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日の出で続く異世界流転  作者: 花見&蜥蜴
第四章「輦制し編」
57/60

第四章׳די:escape

何か作者の想定を大きく上回り続いていた第四章、いよいよ終了です!

 草をかき分ける音。音がした森の方向を見ると、そこには……。


 微笑んだ、アンリがいた。

 その装甲は激戦をグレゴワールと繰り広げたことを物語っている。だが、ここにアンリがいるということは……。


「グレゴワールが……負けたってことか」

「その通りだ」


 生憎マチルダの方は逃がしてしまったが、どうにかもう片方の逃がした獲物を見つけられて良かったぜ。そこまで一緒にいて……カップルかいお二人さん?

 アンリはそう揶揄ってくる。


「違う。俺はここに来るまでの記憶がない」


 私も。アニーも俺に言葉を続けた。

 アンリはそれを聴くと、大きく高笑いを始めた。笑い終えて、静かに続ける。


「まあグレゴワールのお蔭ってことだな。感謝するといい」


 どういう意味か、分からない。

 俺はそれを言葉に出しながら、段々と後ろに下がっていってしまっていた。

 が、そこで後ろが無いことに気付く。なぜここは崖なのだろう。


「分からなくともいい。グレゴワールも秘密にしたがっていたからな」


 アンリはそして、静かにまた笑う。

 と、思ったその瞬間。アンリの周りの空気が歪んだ。


「風属性だよ!」


 アニーは未だに「ちゃん」付けをせずに、俺に申告する。

 それじゃあ、さらばだ。

 アンリは握り拳を固める。

 そして……!


 アンリは俺の方に向かって、殴っていた!!


 もの凄い強い風圧が目の前までくる。

 その時俺は、少し対応に遅れてしまった。

 頼みの綱、アニーにこれは頼むしかない。

 俺はアニーを見たが……


 アニーもその時、対応に遅れてしまっていたのである。


 何だろう……。

 さっきは死を望んでいたはずなのに。

 今俺は、死にたくないと思っている。

 ただ足掻いても、何にもならないのに。

 これは、滑稽だ。


ー - - - - - -


 小鳥の可愛いさえずりが聞こえてきて、目が覚めた。

 何だろう、体が温かい。どうやら布団に包まっているらしい。

 そして実感した。また異世界転移をしてしまったと。しかも五回目だと。

 よし、もう少し眠っていよう。俺は寝返りをうちながら目を閉じる。


「ルイちゃん! 今起きたでしょ!! そのまま寝ようとしないで!」


 うわ! 折角寝ようとしていたのに、邪魔するとはこれは酷い。

 俺は思わず俺は起こそうとするアニーに怒る。


「煩い! もう少しだけ眠らせろ!!」


 それにしては、三日目と同じ、ミシュリーヌ達が俺を知っている世界か~~。

 良かった、わざわざ自己紹介する手間が省ける。

 ってあれ? そういえば昨日も自己紹介しなかった気が。

 まあ、いっか。


「煩いとかそういうことどうでもいいでしょ! それより説明して!?」


 あ、アニーの癖して「ちゃん」付けしてない。

 何か真剣なのだろうか。いや、真剣の時も「ちゃん」付けしている気がするがな。

 というか、何を説明しろと彼女は言うのだろうか。多分それは俺じゃない俺、つまりルイって奴が知っているんだ。俺じゃない。

 どんどん俺は思考を進める。


「アンリはどこに行ったの!?」


 知らん。昨日の俺は俺じゃない。

 俺はずっとそう思いながら、無言で寝たふりをする。

 だが、アニーは俺を揺さぶりながら質問を続ける。


「ここはどこなの!?」


 しらな……へ?

 ここで俺は起き上がった。


「お前知らないのか? ひょっとして昨日俺に誘拐されたとか??」


 俺は訊く。

 でもそれにしては妙に俺と仲良さそうな態度である。


「何を言っているの? 昨日は私と一緒に逃げてたじゃん!」


 ちょっとよく分からない。昨日の俺は俺じゃない。

 さて、心の内でそう思いながら俺は周りを見る。

 ここは、旅館のような場所だ。木造で和室、テレビに椅子が一つと、妙に俺が元いた世界に似ている。

 そして、誘拐するには適してない解放感である。

 だったら、昨日この世界の俺がアニーを誘拐したという線は薄い。

 では、なぜアニーはここがどこか知らないのだろうか。


「何で私は死んでないの? 何でルイも死んでないの? ここは天国なの? それともあれからアンリから逃げられたってこと!?」


 え? いやまあ確かに何で俺が死んでないかは気になる。

 まあ運よくその時丁度異世界転移をしたのだろう。

 俺はもう既に異世界転移に慣れてしまっていた。しかもまだ少し寝ぼけている。だから軽くそれは言える。


「って、あれ? 今アニーなんて言った??」


 俺は耳を疑った。妙に、昨日の俺と同じことを言っていた気がする、と。


「だから! 何で私もルイも死んでないの!? アンリから逃げられたの!? そしてここは天国なの!? ってこと」


 ……俺はこの時、少し変な予想をしてしまった。

 いやいやまさか、それはある訳がない。

 俺はその真偽を確かめるため、一つ質問をする。


「変な話を訊くが、昨日森の中で俺とアンリから一緒に逃げていたか? そして、あと、えっと。昨日ミシュリーヌらが……死んだか?」


 言いづらいことだった。でも、俺は言葉を放った。

 すると、アニーはこう言ったのだ。


「……そうだよ?」


 まずい。いやまずくはないのだが。もしかすると、いやもしかしなくても、と俺の勘は予想が合っていることを示す。

 そうだ、そうなのである。


 四日目に俺と一緒に逃げていたアニーは、俺と一緒に異世界転移をしてしまったのだ。

note


・転移四日目

・レジ袋は毎回の転移で運んでいる

・「オンナ」という女性がいた。

・オンナは仲間を連れていた。

・オンナ曰く「地球は人間の衰退を望んでいる。俺はその切っ掛け」

・アンリは五人組と戦っていた。

・魔法は人間の脳が介入できる自然現象である。

・魔法の中に超能力とかはない。

・昔の人は魔法とか使えなかった。

・属性には分類があり、基本人はその兼用をしている。

・よく食べる人の方が魔法は強い。

・五人の職業、冒険者は危険だと言われている場所にわざわざ赴き調査、あわよくば一般人が安全に行き来できる場所にする仕事。

・風魔法を使うには、光と炎の特訓も必要。

・ミシュリーヌ(アンリに殺される)

・アニー(俺を特訓する・皆に俺を警戒しろと言われる・真珠の宝石を俺に渡す・俺と共に五日目の世界へ)

・ロラン(30分足止めできると考えるがすぐに殺される)

・グレゴワール(アンリに厄介と言われる・アンリに負ける殺された?)

・マチルダ(最初の戦闘中アンリを分析・ドローンを使用・逃げた?)

・アンリ(魔王・世界最強の魔術師・監視カメラを使用・皆を圧倒)

・オンナ(謎・異世界転移を毎日している)

・シャルロット(未登場)


疑問

「オンナとは何者か?」

「なぜアンリが魔王なのか?」

「なぜみんなはルイの名前を知っていたのか?」

「なぜ俺は魔法の才能がそんな無く、昼食一つでまあまあの実力になれたのか?」

「なぜ俺は鵺と言われるのだろう?」

「アンリはなぜ復活し、なぜ強くなっていたのだろう?」

「グレゴワールは俺達にどうやって逃げさせたのか?」

「なぜアニーは異世界転移した?」


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