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日の出で続く異世界流転  作者: 花見&蜥蜴
第一章「鵺殺し編」
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第一章׳י:午後は暑かったです

 ――揺れる花々。

 綺麗な色をした家。

 そしてそこを通りかかる沢山の人々。

 様々なものを見たが、やはり昨日とは違うらしい。俺は歩きながらそれを確認する。

 それと共に濃い午後の影が、俺の体を涼ませてくれる。

 ああ、俺の住んでた世界の方が安心するなやはり。しかも初夏の季節だった、っていうのはポイントが高かった。まあほとんど外出しない俺には縁のない話だったのだが。

 にしてはここでの今の季節は何なのであろうか。これだけ暑いって事は真夏……か?


「……ところで」


 グレゴワールが話を切り出す。


「ところでアンリと何の話をしていたんだ? 話してただろ? さっき」


 ――は?

 誰だ、そいつ。

 思わず唖然としてしまう。


「あのー。誰でしょう、それ」


 俺は敬語を使いながら返す。

 するとグレゴワールは説明してくれた。

 どうやらさっきレストランの前であった、あの「気を付けろ」の男。

 それがアンリらしい。

 っていうかアンリって女っぽい名前だな~~と思うのは俺だけだろうか。


「いや、特に。何か適当に話しかけられただけだんです」


 まあ俺はそう説明した。

 やはり、日本語が苦手である。

 だって今の文章、どう考えたって変であろう。

 溜息をついてしまう程に。


「そう……か」


 一方グレゴワールはというと、普通に納得してくれた。

 「気を付けろ」の男、つまりアンリは構わず話しかけてしまう人らしい。

 ……。

 あれ? 思わず隠してしまったが、何で俺は「気を付けろ」のことをグレゴワールに話さなかったんだ? まだ信用を完全にはしてないにしても、少しくらい話して良かったろう。

 だが、今はもう言うタイミングではない。話題が変わってしまっている。


 って……。


「いたっ!!」


 後頭部に何か軟らかくもあり、硬くもあるものがぶつかってきた。

 この感触は……ボールである。


「顔面、アウト―!」


 グレゴワールはまた何か言っている。


「そこは普通、セーフだ!!」


 俺もまた突っ込み、そして後頭部に当たったものを確認する。

 う~~ん。普通のボールだ。


「御免なさ~~い」


 どっかで見たような少年が斜め後ろの空き地からそのボールを回収しにきた。

 俺は持っているレジ袋からスルメを出し、咥えてしまう。

 やっぱりスルメは心を癒すなぁ、と俺は感嘆した。


 まあ、ボールの件は忘れて、改めて歩き出そう。

 ボール少年は空き地に戻る。

 どうやらここまで来ると住宅地になるようだった。ということは、この辺にグレゴワールの家があって、今からグレゴワールはそこに案内しようとしているのではないだろうか。

 その予想は、恐らく的中した。


「こんにちは~~」


 近所の主婦さんと思われる人が通りかかる。

 服装は洋服にスカートで、長髪。体はまあまあスリムである。

 その近くにいるのは……中学二年生くらいの年齢の女の子。

 短髪、黒髪、髪の毛についたピン留めはピンク色で服装は同じく洋服にスカートである。

 そんな彼女も母親に続き挨拶をする。


「ちはこんにちはこんに~~、グレゴワール、お兄さん」


「おお、こんにちこんにちはこんにち~~」


 どうやらグレゴワールと女の子は仲良しらしい。

 グレゴワールは女の子に変な挨拶をした後、母親に挨拶する。


「ところで、その方は?」


 母親は早速俺に注目する。

 ……どう言えば良いのかな。俺は首を傾げる。

 えっと、あの、う……など俺が繰り返している間にグレゴワールは答えてくれた。


「遠い親戚ですよ。急に預けてきまして」


 ――俺はその嘘に違和感を覚える。

 何でわざわざ嘘を? と思ってしまったのだ。というかその設定、どこぞの見た目は子供頭脳は大人を思い出すな~~。


「しかしこちらでおくのも何ですし、そちらに暫く彼をとめてはくれませんか」


 いやまんま真実はいつも一つのアニメじゃないかーーーい!!

 何で預ける必要があるんだよ!

 俺は小声で訊く。


「いやよく聞け。彼女の夫は探偵(嘘)じゃ」


 (嘘)……。なんでここでわざわざ嘘をつくんでしょうかね~~。

 俺はそれを聞いて呆れる。

 とにかく、返してみるか。


「へえ、探偵 括弧 嘘 括弧閉じ なんだ~~」


「そう、っていうか括弧の中は読むな!」


 まあもしそこにお前がおれば、奴らの情報が入ってくるかもしれんじゃろ?

 グレゴワールのその発言でもう大体グレゴワールがやろうと思っていることは察すことができた。

 江戸川乱歩とコナン・ドイルが合成された漫画のパクリやってみたかっただけじゃねえか!!

 っていうか『奴ら』って誰だよ!!


 そんな突っ込みはガン無視でグレゴワールは母親に頼み込む。

 一瞬、断るかと思われたが、なぜか母親は承諾した。

 なぜだろう……? 何か不意に真面目になって俺は考えてしまう。

 そんな変なお願い、承諾する必要はないのに。

 ……いや客観的に見るとそんな違和感はない気がするが。


 まあそんな感じで、俺、女の子、女の子の母親は彼女らの家に向かうことになった。

 いや……意味分からんし。

 そう思う方も多いだろう。俺も、実際そうである。

 完全にグレゴワールの変なノリで行かされることになったのだ。

 ひょっとしたら、何か考えがあるのかもしれない。そう思う人がいるかもしれないが、俺はそんな考えなんか一瞬で消えてしまう。

 あの変な笑顔を見れば誰でもそうなるだろう。そして去り際の台詞。よく聞こえなかったが、完全にあれである。


「頑張ってくれよ、し……いや、ルイ君」


 恐らくアガサ・クリスティがソースの台詞の真似……。呆れるばかりだ。しかも周りから変な目で見られているし。

 さて、日を見ると先程より傾いていることから分かるとおり、さっきフレンチレストランにいた時間から、大分時間が現在経過している。

 現在時刻……この腕時計によれば、15:18 27秒。

 午後も半ばとなっていた。

 それでは最後に、タイトル回収をしよう。


 今日は暑かったです。

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