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タイプ6「ザ・ショッピング」

「おいじん、お前が呼んだのか?」

要弧がそりゃもうめっちゃ怖い顔で狼を睨んだ。

「身に覚えがございません」

膝を付いて弁解する狼。

とりあえず北崎が説明を始めた。


「じつは今日来る女の子たちは我ら『華円かえん高校』の姉妹校、『翠円すいえん高校』の美少女グループでね、ぜひともこの機に二校の交流を深めるために」

「帰れって言ったよな?」

狼が北崎の首を絞めながら黒い顔で言う。

「ぐがぁあ!待ってくれ!首はダメ!息!息!」

昇天の一歩手前で放してくれた狼、

息を切らしている北崎を無視して狼は音恩たちを見る。

「悪いが今日は無理だからまた今度誘ってくれ」

「・・・また今度?」

臣が過敏に反応して狼に聞き返す。

「・・・・俺以外を呼んでくれ、悪いな」

何気に涙を見せる狼、不憫だと思った三人。

「まぁ、確かに無理そうだから・・・諦めるか」

音恩がそう言うと、北崎の携帯が鳴る。

「はい、北崎・・・・あ、りおちゃん!・・・・ん?そうなの?いいよいいよ!じゃあ、また今度ね!」

そこで会話は終わり、北崎は平然とこう言った。


「ドタキャンされたぜ」


固まる一同、特に狼と羊。

「なんか相手のほうが今日用事できたらしくて来れないだって、まぁ仕方ないね、てことでじんくん君らと一緒にショッピングを」

「しない!帰れ!消えろ!」

即答する狼、だが結局北崎たちはついて来るのであった。



「今日は夏に向けての夏服を買おうと思っているんだ」

奈絵美が今日はコンタクトをつけて来ていた。

「どんな服があるかな〜」

雫は明るい感じのワンピースと重ね着をしている、実に女の子らしいかわいいセンスだ。

「・・・・めんどくさい」

臣はそう言いながら頭をかく、服装はボーイッシュなジーパンにTシャツ、

要弧も同じ服装をしていた。

≪・・・・ついて来ちゃったな、北崎≫

≪どうすんのよ!ようこたちの機嫌が損なわれて八つ当たりされるよ!≫

≪そうだよ、それが問題なんだよ≫

≪とりあえず、ようこたちの機嫌をとらなきゃ!≫

≪よ、よし≫

狼と羊はすでにテレパシーを会得しているようだが今は気にしない。


「う〜ん」

奈絵美が半袖の上着を二つ見比べながら悩んでいた。

≪む、悩んでいるのか、ここで気の利いたセリフを言えば機嫌よくなるだろう≫

狼がそうしようとした時、しゅうが肩に手を置いてきた。

「じん、今アドバイスしようとしたな?」

「あ?・・うん、まぁな」

「なんてアドバイスしようとした?」

「安い方を買った方が経済的にはいいよって」

それを言って本当に喜ぶとでも思っていたのだろうか?

やはり狼はかなりの鈍感だ。

「ちょ、それ自ら死にに行く行為と一緒だろ!」

珍しくしゅうが正論だった。


「いいか、どっちがかわいいか自分で考えてみろ!それでかわいいと思った服を推奨すれば良い」

「そ、そうか」

しゅうのアドバイスを聞き、奈絵美に近寄る狼、

「どっちか悩んでいるのか?」

「え?・・・うむ、そうなんだ」

心なしか奈絵美の顔が赤くなった気がしたが、狼は気づかない。

「ど、どっちが良いと思う?」

奈絵美が聞いてくる、狼はとりあえずそのシャツをみた。

片方はダークなデザインの黒を基調としたもの、

片方は水色で白いハートが模様として描かれている。

≪う〜ん、なえみに合うシャツは・・・≫

狼が奈絵美を見つめる、そしてシャツをみる、

それを繰り返す狼、

「なにやってんだよじん!直感で選べ直感で!」

しゅうが物陰から見守っている、

≪そうだな〜、なえみに合いそうなのは・・・物静かで暗いイメージの黒かな?≫

狼がそう言おうとした時、

「青の方がお似合いですよお客様」

店員が空気を読めず乱入、

≪え!?青の方が良いの!?≫

それを聞いた狼は動揺する。

≪いや、でも第三者から見て青がいいなら・・・青か!≫

「あ、あぁ、青の方が良いと思うぞ」

店員に続いて言ってしまった狼、

「あのバカ!!それじゃあ店員の意見に流されているじゃないか!」

物陰から叫ぶしゅうだが結局遅かった。


「・・・そうか、君はどっちでもいいと思うのだな」


完全にお怒りモードの奈絵美、結局服を元に戻して行ってしまった。

≪・・・・やっちまった≫

落ち込む狼、そして物陰から見ていたしゅうは壁に拳を突きながら苛立っていた。


明らかに機嫌の悪い奈絵美を見つけた羊、

「ど、どうしたの?≪あのバカ!何か失敗したな!≫」

「あぁ、ひじりか・・・いや、何もない」

明らかに何かあった顔をする奈絵美を見て後で狼をしばくと決めた羊、

「ね、ねぇ、あっちの服を見ようよ!」

とりあえず羊は奈絵美の機嫌をとる事にした。


雫がサングラスを見ていた。

それを見つける狼。

≪しずくか・・・まぁあいつは俺を嫌ってるし別に良いか≫

そのまま素通りしようとしたら、

雫に近寄る二人組みがいた。

「かわいいね君、高校生?」

ガラの悪い金髪の恐らく高校生の不良だ。

「一人?だったら俺らと遊ばない?」

「いや、友達がいますから」

雫が離れようとした時、一人が雫の手を掴む、

「いいじゃん、どうせ一人なんだろ?」

「放してください!」

「俺らと遊んだ方が絶対いい」


「わけないだろ」


狼が不良の手を払って後ろから雫を受け止めた。

「じ、じん」

「悪いがこいつは一人じゃないんだ、他を当たってくれ」

狼がそう言うと、バツが悪そうに二人組みの不良は逃げるように去って行った。

「大丈夫か?」

不良が消えてから狼は雫を見る。

≪・・・・?、熱でもあるのか?赤いな?≫

雫は目線を下に向けながらも顔を赤くしていた。


「・・・・はは〜ん、なるほどね」

ちゃっかり遠くの方から狼と雫を見ていた音恩と将騎、

「なにが成る程なんですか?」

「鈍感だな〜しょうきは、しずくちゃんはじんに助けられて赤くなってる、つまり嬉しくて照れてるんだよ」

「・・・あぁ!それってつまりしずくさんはじん君をす」

「おっと、そこから先は言わなくても、わかってるって」

二人はそう会話をしながらもその先の展開を楽しみにしていた。


「・・・お〜い」

狼が雫に声をかける。

「あ・・・あ、」

「ん?」

「放して」

そう言って肩に置いてある狼の手を払う雫、

すると雫は『しまった』という表情をした。

「おぉ!ツンデレ特有の嬉しいのに冷たい態度をとってしまう行為!」

「しずくさんはツンデレなんですか?」

音恩と将騎が無駄な会話をしている間、狼はずっと考えていた。

≪あれ?・・・怒ってる?・・・そうか!助けたのは良いが言い方が彼氏みたいで怒っているのか!!≫


究極の勘違いをしていた。


≪そうだよな、ただでさえこいつはオレの事が嫌いなのに彼氏みたいな行動をとられるとこいつのプライドが許さないよな、くそ!ここは落ち着いてようこを呼ぶべきだったか?≫

ここまで鈍感だと無性に殺意が湧いてくるが、狼の性格なのだ仕方ない。


「・・・すまなかった」

狼は気まずくなってその場を離れてしまった。

「あぁあ!あのバカ!謝って行っちまったよ!!」

「や、やはり怒っているんでしょうか?」

「全く、女心がわかってやれないなんて、よくマネージャーがつとまるな」

音恩がぶつぶつと文句を言っているのを仕方なく聞いていた将騎が雫の方を見る。

明らかに黒いオーラを身にまとう雫、

≪落ち込んでるの!?怒っているの!?全然わっかんない!?≫

雫の威圧感に泣きそうな将騎だったが、雫はすぐにその場を離れた。

≪い、行っちゃった・・・怖かった≫

狼に負けないぐらい鈍感な将騎だった。


「・・・どうしたしずく」

暗い雫を見つける臣、雫はベンチに座りながらうつむいていた。

「・・・・別に」

「・・・・サングラス、いいのか?」

「・・・・もういい」

実は雫は今日欲しいサングラスを買うつもりだったが、

今はそんな気分ではない。

「・・・はぁ〜」

溜め息だけが漏れる。

「・・・・そろそろ帰る時間だな」

「・・・そう、わかった」

渋々と雫は集合場所に向かった。



「お、しずくも着たか、これで後はじんだけだな」

要弧がそう言うと、丁度向こうから狼が走ってきた。

「おせーぞじん!」

「わりぃわりぃ」

狼は片手に紙袋と小さな小包を持ちながら言った。

「おや、何か買ったのかい?」

北崎が狼に聞く。

「まぁな」

「じゃ、帰るとするか」

要弧が先頭でショッピングモールを出ようと前に進む。


「なぁなえみ」

「ん?」

狼が奈絵美を呼ぶ、奈絵美はやはりまだ機嫌悪いようだ、返事が荒い。


「やっぱ、お前には黒が似合う、だからこれ」


狼が差し出した紙袋、奈絵美が受け取って中身を見ると、

あの悩んでいた半袖の上着の黒い方だった。

「やるよ」

「・・・い、いいのか?」

「そのために買ってきたんだからよ」

「・・・あ、ありがとな」

顔を赤くして、嬉しそうに奈絵美は言った。


そしてその様子をちゃっかり見ていたしょうと羊。

≪おぉ!鈍感に見えてしっかりしてるじゃないかじん!≫

≪よっし!やるじゃないじん!≫


そしてもう一つの小包は、もちろん、


「しずく」

狼が呼びかける、雫は無視をしようかと思ったが、とりあえず振り返る、


「わるかった、だからこれで機嫌を直してくれ」


渡された小包、意外に思った雫はとりあえず受け取る、

「中身を見てくれ」

狼がそう言うので雫は箱を開ける。


「 あ 」


正直、雫は驚いた、なぜなら雫の欲しかったデザインのサングラスだったからだ。

「・・・え、え?」

「わりぃ、どれが欲しいかわからなかったが・・・お前に似合うものを選んだ」

「・・・そうなの?」

「あぁ、気に入ってくれるか?」


「・・・・いいサングラスね、気に入った」


雫はそう言って最高の笑みを見せた。


そしてそれを見ていた音恩、将騎、そして羊、

≪おぉ!ちゃんと気配りできてんじゃん!≫

≪かっこいい、やっぱりじん君は良い人だな≫

≪やればできるじゃない!さすが私!≫


 


 その夜

「じん!見直したよ!女心もわかってきたじゃない!」

羊が機嫌よく狼に言う。

「は?何のことだ?」

「もう!このこの!なえみとしずくに最後プレゼントしてたじゃん!」

「あぁ、あれか」

「さっすが!女心わかってる!」


「え?別に、ただ機嫌をとろうと・・・・」


「・・・・はい?」

固まる羊、

「・・・え?・・・二人の欲しかったもの、わかってあげたんじゃ?」

「いや、ただなんとなく、ないよりはマシかと」

「・・・二人の為に・・・買ったんでしょ?」


「あぁ、機嫌をよくしてもらう為に」


「・・・・・」

「え?なに?なんでバットを掴むの?え?なに振り上げてるの?振り下ろしたら俺に当たるだろ?え?え?なに?」


「じんの!バカーーーーー!!!!」


 骸骨日記

『今日はじんはんの魂を見つけたな、まぁ蘇生はしといたけど、先が思いやられるわぁ』




感想待ってるぞbyようこ

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