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第146話 「白石ハーレム」の実態

「実の妹に何かするわけがないだろう!お前ら何言ってんだよ!」


「その「白石ハーレム」にはいったい誰が参加してるってことになってるの、須藤君?」


 今の俺と静海の関係性から、さらに突っ込んであやねるが冷たい笑みを浮かべながら須藤に聞いた。

 須藤は完全に蛇に睨まれた蛙状態。


「つぐみ先輩の妄想上では、宍倉さん、柊先輩、有坂先輩、それと宍倉さんの友人という事から鈴木伊乃莉さんに、妹の白石静海さんを想定していました。これに一昨日の告白したという女子中学生を加えて6人になっております。」


「ふーん、そうなんだ。そのつぐみ先輩とやらの頭の中では、「白石ハーレム」の人たちって、いったい何をしてるんだろうね?」


 淡々とあやねるが俺越しに須藤を追い詰める。


「いえ、さすがにそこまでは何も言ってませんでした。宍倉さん、勘弁してください。俺が言ったことじゃないんだから。」


 なんだか須藤が必死に命乞いをしている感じだ。


「えっ、やっぱりあの綺麗な鈴木さんも白石のモノになってたんだ……。」


 この世の終わりのような声で宮越がそう言った。


「おい、宮越!誰が誰のものだってんだよ!そんなのねえよ!」


 宮越の嘆きについ反論してしまった。


「ねえ、光人君ってさ、可愛い子見たら見境ないの?」


「落ち着けって、あやねる。俺がそんなことしてないの、よく知ってるだろう。学校じゃあ、ほとんど一緒にいるんだからさ。」


 俺の言葉にさらに温度の下がった眼を俺に向けてきた。


「確かに学校ではそうかもしれないけど…。でも休日に伊乃莉に会ったり、西村さんに会ったりしてるでしょう?今度の土曜の午後のダンス部の練習。静海ちゃんのお友達の正体だって、嬉しそうに言ってたよね?」


「別に嬉しそうには言ってないよ!それにあやねる誘ったじゃないか!」


「それはそうだけどさ。」


 やっと攻撃の手が止まった。

 と思ったのだが…。


「何!じゃああのダンス部の公開練習招待チケットはダンス部の中学生からもらったのか?お前に告白したという。」


「だから告白されたわけじゃない!うちの妹が必要以上に俺を蔑んでいて、それを盛って友達に言ってたんだ。で、実際に見たらそれほど酷くないって、わかっただけ。」


「でも、その子からイケメンとか言われてたよね?」


 ここでまさかのあやねるの追い打ち発動。


 おかしい。

 こんなことになるはずじゃなかったのに…。


「まあ、そう白石を責めるのも可哀想だろう?宍倉さんだって、白石のこと嫌いなんじゃないよな?」


「えっ、それは……、嫌ってなんかないけど……。」


「それ以上責めると白石に嫌われるぜ、宍倉さん。」


「そ、それは困る…。ちょっと、悪乗りしてごめんなさい、光人君。」


 あやねるが、ちょっとすまなさそうにして、そう謝ってきた。


「ああ、いいよ。変な行動をとってたのは俺も悪いとは思うし…。でも、あんまり責められるとへこむから、ほどほどに、お願いします。」


 俺の言葉にコクンとあやねるは頷いた。


 その姿に愛おしさを堪えながら、瀬良にありがとうと言おうと顔を向けた。


 ドヤ顔で右手親指をサムズアップさせている瀬良に、そんな気は一気に失せたが…。


「なんか、言わなくてもいいことを言った気もするけど、「白石ハーレム」というものは存在しない。確かに綺麗でかわいい子たちと知り合えたの事実かもしんないけど、別にみんな何もないんだからさ。」


「じゃあ、鈴木さんも、別に白石の女ということは無いんだな。」


「それはない。彼女はあやねる、…宍倉さんの友人というだけだ。」


 宮越が伊乃莉に惚れたのは解った。

 だからと言って俺を目の敵にするのは筋違いだ。


「もし祈りを狙ってる奴がいるとしたら、それは景樹、佐藤景樹だよ。結構猛烈にアピールしてるからな。」


 さっきよりも野郎3人の驚きが凄い。

 そして、宮越の顔が本当に可哀想なくらい落ち込んでいる。


「あんな、あんな本当のイケメンが相手…。勝てる気がしねえ。」


 見るに見かねて瀬良が軽く宮越の肩を抱いた。


「大丈夫だ。まだ付き合ってるわけじゃないんだろうから、これから盛り返そうぜ、な!」


 ううん、いいねえ、男同士の友情。


「光人君、それかなり意地悪じゃない?」


 あやねるがそう俺に言ってきた。

 あやねるは俺の言ってる意味を正確にわかっている。


「それはどういうことだ?」


 須藤が俺とあやねるの会話に不審な発言を嗅ぎつけたのだろう。


「あとで教えてやるよ。景樹が伊乃莉にアプローチをしてる意味。」


 須藤が困ったような顔で俺を見ていた。


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