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タイプ5「こ、告白?」

「なぁ、オレと付き合おうぜ」

体育館裏に呼ばれたと思ったら・・・告白か?


「・・・・ごめんなさい、他をあたって下さい」


≪こいつ頭おかしくねぇか!?お前とは一応昨日会ったばっかだろ!!≫

羊が頭に怒りマークを出しながらも笑顔で断る。

「あっちゃ〜、ガード固いね〜、そんなんじゃ嫌われちゃうぞ」

≪うぜぇうぜぇうぜぇ!!!まだ地味でようこ達のパシリしてたほうがよっぽどマシだ!≫

羊はこんな所で要弧たちのありがたさを今更ながら痛感していた。

「残念ですけど、私にはようこちゃんたちがいますから、でわ」

「ちょっと待ってよ」

去ろうとする羊を捕まえる男子生徒。

「なんですか?」

「だから〜、オレみたいな奴と付き合うなんてそうそうないだろ?」


「自信過剰の馬鹿がなめた口きいてんじゃねぇ」


羊だって姿は違えど狼なのだ。

相手が男ならビビらすことなどたわいもない。

固まっている男子生徒をほっといて羊は要弧たちの元へ戻った。



 一方、羊が呼ばれて出て行った後の教室では、

「・・・・じん、ひじりちゃんは惚れ易いのか?」

臣がいつもの無表情で聞く。

「≪いや、俺に限ってそんな事はねぇ≫いや、あいつはそんな奴じゃないぞ」

「・・・・そうか」

終始無表情なため、心配しているのかどうかはいまいちわからない狼。

「おい!じん!それ本当だろうな!」

だが今度声を掛けて来たのはクラスの男子だった。

「我らのひじりちゃんが危ないのだ!ぜひ従兄弟である君の見解が聞きたい!」

「とりあえずひじりはお前らをうざがってる」

「なっ!!そんな事はどうでもいい!お前さっきひじりちゃんを呼んだ男みたか!」

「あぁ?まぁ顔はいい男だったな」

「うそ!じん知らないの?この学年で一番人気のあるイケメン!北崎くんよ!」

「へぇ〜」

全く興味のない狼、だが明らかにクラス内は動揺していた。


「どうするんだ!あいつは少々強引な性格らしいぞ!」

「えぇ!?じゃあまさか力ずくでひじりちゃんを襲ってたりして!?」

≪いや、考えすぎだろ、それに中身はオレだし≫

「・・・・なぁじん、ひじりちゃんは暗殺拳法使えるか?」

臣が今度は無表情ではあるが明らかに体が震えて動揺している様子で聞いてきた。

「いや、暗殺拳法は知らんが、俺と同じく空手は習っていた」

「あぁあああ!!もう我慢できない!じん!ひじりを助けに行くぞ!」

要弧が勢いよく立ち上がり走ろうとする、

「いってらっしゃ〜〜い」


要弧に殴られてしぶしぶ付いて行く狼。

するとあっさり廊下の途中で羊が前から歩いてきた。

「ひじり〜〜、大丈夫だった!?変な事されてない?」

「うん、大丈夫!」

「ふむ、それはよかった」

「・・・・うん、よかった」

「全く、帰りが遅いから心配したぜ、じゃ、戻るか」

「あ・・・ごめんじん、えっと・・・後片付けしといて」

羊がかわいい顔でさらりと怖い事を言った。

「≪・・・なんかしたのか?≫おう、わかった」

狼と羊にとっては簡単な以心伝心だったが、


傍から見たら、羊があたかも告白して来た男をしつこいので従兄弟である狼に片付けさせる、つまりボコボコにするというイメージがこの会話を聞いた人達全員にインプットされた。

が、得に気にしない二人だった。


「あ、お前がひじりに告白した・・・・イケメン崎か」

「北崎だ、変な呼び名は止めてくれ」

体育館の裏の隅で小さくなり黒いオーラを出していた北崎。

「・・・はぁ、初めてフラれたよ」

「オレはいつもフラれる」

「いや、そんな事言わないでくれよ、すごく気まずくなるじゃないか」

「ま、とりあえずさ」

狼が北崎の近くによりながら言った。


「自分が一方的に好きな相手なら、フラれて当然だろ、たまには周りに目を向けてさ、自分を好きな子にも、目を向けてやれば?」


「・・・・マネージャーくん」

一瞬感動的な場面になるかと思ったがあっさりそれは崩れた。

「・・・誰がマネージャーだコラ?」

「いや、すまない、赤城さん達のマネージャーとしてしか知らないくて」

「・・・守多じん、覚えとけ」

「ふむ、じん君だな、早速だが、君、顔はかっこいいね」

唐突に立ち上がった北崎は狼を見ながらそう言った。

「はぁ?なんかの勧誘か?」

「まぁそう思っても良いだろう、今週の土曜、空いてるかい?」

「気分的に多分空いてない」

「気分ってなんだい?じん君、確か君はいつもフラれるとか言ってたな」

「あぁ、事実フラれてる」

「それは君の性格に問題があるからだと思う」

≪お前はどうなんだよ?≫

「君はあれだ、女の子で例えるなら『鈍感天然ッ娘』だな」

≪いや、なんだか二つ混ざってないか?≫

「鈍感で天然なのは男として大分不利な属性だ」

「いや、俺は鈍感でも天然でもねぇ」

「ふむ、自覚がないところを見ると間違いないようだ」

≪いや、勝手に決めるなよ≫

「女子大生ならその性格で攻めれば落とせるが、残念ながら君の顔はかわいくはない」

「なぁ、馬鹿にしてるだろ?」

「まて、オレが言いたいのは、君がモテない理由は顔と性格の不一致だといっているんだ」

「はぁ?・・・つまり顔に似合わず鈍感ってわけか?」

「そうだ、磨かない宝石の原石はただの石にしか見えない、そうだろ」

「・・・わかった、とりあえず性格を直せば良いんだろ、簡単な事だ」

「簡単かどうかはわからんが、今度コンパに来てくれ」

「コンパ?おれ行った事ねぇな」

「他校の女の子と食事をして遊ぶだけだ、難しくはない」

「あぁ、ようこ達と遊んでいる感覚か」

「何気に羨ましいな、まぁいい、今週の土曜、いいかな?」


「「「「「だめ」」」」」


二人が夢中になって話していると、いつの間にか後ろには要弧達が立っていた。

「おせえと思ったらなにしてるんだ?じん」

要弧が怖い顔で狼を睨む。

「いや、べつに、なんでもないです」

「コンパとか聞こえたんだけど〜〜」

心なしか雫も怒った顔をしている、何を怒っているんだ?

「そ、そんな話してませんよ、なぁ!・・・イケメン崎」

「だからオレは北崎だって、相談なんですが今度の土曜じん君を」

「却下」

要弧が言い終わる前に断った。

北崎はその鋭い眼光をもろに浴びて真っ白になる。

「じん、今週の土曜は買い物の予定のはずだが、忘れたのかい?」

奈絵美が眼鏡を取って本気の顔になった。怒っている。

「わ、忘れてました、すみません」

「・・・・じん、コンパなんて行かないよね?」

臣は相変わらず無表情だが、後ろに炎が燃えている。

「・・・あ、あたりまえですよ!誰が行きますか!あははは!」

≪やべぇ、ちょう怖えぇ、ひじり!フォロー頼む!≫

狼が羊に目で助けを求めるが。

「じん、これはカリにしとくから」

ニッコリ笑みで返す羊、

≪えぇええ!!??お前はオレだろ!?助けろよオイ!≫

≪いや、雰囲気的に乗らなきゃダメじゃん、てか、コンパなんて聞いてないぞ≫

「・・・・すみませんでした」

狼のその一言で一応事は収まった。


 その夜

「オレだってたまには自由を満喫してぇんだよ!!」

「うるせぇ、ようこ達と一緒にいれることに感謝しろこの鈍感おおかみ!!」

「お前は女だから待遇も良くて一緒にいて良いかもしれんが俺は違うだろ!思い出せあの辛かった日々を!!」

「はっ!そんなの忘れたね!」

「この野郎!女にモテたい気持ちは一緒じゃねえのか!?」

「オレもう女だからそんな感情すら忘れたね!いいからようこ達の気持ちに気づけよ!」

「気持ち?何を言っている!俺はあいつらの気持ちは手に取るようにわかるぞ!便利君だ!あいつらはオレの事を便利なパシリとしてしか見てないんだよ!!」

「この大バカ野郎!!パシリならあんなかわいい表情の数々と一緒にいれる権利があるわけないだろ!気づけっつってんだよ!!」

初めての二人のケンカに、骸骨は特に気にせずテレビを見ていた。


 骸骨日記

『今日はじんはんとひじりちゃんがうるさかったわ、せやけど悪いんわじんはんやな、会話の内容でだいだいわかったわ、乙女心がわからんちゅ−のは大変やでじんはん。』



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