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第190話 岡崎千尋教授

少し休んでしまいました。

ちょっと、家庭内のトラブルがありまして…。

毎日更新が難しくなっていますが、頑張ります。

 3人がやっと重い腰を上げてくれた。

 厚労省の役人だという片見さんが俺を挑発するような態度をとった意味。

 そして、その行為に、さらには検査に慌てている親父。

 何があるのかはわからないが、彼らは、俺達3人が知らない何かしらの共有情報を持っている。


 そして、一番怪しいのが、この俺に寄生してる親父その人だ。


(いやいやいやそんなことはないよ)


 変に棒読みの抑揚のない言葉で言われても、全く納得がいかない。


 半年後が楽しみだ。


(光人、事はそんなに簡単な事ではないんだぞ。この状況が、脳の変異かもしれないじゃないか!)

(ならなおさら、俺は自分の今の状態を知りたい。もし、この脳が変な事になっているのなら、それを直したいと思う)

(そんなことして、私が消えたら寂しいだろう?)


 親父の死は一度体験して、どうしようもない消失感を経験はした。

 あんな思いを好き好んでしたいとは思わない。

 でも、脳の異常という形で親父の意識が俺に巣食っているというのなら、それは綺麗にしたい。

 そう思っているのも事実ではある。


(そんな悲しいこと、言うなよ)

(逆に聞くけど、そのせいで俺の命がなくなる、いや、もっと言えば、俺が精神的におかしくなっても構わない。親父はそう思ってるのか?)

(馬鹿か、お前は!そんなことを思う親が何処にいるんだ!)

(じゃあ、もし、俺の脳に異常があって、それを直すことによって親父が消えることになってもいい。それでいいよな)

(うぐぐ)

(まあ、半年以上先の話だよ。気にすんなって)


 家の外に出た山上さんたちがお袋に別れの挨拶をしていた。


 と、山上さんは駅に向かう道を見て、何かを見つけたようで、お袋に何か言って、走っていった。

 後に取り残された片見さんと柏木さんが、呆然としてその山上さんの背中を見ていた。


 どうやら二人が考えていなかった事態になったようだ。


「お袋、何かあったの?」


 俺は呆然とする二人とは対照的にほほ笑むお袋にちょっと違和感があった。


「うん、まあね。あの雰囲気、私も数度しかあったことないけど、影人さんの恩師、岡崎教授が来たみたい。」


(確かに、あの雰囲気は岡崎教授だ。山上がなんかうれしそうだが、あいつなんかあったのか?)

(う~ん、何だろう。でも、親父もその岡崎先生のお父さんと、仲はいいんでしょう?)

(ああ、それはそうなんだが…)


 そんな時に、山上さんが早足で戻ってきた。


「ああ、片見君と柏木さんには悪いんだが、私の恩師でもある、石川大学の岡崎教授がいらっしゃってるんだ。私は岡崎先生と話すこともあるんで、先に帰ってくれないか?申し訳ないんだが。」


 明らかにプライベートでの再会の嬉しさが溢れ出している。

 でも、そう言われたら、関係のない二人にその場に一緒にいるわけにはいかないのだろう。

 「そう言う事なら」とか言って、頭を下げてうちから駅に向かって歩き出した。

 その途中の岡崎先生たちに軽く礼をしていた。


 岡崎先生が、先生よりも背の高い白髪の初老と言っていい尊厳をあふれさせた人物を連れてきた。


「あれが白石先輩や私が大学院でお世話になった岡崎千尋教授だよ。」


 先の戻ってきて、片見さんと柏木さんを帰した山上さんが、俺たちに紹介した。


 その声が聞こえたようで、大きな旅行鞄を携えたその人が俺たちの前で止まり、深々と礼をする。


「とりあえず、初めまして、白石影人君のご家族の方。私は影人君やここにいる山上くんと、石川大学大学院の精密分子構築学研究室で親睦のあった、岡崎千尋と申します。白石光人君の担任を務めてるこいつの父親でもあります。今日は私の我が儘にお付き合いしてくれてありがとう。」


 そう言って微笑むその顔には人好きのする笑顔が浮かんでいた。


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