前と友人になって、結構の女子と話す羽目になってるからな。お前は入学式のときは普通の陰キャっぽかったのに、な)


(うるさい!)


「そうね、宍倉さん。普通に接するとかわいらしいお嬢さんだけど、白石君、君といるとかなり感情が漏れてる感じあるよね。」


「日向さん、そんなに俺たちの子とみてるの?」


「うん、君たちって本当に見てると飽きないんだよね。知り合えてよかったよ。」


「褒められてんだか、貶されてるんだか…。」


「あんまり、私も人づきあいが得意なほうじゃないけど、君たちと友人になれたのは幸運だと思ってる。有坂には感謝だよ。」


 日向さんの言葉に陰りがないことがうれしい半面、言われてる言葉にむずがゆさを感じる。


「有坂先輩…。」


 が、須藤はその人の名で分かり易く落ち込んだ。


 その様子を横目で見た日向さんは苦笑を浮かべて、俺に視線を向けた。

 その日向さんの一連の視線の移動方向と表情で、須藤の苦悩の原因が何となく推測できてしまった。


 俺に関係がある、か。


「それでその噂の内容なんだけどね、綺麗な女子を侍らかせてる「女泣かせのクズ野郎」白石に、これまた綺麗タイプの女子中学生が白石ハーレムの一員に入れてほしいと告白した。そんな内容だったかしらね?」


 そういって須藤に顔を向けた日向さんに、焦燥感が否めない須藤が頷く。


「白石ハーレムって……、なにそれ?」


「さあ。そういう噂を、クラスメイトの山村さんが、わざわざ須藤君になれなれしく言ってきたってこと。ねえ、須藤君?」


「そうなんですよ。なんでわざわざ俺にそんな話をしてくんだか。白石の友人だからって言ってんだけどさ。」


「山村さんねえ?あんまり記憶がないな。どんな人だっけ。」


「まあ、綺麗系なのかな。柊先輩をクラスで見るまではそう思ってたけど、見た目で圧倒的な人見たせいか、あの噂好き、いや悪口にちょっと嫌な感じしか残ってないな。」


「そうか…。あっ、柊先輩の劣化版みたいな女子、いたな。」


「白石君、さすがにその表現、あんまりいいとは思えないよ。人前でその言い方はしないほうがいいね。」


「ごめん、日向さん。うん、確かにそうだな、気を付ける。」


「素直でよろしい。」


「まあ、でも、なんとなくどの人かっていうのはわかった気がする。」


 なんか意地悪そうなイメージは間違ってなかったか。


「その白石ハーレムは置いとくとしても、話てたのは事実だろう?そうでなければ全くの架空の話をするとも思えないんでね。何があった?」


「単純な話だよ。妹の静海が友達と会って、挨拶しただけ。」


「そうか。いや、その話の後で続きがあってな。その女子と話した後に、両脇を宍倉さんと、あともう一人の女子に両脇を抱えられてどこかに連れ去られたって。」


 ああ、俺がショックを受けた後の話か。

 ていうと、それを見ていたのか、さもなくば見ていた人から詳細を聞いたうえで、意図的に話を作ってる。

 でなければ、どこをどう転んでも、白石ハーレムなんいぇ言葉は出てこないしな。

 そして、この話に誰も信憑性を感じなかった。だから俺の耳まで届かなかった。

 しかし、言うに事欠いて白石ハーレムねえ。


「そういえば、日向さんは何処に帰るの?」


「京空電鉄で松葉駅だよ。」


「京空は一緒だけど、逆方向か。とりあえずホームに行こうか。須藤も伊薙のとなり、検見だったよな。」


「そう。すぐ近くてびっくりだったよ。」


 そういう須藤に日向さんが何故か優しげに頷いて、俺たちはホームに向かった。


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