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日の出で続く異世界流転  作者: 花見&蜥蜴
第一章「鵺殺し編」
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第一章׳די:beat

 目が、開く。

 暗い天井、暗い部屋、そして――確認できない閃光。

 俺は動揺を隠せなかった。


「……ヌエよ」


 小声でその台詞は呟かれた。

 鵺……。

 俺は、またしてもこの台詞を聞くことになったのである。


「死ね!!」


 短剣でも、大剣でもない普通の剣が振り下ろされる。

 俺は、危機一髪で回避した!


「……誰だ」


 返ってはこないと思うが、俺は訊く。

 お得意の聴覚をもってしても、それが男なのか、女なのか分からなかった。

 ……変声器?


「鵺め……よくも現われやがって」


 口調からの判別は不可。

 背格好、顔かたちも黒いフードの所為で分かりづらかった。

 ここはクロティルデの家。

 さっき俺が眠ったあの敷布団の上だ。


 時間は……。

 そう確認することは出来ずに次の攻撃は来る!


「鵺、鵺、鵺、鵺、鵺!!」


 黒いフードの人間の周りが光って、次の瞬間には刃が飛んでくる。

 まるでビームである。

 俺は早くも逃走を決意した。


「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね!!」


 恐ろしい程に奴は唱えた。狂っている……そう思った。

 部屋から出る。

 階段を滑り降り、玄関の前を目指す。


「……待てよ。なあ、待てよ鵺」


 奴は歩きながらそう言った。

 勿論、俺は待たない。


 ――閃光!


 次の攻撃が来た。

 俺はそれをギリギリで避けながら、クロティルデの部屋を確認する。

 ああそうだ。彼女の部屋は真っ暗であった。他の部屋も同じである。


 つまりこの時間は、真夜中と考えるべきであろう。


「痛ッ!」


 ギリギリ避けた。というのは嘘である。

 いつの間にか俺の足には、手には何か刃物がかすったような傷が出来ていったのだ。

 それでも俺はどうにか走り続ける。

 そしてついに、玄関の外に出た。

 外はもう真っ暗で怖いほど。空には満点の星が輝いている。


 奴が歩いていてよかった。俺は負傷した足を引き摺りながらもどうにかまあまあの距離を離すことが出来た。

 勿論、まだ奴は見える位置にいる。丁度玄関の前にいるのだ。


「死ね」


 その一言と共に、未だに刃を飛ばしてくる。

 どうやってこんなにも刃を持ち歩いているのだろうか。

 そんなこと、考える余裕が無い。


 取り敢えず俺はどこに行くべきだろう。

 元の洞窟……。いやいやなぜそこが良いと感じた??

 そこは危険そのものではないか。まだ味方がいるわけでもあるまいし。

 それではクロティルデの家……。もうそこは無理だ。自分の背にしてしまっている。

 しかもあの二人が強いと決まったわけじゃない。あの二人は死んでいるかもしれない。あの二人は奴の仲間、もしくは奴かもしれない。

 グレゴワールの家はそもそも知らないし。

 だったら……。


「死ね!!」


 次のその言葉は、俺の心の中に響き渡った。

 そうだ。

 もう無理である。

 それしか……思いつかない。

 その不安が心をよぎった瞬間、空は曇り始める。

 また、俺は諦めそうだ。


「いや、そんなことない」


 自分の中の自分が言う。

 取り敢えず住宅地を歩き回れば誰かしら助けてくれる可能性がある、と。


「それは可能性の問題だろ?」


 もう一人の俺が言う。

 そうだ、確かに可能性だ。

 確実では無い。


「しかし、試してみるしかなさそうだな……」


 もうこの言葉を発していた時は、腹が決まっていた。

 避けながら、右足、左手の激痛に耐えながら、街を逃げ回る。

 そして誰かに助けて貰おう。その奇跡に縋ろう。

 それしか思いつかなかったのである。


「死ね」


 まだ、刃は飛んできた。

 奴は幾つもの刃を持っている。ここまですれば、もう分かっていた。

 つまり、それを対処出来る人を……探さなければ。


 ……ここで一つの名案を思いついてしまう。


 いっそのこと、死のうか?

 死んで、殺されて、楽になろうか?

 そっちの方が楽かもしれない。


 ――俺の足を引き摺りながら走ろうとする足は、ここで止まった。

 そして、振り返って奴を見る。

 奴は黒いフードを被って、俺を追いかけながら言葉を発し、刃を飛ばしていた。

 絶対、俺の命を狙っている。

 それは分かっていた。


 なら俺は楽になって、奴は助かる。最高のハッピーエンドじゃねえか。

 そう思えてしまった。


 その時俺はきっと、微笑んでいたのだろう。

 子供がプレゼントを貰った時笑むような、そんな笑みをしていたのだろう。

 俺は俺自身を見れない。だがそう感じた。

 まあ、この言葉もその印象に感覚に影響したのだろうが。


「そう、子供みたいな顔をするな」


 グレゴワールの声だった。

 それと共に、奴は刃を新たに飛ばしてくる。

 奴はグレゴワールだったのだろうか。

 そんな疑問は、刹那破壊された。

 そう、その時!!


「死ぬな! ルイ」


 ――銀色の刃が、月の光を反射して、飛んでくる刃を打って斬った。

 グレゴワールの太刀である。

 助けが……助けが来た。

 さっきまで死ぬつもりだった俺は、一瞬でこの考えになる。


 死にたく、ない。


 俺の足は崩れて、ついに俺は座ってしまう。


「なら死ぬな、ルイよ。こんな者に殺されてないで」


 グレゴワールは次、奴に襲いかかっていく。

 その姿は颯爽としていて、輝いていた。


「邪魔するのか、笑止だぞそれは。正直やめた方が良い。グレゴワールよ。今の俺を止めるのは」


 二人は知人であろうか。

 お互いのことを知ったように、笑い合う。

 グレゴワールに至っては、相手の顔も見えないのに、相手を知人のように接しながら剣を交えていたのだ。


「ルイ。逃げろ」


 そんなグレゴワールの声を聞いて、俺はやっと逃げようと立ち上がろうとする。

 ……立ち上がれ、ない。

 そうである。俺は安心感のあまりか、自分を起こしていた力以外脱力してしまっていたのだ。


「済まん、立ち上がれん」


 声に出してみる。

 するとグレゴワールは笑って、こう答えた。


「そうか、ならばそこで座っているがよい。すぐに終わらせてやる」


 ……かっけえ。

 正しく、漢という感じだ。


 ゴーッ!


 そう感嘆しているところで、急にそんな音がし始めた。

 耳鳴りがなり始める。

 草むらや土のにおいがし始め、そして冷たい風が吹いた後、小石が飛んでくる。

 ――何かが起ころうとしている。

 鈍感な俺でも、それが理解出来た。


「……」


 グレゴワールも、奴もそれを察したように注意を相手から逸らす。

 が、すぐに注意をまた相手に向けた。

 これは……。

 俺は辺りに警戒をする。

 が、疲労のためか俺の体は、急に動かなくなった。

 まずい……意識が飛ぶ。


 朝日が差そうとしている。

 もう少しだけ……見たいのに。

 そんな俺の意識は、朝日が上がると共に無くなっていた。

note


・また今日も異世界転移してしまったようだ

・フランスは大航海時代、なぜか瞬く間に成長。その後なんやかんやあって世界の大部分を支配した。ここも元日本のフランスである。

・魔法は2005年、突如として発生した現象が元。そしてそれを科学者が確立した方法・脳干渉型の魔法現象を現在、魔法という。

・基本の現象、決まりはこの地域では俺が知っているものである。

・ルイ(名前・なぜかそう俺は名乗ってしまう)

・ロラン(今回は口調が少し違う。やっぱり警戒から? じゃあなぜ昨日は警戒しなかったのだろう?)

・アニー(謎の詠唱・倒れてしまう・抱きつかなかった)

・グレゴワール(魔法使用経験はあり・剣術の達人・刀)

・アンリ(気を付けろの人)

・クロティルデ(謎。ホント謎)

・クロティルデの母親

・暑かった


疑問

「主人公を狙ったのは何者か?」

「鵺とは何か?」

「クロティルデと話している時の、たまにある違和感とは? またその原因は?」

「部屋にあった日記の正体は?」

「クロティルデ一家は何者?」

「グレゴワールがなぜ俺を異世界人と見破った?」

「ロランたちの行動の真意は?」

「何で異世界転移を二回連続でしてしまったの?」

「『気を付けろ』の真意は主人公を狙った者のことか? だったらなぜ知っている?」

「魔法ってやっぱり何?」

「フランスがどうしてそんな急成長したか?」


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[気になる点] 展開が目まぐるしく変わる! [一言] リツイートから来ました。 読ませて頂きました。 アドバイスをいただきたいとの事でしたが、拙い私も言える立場ではないのですが。展開の速さに追いつく…
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