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日の出で続く異世界流転  作者: 花見&蜥蜴
第四章「輦制し編」
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第四章׳ד:魔法

 とても強い光が、周りを破壊する。

 それが見えて、それが聞こえた。

 そしてその次の瞬間――。


「大丈夫ちゃんかな? その……」

「あ、大丈夫だよ」


 アニーの声に俺は思わず反応する。

 そして、起き上がった。

 相変わらず空は黒く、地面は茶色だった。


 見回すとアンリはいない。


「あの、その、アンリ……いや、魔王はどこへ?」


 俺が訊くと、皆が一瞬間を置く。

 そしてミシュリーヌが少し静かに一言発した。


「私たちが倒しました。貴方が倒れたその後に」


 ……そうか。俺はどれぐらい倒れていたんだろう。

 そう思って起き上がって、胸に違和感を覚える。

 あれ? 俺ってそういえば胸を斬られていたような……。


「そうちゃんですよ。貴方ちゃんは胸を斬られてました。まあ、心臓までは斬られてなかったから私ちゃんが治したけど、少し違和感覚えるようだったら言って」


「じゃあ違和感を覚えたと言っておく」


 え? 嘘。

 アニーはまた俺に近付き、俺の胸を触った。

 そしてえ、あ、やらかした。と言いながら修復をやっているようである。


 暫く経ち、アニーが俺の胸から手を取り修復も完了したことを告知する。


「じゃあ、ここから去りましょう」


 そう言って指揮するのはミシュリーヌ。初めて彼女がリーダーっぽい行動をするのを見て、俺は改めてこの人がリーダーなのだなと実感する。

 しかし本当にどうやらミシュリーヌ、ロラン、アニー、グレゴワール、マチルダ。この五人がメンバーらしい。


 俺はふと全員を見る。

 全員が全員、何かに警戒しているのを感じる。そしてそれと共に、俺は少し居心地が悪くなる。

 何に気を付けているのかは知らないけど、教えてくれたって……。そうも思い始めたのだ。

 歩く。

 ここで、マチルダが喋り出した。


「そういえば何で君は付いてきているんです? ルイさん」


 あれ? 迷惑なのか?

 それと共に一つ疑問が走った。

 俺名前言ったっけ?


「そうだね、ルイ。君は僕たちと関係ないはずだ。道が同じなのかい?」


 ロランの言葉。

 俺は取り敢えず疑問をどこかへ置いておく。

 そして、はい。そう言えばいい話だった。

 それで別れればよかった。

 だが俺は、先程の戦闘を見て改めて気付いてしまったのだ。

 だからそれについて言わないということは出来なかった。


「すみません! 勝手に付いていくようなことをして。でも俺、一つ頼みたいことがあって、ぞれをびいたくてついていこうと思ったのです」


 何回か噛んだが、それでも言葉が次々と出てくる。一昨日の嘘とは少し違う、それは真実のようなものだった。

 いや、俺は実際それは、真実の言葉だったのかもしれない。


「俺を、弟子にして魔法を教えて欲しいんです!!」


 俺は礼をもって、それを頼み込んでいた。


 ――沈黙。


 かと思われたが、すぐにグレゴワールが言葉を発した。


「それで? 何の魔法が知りたいんじゃ」


 その顔は妙に嬉しそうで、その手は俺に向けて差し出されていた。

 え? その……。

 俺はここで、自分の過ちに気付く。

 そう。俺は魔法について何の知識もないのだ。


 ー ー ー ー ー ー ー ー


 さて、ではあれから話しながらミシュリーヌたちの家に行く途中、様々な魔法の知識を得たので、それらを話していこうと思う。


 一つ、魔法は人間の脳が介入できる自然現象である!


 更にその全てが殆ど分かってない。

 属性で一応分かれているが、それも一説によると脳の形によるとか……また一説によると誰でも全ての魔法が使えるとか……ざっとそんな感じである。


 二つ、魔法の中に超能力とかはない!


 これが一番ショックであった。サイコキネシスだの、念写だの、やってみたいものである。なのにそれらは出来ない。なら何が出来るんだよ!! とさえ思ってしまった。


 三つ、昔の人は魔法とか使えなかった!


 これは驚きだ。使えるようになったのはまあ一昨日くらいにそんなこと本に書かれているのを見た気がするが、2005年まで使えなかったらしい。


 四つ、属性には分類があり、基本人はその兼用をしている!


 まあ主流にしているものはそれぞれあるらしいが、炎のミシュリーヌや光のロランでも風が少し操れたりするらしい。うんでは、その分類について少し聞いたのをお話ししよう。


 ミシュリーヌが主に教えられる炎――。着火能力だ。

 主にイメージとしては物質の付近の温度を一瞬で高温に上げる、のような感じのことができるらしい。


 ロランが主に教えられる光――。物質生成能力だ。

 基本、誰もが少しは習得している能力で、極めれば短い時間で剣などを作れるという。

 主にイメージとしては黄色い謎の物質の生成、及び核融合反応を起こす、のような物らしい。ついでにその黄色い物体は、空気中にいると三秒ほどで消えてしまうが、逆にその間とても強い衝撃でもない限り破壊ができない。それどころか、エネルギーを吸収し空気中のどこかへ保管できる。そしてそのエネルギーを使用して物質や黄色い物体を生成。よって物質生成ができるという。おわかりいただけただろうか。そう、チート能力だ。

 つまり核融合はその黄色い物体の中ですることによって、周りを危険にさらさないようにするらしい。

 だがしかし、魔法に全く触れたことが無い人は到底基礎以上ができるようなものではないらしいので、俺はやめておくことにしよう。


 アニーが主に教えられる風――。風力の調整だ。

 謎である。まあアニー自体よく分かっておらず、感覚で言っていたため、済まぬ。仕方がないようだ。

 ついでに、その説明がこちら。


「まず、バーンってやって、それからドカーンってやったのちにシャキーン、コー、バラバラヒューン!!」


 身振り手振りでそれを表現する。

 謎である。本当に謎だ。

 完全に魔法に関して分かってないと言っても、どうやらこの子が持っている語彙力は皆無らしい。


 その他、マチルダとグレゴワールは言わなかった。あくまで秘密ということであろうか。

 さて、それでは俺は何を選んだのであろう。

 そう。俺が選んだのは、風だ。

 はっきり言って、アニーの説明でできるようになるか気になるが。

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