第51話 生徒会役員書記
「そんなに込み入った話ではないと思うので大丈夫です。ただ、私は先輩たちと違って、学力テストに力を入れないといけないので、簡潔にお願いします。」
決していやというわけではないのだろうけど、やっぱり学力テストという存在は進学クラスにとっては重要なんだな、と思った。
「扇ちゃんならいつも通りで十分大丈夫だと思うんだけど…。」
「柊先輩みたいに最初から国立狙いで、充分その学力があればいいですけど、私の場合はその境界上なんです。このテストでかなりの得点をとって、難関大学を狙えるってことを親に示したいんですよ。それでなくても、ここの大学に進むにしても、この2年のテストで高得点取っておくと、有利なのは事実ですし…。」
ああ、この学力テストについては、終わってから見その先輩によく聞いておこう。
「うん、そうだね。じゃあ、ちゃっちゃと済ませちゃおう。笹木さんや永倉君と違って、宍倉さんは外部入学者だからさ、ここの生徒会については、まだよく思ってないと思うからさ。」
その柊先輩の言葉に、御園先輩はコクリと首を振った。
「扇ちゃんも外部入学だから、宍倉さんの不安、わかると思うんだよね。」
「そ、そうなんですけど、ちょっと私は入学直後に入ったわけではないので…。」
少し言葉に力がない気がした。
でも、御園先輩が外部入学者だというのは心強い。
「爽やかな辺見君に憧れちゃったんだよね?昭介は本当に外見も中身もいいやつだから、モテるのは当然なんだけどね。宍倉さんもそう思わない?」
唐突の柊先輩の御園先輩の生徒会入りの動機に、びっくりして何も言うことができなかった。
「ちょ、ちょっと!やめてくださいよ、先輩、そんな恥ずかしいこと!確かに章介君に憧れたのは事実ですけど!凛梨子っていうスーパー女子高生が相手じゃ、私なんかじゃ刃が立ちません!それくらい先輩も知ってるでしょう?」
「う~ん、確かに凛梨ちゃん、凄いんだよね。あれで朝しっかり起きれたらこの高校始まって以来の東大合格も夢じゃないんだろうけど、ね。」
「そうなんですよね。章介君がほとんど引きずるように凛梨子を連れて来るから、何とか遅刻は免れてますけど、下手すると3時間目くらいまで頭回ってないことありますよね。」
「本当にもったいない。」
柊先輩と御園先輩が外山先輩についてしゃべってるけど、一体何のことだかちんぷんかんぷんだ。
なんてことがまた表情に出たんだろうな。
私の顔を見て二人ともちょっと困った顔をしている。
「ああ、ごめんね、宍倉さん。変な話で盛り上がっちゃって。で、書記の主な仕事は、ある程度想像つくと思うけど、議会の進行で必要な時の板書と、議事録の作成。生徒会役員会議は当然だけど、評議会、生徒総会でも同じようにやるのね。後、会議の資料の作成。これはその時々でいろいろ役割分担が変わるわ。現在は板書を主に御園さんがして議事録の作成は私がやっています。特に公式の会議、早い話が先生がいるような会議ではその議事録を担当の先生に見せて、確認をしてもらって3年から5年は保存ということになってます。だからその議事録の保管、廃棄も書記の仕事ね。特に世代が変わった時にその議事録って結構見ることになるから、丁寧にわかりやすくを心得てるの。場合によっては注釈を入れることもあるからね。おいおい御園さんにその仕事は振っていくことになると思うから、宍倉さんもその時にいろんなことを覚えてほしい。」
柊先輩が書記の仕事の大まかな話をしてくれた。
少しイメージがつかめたような気がする。
「そんなに緊張しなくても大丈夫!かっこいい男の子に憧れて入っただけの私でもこなせてるんだから、さ。肩ひじ張らずに、慣れてこう。」
最初は、成績の話から入ってきたから、几帳面でお堅いイメージだったけど、辺見先輩の話辺りからぐっと親しみのモテる感じになった。
密かに自分でしっかりやろう、と心に決めた。
「書記はそんな感じだけど、選挙の時とか、文化祭、まあ体育祭もだけど、その委員がいるんでその委員がメインで頑張るけど、それをサポートしなきゃいけないんだよね。」
「ああ、そういう話も出てましたね。」
うん、うん、って感じで柊先輩の話に御園先輩が頷く。
「後、この高校に入学希望者のための説明会や、オープンキャンパスなんてのも、やるようになってね。生徒会で関係する仕事が増えてるから、そこのところもおいおい会長から説明があると思うよ。できる限り参加して欲しいんで、よろしくね。」
「はい、先輩。」
なんかちょっと自分がやろうとしていた事とズレてきているような気がしたが、柊先輩のお願いに元気よく答えてしまった。