タイプ49「男達の聖戦一」
さぁて!長編に入りますぞ!
要弧が憎い・・・。
オレよりもあんな男を選んだあいつが憎い。
要弧がオレの物になってくれないのなら・・・・。
誰のものにもしないために、消すしかない。
一人の男が、そんな事を思いながら、夜闇に紛れて不敵に笑っていた。
その側にはあのいつの日か羊をさらった男、雷門がいた。
「おい、雷門。襲ったカップルは今どうしている?」
場所は港の倉庫。どうもここにはろくでもない連中が良く集まる傾向にある。
「男の方は拷問で遊ばれている、女の方でも遊ぼうと思ったんだが・・・一人のバカが、奴等が怖いなどとほざいて逃がしやがった・・・仕方が無いからそいつも拷問を受けてもらっている」
「はっ!女遊びをトラウマにさせるくらい恐ろしい奴らだったのか?」
「さぁな・・・ただ、そう言った真面目気取りは嫌いだ・・・うざってぇ」
「その通り・・・そういう奴らは一度地獄を見せないと大人しくならないからな・・・」
二人はそんな話をしながら、夜空を見上げた。
夜空はよどんでいて、月が見えなかった。
「おっはよー!」
羊が元気にあいさつをする。
「相変わらず無駄に元気だなおい」
狼が眠そうな顔で文句を言いながら教室の席に着く。
そこである事に気付いた・・・要弧たちがいないことに。
「なんだ?あのうるさいあいつらがいないなんて珍しい。明日雪でも降るか?」
「・・・・なんか・・・嫌な予感がする」
羊が珍しくそんな事を言うので、狼も若干怪訝な顔をした。
「・・・狼くん・・・ちょっといいかい」
今度は慎が、ワケありな様子で狼に話しかけた。
「どうした?何かあったか?」
「・・・・この張り紙・・・見なかったの?」
そう言って慎が差し出した一枚の紙。そこには、写真と文章が載っていた。
『要弧、並びにその仲間の女子に告ぐ。報復はもうすぐだ。楽しみにしてろ』
そして、その側の写真には、無残にも暴行を加えられた男子の写真があった。
「・・・この制服・・・うちの学校だな」
「そんな当たり前なこと言わないでよ・・・今彼女達は校長室に呼ばれてる。羊ちゃんもすぐに行ってよ」
「なにそれ?・・・まるで私達が悪者みたいね」
「その通りなんじゃない?」
羊の台詞の後、誰ががそう言った。
羊が驚いて言った本人をみてみると、クラスの女子だった。
「ちょっと可愛くて人気があるからって、男をたぶらかしたからこんな事になったのよ」
「・・・なにそれ?たぶらかした覚えなんか無いけど?」
「・・・まぁ、あなたは関係ないでしょうけど・・・要弧は、ここら辺の族とよくいざこざを起こしていたのよ。そいつらがとうとう怒ったのよ。お陰でこっちはいい迷惑なんだから」
「悪いのは族でしょ?要弧は悪くない」
「要因作りも立派な犯罪だと思うけど?」
「そ、そんなのひど!」
「そこまでだ。羊、さっさと校長室に行け」
狼が不機嫌な声を上げて羊に注意した。羊は意外な表情をして、仕方がないという素振りで教室を出て行った。
「・・・・なんでそんな事を言ったんだ?」
狼はふと、その女子に聞いた。
「と、当然よ。こっちの身が危ないんだから!ああ言えば転校してくれるでしょ?」
「・・・・その顔でよく嘘がつけるぜ。お前らが要弧ラブなのは知ってるんだぞ?」
狼がそう言うと、クラス全員の顔に緊張が走った。
「・・・・狼、あなただって知っているでしょ?羊は前回、族に捕まって危ない目に合ったのよ?・・・また、そんな事があったら・・・私達だって、悲しいのよ」
「・・・だから・・・守るために突き放すのか?」
狼がそう言うと、その女子は、胸をはって言った。
「そうよ・・・要弧たちは私達のアイドル・・・誰にも壊させないし不幸になんてさせない」
「・・・どっから沸いてくるのかね?その精神は・・・・。でもよぉ・・・これって、逃げれるレベルか?」
「・・・わからない。でも、これは立派な傷害事件よ。警察が黙っているわけ無いわよ」
「こんなことを平気でする族が簡単に警察に捕まると思うか?どっちにしろ前回オレが潰した族の奴らは留置になっただけですぐに出てきた・・・つまり逮捕なんてありえない。やつらは残念な事に未成年だからな、ケンカで済まされるんだよ」
「そんな!・・・それって、女子相手でも・・・ただのケンカ?」
「若さゆえの過ち、なんて台詞でハイさようなら、だろうな」
「・・・最低!」
「そんなもんだよ。お前らが知らないだけで、未成年の不良たちはもっとえげつない事をしているもんさ、でも法はそれをあえて許す事になっている。どう?理不尽だろ?」
「じゃあどうすればいいのよ!」
「戦うしかないんじゃない?」
狼はあっさりとそう言った。
「何も相手は大人でもなけりゃ化け物でも無い。オレ達と同じ人間だぞ?・・・そして子供だ・・・ケンカで済まされるってんなら、おおいにケンカしてやろうじゃないの」
「・・・で、でも」
「逃げるのは簡単だよな?でも悪い奴らはそういう風に逃げる奴を追いかけたくなるんだよ。どうせケンカだ。なら、やり返すってのも、ありだろ。大人がなんと言おうと、間違っている奴を許したまんまってのは、それは間違いのままだ。それをそのまま見過ごせば、見過ごしたあんた達も、悪い奴だぞ?」
狼の長い台詞の後、しばらく静寂が流れた。
そして、狼はそれを見てから、立ち上がり、教室を出ようとした。
「今日は早退するよ。先生にも伝えといてくれ」
それだけを言って、狼は教室を出た。
「待ってよ〜」
すぐに、誰かが狼の後についてきた。慎だ。
「行き成り過ぎない?敵陣に乗り込むなんてさ?」
「ケンカにやる時とかそんなもん無いだろ?」
「・・・他に仲間呼ぶ?」
「・・・・あのバカ三人衆を呼ぶか」
狼がふとそう言うと、誰かが丁度階段から降りてきて、二人の前に立った。
「オレをお呼びかな?」
北崎だった。
「タイミングよく現れるな?」
「張り紙を見れば、君が行動を起こす事ぐらい、予期できるって」
北崎は笑ってそう言った。
「おっと、俺も忘れないでくれよ?」
今度は音恩が、横の教室から出てきた。
「待っていたんだよ。別に今その会話が聞こえたから慌てたわけじゃないぞ?全然予想だにしなかったわけじゃないからな。オレはあえてここに来る事を知ってだな」
「もういい。戦ってくれるだけで十分だ」
音恩の言い訳を遮断して、狼は先に行こうとした。
「おいおい、僕を忘れちゃ困るよ?」
今度はしゅうが、外の窓から入ってきた。
「ちょっと待て、どうやって来たんだ?ここ3階だろ?」
「気にする事じゃない・・・それよりも・・・行き先はわかっているのか?」
「・・・なぁに、そこら辺フラ付いてりゃあ、招待してくれるさ」
狼はそう言って、不敵な笑みを浮かべた。
五人がそれぞれ、下駄箱で靴をはき、外へ出た。
「さぁて・・・・死刑執行といきますか」
その頃、要弧たちは校長室での話を終えて、教室に戻っていた。
「転校をして欲しい・・・か」
奈絵美が校長直々に言われた台詞を復唱していた。
「・・・ったく、バカな社会のゴミどもの所為で遠くに行く羽目になるとはな」
要弧がうんざりした表情でそう言った。
「・・・・仕方ない・・・・ボコそう・・・」
臣がめっちゃ普通に怖い事を言った。
「無茶言わないの!一歩間違えれば人生破滅よ・・・・過剰防衛とかして」
殺す気ですか?
「≪てか私の場合、思いっきり巻き込まれているような?転校しなくてもよくない?≫」
羊が虚しい独り言を心の中で呟いた。
「・・・・狼も、転校してくんないかな?」
要弧がボソッと、羊にだけ聞こえる声で言った。
「≪・・・・まぁ、その必要が無いように、もうあいつも動いているだろうな≫」
羊の読み通り、すでに狼達は動き出していたのであった。
こんな時になんだけど、最終回をするか続編にするかアンケートをとってもいい?
いや、まぁ、作者が聞くことじゃないのはわかってるけど、ちょっとした興味さ。
なげぇなげぇと友人から言われているので。
そんな訳で!アンケート!回答よろしく!