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タイプ50「男達の聖戦二」


だ、だいぶ話が重くなってきた・・・。

残念ながらシリアスストーリーぶっちぎりで進み中だ、よって形ながらだが12禁とさせていただく。

ちょっとお子様には悲惨すぎる気がするから。

大丈夫!これを乗り越えたらギャグの嵐だぜ!

 平日の繁華街。

時刻は11時とあって、人通りの多くは大人たちである。


その中に、学校をサボったらしき女子高校生たちの姿があった。


「う〜ん!やっぱりかったるい学校なんて行くもんじゃないわ〜」

「ところでどう?初めて学校をサボった感想は?」

「え?・・・うん、結構・・・いいかも」

三人の女子はそんな会話をしながら、学校をから開放された自由を満喫していた。

「で、でも・・・確か、私達の学校の生徒ばかりが狙われた拉致事件が起きているらしいけど・・・大丈夫かな?」

「だ〜いじょうぶだって!太陽も昇っている明るい時間に、そんなさらわれたりするわけ無いわよ」

「・・・そ、そうだよね」

「それよりも!早くユニクロスいこ!かわいい服があるのよ!」

三人ははしゃぎながら、今日という日を楽しもうと、心を踊らせていた。


  「なぁ・・・あの女ども・・・要弧のいる学校と同じやつらだろ?」

  「お!かわいい顔ばっかりじゃん!・・・前の女は誰かが逃がしちまったからな・・・三人もいれば、遊べるし、要弧たちへのいい宣伝になるな」


ロクでもない者達が、よからぬ考えを口にしながら、三人を見ていた。




「なぁ北崎・・・こんな繁華街にいたら警察に補導されるぞ?オレ達は今制服なんだから」

「まぁまぁ、正直ここしか不良のいそうな所は無いんだから。補導されそうになったら走ればいいじゃないか」

五人は特に緊張感も持たず、よもや不良集団相手に戦いに行くのが嘘のような空気であった。

「でもさぁ・・・さすがに無計画にも程があるんじゃない?」

慎がそう言うと、しゅうがすかさず答えた。

「こちらがわかっている事は、残念ながら何も無い。でも、ここら辺でブラブラする様な不良なら、何か知っているはずだろ?まずは情報をつかまねばな!」

「簡単に言ってくれるぜ。正直こんな明るい時間に不良が通りに現れる確立は低い気がするな、ゲーセンとか溜まり場ならわかるんだが」

狼がそんな事を言っている時、音恩が遠くで何かを見つけたようだ。

「おぉ!チラリと一瞬だけ遠くに見えたのは、一年生の水島さんか?大人しくて茶道部期待の新人といわれている彼女が学校をサボるなんて、意外と大胆な子だなぁ」

「お前そのスキルは確実に変態である証拠だぞ?」

狼の罵倒を聞き流しながら、音恩はついでに気になる事を口走った。

「しかし、お店ではなく裏路地に入って行ったのは何でだ?」

一瞬、五人全員が嫌な予感を察知した。

そして、何も言わず、五人は一気にダッシュをして、音恩の指した方向へ向かった。


「大人しく付いてこれば悪いようにはしねぇからさ・・・静かにしてろよ?」

「お・・お願いです・・・・見逃して・・・ください・・・」

あの女子高生三人組、うち一人の今日初めてサボりをした水島さん、たちが、よからぬ連中に囲まれて、暗い裏路地にいた。

「いいじゃん?どうせ学校サボってここに来たって事はさぁ、俺らと遊びたいんだろ?」

「ち、違うわよ!」

「ッチ・・・うるさい女だな・・・でも、そんな奴を無理やりヤルのも嫌いじゃないけどな」

「け!警察呼ぶわよ!」

「今呼べる状態か?呼べるもんなら呼んで見ろよ?」

五人の不良たちがあざけ笑いながら、三人の持ち物を奪った。

「携帯はここで壊させてもらうぜ、下手に警察呼ばれたらじっくり楽しめないからな」

「なんだったら服だってここに置いて行っていいんだぞ?ぎゃははは!」

男の下品な笑いが、三人を更に恐怖の顔に染めていった。

「んじゃ、連れて行くとしますか」


「オッケ〜、社会のグズ共五名様をあの世へお送り差し上げますよ」


音恩の陽気な台詞と共に、狼と北崎が二人の不良を殴り飛ばし、気絶させた。

「あぁ?んだよ?だれ?」

「そんな事どうでもいいでしょ?」

慎が笑顔でスキンヘッドの男の前に立って言った。

「女か、丁度いい。この男達を黙らせたらお前も連れていっ!!」

喋り途中の男のあごに、慎は強烈なアッパーをくらわせた。思いっきり舌をかんだ男は、口から血を流しながら、後ろに仰け反る。

「息くせぇよお前」

慎はそれだけを言って、ニッコリと笑った。

「やべぇ!あいつらだ!雷門のチームを潰した奴ら!」

「はっ!だったら逃げるしかねぇな!こいつで!」

残りの男二人は急にナイフを懐から取り出し、女子高生の一人に目掛けて刺してきた。

「きゃぁああ!」

背中を斜めに切りつけられた。

「みよちゃん!!」

水島が走って駆け寄ろうとした時、もう一人の男に捕まえられた。

「てめぇは人質だよ!」

「オイお前ら!女一人が重症でこっちには人質がいるんだから・・・追いかけるなよ?」

二人は慣れた様子で、水島をさらい、裏路地の奥へ消えていった。

「くそ!あいつら!」

「みよ!!しっかりしてよ!!どうしよう・・・血が、血が止まんないよ!!」

もう一人の女子高生が泣き叫びながらパニックになっている。

「慎、お前その子の応急処置をしてくれ。止血のための布なら俺らの制服を使えばいい」

狼はそう言ってワイシャツを脱いで、慎に渡した。

「携帯で救急車はオレが呼ぼう」

北崎が既に番号を打ち込んで、コールを待っていた。

「オレは大人を呼んでくる。ついでに近くの薬局屋によって医学知識のあるやつも引っ張って来る」

しゅうが言うや否や走り去って行った。

「じゃあ、俺らはどうする?」

音恩が狼にそう言うと、狼は当然のように答えた。

「ここで転がっている奴らから情報を聞き出すに決まってるだろ?後、水島を助ける必要がある。警察や救急車が来たら・・・慎、お前が対応してくれ」

「え?僕が残らなくてももう一人女の子がいるでしょ?」

「彼女に落ち着いて状況を説明する余裕があるように見えるか?それに、こいつらが吐いた情報をお前に伝えるから、警察にもすぐ伝えてくれ・・・俺らはその間に・・・せめて水島だけでも助ける」

狼の説明の後、一人の不良がうめき声を上げた。

「・・・え?・・・し!死んでるのかそいつ!?」

目の前で倒れている女子を見て、そいつは青ざめたようだ。しかも、もう一人の女子も血まみれで泣いており、慎が手を真っ赤にしながら、制服を背中の傷に押さえつけて、止血していた。

「う、嘘だろ・・・あいつら・・・殺しまで平気でするのか?・・・」

恐怖でおののくそいつに、音恩が近づいて、襟首をつかみ持ち上げた。

「さぁて?立派な罪である傷害罪を犯した君はぶっちゃけ犯罪者だ、正直今ここで貴様を冗談抜きで殺したってオレには正当防衛で間逃れる事ができる。死を選ぶか罪を償うか、どっちを選ぶ?」

「ま、待ってくれ!お、オレは女遊びができるからって聞いたから付いて行ってただけで!ま、まさか殺しをするような連中だとは思ってなかったんだよ!い、今までの女に対して犯してきた罪は償うけど、こ、この事件には無関係だ!」


「んな事聞いてんじゃねぇよ!!てめぇのいい訳なんざ聞いている暇もねぇ!罪を償いたいんならさっさと貴様らの陣地でも基地でもなんでもいいから言え!!」


音恩がその男を後ろの壁に思いっきり叩きつけてそう言った。

「あ、あいつらが向かった場所は・・・多分、港倉庫の33番倉庫だが・・・もしかすると、あんたらに襲撃される事を危惧すれば・・・いくらでも変更をすると思う・・・変更先までは、さすがの俺もわかんねぇ・・・本当だ!信じてくれ!」

「・・・くそ!・・・前回結構暴れたからな・・・場所を代える可能性が高いと見たほうがいいな・・・これで、振り出しか」

音恩がおもむろに手を放し、その男は地面に倒れこんだ。

「おい!薬剤師のおっさんだが、応急処置をしてくれるそうだ」

しゅうが意外と早く戻ってきてくれた。そして、その隣に、メガネをかけた中年男性が息を切らして走ってきた。

「彼女がナイフで切られた子だね?」

慎が真っ赤な手になりながらも止血している様子を見て、男性は息を飲んだ。

「彼女の容体は・・・呼吸も・・・しているな。脈は・・・多少弱くなってる・・・多量出血の恐れがある。今はショックで気を失っているようだが・・・とにかく、私には包帯を巻く程度の知識しかないが、せめて完璧な止血だけでもしよう。君達二人に、協力して欲しいんだが」

男性は慎ともう一人の女子にそう言った。

「わかりました。お手伝いします」

「・・・・わ、私も、できるだけの事はする」

「ありがとう。なに、きっと助かるから・・・気をしっかり持つんだぞ」

三人は早速応急処置にかかった。

「薬剤師さん、応急処置をしながらでいいから、傷の程度と本人の容体、それとどんな処置をしたか教えて欲しいんだが」

北崎が冷静に早口で重要事項を聞いた。そして帰ってきた返答を一字一句間違えず伝える。

「警察への連絡もしておいた。暴走族の名前はわからないが、雷門って奴が関与しているのは間違いないと伝えたら、すぐに非常線を張ってくれたよ」

しゅうが言い終わった後、遠くの方でパトカーのサイレンの音がした。

「やばいな・・・警察に『保護』という名の『拘束』をくらう前に、行こう」

狼はそう言って、音恩たちと共に去ろうとした時、情報を喋った男が口を開いた。


「ま、待ってくれ・・・・オレが、あいつらの居場所を突き止める」


男が、声を震わせながら、そんな事を言った。

「・・・信用ならんな、大人しく警察に捕まってろ」

「・・・頼む・・・償いをさせてくれ・・・携帯で、仲間に無事に逃げれたと言って・・・あいつらの居場所を聞き出すから・・・頼む」

「おい!てめぇ裏切るのかよ!」

もう一人の不良がそうわめいた。だが、男はそれにこう答えた。

「・・・オレは、ヘッドである辻風つじかぜさんに・・・どうしようもないクズだった時、仲間として迎え入れてくれた・・・あの頃の辻風さんはよぉ・・・ケンカ三昧ではあったし、女遊びも派手だったけどよぉ・・・・今みたいに・・・狂いはじめたのは・・・確かに、あの要弧の所為だ・・・だから、行き過ぎた犯罪にも手を染め始めたのを、オレは黙ってみてたけどよぉ・・・殺しだけは・・・何があっても許せねぇよ・・・だから・・・頼む」

「・・・・そんな正義ぶった気持ちがあったんなら、もうちょいマシな道歩めたんじゃねぇのか?」

「・・・・母子家庭で・・・唯一の兄弟である妹を・・・殺されたら・・・こっちだってマシな道を歩む気持ちなんて・・・起きるわけねぇだろ」

「・・・・・」

場の空気が濁った時、とうとうパトカーが裏路地の前に止まり、警察官が下りて来た。

「おい、狼・・・さっさと行こうぜ」しゅうがそう急かした。

「頼む・・・オレが・・・変な行動を起こしたら・・・殺してもいいから」

「・・・よし、てめぇを今から利用する」

狼はそう言って、その男に肩を貸した。

「おい!そいつは事実ロクでもない奴だ!今更償いとかしたって仕切れねぇんだよ!」

「・・・だから、利用するって言ってるだろ」

音恩の反対を押し切り、狼はその男を連れ出す。

「お、おい!君達!」

だが、既に警察は路地に入ってきていた。

「・・・行け狼、ここはオレが止める」

北崎が立ち止まって警官と対峙すると、その前に、警官はある二人に抑えられていた。

あの、不良の二人だった。

「お・・・お前ら」

北崎が驚いていると、その不良たちは嫌そうな顔で言った。

「てめえのためじゃねぇよ・・・あいつの、聡介そうすけのためだよ」

「・・・いひぃな・・・ひょひょは・・・おりぇりゃりりゃ」

「お前は舌を噛んで喋れないんだから黙ってろよ!」

北崎はその二人に笑顔を向けてから、走り去ろうとした、そして、その去り際に、

「お前らの事は、殺そうって思うぐらいな価値だったけど・・・フルボッコで許してやるよ」


時刻は、とうとうお昼過ぎとなった。




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