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第154話 瀬良への依頼

 景樹にダンス部の練習で、ダンスがうまくてかっこいい女子を見て来てくれと言われたときに、予鈴が鳴った。

 あやねるは岡崎先生が入ってくるときとほぼ同時に教室に駆け込んできた。


 挨拶しながら、生徒会で親睦旅行時の問題発生時のレクチャーを受けてたらしい。

 本当なら放課後にやるとこだが、柊先輩の妹さんの出るダンス部公開練習を見に行く予定があるため、早朝の会議となったらしい。


 あれ、そういえば柊先輩の妹さんがダンス部所属と聞いてた気がしてきた。


「おはよう。朝から大変だね。」


「明後日から親睦旅行が始まるからって、本当に大変。あっと、おはよう。」


 今日は1時間目から英語のため、そのまま授業に移った。




(本当に英語はダメなんだな、親父)


 ほとんど感心レベルでそう言った。

 読み書きだとそれ程わからなかったが、聞くという事が難しいらしい。

 俺でも聞き取れる英単語が、俺の耳を通しても聞き取れないと愚痴ったからだ。


(まだゆっくりと喋ってくれればわかることもあるんだが、アメリカ人の話す英語は、有機化学の講演会でもダメだった。スライドを見ながらでようやく理解してた)


(さっきの岡崎先生、結構ゆっくり喋ってたぞ)


(なんか、留学経験でもあるんだろうな、あの発音。母国語圏外の英語は比較的聞きやすいはずなんだが)


 残念そうにしてる親父は結構新鮮だった。


 他の2つの教科は問題なさそうだけど。


 3時間目が終わり、SHRまでの時間に、俺はなんとか室伏君を捕まえたいと思っていた。

 放課後になれば部活のラグビーに行ってしまうことが予想できたからだ。


 ふと後ろに気配を感じたら、瀬良がいた。


「白石、いえ白石様。あのお~、約束のブツは…。」


 やけにへりくだってきている。

 本当に招待券が欲しい、というよりも、ダンス部が見たいらしい。


「あ~と、今は持ってない。」


 どのみちこいつを連れてかんといかんしな。


「あとで妹から受け取ることになってるんだけど…、瀬良って室伏君と面識あるか?」


 どうやって声を掛けるか考えていたときに、ふと同じ運動部というだけで聞いてみた。

 ダメ元もいいとこなんだけど。


「ん、白石はそっちの気があんのか?」


 ナチュラルにそう聞いてきた。


「んなわけねえだろうが!くだらない冗談言ってっと、夢のチケット、渡さん!」


「あ、嘘嘘、そんな訳ないこと知って言ってんだよ。宍倉さんみたいなかわいい子に、美人のご友人と親しげにしてんの知ってるし。」


 美人のご友人とは伊乃莉のことを指しているらしい。

 宮越の件があるからな。

 でも、今のレベルの伊乃莉で美人扱いだと、フルメイクした鈴木伊乃莉様を見たらこいつらどうなるんだろう。

 景樹ですら、あの美人を見ていないのに、スカウトしてきているんだから。


「ちょっと室伏君に聞きたいことがあるんだ。橋渡しできるか。」


「それは大丈夫。大体クラスメイトだから、そんなに改まる必要もないと思うけど。ラグビー部は男バスの隣の部室だから挨拶ぐらいするしな。」


 岡崎先生が来た。


「おら、みんな座れ!」


 岡崎先生の声に、席に着く。


「月曜は、しおり通りに津田川駅の近くの房総工科大学前にバスがつくから8時までに集合な。」


 そう言ってしおりを再度確認、忘れ物の無いように注意された。


「この週末で体調を壊さないようにな。で、体調が振るわない場合、今回は朝7時から8時の間に学校に連絡を入れるようにすること。以上だ。」


 そう言って教室を出ようとして振り返った。


「そうだ、白石!後で職員室、いや英語準備室まで来てくれ。」


「あ、はい、わかりました。」


 何の用だろう?

 わざわざ英語準備室に呼び出すという事は、他の先生に聞かれたくないのか、又は授業態度が悪くて、宿題でも出されるんだろうか?


「なんか悪さでもしたのか、光人。」


 今の岡崎先生の言葉にすぐに景樹が反応した。


「いや、記憶がないな。先生に呼ばれることね。う~ん。思いつかん。」


「まあ、そんなに怖い雰囲気はなかったから、どちらかと言うと岡崎先生の個人的なことかもしれんけど。」


 そう言って岡崎先生が出て言った方向を見ていたが、急にこちらに顔を向けた。


「で、朝の話な。ダンス部の可愛いって子、見といてくれ。これ、姉貴からも言われてんだけど、俺自身ではちょっと無理そうなんでね。これからすぐ部室行かなきゃなんないし。ってことで、よろしく!」


 景樹は人の返事も聞かずに、そのまま鞄を抱えて出て行った。


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