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第26話 モデルの誘い Ⅱ

「たぶん、鈴木さんの言っている人がうちの姉貴で合ってると思う。ほかにもジュリなんて芸名で活動してる人いるかも、だけど。」


「うっそ~、私、大好きな推しなんですけど!」


 明らかにテンションが上がる伊乃莉。

 まあ、でも、そうか。

 綺麗になることが好きな伊乃莉なら、当然ファッション誌、チェックしてるから、そうなるよな。

 俺は言われても全然わからんけど。


 もっとも、景樹の顔が美形なんだからそのお姉さんも推してはかるべしってやつだな、うん。


(勝手に納得すんなよ、光人。私には全くわからん分野だぞ)


(安心してくれ、親父。俺もわからん)


「ああ、ありがとう、姉貴に伝えておくよ。で、その姉貴、JULIが鈴木さんを気に入ったってわけ。どう、モデルの件もそうだけど、JULIに会うってだけでもいいからさ。」


「うわ、うわ、うわあ~。いいの、本当にいいの?会わせてくる?いえ、逢わせてください、佐藤様!」


 いきなりミーハー全開かい、伊乃莉さん!


「落ち着こう、ね、落ち着こう、いのすけ。あんたがJULIさん好きなことは知ってたけど、まさかここまでとは…。」


「う、うん、わかった、わかった、落ち着け、私!スーハ―。」


 深呼吸を始めた。


「じゃあ、さ。姉貴に連絡しとくよ、鈴木さん。モデルの件はともかく、姉貴に会うだけあってくれればいいから。」


「是非!」


「じゃあ、姉貴に連絡付けて、逢う日をセッティングするわ。連絡先いい?」


 これだから陽キャイケメン君は。可愛い女の子の連絡先、速攻ゲットだぜ!って、やな感じだね、普通に。

 横を見ると俺より陰キャを自称する須藤君の顔、可哀想だと思ってほしいね、本当。


「本当にJULI様に会えるんだよね?詐欺だったらひどいよ?わかってる?私のコネというコネ使って、佐藤君を社会的に抹殺するからね?」


「えっ、何ですかそれ?詐欺なんかじゃないんだけど…。」


「本当に佐藤君、気を付けた方がいいよ。伊之助の本気、凄いから。」


「えっ、えっ?」


 景樹が少しうろたえている。

 景樹の言ってることは、たぶん本当のことだろう。

 でも、ああいう言われ方すりゃ、普通にキョドッちゃうよな。

 さらに、万が一にも、景樹の姉貴のJULIさんが伊乃莉が思い描いているJULI様と違う人だったりしたときには…。


「私が卒業式の時に嘘コクした男子、酷い目にあってたからね。それでなくてもご令嬢のお嬢様ってことで無駄に人脈広いくせに、さらに強コミュのいのすけの実力に涙するといいわ。」


「あやねるさん、あやねるさん。途中から変な口調になってるよ。それいわゆる悪役令嬢だよね。」


 俺の突っ込みに、「てへっ」と可愛い仕草をした。

 そんなことされたら、惚れちゃいますけど!


「う、うん、わかった。俺の言ってることに嘘はないけど…。変にテンション上げさせちゃって、なんかごめん。」


 景樹はそう言いながら、IDの交換を無事終了。


「なんか、個人的に連絡先の交換ってのもおかしいから、いっそうこのメンバーでグループ作らね?」


 景樹がそんな提案をしてきた。


 LIGNEのグループ機能。俺、使ったことないんですけど…。


「先生、ここに二人ほど固まってる人がいます。」


 伊乃莉が手を上げて景樹に向かって発言した。


「ん?」


 景樹が俺と須藤を見て、変な顔をする。

 くそっ!爽やかイケメン君は変顔もイケメンですか。


「光人も須藤もグループ機能、使ったことないのか?」


 その言葉に、俺と須藤が無言で首を縦に振る。


「ああ、もうしょうがねえなあ~。」


 景樹は大きなため息をついて、やり方を教えてくれて、無事、5人のグループが完成した。


「まあ、なんかあったら、このグループに投げてくれ。」


 全員が景樹の言葉に頷いた。


「じゃあ、そろそろ行くか、須藤。」


「そ、そうだね、。じゃあ、ちょっと俺の作品、見てくれよ、白石。」


 この言葉にあやねるがむくれるような顔を俺に向けてきた。


 そんな顔で見られてもな。

 これはちょっと一緒にってわけにいかないんでね。

 なんでかわかんないのは、俺も一緒だけど。


「ほら、あやねるも生徒会室行くんでしょう。変な顔して光人を見ない!」


 あやねるの態度を見て、伊乃莉がそう言って助け舟を出してくれた。


「わかってるよ、いのすけ。それじゃあね、光人君。佐藤君も須藤君も。また、明日。」


「うん、また明日。」


 俺があやねるに返すと不服そうな表情を作りながら、伊乃莉と一緒に席を立つ。


「じゃあ、鈴木さん、あとで連絡するよ。宍倉さんも、またね。」


「う、うん、また明日。」


 景樹と須藤も二人に挨拶した。


 伊乃莉が景樹に「絶対だよ!」と念押しし、二人は手を振りながら学食を出て行った。


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