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日の出で続く異世界流転  作者: 花見&蜥蜴
第四章「輦制し編」
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第四章׳ה:風魔法

 そしてミシュリーヌ達の家(?)に着き、俺とアニーは、風魔法の授業を庭で始めていた。

 周りは山で、とても良い場所である。


「まず、風魔法ちゃんの説明からね」


 アニーは喋り出す。


「風魔法ちゃんはさっき言った通り、風力調整ちゃんを行うんだ。まあ要するに、風ちゃんを強くしたり、弱くしたりするんだよね。原理は、何か空気抵抗みたいな奴ちゃんを操作していると私ちゃんは信じてるかな?」


 原理を掴むのは大事ちゃんだよ? 人ちゃんによってはそれによって信憑性を疑って、魔法ちゃんが出来なくなる人だっているんだから。

 アニーは続ける。

 なるほど、どうやら使用にあたっては使用者がその魔法の存在を信用することが大事らしい。


「あと、食べ物ちゃんをよく食べることも大事ちゃんらしいよ? 食べ物ちゃんを全く食べてない人は必ず魔法ちゃんが使えないからね」


 そう言いながらアニーは周りの土を少し平らにする。

 何をやっているのだろうか。


「それじゃあこれから、実演ちゃんをするからよく見てて」


 そしてアニーはスタンディングスタートの姿勢を取った。

 実演……風魔法の実演か!!

 俺は胸を高鳴らせる。

 何をやるのかな?

 アニーは桃色の髪をたなびかせ、ほくそ笑む。

 そう思った刹那、アニーは消えた。


 いや、正確に言うとアニーは高速で移動したという方が正しいだろう。


「どうちゃん? 面白いでしょ」


 後ろからアニーの声がする。

 おーー。俺は思わず感嘆の声をあげてしまった。


「私ちゃんの速度が大体こんな感じちゃんかな? ギリギリ目で追えるレベルでの移動ちゃん。このように風魔法ちゃんは、移動ちゃんでよく使われるよ。でも竜巻ちゃんとかはこの道七年の私ちゃんでも起こせないから注意してね」


 あの、残像レベルでしか目で追えなかったんですけど。

 だがなるほど、確かにこれは便利な能力だ。

 でもそれじゃあ、攻撃には使えない? そう訊くとアニーは答える。


「いや例えばパンチの風圧ちゃんを強化ちゃんしたり、剣を振る速度ちゃんを強化ちゃんしたり、そんな感じで使えるよ。流派ちゃんに翔流ってあることから分かると思うけど、それだけ幅広い人ちゃんから使われているんだ」


 翔流……? 翔流とは何だろうか。そして――


「あれ、回復とかには使えないのか?」


 俺は気になったことを言葉にしてみる。

 そうだ、そういえば少なくとも最初の世界にてアニーは「回復役」であった筈。だけど今の説明では、回復が出来ないってことに……。


「え? 使えないけど」


 いや、どうやら本当に使えないらしい。

 ならどうして彼女は回復役だったのか、また疑問に思う。

 それに答えるように、アニーは続けた。


「でも私ちゃんは『復属性』ちゃんを持ってるから、一応治して欲しいものちゃんとかあったら治せるよ。何かあるの?」

「いやいや。何でもない」


 そうか、属性は兼用が可能なのか。すっかり忘れていた。

 アニーは風属性をメインとしているだけで、回復役として使用しているのは復属性なのだ。

 っていうか回復役なのにメインは関係ない属性なのか……俺は何か疑問に思う。


「じゃあ、他に質問ちゃんはない?」

「あ、ああ。回復役なのにメインは関係ない属性なのか?」


「え? あ、まあそうなんだけど」


 何かアニーが驚いたような顔をしている。俺って今何か言っちゃいけないこと言ったか?

 俺は今の発言を振り返る。

 あ、まずい。この世界ではアニーが回復役であることを俺は彼女らに訊いていないのだ。

 完全にやらかした。


「そ、それじゃあ。私ちゃんと一緒に風属性ちゃんの特訓、頑張るよ」


 そんな後悔とはよそに、俺の風属性の特訓は始まった。


 ー - - - - - -


 暫く練習をやっていると、時刻は昼の時刻になった。


「おお、大分ちゃん良くなったね」


 アニーと俺は二時間の猛特訓の末、すっかり仲良くなり、笑いながら特訓をしていた。

 そして遂に……。


「ルイちゃんの足の速さの1.2倍ちゃんになったよ」


 と、このように俺の風属性使用時の足の速さは1.2倍になった。

 それにしては全くもって大変だ。筋トレよりも達成感がこない。

 あれから約四時間の猛特訓の末に、これしか能力向上にならないのだから。


「もっとスムーズに行かないのか? アニー」


 俺は不満を漏らす。まあ確かに8秒で行けるところが6.4秒になったところは嬉しい。だがそれでもたかが1秒か2秒か差である。このままでは戦力になるのに五日程掛かるんじゃないか……そう思ったのだ。

 まあ確かに普通それ位掛かる気がする。

 それでもさっきアニーはこう言ったのである。


「大丈夫、一日ちゃんで強くならせるよ」


 でもそんなアニーが今はこう言っているのだ。


「う~~ん、確かにルイちゃん才能ちゃんがないのかもしれない」


 これは辛辣だ。

 というか悲しい。


「まあでもちゃん。これでやっと光属性ちゃんの授業に取り掛かれるよ。ひょっとしたら一日で終わるかも」


 あれ? 風属性の授業のはずなのに光属性使うのか??

 俺は文句を言う。


「いや仕方ちゃんがないよ。私ちゃんレベルの速度を出すには光属性ちゃんの黄色い物質ちゃんが必要不可欠ちゃんだからね」


 ここで「ちゃん」「ちゃん」「ちゃん」と、「ちゃん」が増えてくる。それ位興奮しているのだろう。

 でもなぁ。難しいんじゃなかったのか?


「いや、基礎の部分は普通簡単ちゃんに終わるよ?」


 そうか、基礎以上は難しいとロランは言っていたか。

 まあ、なら行ってみよう。

 それにしては。


「アニー、昼食ないの?」

「それは後で」


 アニー曰く、今時間を空いている人がいないらしい。

 現在ミシュリーヌは山へ芝刈りに、グレゴワールが川へ洗濯に、ロランが布団へ昼寝に、マチルダがPCへゲームをしに行っている。イコール皆手が塞がっているらしいのだ。

 っていうかおかしいだろ……。最初の二人はどっかで聞いたことあることしているし残りの二人は絶対暇だって。

 まあ確かに俺は一日一食で耐えられるが、朝食べてないし昼は食べたいと思う、俺であった。

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