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タイプ8「ザ・バトル写真集」

「・・・じんをゲームで取り返す?」

要弧が厳しい顔で言う。

「じんめ、とうとうあっちの世界に行ってしまたか」

「いやいやいやいやいや、大丈夫だよきっと!」

奈絵美のセリフに必死になって弁解する羊、

「まぁ、とりあえず!あのバカはこっちのものだし?取り返す権利はあるわよね!」

笑ってはいるがその笑みが完全にどす黒い雫、

羊は作り笑いでそうだねと言った。

「・・・で、ゲームの内容は?」

臣が真剣な顔で聞く。


「写真集売り上げ競争ゲーム・・・・です」


 一瞬、時が止まった。


※写真集売り上げ競争ゲーム!

その名の通り要弧チームとみゅうチームが写真部協力の下写真集を作成。

内容は自由、販売時間は一日。

その後販売数を競い、多いほうが勝利、そして狼をマネージャーにできる。


「・・・発案者は誰だ?」

臣が目を光らせて言う。

「相手チームです」

羊が即答する。

「写真集だと?変な勝負だな〜」

要弧が溜め息をつきながら言う。

「でも、売られた喧嘩は買うわよ!」

異様にやる気満々の雫、一人だけ燃えていた。


「いい?写真集で重要なのは!被写体よ!!」

はっきりと断言する雫。

「丁度よく!私たちのルックスは人を惹きつけるのに十分な効果がある!でもそれは相手も同じ!そこで更に重要なポイントは!・・・・色気よ!」

「いや、無理です隊長!」

羊が反論をする。

≪冗談じゃねぇ!!俺は男だぞ!!≫

「ふ、甘いわねひじりちゃん、でもね、」

雫は羊に近寄り、肩に手を置いて真面目な顔をして言った。


「あなたは『白衣の天使〜ひじりナースの初々しい看護編〜』をやってもらうの」


≪なんじゃそりゃあぁああああ!!??なんともけったいなタイトルだなおい!!≫


「む、無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!」

「だめよ!女を捨てなきゃ!」

≪俺の場合男を捨てる事になるんだよぉおおおお!!!≫


結局押し切られた羊、ちなみに、

「なえみは『可憐な図書委員長〜本とあなたがお友達〜』をお願い」

「めがねだからといって安直に決めただろ」

「おみは『勇敢な女性消防士さん〜恋火はけせないもん〜』をお願い」

「・・・・・わかった」

「私は『お嬢様だもん〜優雅な貴族の一日〜』を担当するわね!」

≪なんか一番無難なやつを選んでないか?≫

「そして、ようこはこれ」

なぜかこそこそして内容を教える雫、

「よし、わかった」

「ようこが切り札なんだからね!」

≪ようこが・・・切り札?≫

そんな疑問を残しながら、いよいよ決戦の日が近づく。


 撮影日

ピンクのナース服を着た羊。

物凄く短いスカートに慣れない様で手をひざに置いている。

「ひじりちゃ〜ん、スタンバイお願いしま〜ス」

「は、はい≪できるかばかやろぉおお!!!≫」

心の叫びとは正反対の行動しかできず、悲しみに暮れる羊だった。


「じゃ!まずは体温計をもってポーズ」

≪ま、まぁ、たかがナースだからな≫

写真部が用意したセットの病室で写真を撮られる。

写真部には女子部員もいるので変な事にはならないだろうと安心した羊。

「じゃ、次は食事を食べさせてあげる設定ね」

カメラに向けてスプーンにのせたご飯を差し出す羊。

≪なんかへんな感じだな≫

「ほら!笑って笑って!笑顔笑顔!」

そう言われて仕方なく笑う羊。

「う〜ん、もっと楽しい事を思い出してみて」

≪楽しい事〜?最近は大変な事ばっかで楽しくなんかねぇよ!!≫

苛立ちが募るばかりだった。


「じゃ〜、休憩入りまーす」

≪まだ続くのか?≫

羊が散々な顔でイスに座る。

「大丈夫ひじりさん?」

写真部の女子部員がお茶を渡してくれる。

「さ、撮影って大変なんですね〜」

「そうでしょ〜、緊張するもんね」

ペットボトルを口につけ飲んでいる羊を見ながら、女子部員が言った。

「ようこ達にとって、じんはやっぱり必要な存在なんだね」

「ぶはっ!!」

何気ない一言のようだが、驚く羊。

「な、何ですかいきなり?」

「ん?・・・正直な感想、だよ」

意味深な笑顔をする女子部員、

「ど、どうしてそう思うんです?」

羊はゆっくりと聞いた。


「だって、真剣なんだもん、ようこ達」


それを聞いた羊は、また驚く。

「いつもなら、クールに決めているようこ達があんなに真剣な姿、初めてみたかも」

「・・・そう、なんですか」

「やっぱり、じんが大切な存在ってことね」

≪・・・やっぱ、そうなのか≫

 おれは、長い間ずっとそばにいたのに、気付かなかったんだな。

 あいつらの、気持ち・・・・。


  家にて

「な、なぁ、ひじり」

「ん?」

狼が言い辛そうに寄ってくる。

「・・・その、ようこ達、怒っているか?」

「・・・・そう、思うのか?」

逆に質問で返す羊、正直狼は面食らっている。

「・・・まぁ、怒っていないとは、思ってないな」

「・・・どうしてそう思うんだ?」

「・・・どうして自分にそんな事聞くんだよ?」

「たしかに、元々俺たちは一つだった、でも今はじんとひじり、別々の人間のはずだ」

「・・・それもそうか」

溜め息をつく狼、そして、放し始める。

「・・・やっぱ、かなり怒ってるんだな」

「まぁな」

「・・・全く、俺は悪くないのによ」

軽く笑いながら話す狼、


「・・・でも、心配、してくれてるのは、意外と嬉しいな」


羊は少し驚く。

まさか、そう思っているとは思わなかったからだ。

「・・・やっぱ、今のお前と俺は、違うんだな」

「はぁ?」

羊の意味深な言葉に、疑問の声を上げる狼。

「安心しろ、ようこ達の人気の高さを一番よく知っているのは俺達だろ?」

「・・・そうだな」


 骸骨日記

今日はじんはんとひじりちゃんが深刻な顔して話しとったな。

にあわへんかったけど、大事な話やったみたいや。

まぁ、どうせ明日にはケロッとしてそうやけどな。

今テスト週間、やばいです。特に留年とか・・・とりあえず頑張ります。

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